SUPER STUDIOは昨年に引き続き、本年10月26日にecforce新CM「牛乳を注ぐ男」篇を公開しました。今回のCMではなかやまきんに君さん(以下敬称略、なかやまきんに君)を起用。なかやまきんに君が"あの名画"に扮し、「ツボにも、カートにも、穴があると無駄になる!」ことを無情にもこぼれ続ける牛乳*で表現したCMです。先日行われた日本最大のIT展示会「Japan IT Week」で先行公開し、11月7日からは全国のタクシー内ディスプレイでCMの配信が開始されました。TVやSNSでも大きな反響を呼んだ今回のCM。そのストーリーや制作背景、そしてSUPER STUDIOが伝えたい想いをインタビュー形式にてお届けします。
*撮影時には白く着色した水を使用しています
今改めて伝えたい「カートの重要性」
EC/D2Cは「ビジネスの総合格闘技」とも言われるほど網羅すべき業務範囲が広いビジネスモデルです。しかし、商品開発・ブランディングなどを多くのことにこだわり抜き、いざ商品を販売にこぎつけても、ECサイト内の導線がわかりづらかったり、購入フォームの入力に不要な手間がかかる作りになっていると購入離脱に繋がってしまいます。これらを防ぎ売上を最大化するためには、ECサイトを構築するECカートシステムの機能性が重要です。今回は、集客ばかりに注力をしてECカート選びを間違えてしまうと購入につながらず、穴の空いたツボに注ぐ牛乳のように(顧客/CVRが)漏れていってしまう様子を表現しました。
▲ecforce新CM「牛乳を注ぐ男」編
今回のCMでは、ボディービルダータレント兼YouTuberとして活躍が目覚ましいなかやまきんに君を起用しました。あの名画の世界に入り込んだなかやまきんに君。黄色のシャツに青のスカートと名画さながらの衣装に身を包み、右手には牛乳*が入った水瓶を持って登場します。肩まで袖をまくり、カメラに視線を合わせると「やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」と力強く叫びながら牛乳*をツボに注ぎますが、ツボが穴だらけで大量の牛乳*がこぼれていきます。力いっぱい牛乳*を注ぎ続け肩で息をするなかやまきんに君と、無情にもこぼれ続ける牛乳*の情景は、非常にキャッチーでインパクト大です。東京都を中心としたタクシーTokyo PrimeやGROWTHで放映されているので、乗車の際はぜひチェックしてみてください!
*撮影時には白く着色した水を使用しています
なかやまきんに君を起用したキャッチーなCMに辿り着くまで
ー BtoB向けサービスのCMとしては尖った印象を受けます。「挑戦したな」という印象もありますが、経営層やマーケティングチームを含め、今回のCM制作は実際にどんな議論からスタートしたのでしょうか。
飯尾:今年もタクシー広告を実施することは決まっていたのですが、制作前はまず前回の反省から始めました。前回のCMでは、CM自体をマーケティングのひとつの手段として考えていたこともあり、リード獲得にフォーカスしていました。しかし実際CMを作って放映してみてわかったことは、より広い範囲で影響力や効果をもたらす必要があるということ。単純にマーケティング部門が追っているリード獲得の件数が上がればいいのではなく、マーケティングとセールスが部門間で連携し、セールス部門の商談獲得数や受注数にまでどうCMの効果を波及させられるか。そこが今回のCM制作における議論のスタートになりました。
▲株式会社SUPER STUDIO 執行役員CMO 飯尾 元
ー タレントのアサインやメッセージ決めまで、どう進行していったのでしょうか。前回のCMを考慮して考えられたことはありますか。
飯尾:今回のCM制作では、ワンメッセージで伝えること、ストレートにターゲット層に伝わるような直球勝負のメッセージでいこうと決めました。前回のCMはストーリー仕立てになっていて、消費者が「このEC使いづらい」と思うシーンをエモーショナルに描きました。「このEC使いづらい」、要するに買いたくても購入にまで進めない、購入がめんどくさいと思ってしまう原因はECカートに問題があって、どれだけモチベーションの高い消費者を集客できてもECカートが使いづらければ売上に繋がることは難しい、というインサイトをメッセージを持たせていました。しかし、この表現は言い換えれば裏を返さないとわかりづらい。そのわかりづらさをどう解消するか。伝えたいことが伝わりづらくならないよう、ワンメッセージをキーに考えました。
▲ecforce CMストーリー
飯尾:タレントアサインに関して言えば、セールス部門などでも効果を発揮できるような、アイコニックな要素を取り入れることを考えていました。今回のCM制作における当初の議論にもあったように、いかにセールス部門にCMの効果を波及させられるかが念頭にあったため、セールスが日々顧客と向き合う中でコミュニケーションの障壁を取り除く援護射撃になる要素を取り入れたいと思っていました。要は商談において「あのCMの会社か!」といかに想起していただけるか、ということですね。そこでいくつか候補があった中でも、非常にインパクトが強く、パワーのあるなかやまきんに君を起用することを決めました。メッセージづくりと同様、振り切って「わかりやすい」という軸をぶらさずに選択しました。
ー CM制作上、こだわったポイントはありますか。
飯尾:メッセージ×タレントを掛け合わせ直球での伝わり易さを担保した上で、クリエイティブの質をどこまで高められるか、というところでしょうか。弊社はブランディングにもこだわる会社なので、ただ「おもしろい」というところだけを切り取られないように考慮しました。今回のCMでは有名なアート作品を用いていることもあり、アートとしての再現性や、アートの中にいかに我々が伝えたいメッセージと起用したタレントを溶け込ませられるかということですね。なかやまきんに君のインパクトは残しつつ、アートの世界で洗練された印象を作っていくイメージです。
▲メイキング:溢れ出る魂の「やーーーっ!」無情にもこぼれ続ける牛乳!
飯尾:背景の画から小道具、衣装、穴の空いたカートを模した壺から出る水の出具合に至るまで、細部に渡り細かな調整を繰り返しました。特にカートの重要性として一番伝えたい描写である壺から出る水に関しては、水の出方や色の調整など、何度も何度も検証を重ねてこだわりました。
「元気がでました!」SNSでは大きな反響も
ー 朝の情報番組で複数取り上げられ、なかでもSNSでの反響はかなり大きいものだったかと思いますが手応えはいかがですか。
飯尾:そうですね、非常に多くの方に受け入れていただき嬉しいです。Twitterをはじめ、朝やお昼の情報番組でも数多く取り上げていただき、TVCMに出稿したのと同等のインプレッションがあったかなとは思っています。クリエイティブの工夫によって出稿コスト以上に効率よく認知獲得が進んでいる状態かと。いわゆるマーケティング施策における成果としても、狙っていた数字は全てクリアしている状況なので、今後はセールス部門の数字と併せて見ていきます。
ー 今回のCMをフックに、今後の施策としてはどんなことを考えていますか。
飯尾:11月7日週からのタクシー広告の放映と併せて、デジタル広告やYou Tube広告には出稿を開始しています。マーケティング施策という観点以外にもセールスの状況や成果などを確認しつつ、状況やタイミングによっては他のチャネルでの放映も検討するといった形で考えています。また、今後は6月の資金調達時に発表した「次世代EC構想」が本格始動し具現化してくるタイミングでもあるので、前回や今回とは違ったメッセージの発信やガラリとイメージ変えたCM制作も視野にマーケティング施策に取り組んでいく予定です。
一方で、新しいメディアの開拓も常に並行して検討をしています。例えば先日ゴルフ場のカート上のサイネージ広告のお話を聞きましたが、非常に面白そうだなと思いました。新しい媒体でも、媒体に紐づく顧客がクリアにイメージしやすいものは積極的にチャレンジしていきたいと考えています。ecforceはBtoBのバーティカルSaaS*なので、顧客がどこにいて何を見ているのか、いわゆるマス広告やWeb広告以外の可能性も模索していければと思っています。
*バーティカルSaaS:業界・業種に特有の課題を解決するためのSaaS。 特定の業界・業種にとって使いやすくなるように開発されている。バーティカルSaaSに対して、業界・業種を問わず使えるSaaSはホリゾンタルSaaS。
ecforceが実現するこれからのEC/D2C業界
ー 「次世代EC構想」に向けて今取り組んでいることを教えてください。
飯尾:多様な販売チャネルの注文データをデータベースに統合して、効果的なマーケティングアクションを自動最適化できるプロダクトの開発です。ECメーカーは自社EC以外にもモール型プラットフォームに出店していたりリアル店舗を持っていたりするケースが多いのですが、その販売チャネルごとのデータを統合的に管理・分析してマーケティング施策に落とし込むところまで至っていない状況です。まずは、自社チャネルのデータを統合して可視化し、最適なマーケティング施策を実行するためのプロダクトを「次世代EC構想」の第一歩としてローンチする予定です。
ー 今後のEC/D2C業界について、SUPER STUDIOが実現したい世界を教えてください。
飯尾:ECを運営する上で、テクノロジーの活用が切っても切り離せない世界になってきていると感じています。それはECの運用そのものもそうですし、ECを取り巻くデジタルマーケティングだったり、データの統合や取得したデータの分析だったり。言い換えると、テクニカルなところさえ押さえてしまえば、極論、品質がよくないモノを作ってもそれがECで売れてしまう。逆もしかりで、本当にいいモノを作っているにも関わらずテクニカルな部分がわからないために消費者に知られていない、買ってもらえない、という状況がたくさんあります。そういった方々のテクノロジー活用における障壁を取り除き、デジタルマーケティングやデータ活用など、ビジネスの成長エンジンとなるアクションを誰でも手間なく簡単に実行できる環境を作りたいです。
飯尾:システムが生むのはビジネスの再現性です。ecforceはSaaSプロダクトなのでビジネスの再現性を担保しつつ、日々進化した環境を提供できる。ecforceを活用いただければ、テクニカルな世界を知らない人でもいいモノやいいブランドを広げやすくできる、そんな世界を実現していけるかなと思っています。
本CMを皮切りに、より多くの方にecforceを知っていただけるプロモーション活動を展開していきます。そして、このCM制作を牽引したマーケティングチームで一緒に働く仲間を募集中です!今回のCMをご覧になって、当社の事業に少しでも興味を持たれた方や一緒にecforceのプロモーションを推進してみたいと思われた方は、ぜひエントリーをお待ちしています!