コロナが教えてくれたこと(15期社内報より抜粋)
●余白
道路交通量は減り、満員電車も緩和され、レストランの座席はゆとり配置が当たり前に。実はこの「余白」に心地よさを感じている自分がいます。
約100年前、スペイン風邪が世界的に流行し日本では45万人が死亡したそうです。まだテレビもラジオもない時代で、当時の政府が街中に貼った注意喚起のポスターは今のそれと驚くほど似ています。
(はやりかぜに)かからぬには
1.病人または病人らしい者、咳する者に近寄ってはならぬ
2.たくさん人の集まっているところに立ち入るな
3.人の集まっている場所、電車、汽車などの内では必ず呼吸保護器(*マスクのこと)をかけ、それでなくば鼻、口を「ハンカチ」手ぬぐいなどで軽く覆いなさい
出典:内務省衛生局編『流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録(東洋文庫778)』
きっと今と同様、街中がガラガラになったのでしょう。このスペイン風邪は3年後に収束。その後間もなく百貨店や映画館が大衆文化として定着し、メディア(雑誌、ラジオ)や電話が発展したことでタイピストや電話交換手など新たな職業が生まれたそうです。
「余白」が生まれたことでヒトは創造性を喚起し、そこに“ヒト同士の繋がりを取り戻したい”というパワーが相まって新たな潮流を生んだのでしょう。
●創造性とは何か
AIに出来ない事として「創造」があげられます。もしAIロボットが工藤静香さんのモノマネをしたら?と想像してみましょう。声の周波数をチューニングし、本人の映像を学習し動きを似せる。顔を寸分狂わず作り眉毛を大げさに描く。
どんなに想像しても、コピーロボットしか思い浮かびませんし面白くないでしょう(笑)。一方、ミラクルひかるのモノマネは、誇張/妄想アドリブ(確かにそんなこと言いそうだ感)/本人のキャラクター、が相まって想像を超えた面白さを醸し出す。ヒトが持つ創造性は世をワクワクさせ、生きる活力を与えてくれるのです。
出典:Youtube 工藤静香 - 慟哭 / ものまねでフルコーラス歌ってみた【ミラクルひかる】
●余白と創造
翻って僕たちはクライアントに対し、既に解が出ている事はサッと自動化してさしあげ余白をもたらす。クライアントはマーケターの本分である市場の創造(商品設計/デザイン/ブランド創り)に集中する。“余白が創造性を生む”その好循環に寄り添うと、ヒット商品誕生の瞬間に立ち会えるかもしれない。ワクワクしませんか?
●ご縁と絆
友人の娘さんが高校に入学しコロナの影響で一度も登校せずに1学期を終えたそうです。「学校に行かなくて友達はできた?」と尋ねると、「話す人はできたけど…友達はできない」との答え。
なぜオンライン・コミュニケーションだけだと友達(≒深い絆)はできないのでしょう?なぜオンライン飲みは飽きるのでしょう?なぜ文通すると最終的には会いたくなるのでしょう?
僕たちがヒトに会い、空間(場)を共にしたい理由。それは言語化されないけど僕らの心の中にしっかりと存在しています。
今後、オンラインを合理的に活用するからこそ、会うこと・集まることの価値は一層に増すでしょう。オフィスの役割も「行かなければならない場所」から、「集いたい場所」に変わってゆくと考えます。
「余白と創造」「ご縁と絆」。コロナが僕たちに教えてくれたことを大事にしたいと思います。