主力事業であるスタッフDXアプリケーションサービス「STAFF START」を軸に着実な成長を歩んでいるバニッシュ・スタンダード(以下、VS)。さらなる事業成長を見据えた組織体制の強化が進み、開発組織にも大きな変化が訪れています。
今回は、4月よりCTOに就任した西川 仁にインタビュー。VSの開発組織の取り組みや目指す姿について話を聞きました。
西川 仁(にしかわ ひとし)
2008年日本電信電話株式会社入社。NTTメディアインテリジェンス研究所にて基礎研究から応用研究、実用化まで一貫して従事。その後「社会に役立つ技術の開発」を目指し、東京工業大学情報理工学院にて人工知能の研究開発、教育、および民間企業へのコンサルティングや共同研究等を実施。データコンサルティングを提供するスタートアップにて執行役員として新規事業開発や組織開発、加えてAI研究開発スタートアップにてCTOとして大規模言語モデルの研究開発や音声文字起こしアプリケーション開発に従事。2023年8月株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、AI分野の開発責任者に就任。2024年4月からCTOとして技術戦略の意思決定等を担う。
奈良先端科学技術大学院大学にて博士(工学)を、IE Business SchoolにてMBA (with Beta Gamma Sigma Honor)を取得。言語処理学会最優秀論文賞、情報処理学会論文誌ジャーナル特選論文など受賞多数。社内では「じんさん」の愛称で親しまれている。
(聞き手:Corporate Design・大山 都子)
※本記事の内容は2024年4月公開時点のものです
※冒頭写真 左・弊社代表小野里、写真 右・西川
CTOとして懸命に働くみなさまを技術的に支援することが使命
ーー本日はよろしくお願いします。あらためて、今回CTOに就任された経緯を教えてください。
もともと私はAI分野の開発責任者として、2023年8月にVSへ参画し「STAFF START」を利用してくださっているスタッフ様の体験をより良いものとするためのデータ・AI活用を推進してきました。
このたび、弊社の「STAFF START」をさらに深みを持たせた事業へと成長させるため、新経営体制が発足。私は取締役/CTOを拝命することになりました。取締役であるからには「会社の看板」を背負っていくことが求められます。今回の就任は、今後見据える事業展開と私の過去の経歴を照らし合わせて決定しました。
ーーCTOとしてどのようなミッションを背負っていくのでしょうか?
EX(Employee Experience)向上の観点から懸命に働くみなさまを技術的に支援させていただくことが私の使命です。まずは、作成した技術ロードマップの実行に向けた活動を推進していかなければなりません。
私は「STAFF START」は世界的にみてもユニークかつ独自の価値を提供するサービスだと考えています。つまりプロダクトそのものに競合優位性が認められるわけですが、だからこそ現状維持に走ってしまうのではなく、後続を引き離すような「攻め」のプロダクト開発を進めていく所存です。
人間同士の共感を大切にしながら、AIの力で仕事を支援できるのが「STAFF START」
ーーじんさんは「STAFF START」の魅力をどのようなところに感じていますか?
日本をはじめ世界各国で労働人口の減少が広がる中で、これまでの労働人口が増えることを前提にした社会からの変革が必要になってきています。
昨今、「AIによる労働代替」が盛んに論じられている通り、人間がやらなくても良い仕事を機械化していく流れは今後も活性化していくことでしょう。
私自身、長くAI分野に携わる中で「究極的に人間がやらないといけない仕事とは何か」を考えてきました。そして辿り着いたのは、人間がやるべきは「有限の人生を生きる人間同士の共感が中核となる仕事」だということ。つまり、人から人へサービスや商品を提供する接客・サービス業はその最たるものという一つの結論を見出したんです。
弊社のビジネスは「相手が人間であること」を根本に据えて重要視しており、人間の仕事をAIに取って替えるのではなく、AIの力で人間が苦手な領域を支援することを目指しています。
たとえば、弊社の「STAFF START」にある SNAP PLAY機能は、店舗スタッフ様が撮影した写真や動画に商品情報を紐づけ、ブランドの自社ECサイトやSNSなどに投稿できるものです。この機能には生成AIにより投稿を手助けする「AIアシスト」機能を搭載しています。「細々した作業をしている時間がない」「テキスト作成に苦手意識がある」というスタッフ様からご好評いただいており、まさにAIの力で業務を支援することを体現しています。
これはほんの一例ですが、単に「AIで自動化していこう」というだけではなく、人を救うためのAI活用に本気で向き合っている点が弊社プロダクトの魅力だと感じていますね。
技術ロードマップを確実に遂行するために新たな開発組織体制へ
ーーこの4月から開発組織の体制も変わりましたよね。体制を変えた狙いを教えてください。
そうですね。これまで分かれていた「ProductUnit」と「DevUnit」を一体化し、私が統括する「TechnologyDivision」のもとに編成しました。狙いは「技術ロードマップを確実に遂行する」といった非常にシンプルなものです。
プロダクトづくりに責任を持つ「ProductUnit」と開発を遂行する「DevUnit」が密に連携できる体制を整えることで、よりスタッフ様にご満足いただけるプロダクト開発を目指します。この体制に変更したことによって部門間の連携強化が進んでおり、より良い組織になってきたなと感じますね。
また、この春からこれまで「DevUnit」を牽引してきた山田大樹さんが昇進し、「Produt Unit」と「DevUnit」の組織開発と採用等を見ていただくことになりました。CTO一人で技術戦略の立案・実行も組織マネジメントも担うことは非常に難しい中で、組織開発の専任担当を立てたことも新体制による大きな変化です。
ーー今回はマネジメント体制の変化もありましたよね。組織開発を担うことになった山田大樹さん、新たにDevUnitのマネージャーになった植村哲朗さんに期待することはありますか?
大樹さんに関しては、今回の昇格を彼にとってもう一段成長するためのきっかけにしてほしいと考えています。より経営層に近いポジションにつくことで得られることは多いと思うんです。
たとえば、経営目線を持って組織マネジメントをしていただく上では、売り上げ等の経営指標を把握し、自然と口から出てくるようにしなくてはいけません。今後はこれまで見えていなかったことにも目を向けて、さらなるキャリアアップをしていただければと思います。
また、植村さんについては初の管理職就任です。とはいえ、彼にはそのまま走り続けていただきたいと考えています。マネージャーの仕事で大切なのは「人格」です。それを考えると、植村さんは申し分ない。自信を持って進んでいただきたいです。
業務に関しては仮に苦手なことは周囲の力を借りれば良いわけですから、周囲を巻き込めるだけの人格をすでにお持ちの植村さんに非常に期待しています。
大きな裁量を持ち真面目に開発を進められる魅力を感じてほしい
ーーVSの開発組織「ならでは」という強みはどこに感じていますか?
ミッションドリブンな会社らしく、プロダクトに対する愛が非常に大きいところが強みだと感じています。技術は勉強すればいくらでも身に付くと思うのですが、実現したい世界観を共有できるかは相性によるところも非常に大きいです。VSにはすでに「事業への共感」を軸に目線の合っている仲間が揃っており、組織の強さにつながっていると考えています。
みんなが同じ目線を持って「お客様にどういう価値を届けられるのか」「どういう意図でこれを作るのか」を気にしてくれているからこそ、当たり前にユーザー目線のものづくりと向き合えているんだと感じていますね。
ーーこれからさらにより良い開発組織を目指すことになると思います。じんさんが描く「理想」の開発組織を教えてください。
難しいですね(笑)。本当に理想の開発組織があるとすれば、マネジメントをしなくてもユーザーに必要な機能開発が進んでいく組織だと思います。つまり、プロダクトマネージャーやエンジニア、デザイナーといった開発の中核を担う人たちが自発的に開発を進めていく状態ですよね。
ただ、それは簡単ではありません。やはり事業戦略や競合差別化の観点、財務状態などの変数に対応するためにマネジメントは一定必要です。しかし、どこまでやるかという程度の問題はあれど、現場のメンバーも一部そういったところまで目配りができるようになってくれると理想に一歩近づけるのではないかと思いますね。
ーー最後に、採用メッセージをお願いします!
これまで弊社の開発組織は「STAFF START」というメインプロダクトの機能追加や改善を軸に活動をしてきました。しかし、これからは既存プロダクトとは別とみなしても差し支えない機能開発を進め、着実にリリースしていくフェーズに入っています。
そのため、私たちが今求めているのは一緒に新しい挑戦をしてくれる仲間です。
手前味噌にはなりますが、VSはなかなか良い会社だと思っています。財務体質も健全で、福利厚生も充実している。ベンチャー企業と言えるフェーズでありながら安定感があり、開発面においても真面目に開発を回しているという自負を持っています。
もちろんまだまだ未熟で発展途上な組織ですが、だからこそプロダクト全体を把握して大きな裁量を持ったプロダクト開発が経験できるフェーズです。ただ言われた通りにつくるのではなく「どう競合と戦うべきか」「ユーザーが求めていることは何か」「開発が事業に与えるインパクトはどれほどか」を考えながら行うプロダクト開発の経験は、エンジニアのキャリア形成には間違いなく役に立つと考えています。
私たちのビジョンに共感し、エンジニアとして成長したいという方は気軽にカジュアル面談にお越しください。ぜひ一度お話ししましょう!