『シェアフルシフト』事業概要
『シェアフルシフト』は、複数店舗を展開する小売・外食大手を対象にしたシフト管理システム。
現場責任者のシフト作成工数を大幅に削減できると同時に、アルバイトスタッフはシフトに入りたい時に簡単かつ確実にシフトに入ることができます。
ポイントは、同企業内、他店舗とのシェアリングができる点で、たとえばA店舗で働くアルバイトスタッフにシフトの空きがあれば、近隣のB店舗で働くことも簡単にできます。
また、同じくシェアフル社が提供するスキマバイトアプリ『シェアフル』と連携し、他店のヘルプ人材でも埋まらないシフト枠について、自動でスキマバイト募集が行える機能を提供しています。
※『SyncUp(シンクアップ)』は2024年8月に『シェアフルシフト』へ名称変更しました。
今回は事業の創業者でもある竹下さんにお話を伺います!
サービスの成り立ちーアルバイトの体験価値を高めたいと思った
ー最初は『SyncUp』というサービス名で、パーソルグループの新規事業立ち上げプログラム「Drit(ドリット)」から立ち上がったんですよね。なぜサービスを創ろうと思ったのか教えてください。
竹下:私は新卒でパーソルキャリアに入社し、営業としてアルバイトの採用支援に携わってきました。
入社1年目のとき、私が担当した求人広告をきっかけに居酒屋でアルバイトを始めた学生さんがいました。話しかけると、その人は将来の夢のためにそのアルバイト先を選んでいて。
イキイキと働く姿を見て、アルバイト経験がその人の人生に与える影響を実感したことで「入社後のアルバイトの体験価値を高めたい」と思ったんです。
一方で、アルバイト雇用における大きな課題に直面したこともありました。たとえば、せっかくいい人が入っても、3カ月以内で辞めてしまうことは少なくありません。
ポジティブとネガティブ。この両方の体験から、アルバイトが働ける時間的価値と、仕事そのものの価値がしっかりと認識される世界をつくりたいと考えたのが、『SyncUp』の始まりです。
ーなるほど。【シフト】に着目したのはなぜですか?
短期離職の要因に、アルバイトの待遇がまだまだ軽く扱われがちなことが影響しています。
その中でも、シフト管理が1つの問題になっていることが、店長やアルバイトスタッフのインタビューを通じて分かりました。
具体的には、店舗側とアルバイトスタッフの意向がうまくマッチングしていないことがあげられます。アルバイトスタッフからすると、希望するシフトに入れないことやそれに伴うコミュニケーションのあり方に不満があると、退職のきっかけになるのです。
企業側も複数人のスタッフの予定を確認しながら、店舗運営の傍らでシフトの空きを埋めようと、煩雑な作業で時間を取られています。
シフト管理する上で解決すべき課題は、単にシフト表の作成を楽にするだけでは意味がないと思いました。アルバイトスタッフが定着し、自発性を持って働ける環境を実現すること。
現在、アルバイトの最低賃金は上がっていますし、「自分がはたらいているお店は、他のお店よりもいい環境だ」と思ってもらえなければ、はたらく先として選ばれ続けない。
つまり、「ここでもっともっと働きたい」と、アルバイトスタッフを“リピーター”化する必要があるんです。
『Sync Up』ではこの考えを「SRM(Staff Relationship Management)Staff 」と呼び、サービスのコンセプトにしています。
ーどうやってサービスで体現しているのでしょうか。
竹下:大きく2つの強みがあります。
1つは、「他店舗ヘルプサービス」です。
人手が充足している店舗と不足している店舗のアルバイトスタッフをマッチングし、同一企業の店舗間でアルバイトスタッフのシェアリングを実現しています。特に、複数店舗を展開する小売店や飲食店などに有効です。スタッフ側も「その日のバイト予定が急になくなった」ということがなくなり、Win-Winの関係を保てます。
また、この機能を利用しても、人手不足で埋められないシフトの穴が発生してしまった場合、『シェアフル』でスキマバイト求人として募集することができる連携を行っています。
これにより、自社の従業員ではない同じ地域の他店舗の優秀な社員を借りることができるという体験が生まれました。
店長の感覚としては、斜め前にあるお店にいる、今までつながりのない従業員にオファーすることができると考えれば、今まで自社従業員20人でシフト調整していたところから、従業員20名+同じ地域で働く人1000人で調整ができるようになるというイメージです。
もう1つはメダル機能で、店舗の管理者は 「人手が足りないシフトに急遽入ってくれた」「忙しいときにたくさん働いてくれた」「お客さまへのサービスが良かった」など、業務への評価や感謝などをメダルの形で伝えることができます。
日常的に、アルバイトスタッフの頑張りを店舗側が評価する仕組みって無いな…と気づき、
店長とアルバイトスタッフの関係性をより良好にできるツールとして、取り入れました。
ー『SyncUp』は2023年10月からシェアフル株式会社に事業移管を行っています。2024年8月には『シェアフルシフト』へ名称変更もしました。
竹下:SyncUp のプロダクトを粘り強く続けてきた結果、毎日9,000本の足りないシフトが可視化されていました。「足りないシフト」の解決は、『シェアフル』が得意とする領域。
自分は立ち上げ当初から関わり誰よりも心血注いで、責任をもって事業を進めてきた自負があります。磨き続けてきたサービスを誰かに渡すということは考えつかなかったですが、シェアフルの大友さん(前代表)、横井さん(代表)と飲みに行ったことをきっかけに、「市場破壊と創造」について同じ熱量で時間を忘れて語り、一緒にやるイメージが湧いたのが大きかったです。
シェアフルの【誰ものはたらくをひろげ、新しいはたらくをつくる】というミッションは、アルバイトをきっかけとして、人生の選択肢が増えていくこと、アルバイトの体験価値を高めたい私の想いともマッチしています。
パーソルの中で、事業創出したものが様々な形で吸収・合併する事例はこれまでにもあったと思いますが、シナジーを発揮して新しい価値創造に繋がったものはあまりなかったと認識しています。
オープンイノベーションを社内でやるといった発想ですよね。
世の中ではスピンアウト・カーブアウトのような、自分で独立して株を持つことや事業売却することが成功事例として評価されていると思いますが、それだけではない成功の選択肢を増やしたいと思いました。
今後の展望
【ホワイトなはたらき先の目印になる】というビジョンに向かって、お客様のより多くの課題解決につながる機能拡充を図っていきたいと思っています。
例えば、お店の管理者にとって人手不足の昨今だとシフトの穴が空くことが日常茶飯事で、それをお店の従業員で賄うことは非常に困難になってきていますし、穴が開けばその日にシフトに入る従業員へ多大な負担としわ寄せがいきます。
『シェアフル』との連携機能を本年リリースしたのも、それを解決するためです。
今後も同様に、未来に必要とされるお客様にとっての課題に向き合いながら機能拡充を図っていきたいと思います。
また、お店の管理者だけでなく、アルバイトスタッフのはたらく体験をよりよくするために、従業員教育、研修の分野における機能の拡充も検討していきたいと思っています。
例えば、スタッフがどれほどシフトに入れるかは、その方の収入に直結する一方で、管理者にとってはそのシフトでどんな仕事を任せるか、またその仕事を機に新しい仕事を覚えてもらうということまでを入念に考えやりとりされます。つまり、シフトに入ることは、仕事やキャリア積み上がるとも言えるので、その仕事やキャリアを積み重ねる研修・教育・評価の分野に事業の価値を拡大していきたいと思います。
今後も『シェアフルシフト』をご利用いただけるお客様を増やし、「シフト管理サービス」の市場でシェアNo1を、2年以内に実現したいと思っています!
ー「シフト」はキャリアの積み上げでもある、ってすごく良い言葉だと感じました。ホワイトなはたらき方は労働時間や給与だけではなくキャリアの確立という要素も大切なので、まさにビジョンの体現に向かっていると感じました。
これからもシェアフルシフトとシェアフルで手を合わせ、全てのはたらく人を盛り上げていきましょう!