中村 太志郎のプロフィール - Wantedly
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sincereedには南雲・藤井に次ぐ3番手としてジョインし、2021年の設立当初から会社を牽引する中村。現在はプロダクト事業本部のマネージャーとして活躍しています。
元々はリクルートの企画組織で新規立ち上げも経験するなど順風満帆なキャリアを歩んできましたが、PdMとしてのキャリアを考えたときに、リクルート退職とsincereedへの転職を決意。その大きな決断に至った背景やプロダクトマネージャーとしてのキャリアで大事にしているもの、今後どのような会社にしていきたいかなどをインタビューしました。
ーはじめにご経歴を教えてください。
大阪大学理学部生物科学科を卒業後、当時の株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社しました。
リクルートキャリアでは、リクルートエージェント(中途人材紹介)の商品企画を2年、事業企画を2年程経験しました。商品の立ち上げに携わりたいという思いがあったため、「リクナビHRTechシリーズ(スカウトサービスや、採用管理システム等)」の立ち上げ組織に異動し、そちらで4年程キャリアを積みました。リクルート時代のトータルキャリアとしては、PdM6年、事業企画2年です。
ーPdMの仕事はプロダクトを形に落とすようなイメージですか?
単に作るというわけではなく、商品の事業戦略(どうやったら伸びるか)を検討・調査し、戦略実現のためのUIUX・機能を検討し、自分でセールスもする。というのがPdMの業務イメージです。
ただいきなりそんな事を任せてはもらえず、1年目の頃はシステムが作る自動生成メールの「てにをは」を直す仕事でしたね。何百通もメールを読んで、日本語を直しているといつのまにか、夜みたいな日々でした。
そういう下積みの所から、徐々に1機能や、1戦略を任せてもらえるようになって、リクナビHRTechシリーズの組織に異動したときに、採用管理のPdMのリーダーとして、戦略~実現までを一気通貫で見る役割に挑戦できたときは嬉しかったです。
ー順当にPdMとしてどんどんキャリアアップされていったんですね。マネージャーになることも考えていたのでしょうか?
そうですね。リクナビHRTech採用管理のグロースの後半で、マネージャーに挑戦したいと考えるようになりました。上司の方ともマネージャー任用に向けて話し出していたので、そのときはリクルートをやめる事は考えていなかったです。
ーリクルートでの葛藤や、リクルートを辞めてsincereedに入るまでの気持ちの変化を教えてください。
リクナビHRTech採用管理のPdMリーダーをしていた際、自分のスキル不足を感じていました。この戦略のまま採用管理マーケットで戦っても2桁億円のビジネス規模が限界であるという点、自分では市場や顧客をずらして3桁億円に届く戦略を描く事ができないという点です。
当時の上司の方々の助力もあり、リクナビHRtech採用管理は商品単体のマネタイズ最大化ではなく、リクルートエージェントと機能連携して、リクルートエージェントの売上・利益率を最大化していく方針となりました。
自分もリクルートエージェントの商品企画に戻り、リクナビHRTech採用管理・リクルートエージェントを連携する企画ミッションに取り組みました。大規模な商品ならではの学びも多く充実していた一方で、このままで良いのかなという悩みもありました。
リクルートで大きい商品のビジネスモデルを改善する取り組みは楽しいけれど、次の商品立ち上げのチャンスが来るかは分からない。そうすると経営余力のある大企業でしか通用しないPdMで留まってしまうのではないか。
今の若いうちに、プロダクトをゼロから作り黒字化させる打席に立ち続ける事こそ、PdMとしての戦闘力を上げて、キャリアを開く事になるのではないかという気持ちが芽生えました。
ー当時転職活動はしていましたか?
全くしていなかったです。上述の悩みはずっとあったものの、諸先輩方から勉強させていただいたり、マネージャーになる事を一旦の目標にしつつ業務に取り組んでいました。
ーそこからsincereedに入ると決めた経緯を教えてください。
代表の南雲がリクルート時代に約6~7年ほどお世話になっていた上司で、信頼関係がベースにあったのはまず大きかったです。
最初に南雲から、起業しようと思うという話を聞いたときも、リクルートで部長になったのに新しいチャレンジをしようとしていることに、シンプルにすごいなと思いました。
南雲から「まだ何もない会社で、どういうサービスを作るかも決まっていないけど、一緒に考えながら立ち上げていきたい」という言葉をいただいた時に、まさにPdMとしての立ち上げ~グロースを経験できる打席のチャンスだなと考えました。
この立ち上げ~グロースのワクワクを感じたのと、やり遂げられたら自分のPdMとしてのスキル・戦闘力も上がっていきそうと思ったためです。
またサービス立ち上げを任せてもらえる機会はベースの信頼関係がないと難しく希少なので、このチャンスを逃してはいけないと思い、意思決定しました。
ーsincereedでは、どんな役割を担っていますか?
PdMとして主にプロダクトの立ち上げをメインに担っています。経営陣・企画チームとHRマーケットにどういうサービスがあれば良いかを会話し、市場・顧客調査を行います。
筋が良さそうであれば、簡単なものでもいいのでプロダクトをゼロから作り、PMFするかお客様に提供しながら、グロースの入口の部分までを主に担当しています。
その結果、現在は2つのプロダクトを見ており、Resumee(大手・成長求人データベース)はPMFをしグロースのフェーズに入っており、もう1つのプロダクトは新しく開発中です。
ーリクルートという大企業と、スタートアップのsincereedで約3年経験した上での仕事の違いや、楽しい点、難しい点を教えてください。
「ビジネスとして成立するか」と「作る以外の部分」がより色濃くなり、楽しく思っています。
PdMはものを作るだけと誤解されることも多いのですが、全くそんなことはなく、お客様に話を聞き、どのような価値にお金を払っていただけるのか、それを実現するのはどういう商品かを真剣に考える事が増えました。
またそうしてエンジニアと作り上げたプロダクトを、セールスの方ではなく、自分が売りに行くこともあります。お客様の反応を目の前にしながら、初期の仮説が異なるのか、機能UIUXが異なるのか、値付けが違うのか等の検証サイクルを主体性高く回せるところが、プロダクトと自分のスキルの成長速度にも繋がると感じられて楽しいです。
もちろんリクルートでもそういった経験は積ませていただきました。ただ当時に比べるとより真剣に向き合うようになったと思います。やはりスタートアップなので、ビジネスとしての成立度合いや、顧客の期待価値にPdMが本気で向き合わないと、プロダクトの売上が成立しなくなってしまいます。そういった焦りはsincereedで初めて感じました。
その焦りがプロダクトにとっても、自分にとっても、良い刺激になっているのかなと思います。
ーいきなりやる範囲が増えて、今までやったことがないこともやらなければならない環境はどうですか?
新しい打席に立っている感覚があり手ごたえを感じます。セールスはまさにそうで、全くの未経験からsincereedの同僚の方に鍛えていただきました。「プロダクトを作った太志郎が押さないで誰が押すんだ」と言っていただいて、その教えを胸にPMFのセールスを乗り越えました。リクルートにいたら経験できなかったですね。
ーsincereedでの仕事で一番嬉しかった経験は何ですか?
Resumeeのはじめての有料受注の瞬間ですね。Resumeeは実は前身のプロダクトがあり、そちらを廃棄して作り直したり、リリース後もデータベース開拓に苦戦したりと、苦労の連続でした。そうしたプロダクトを無料版から有料版に1年かけて育てあげ、お客様がお金を払っても使いたいと契約してくださった事が、サービス価値を認めていただけたという実感があり、大変嬉しかったです。初めて受注した時は、チームだけでなく、社員の皆も一緒に喜んでくれました。
ープロダクトマネージャーという職種として働く中で、大事にしていることやこだわっていることは何かありますか?
大きく3つあります。
1つ目はお客様へのサービス価値視点とビジネスの視点の両軸を持つことです。お客様の意見や、サービス価値を考えることは非常に重要な一方で、それがビジネスとして成立するのか、どの程度のインパクトなのか、サービスの仕組みも四方良しなのか、という事を両軸で考えるようにしています。
2つ目は、鮮度・深度のある情報や知恵を取りに行く事です。1人で考え続けると、自分の知識レベルにサービスの広がりが制限されてしまいます。その業界や分野に詳しい人に直接話を聞きに行く、ユーザーとなるお客様に最新のトレンドを教えてもらう事で、サービスが大きく育つようにしたいと思っています。
3つ目は、考え方の姿勢です。例えば対立するA案、B案があったときに、そのどちらが良いかを考えるのではなく、そこから第三のC案を考えるようにしています。通常は二項対立の場合、メリット、デメリットを比較してどちらかを取ると考えがちですが、ずらしてC案はないかを考えることが新しい価値にも繋がると思い、大事にしています。
ーその考え方は誰かに教えてもらい学んだのか、何か原体験があったのでしょうか?
1つ目はsincereedに来てResumeeを立ちあげた原体験から確立しました。2つ目・3つ目は、主にリクルート時代の南雲と、当時お世話になった上司それぞれから教わりました。
例えば、お客様が求めるサービス価値を実現するには、まっすぐ考えるとAという機能が必要で、開発期間1年間×1000万円の予算がかかる。ただ事業としては期間もコストも7割程度に抑えたい。というようにサービス価値と社内事情が折り合いがつきづらい場面もあります。
そのときに、「A機能と同じサービス価値のC案は検討できないか」「自分の引き出しにないのであれば、有識者から知恵を借りてC案を作れないか」、そこを粘って打破できるかが商品企画の仕事だという事を教わりました。
ー中村さんは今組織のマネージャーとしても働かれていますが、sincereedでどんなプロダクトチームを作っていきたいですか?
お互いのチャレンジを促進する組織にしていきたいですね。自分が可能性のあると思う企画ならチーム内にすぐ相談する、お客さんの反応をまず聞きに行く等で、クイックなトライ&エラーのサイクルを褒め合いたいです。またトライした結果、芽が出そうなときは、顧客は誰か、サービス価値の根幹は何かを丁寧に詰めていく、エラーのときはその要因構造を深く考えるという、思考のメリハリをつけていきたいです。
ーsincereedを創業時から見てきた中村さんにとって、改めてsincereedはどんな会社だと思いますか?また、今後どのような会社にしていきたいですか?
企画やコンサルタント等の役割の垣根に関係なく、本質的にHR業界を良くしたい、目の前のお客様の役に立ちたいという考え方の人が多い会社だと思っています。職種や領域を横断してそういう考え方を持っている僕らだからこそ、マーケットを変え、新しい価値が提供できると思っているので、ぜひそういう思いを持った方とご一緒できたら嬉しいです。
■PROFILE
中村 太志郎 プロダクト事業本部 マネージャー
1992年生まれ、大阪大学理学部卒業。
2014年に株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。
リクルートエージェントのDX化を進めるシステム開発/事業企画を経験。その後、HRテクノロジーSaaS「リクナビHRTech」のプロダクトマネジャーとして立ち上げとグロースを担当。
2021年にsincereed株式会社に参画。