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土屋鞄ではランドセル事業、大人向け鞄事業がありますが、その全てのサイトのWebデザインからコーディング、公開に至るまでの一連の制作を全てインハウスで行っています。手掛けているのは、今年設立したインハウスデザインチームです。
以前は外注で行ってましたが、チームが結成されるきっかけから現在までをインタビューしました。
【プロフィール】
大藤 滉平(おおふじ こうへい)(左)
武蔵野美術⼤学造形学部油絵学科卒業。土屋鞄に入社後、自社サイト及び【Globalsite】のリプレイスやメンテナンス他、土屋鞄が展開するランドセルやフレグランスアイテムのブランド【grirose(グリローズ)】サイトリニューアルなど幅広く行う。
引地 和久(ひきち かずひさ)(右)
新卒でB2BチャットサービスのWebデザイナーとして経験後、1つのスキルより、複合的なスキルに必要性を感じ、土屋鞄に入社。コーディング業務のみならずUI/UXのディレクション、【土屋鞄のランドセル】、土屋鞄を子会社に持つ【ハリズリー】のグループ会社、【AETHER】のサイト改修や新卒の研修など業務は多岐にわたる。
千葉 理子(ちば さとこ)(中央)
新卒でアパレルの販売職の企業に入社。⼿に職をと働きながら、Webデザインの専門学校に通いながらスキルをつけ、⼟屋鞄に⼊社。ランドセルの販売促進に携わった後、Webデザインのスキルアップを目指しWebチームへ。griroseのサイト改修や新卒のサポートを行う。
3人の共通点はものづくりへの◯◯!?
ー土屋鞄に入社を決めたきっかけはそれぞれ何だったのでしょうか?
大藤:私は美大の時に油絵、陶器、革製品を製作し、フリマで販売もしたけどなかなか売れない苦い経験がありました。そこで、SPA(製造小売)を一貫して行っている土屋鞄で、ものが売れていく仕組みを知りたいと思ったのが入社のきっかけでした。
レザークラフトを自作する位好きでしたし、伝統的なものづくりへの共感も決め手の一つです。
(大藤が大学でフリーマーケットに出店していた頃)
引地:私はB2Bの企業にいたんですが、販売対象がサービスだったので、ものへの愛着がないと好きになれないと感じるようになりました。元々、製品を持っていてファンだったのと、前職で企業理念の浸透活動に携わっていたのもあり、土屋鞄の一貫したブランディングには興味がありました。
入社していきなりLPをゼロベースから作ったり、UI改善を行ったり、今まで自分が経験して来なかった業務の幅広さに驚きましたね。
ー千葉さんは元々販売員だったんですよね?
千葉:はい。元々アパレルの販売員でした。接客にやりがいを感じていたのですが、手に職をつけて自分で仕事をコントロールしていけたらと、働きながらWeb系の専門学校に通っていました。制作会社よりもものづくりをしていて、お客様の声や要望を反映できる事業会社に魅力を感じ入社を決意しました。現在は販売と離れた職種ですが、お客さまの視点は常に念頭にあると思います。
インハウスのデザインチームに至るまで
ーそれぞれのバッググラウンドは違えど、ものづくりへの共感は皆共通してますね。
今はWeb制作を社内で行っていますが、昔は全く違う業態だったんですよね?
大藤:そうですね。Web系はビジュアルデザイン以外の開発業務は、外部へ委託するケースが多かったです。ランドセルと大人向け鞄の2つの事業があるのですが、各事業のWeb担当が別々の部署に所属していたこともあり、社内で知見が蓄積しづらい状況でした。
理想の形は、事業間で横展開出来るチームが出来ることでした。
そのためには、Web開発やUIUXの知見を持ったメンバーが実際に実装し、外部パートナーとの窓口となることで社内にナレッジが蓄積されることが必要でした。
ー内製化までに至る経緯を教えてください。
引地:依頼業務が増えマンパワーが足りなくなってきたのもあり、Webチーム設立の構想案はずっと水面下で温めてきました。幸い、会社がトップダウン型ではなく、ボトムアップ型だったので、現状課題や改善点を整理し良い方向に実装できれば、必ず実現できると信じて進めていきました。
皆ほぼ未経験だったので、協力会社に研修に行ったりセミナーへ参加したり、気軽に相談できる関係性が築け学習できる環境があったことが、ありがたかったですね。ナレッジやノウハウをシェアする為に社内で勉強会をし、UI、UXについての共通認識を深めました。
着想から2年間で開発、実装ができるスタイルの有効性が徐々に社内で認められていったと思います。1つの事業で会得した改善ノウハウを他事業にも共有し、⾃社で⼀貫して⾏う強みに転換するチームを結成することができました。
インハウスデザインの強みーそして今後の試み
ーWeb制作をインハウスで行うメリットはどんなところでしょうか?
千葉:会社への理解度が深いので、企画の段階から設計できて、スピーディーに質の高い提案ができること。あとはお客様の声や動向をすぐにサイトに反映し、1ブランドでの小さな成功体験を積み重ねて横展開しやすくなることですね。
事業単独で動くこともなくなりましたし、土屋鞄以外にも同グループのブランドにもナレッジをシェアしやすくなりました。
アウトソーシングのメリットももちろんあります。ですが、時間とコストに制約があるため、多少思っていたのと違う仕上がりでも、飲み込まないといけない状況が出てきてしまいます。しかし、インハウスだと逆に妥協することが許されません(笑)土屋鞄はブランドやデザインを大切にしているので、公開後もサイトの最適化に見けてPDCAをスピーディーに回せることが何よりも強みですね。
(griroseのWebサイト)
(AETHERのWebサイト)
ーチーム内の役割分担はどのようにしているんですか?
大藤:ブランド担当の窓口はいますが、チーム内で業務の担当を決め打ちしている訳ではないんです。というのも、業務を分業することで領域が限定されてしまいます。知識やスキルが多少必要になりますが、プロジェクト毎にある時はコーダー、ある時はUIデザイナーといった感じでその都度必要とされいる役割にそれぞれが適合していきます。それによって属人化も解消されますし、皆がそれぞれ自走できるフラットな形態を保てます。
タスク管理はチーム内で見える化して、つまづいた時や不明点は相談し、課題解決できます。なので、互いに切磋琢磨できる環境が整えられていった実感がありますね。
ーWeb事業の内製化は容易ではなかったと思いますが、とてもいいチームですね!
現在チャレンジしていることや今後の目標はありますか?
大藤:常にチャレンジしかないですね(笑)今までは土屋鞄の事業がメインでしたが、同グループ会社の色々な事業会社のサイトに携わり、どのようにアプローチしていったらいいか改善も含め、幅広く携われたらいいなと思います。
千葉:私はチームに入ってまだ間もないので、自分にまだ足りない部分を吸収して今後のチームの飛躍に貢献してきたいですね。
引地:お客さまの嗜好や体験を予め企画・設計し、動向に合わせて製品を提案する体験設計にも積極的に関わっています。既にローンチされているものだと、去年のXmas企画のパーソナル革診断がありますね。質問に答えていくと、フィットした革が出てくるんです。これは結構好評で、SNSでたくさんシェアされました。
せっかくいいチームができたので、お互いの強みを生かしたり、新しい技術を取り入れて、お客さまを喜ばせられるような面白い企画にこれからもどんどん挑戦していきたいですね。
美大卒だったり、Web系経験者だったり、販売員からのキャリアチェンジだったりそれぞれ異なるルーツを持つ人たちが集結した理想的なチームですね!
印象的だったのは全員共通して「ユーザー」とは呼ばず「お客さま」と呼んでいることでした。ものづくりのファンで、Webに訪れる一人ひとりを大切に思っているからこその、自然に生まれた表現なのかもしれないですね。