大手企業からベンチャーが気になる人、一度話してみましょう
Hiroki Tanaka(田中 博規)さんと「大手企業からベンチャーが気になる人、一度話してみましょう」について話しませんか?
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成長するサービスは、チャレンジ精神あふれていて勢いがありますが、その分リスクと隣り合わせです。健全な成長を遂げるためには、いざリスクが発生したときに守れる武器を備えていることが重要。守りのスペシャリストとしてアソビューの情報・セキュリティ対策を行うCIO(Chief Information Officer)、田中博規のキャリアと仕事観をご紹介します。
新卒で入社した大手総合電機メーカーで医療機器の設計をしていた田中は、インターネットの仕事に興味を持っていました。
田中「10年後20年後、これからより成長していく可能性がある分野に行きたいと思っていました。そこでインターネットに関わる資格を取り、総合ITベンダーに転職をしてネットワークSEの仕事をはじめました」
ネットワークSEとして、エンタープライズネットワークの設計やシステムの問題解決をしていくうちに、田中はあるクライアントから直接声をかけられます。それが、ウォークマンで世界的エレクトロニクス企業となり、当時プレイステーションが人気を博していたソニーでした。
田中「『これからゲームは、ゲームコンテンツそのものをつくるだけでなく、インフラエンジニアが重要性を増してくる。インフラエンジニアとしてぜひ来てもらえませんか?』とオファーをいただき、入社することにしました」
ゲーム開発者用の社内インフラ、PS2向けオンライン認証基盤のインフラ設計・運用をこなしていくうちに、プレイステーション3(PS3)が登場。PS3は、当時としてはまだ新しい、オンラインにつながっているゲームコンソールでした。まだクラウドという概念が浸透していない時代、この新しいプロダクトを軌道に乗せるべく、正解のない問いに向かって田中は奔走します。
田中「プラットフォームのインフラを設計して、実際にローンチさせ運用するところまでやりました。当時はAWS(アマゾンウェブサービス)もなかったので、オンプレミスのデータセンターを探し、IPアドレスを取得して、回線を敷設して、サーバーを買ってきてセットアップして……。元々そういう知見はない会社だったのですべて手探りでしたし、準備期間として充てられたのは9か月ほど。とにかくローンチに間に合わせることに必死でした」
PS3の発売から数年すると、AWSなどのクラウドシステムが登場しました。田中は、オンプレミスのデータセンターをクローズしてクラウドへと移行するために、ベンダーとの契約交渉、オーバービューの設計~構築・運用までを担う組織の長としての経験を積み、チームを率いてきました。
PS3発売当時、ソニーの中でそれほどプレゼンスが高いわけではなかったゲーム事業のネットワーク分野は、今や大きな柱の1つとなっています。小さな事業から拡大し、会社を支える事業へと成長していく様子を現場で見てきたこの経験が、田中の大きな成功体験となり、その後のキャリア選択に影響を与えることになります。
田中は、ソニーに約19年勤めた後、モバイルキャリア企業を経てアソビューにジョインしました。その背景には、「新しいことにチャレンジしたい」という思いがあります。
田中「転職サイトに登録していたらアソビューCTOの江部から連絡がきて、とりあえず話を聞いてみたんです。事業内容としては面白そうなことをやっているな、という印象で、コロナが開ければ盛り上がってくるイメージができました。
ただその時は『ぜひ働きたい』とまでは思っておらず。ですがその後、アソビューのいろいろな方々とお話しする機会をもらって、話してみると面白いタレントが揃っていて『こういう人たちと仕事をするのは結構面白いかもしれない』と思うようになりました」
大手企業からベンチャー企業へのキャリアチェンジは大きな決断となりますが、ソニーでの成功体験が、田中の背中を押したといいます。
田中「小さかった事業が徐々に大きくなっていくさまを見たいと思っています。プレイステーションのとき、プロダクトが成長するにつれて周りの見る目が変わってくることを感じて、ものすごく達成感がありました。無名のプロダクトが有名になって、かつみんなに喜んでもらえる。そういった経験をもう1回できたらなと思いますね」
「生きるに、遊びを。」を掲げるアソビューは、ゲームが常に近くにある中で働いてきた田中のキャリアにおいても近しい領域でした。「これまでも遊びと仕事がグラデーションだった」と、その親和性を実感しています。
田中「特にアソビューは扱っている商材が、人に喜んでもらえるものですよね。使ってもらったり売ったりすることに罪悪感がない、むしろハピネスポイントが貯まっていくような商材です。ゲームのときもそうでしたが、私自身も遊びが好きなので、非常に自分にフィットすると思ったんです」
ともに働く人材と、事業内容のフィット感。この2点が決め手となり、アソビューのCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)として着任することになりました。
田中がCIOとして現在行っている業務は、上場に向けたITガバナンスの整理と監査対応。また、システム運用品質を向上させるため体制構築も含めたプロセス改善を進めています。
情報・セキュリティ対策、運用品質向上が代表的なミッションとなるCIOは、技術の選定や開発チームの統括を行うCTOと両輪の立場にあります。
田中「たとえば、CTOが『新しい技術を使ってやっていこう』と積極的に推進していく。それをCIOは、『それはまだこなれた技術ではないので、運用上・セキュリティ上の懸念があります』とツッコミを入れていく存在。開発者からすれば面倒に思われる立場ではありますが、企業において攻めと守りのバランスを取るために必要だと思います。
プロダクトが有名になってくると、セキュリティ面でターゲットにされることも出てきます。そのときに守りが固まっていなければ情報漏洩等のリスクが高まるので、防御のことも考えつつ進めていく必要があるのです」
ベンチャー企業のチャレンジ精神とスピード感は諸刃の剣。成長後に起こるリスクを大企業で身に染みて感じてきたからこそ、田中は守りの意識を高める重要性を心得ています。そのため、開発チームのチャレンジを阻害しないようにディスカッションを重ねながら、社員のセキュリティ意識向上やシステムの脆弱性を最小化することに努めるのです。
また、社内体制については、「開発と運用の連携」を重視しています。
田中「開発チームの中で運用もできる人をつくり、情報の流れを円滑にしていきたいと考えています。具体的には、昨今流行のDevOps(開発と運用の垣根無く開発者が運用にも関わる)を実現したいと思っています。
そのため、開発チームから運用チームに兼務の形で入ってもらいながら、運用もできる開発者をつくる。そういう人がいれば、開発チームの中で解決できる運用上の問題も出てくるので、何かが起きたときに初動が早くなります。
さらに、その問題を解決したナレッジを、他のメンバーに共有できれば、効率的にミスを減らすこともできる。そういうスタイルに持っていけないか、今協議しているところです。一時的にマネージャーの方々や開発メンバーの工数を使ってしまうことになりますが、それでも今やっておくべきことであると判断して進めています」
ベンチャー企業に入社してみて、これまでと大きく違う部分を田中は2つ挙げています。
田中「やらないといけないエリアが非常に上から下まで広いですね。情報整理も自分でピックアップしていく必要がありますが、だからこそわかってくるものもあるのでつまづくところも多いですが楽しくやっていますね。
もう1つは、流行りの技術や手法をどんどん取り入れていく姿勢でしょうか。それはいいところとして受け止めつつ、中長期視点で『本当にその道は最適であるか』という視点が自分の役割なのだろうと思っています」
個人のキャリアとして田中が思い描くのは、「プロCIO」職。まだまだ日本企業には少ないCIOの専門職を世の中に浸透させることを目指し、アソビューCIOとして存在感を放っていきます。
田中「広い視野で物事を見て、上場に向けた社内システムの整備や守りを固める上での旗振りをしていきたいと思います。運用って、開発と違って目立たないんですよ。何か障害があったらクレームが来ますが、うまく運用できていたら気づかれないだけなので。ただその中でも、人の支えになっていること、『なんか最近落ちることがなくなったね』といった声が聞けることがやりがいの1つになっています」
現在アソビューでは、田中のもとでシステムの信頼性を担保するSRE(Site Reliability Engineering)を募集しています。障害への対応や次の手立てを考えてシステムを支えていくSREは、サービスの成長を妨げるリスクを低減し、事業がよりスムーズに成長軌道に乗っていく上で屋台骨となるチームです。
田中がCIOとしてチームを率いる先に見据えるのは、アソビューの海外展開です。これは自身のキャリア選択で重視してきた軸でもあると強調します。
田中「キャリアとして一貫しているのは『Japan to Global』です。日本のプロダクト、日本発のアイデア、きめ細かさ、そういったものをグローバルに展開していくことに貢献したいと思い、ずっと日系企業を選んできました。CEOの山野も『アソビューを海外に展開する』と言っているので、そのサポートができればいいなと思います」
田中はアソビューの成長過程を間近で支えながら、新たなJapan to Globalの実現へと動き出しています。