私たちの社会はいま大きな変化を迎えており、気候変動やパンデミックなど、さまざまな課題を世界規模で共有しています。
従来の「当たり前」が通用しない中、より良い世界や社会を構築するための、新しい基準や価値観が生まれています。その新しい基準や価値観を生み出す中心にいるのが、まさにZ世代やミレニアルズです。
そんなZ世代やミレニアルズの生の声を起点に、国内外でいま生まれている新しい基準や価値観をご紹介する「ニュースタンダードセミナー!!」の第二回が、3月16日にオンラインで開催されました。
セミナーでは、「組織の多様性」「ノンアルコール」「美-BEAUTY-の基準」をテーマにセッションを行い、Z&M世代のリアルボイスを引き出しました。
今回はそのセミナーから「美-BEAUTY-の基準」のパートを、ダイジェストでお届けします。
Z世代とミレニアルズから生まれる
新しい基準や価値観を知る
【今回のセミナーの登壇者】
久志 尚太郎 (NEW STANDARD株式会社 代表取締役)
浅井 康治(NEW STANDARD株式会社 執行役員/ストラテジックプランナー)
金沢 桃花(NEW STANDARD株式会社 Social Media Planner)
湯瀬 胡桃(NEW STANDARD株式会社 Social Media Planner)
多様化する美の基準
ルッキズムを乗り越えるために
美の基準に対する価値観は大きな転換期を迎えています。過去を振り返ると、肌が白くて、スリムな体型の人が美しいというのが、日本における1つのスタンダードでした。広告写真に登場するのは、画一化された容姿を持つ人ばかりと思っている方もいたのではないでしょうか。しかし、今日には「美の価値観」はより多様化しています。
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たとえば、1959年に発売され世界中の子どもたちの憧れであり続けるバービー人形ですが、2020年には白斑や義足、髪のないバービーが登場し注目を集めました。発売の背景には、多様性に関する価値観の変化があり「自分らしさ=美しさである」というメッセージが読み取れます。
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美の基準を再定義しようという流れは世界的なものであり、2017年にはフランスで「レタッチの明記」の法律が施行されました。加工アプリを用いてモデルの体型を細く、あるいは大きく見せた写真を広告として使用する際には、レタッチされた写真であることを明記することが定められました。
レタッチされた非現実的なモデルの体形を理想と捉え、過度なダイエットに走ってしまうことを防止するための法律であり、「作られた美」に対して懐疑的な反応が集まっていることが分かります。
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また、外見によって人の価値をはかるようなルッキズムが問題視されている中で、「美しさは外見ではなく内面にある」という考えにも注目が集まっています。
生まれつき全身にホクロがあり、見た目が原因でいじめを受けていたというEvita Delmundoさん。ミス・ユニバースに挑戦した彼女は「美しさとは、完璧な顔と体を持つことではない」と自身のSNS上で発言しており、ミス・ユニバース公式はこの言葉を絶賛しました。Evitaさんは本当の美とは、自分を愛する心であると続けています。
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美には人々が積み上げた文化・歴史といった要因も関係し、その基準について議論するのは非常に難しいです。しかし、美の基準について捉え直すことは、社会としてどうルッキズムを乗り越えるか、個人としてどのように自身と向き合っていくかに繋がると思います。
ここからは、実際のセッションの中からZ&M世代のリアルボイスを聞いていくことで、美の基準について改めて考えていきます。
あなたの美の基準を教えて!
美しいなって思う人は、どんな人?
金沢(Z世代):私はありのままの人が素敵だと思います。同世代のインスタを見ていても、少し前までは加工アプリで顔を盛る写真を投稿する人が多かったのですが、最近で「事故写(変な格好や変な顔が写ってしまった写真)」のようなありのままの自分を写した写真を投稿するのがトレンドです。ライフスタイルを誇張するよりも、等身大の自分を見せる方がいいとみんな口を揃えて言ってます。
湯浅(Z世代):私も同じ意見です。メイクが好きなのですが、最近のトレンドを追っていると、「〇〇人みたいになれる」から「生まれつきの美しさを活かす」に移り変わっています。最近はイエベ、ブルベといった骨格診断も流行っていて、ありのままの自分を活かすことに注目が集まっていると感じます。
ただ、美しさも多様性かなと思います。最近のYouTubeを見ると整形が1つのコンテンツになっています。YouTuberが整形を報告する動画を出して、コメント欄に肯定的な意見が書き込まれるという流れがあり、動画とコメントがセットで口コミの役割をします。整形を公開することがタブー視されていた一昔前では考えられないですよね。
浅井(M世代):今の整形の話も踏まえて、美しさ=潔さだと思いました。自分のコンプレックスや失敗をいかに受け入れられるか。好きでやっているから整形してても、加工アプリ使っててもいいじゃんという内面性が大切なのではないでしょうか。
日本でもルッキズムを感じることある?
自分の中にもルッキズムってある?
湯浅(Z世代):私は「押し付けと称賛」の境目によく悩まされます。テレビ番組を見ていると、よく男性アナウンサーの横に女性アイドルが立つという構図を見るのですが、女性は華になるから参加するという構造になっているのかなと違和感を感じます。美しさを称賛されることは嬉しいですが、もし自分がその立場になると、能力ではなく外見を評価されたのかなと複雑な気持ちになります。
金沢(Z世代):私はNEW STANDARDに参加する前はモデルをしておりルッキズムの世界で戦っていました。モデルの仕事では、コンプレックスに思っている外見的特徴を指摘されることもあり、辛さを感じていました。今ではメディアの仕事を通じて、多様な価値観に触れることでコンプレックスに悩むことはなくなりましたが。
最近では、プラスサイズモデルが登場したりとモデル業界でも「美の多様性」を意識した取り組みが行われています。ステレオタイプな価値観やまだまだ認知されていないルッキズムの落とし穴に社会としても個人としても気づいていき、ルッキズムに悩まされる人がいなくなればと思います。
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次回レポートは、「電通若者研究部(電通ワカモン)」の研究員の方をゲストパネリストにお招きし開催した、「Z世代とミレニアルズから生まれる 新しい基準や価値観を知る」についてのダイジェストです。
電通ワカモン独自のリサーチを元にしたデータや、多様なブランディング・ビジネス開発の知見を持った電通ワカモンの視点を、NEW STANDARDの視点と掛け合わせて皆さんにお届けします。
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