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IPO準備期のコミュニケーション課題に、「1人で作れる」社内報を|Story User Interview・LRM株式会社

スタートアップやベンチャー企業にとってのマイルストーンとなるIPO期は、パブリックカンパニーとしての組織の確立を図るべき大きな変わり目となります。社員数の急増など社内が大きく変化していく中で、より豊かなコミュニケーションのあり方や企業カルチャーの共有方法も変わっていかなくてはなりません。

「日本で一番身近な情報セキュリティ会社になる」をビジョンに掲げ、情報セキュリティ事業を展開するベンチャー企業、LRM株式会社もIPOを目指して準備を進めています。人員は約1年で倍増し、組織内でのカルチャー共有が新たな課題となっていると語るのは同社マーケティング・広報の毎床愛美さん。成長変化が著しい組織の中で社内コミュニケーションツールとしての社内報の必要性を感じ、Wantedlyの社内報機能「Story」を導入された理由を毎床さんに伺いました。

自然にカルチャーが浸透した時代から、次フェーズへの過渡期で生じた課題とは

ーー御社と提供サービスについての概要を教えてください。

毎床:情報セキュリティの専門家として、プライバシーマークやISMS/ISO27001などの認証取得といった情報セキュリティコンサルティング事業を主軸に、2017年には自社開発サービスとして情報セキュリティマネジメントの効率化を支援するクラウドサービス「Seculio」をリリースしています。メンバーの大部分はコンサルタントで、「Seculio」事業企画や開発チーム、カスタマーサポート、バックオフィスチームなど、パートスタッフや業務委託のメンバーを入れると約40名で、神戸オフィスと東京オフィスに在籍しています。

事業の拡大やIPOに向けての準備のため、去年の秋から新しいメンバーが一気に増えました。多い時期は毎月5〜6人ずつ増えるようになり、パートスタッフを入れて20人程度から40人に一気に増えました。

メンバーの急増に伴い、新たなコミュニケーション課題も

ーー急激な増加に伴う、コミュニケーションの課題は感じられていますか?

毎床:特に課題となっているのが企業カルチャーの浸透です。元々、支え合いながら成長してきた会社なので、組織が大きくなっても縦割りではなく、横のつながりを大切にして、会社全体で高め合うカルチャーは残したいと常に思っていました。特にここ数カ月で入社した社員にカルチャーを浸透させるのが難しいですね。

また、社員が少なかったころはほとんどが20代・30代でベンチャー感が強かったのですが、社員が増えて年齢層の幅も広がり、ワークライフバランスに対する考え方も世代によって差が見られるようになってきました。そのため、足並みをそろえて互いに理解しながらやっていくのが以前よりも難しくなっていると感じていました。

これまでは代表との1on1や、3カ月に1度の頻度で神戸と東京のメンバーが会議で集まったり食事をとったり、ダイレクトなコミュニケーションでカルチャーやビジョンを共有することを大切にしていました。オフィスで気軽に雑談ができてコミュニケーションも自然と発生しましたが、リモートワークでは雑談がしづらい雰囲気で、業務上で必要なつきあいだけになってきている気がします。集まることが難しくなってからは、Zoomで全社員会議を実施するなどの工夫をしてはいますが、以前と比べると、行動指針を把握しているかとか個々の目標確認といった、企業理念やカルチャーについて取り組む機会が少なくなったと感じていました。

コロナ以前の食事会の様子。オフラインコミュニケーションも難しくなる中で、社内報がスタート。

たった1人で社内報をスタート。“試運転”だったはずが…

ーー社内報「Story」の導入背景について教えてください。

毎床:私が今年の6月から広報を兼務することになりました。今まで広報担当はいなかったのでゼロからのスタートです。まず何をしようか考えたとき、対外的な発信より帰属意識を高めたりメンバーの足並みをそろえることを先にやろうと思って、有名な他社の社内報サイトをチェックして情報を集めていました。そこで「Story」のリリースを知り「気軽に始められそうだ」と思ったことがきっかけです。

担当者が私1人で、しかも兼任だったので、何よりも手軽さを最重視しました。第一歩を踏み出すハードルが低ければ低いほどいい思っていたので、サッと書けてパッと公開できる「Story」はとてもマッチしていました。Wantedlyは採用で利用していて慣れていましたし、ほとんどの社員もアカウントを持っていたので始めやすかったです。手間があったことといえば、Wantedlyアカウントを持っていない社員に取得をお願いしたことくらいですね。ただ、一つの招待URLを社員に共有するだけだったので大した手間ではありませんでした。

社内報の一覧が見れるポータル画面

ーー社内報の公開や告知はスムーズに進められたでしょうか。

毎床:実は当初は秋ごろに公開しようとして、試運転のつもりで記事を書きためていたんです。何気なくストックしていた記事のステータスを下書きから公開にしてみたら、社員に通知が飛んで、意図せず社内周知してしまって、試運転だと思っていたのは自分だけで、社員はみんな読んでいたという状況で(笑)。社内にシェアをしていないのに既読率が高かったのもポジティブに捉えました。現在は社内に公開しています。

ーーお1人で運用されているとのことですが、社内報業務に負担は感じられていますか?

毎床:気軽に始められて、自分が続けられるペースで進められているのでプレッシャーを感じずに続けています。会社公式のTwitterやFacebookも運用していますが、対外的な発信は会社の顔としての発信になるので社内で確認が欠かせませんが、社内報はそれに比べると気軽に発信できます。メンバーに知らせたいことや面白かったことを、1記事20分程度で書いて公開していますが、このスピード感で社内報としてまとまった形になるのは「Story」ならではですね。

メンバーから好評の記事を企業公式ブログにも掲載し、大きな反響を得る

ーー社内報のコンテンツに対して、社内での反応や社員からの声は?

毎床:IPO準備に伴って目まぐるしく変わっていっている社内制度の説明や、会社の歴史、社内独自のルールの由来などを週に1〜2本の頻度で記事化しています。

例えば、弊社ではFAXを使っていないのですが、廃止に至った経緯を書いたところ、新しく入ったメンバーからは「FAXがなかったことに初めて気が付いた」「知りたかった理由が分かりました」という声があった一方、古株のメンバーからは「懐かしい」という感想も寄せられました。

公開して反応がよかった社内報記事

毎床:社内報で公開して反応がよかった記事を、社外へも発信するケースもありました。9月に弊社の神戸オフィスが移転したのに伴って、フルリモート形式でISMS、ISO27017、ISO27018の移転審査を受けました 。その際のレポートを社内報で掲載したところコンサルタントのメンバーから好評だったので、社外向けに書き直したうえで公式ブログに「神戸オフィス移転に伴う移転審査のまとめ」としてアップしました。

LRM社の公式ブログに掲載された移転審査の記事

移転審査の概要を伝えるコンテンツがWEB上にほとんどなかったため、公式ブログへの掲載後にはクライアントやISMSに関連するサービスを提供している企業から「実際の審査の温度感が事前に分かった」「審査に際して対応すべきことが分かり役立ちました」といった声をいただきました。

ーー課題だったカルチャー浸透のほかに、どのような役割を社内報に持たせたいとお考えでしょうか?

毎床:情報共有には主にチャットツールを使っていますが、どうしても情報が流れてしまうので今後は社内ルールの告知も社内報に一本化して、社内報が情報発信の中核を担うようにしたいです。

もし、社員数が少なく、意識せずにカルチャーが浸透していたころと同じような情報発信を続けていたら、一方的な情報を発信する社内報になってしまうと思います。社内報でどのようなコンテンツを載せるかを考えたり、雑談や質問から「社員が知らないこと」に気づいたり、社員から寄せられる反応や意見を参考にすることで、働き方の多様性に寄り添える情報発信のあり方を追求していきたいと思います。

ーーどのような企業に社内報「Story」が向くと思われますか?

毎床:私の場合「初めての広報」「兼務」「1人」という状況で始めることになったので、書いて公開すれば社内限定のコンテンツができる手軽さから「Story」を選びましたが、同じような悩みを抱えている広報担当者にはもちろん、「とにかくまず社内向けの情報発信を始めてみたい」というスピード重視の企業にも向いていると思います。

また、「社内報とはいえ多くの社員が目にするものだから、コンテンツはしっかり作る」という方針では担当者の心理的な負担が高まり、一歩を踏み出しづらくなってしまいます。弊社のように「社内限定で発信する内容だから、まずは始めてみる、継続してみる」という方針で運営し、継続的に投稿を続けられるようにするといいのではないでしょうか。

(取材・執筆協力:畑中寿子)

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