例えば、Stanfordの研究チームが2018年に発表した論文では、年齢、性別、30の疾患情報、19の医療利用情報、98の投薬処方情報、14の社会因子、6つの検査データから機械学習の手法を用いて、1年以内の高血圧発症を非常に高い精度で予測するモデルを開発したと報告しています(Chengyin Ye, et al. J Med Internet Res. 2018)。
2017年ヨーロッパで、オンラインでの栄養指導Food4Meというプログラムによる個別化された栄養指導と、一般的な画一的な情報提供による栄養指導の効果の違いを比較するための無作為化比較試験が行われました。結果は、個別化された栄養指導を提供したグループは画一的な情報提供のグループよりも栄養行動に大きく適切な変化が生じたことを示しました。(Celis-Morales C, et al. Int J Epidemiol. 2017.)。
ユーザー満足度(NPS: Net Promoter Score)かもしれません、ヘルステック企業でいえば、利用者の健康改善度合いや医療費適正化効果かもしれません。
現状の制度下では、医療の経済的価値は、提供されたサービスの量によって請求される、いわゆるボリュームベースのFee For Serviceの形で表現されています。どの診療行為、もしくはどの薬の投与はいくらと価格が実施量で決まっている仕組みです。
一方で、今後の持続可能な社会保障に改変していくためには、価値とアウトカムに基づき対価が支払われるValue Based Careの考え方が必ず必要になってくると言われております。もちろん医療のすべてがValue Basedに置き換わるものではないかと思いますが、医療の一部からこの考え方は徐々に普及していくものと考えられます。特に予防分野はその筆頭にあるでしょう。
海外の自治体などで導入が進んでいるSocial Impact Bond(社会的インパクト投資)の仕組みは、まさに成果報酬型、Value Based Careの考え方を汲んでいるものになります。