「専門家がたくさんいるから僕じゃなくていい。」これまでの知見やキャリアに固執せずしなやかな柔軟性を持つエンジニアリングマネージャーのキャリア観
エンジニアの中には、開発の第一線でコードを書き続け、ものづくりをしていきたいという思いを持つ人がいますが、マーケットプレイス開発部マネージャーの五十嵐祐己は異なった価値観を持っています。今回は自身で書き続けることに拘らず、柔軟なキャリア観を持つ五十嵐を紹介します。
5人の会社で開発から客先のサポートまで一気通貫。
愛知県の公立大学で情報系学部を卒業した五十嵐は、製造業向けの生産管理や在庫管理のシステムを制作する会社でエンジニアとして入社しキャリアをスタートさせました。入社後はSEとして技術とキャリアを積み重ねてきました。
そこで出会った技術責任者が独立し、その1年後に声がかかり、わずか5人のソフトウェア開発会社に転職。そこでは、開発者向けのフレームワークを販売しており、プロダクトの開発からカスタマーサクセスまでをになっていたといいます。
5人しかいない会社で、全員職人みたいな感じでした。お互いの専門を預けあっている感じが心地よかったです。ニッチな業界でしたが、手堅く事業成長を続け、気づいたら10年ちかく勤めていました。
堅実な成長と技術を積み上げてきた五十嵐ですが、転職のきっかけがふとした瞬間に訪れます。
何かを作るなら、子どもにもわかりやすく、自分でも使えるものを
家族旅行で四国に行った際は、アソビュー!を使いながら遊び先を探した(写真:本人提供)
子どもが二人いるんですが、どんな仕事をしているのかをよく聞かれるようになってきたんです。その度にわかりやすく表現を変えたりして説明してきたのですが、業界がニッチなことやBtoBであることも相まってうまく伝わりませんでした。
そんな時に、当時30代後半を迎え、新しい業界に飛び込むのは今が最後のチャンスかもしれないなと思うようになりました。
子どもとの会話が1つの契機となり異業種への転職が視野に入ってきた五十嵐は、旅行好きなこともあり、自分が1ユーザーとしても使うことのできる旅行・体験の業界に絞って転職活動を行ったといいます。
アソビューからはビズリーチのスカウトがきっかけでしたが、調べてみたらすでにアソビュー!会員でした。おそらく過去に直販でチケットを買っていたんだと思います。よくあるゲストのパターンでした。
その後、江部さんや服部さん、横峯さんと面談をしたんですが、話した感じがみなさんとてもよく、アソビューの人柄の良さを感じたのが印象にのこっています。
入社後から五十嵐は、アプリの開発に所属し、現在はマネージャーとして上流の設計や進捗管理、ヒューマンマネジメントをになっている。
5人の会社から200名規模のスタートアップへの転職で、戸惑ったことなどはなかったのか聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
文化や背景が異なる人と協力しているから、すれ違いは折り込み済み。そんなのあって当たり前ですよ。
前職が5人と少数だっただけに、規模感による違いはあるだろうと、元々想定もしていたので戸惑うことはそんなになかったです。
強いていうなら、Slackを使用するのが初めてだったのでSlackってこういう感じか〜って思ったくらいですかね。
現在は、アプリのグロースに向けて、マーケティングの担当者を始め、非エンジニアとの業務上のやりとりが日常的に発生している。そこで意識していることについてもあらかじめ想定をしていたと五十嵐は言う。
僕たちは技術的背景の理解には明るいですが、マーケティングについてはわからないことが多いです。マーケの皆さんはその逆で技術的背景はわからないことの方が多いはず。最初からそもそも持っている知識のバックボーンが違うので噛み合わないことがある方が当たり前だと思っています。なのでコミュニケーションの中でそのギャップを埋められるように整理していくことでお互いを尊重しています。
前職でお客様と直接やりとりしたり、会議をすることもあったので、慣れているのかもしれません。
入社後は持ち前の適応力を発揮してきた五十嵐は、キャリア観についても柔軟性を持ち合わせていた。
技術は何かするための手段。目的を果たすためであればプログラミングに固執しない
前職ではPC版のデスクトップアプリの開発に携わったことがあるが、スマホ版のアプリ、それもコンシューマー向けのアプリの開発は初めてだった。また、バックエンド側であれば、これまでと近しいスキルが活用できるが、フロントエンド側は新しいスキルや知識が必要だという。10年にわたる技術的知識とは異なる系譜の挑戦に、五十嵐はこう答えた。
これまではアプリをまじまじと意識することがなかったので入社してからはいろんなアプリを触ったり、技術的な仕様や、マーケティングの仕方とかを勉強しています。僕自身はスペシャリストよりは、ジェネラリストタイプで、チームには深い知見を持ったスペシャリストがいます。専門性が発揮できる分野はスペシャリストに任せて、ジェネラリストの僕は、開発がスタックしているところ、誰もやってないところに飛び込んだ方がいいと考えています。器用貧乏なだけなんですけどね。
これまでのキャリアに固執することなく、自身の領域を柔軟に拡張させ続ける五十嵐は、アプリの利便性を高め、遊びがもっと身近になるための仕掛け作りに心血を注いでいる。
撮影:加藤源也