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トランスナショナルな環境でアカデミアを越境する:University College London 生嶋美伶さんインターン・インタビュー
音声感情解析AIを開発しているEmpathでは学生インターンを随時募集しています。これまで東京大学、慶應大学、早稲田大学、上智大学といった大学の学生がインターンとしてEmpathに参画してくれています。専攻分野は心理学、数学、計算機科学、経営学など多様で、データ解析から論文調査、展示会参加、バックオフィス業務まで様々な仕事を担当してもらっています。知の最前線にいる学生とともに仕事をすることで、Empathのメンバー自身の成長にもつながってきました。
今回はデータ解析のインターンとして参加してくれているUniversity College Londonの生嶋美伶さんのインタビュー記事です。アカデミアと現実社会のバランス、海外への越境体験と日本など、生嶋さん独自の視点で学生生活とEmpathでのインターンに関して語ってもらいました。
・工学偏重から人間に寄りそうAIへ:アカデミアと現実世界のバランス
「ビジネスおよび工学の視点のみに偏った現在のAI業界に疑問を抱いていて、もっと人間の側に寄ったAIの在り方はないだろかと考えていました。そうした中でインターン先を探していた時にEmpathを見つけて、人間に寄りそうAIという私が考えていたものに近い雰囲気をどこか感じました。それでインターン応募のメールを送ったんです。」
生嶋美伶さんはイギリスのUniversity College London(UCL)で心理学と言語科学を専攻、現在は機械学習を用いた音声からの疲労度測定を題材に卒業論文の準備を進めている。2019年12月から学生インターンとしてEmpathに参画してくれた。
「15歳の時に友達の影響でプログラミングを独習し始めたのですが、私がプログラミングをはじめたときはまさにAIという言葉が再び注目され 始めた時で、自然とAIにも興味がわくようになりました。そんな中で、心理学が大事だと思うようになっていったんです。AIのアルゴリズムってニューラル・ネットワークのように元々は人間の構造を模しているものがあるじゃないですか。だからこそ今後のAIさらなる発展のため、そして人間が気持ちよくAIという技術を使っていくためには、人間そのものに対する理解が重要だと思って。コンピューター・サイエンスを専攻することも考えてはいたのですが、結局UCLで心理学を勉強することに決めました。」
イギリスでは日本やアメリカの大学とは異なり教養課程がないため、入学後すぐに専門科目を学ぶことができる。専攻したい学科がすでに決まっていた生嶋さんは日本の大学への入学は考えず、高校を 卒業してすぐにイギリスに渡り心理学を学ぶことに決めた。大学入学後、生嶋さんは発達心理学、統計学、認知科学、神経科学、機械学習、言語学などの専門科目を1年次から学習してきた。
「Empathでのインターンではこれまで大学で学んできた専門科目の知識を活かせると同時に、大学では経験できない現実環境での体験もできるので、アカデミアと実世界のバランスをとりながら自分の視野を広げることができています。」
Empathで生嶋さんはデータ解析を担当。解析のプログラムや必要な統計的知識をさらに学びながら現実のデータを材料に、現実環境のコンテキストを意識しながら解析を実行、そこから有意味な結果を探り出していく。
「大学で研究だけしていると細部にこだわり過ぎてしまい、俯瞰的な視点で物事を見れていないと感じることがあるんです。それに対してEmpathでは実際にデータ解析した結果を誰にでも理解できる内容に落とし込みつつ現実世界にアプローチしていくことで視野が広がりました。もちろん細部にこだわることそれ自体は大切なことなのですが、論文を現実世界に落とし込んでいくような、アカデミアと現実世界のバランスをうまくとれるようになった感覚があります。」
・トランスナショナルな職場環境
生嶋さんは幼少期をイギリスとドイツで過ごし、10歳の時に初めて日本に帰国した。海外での生活が長かった分、帰国してから「海外的」な言動をする自分は日本では適応できないことが多いと気付き、このままずっと受け入れられないのではないかという恐怖心があった。日本とは異なる文化圏で過ごしてきた自分が帰国後には日本的な振る舞いをすることが暗に期待されており、そこに生じるギャップが周囲との軋轢を生んでしまう。ふとした日常で、普段の学校生活で感じる文化的な齟齬は生嶋さんに多文化や文化間の相違に対する興味を抱かせると同時に、日本という空間で自分がどのように判断されてしまうのかという不安も呼び起こした。
「インターンをする前は日本で働いた経験、過ごした経験が少ない中で自分が受け入れてもらえるかどうか不安でした。けれどもEmpathにはインターナショナルかつオープンな雰囲気があって嬉しかったです。自分は自分として認めてもらえているなと感じます。心理学を勉強していると人間の無意識のバイアス、とりわけビジュアルで人や物事を判断するバイアスの強さを感じて、実際日本で日本人として他人の目に映る私は日本的な振る舞いをすることを暗に期待されているように感じてしまうことが多々あるのですが、ここで私をそういう風にジャッジする人はいません。そういう空間があることが単純に嬉しいです。」
トランスナショナルな環境はEmpathの文化の特徴の一つだ。フランス、オランダ、インドネシアなど様々な国と地域のバックグランドを持つメンバーに加え、アメリカやイギリス、ドイツで学び、働いた経験のある日本のメンバーもおり、多様で個性豊かなメンバーが一つのオフィスに集まっている。生嶋さんをはじめ学生インターンのメンバーも多い。
「いろんなことに興味がある人はEmpathでのインターンに合っているとおもいます。データの意味を考えていく上で、様々な視点から見る必要があり、多様な知識や経験を通してデータの意味が浮かび上がってくるように感じています。海外経験というのもその1つで、特にここには一つの場所に様々なバックグラウンドの人が集まっていて、国外に対してもオープンな環境になっています。」
インターンに興味があっても、学生にとって直接企業に連絡することは心理的にためらわれるかもしれない。生嶋さんもインターン先を探すにあたり、日本でもイギリスでも研究室や企業にメールを送っては断られたり、返事が来なかったりと不安になることが多かった。
「けれどもそこで悩まずに、どんどんドアノックをすればいいと思います。適材適所というか、どこかでダメでも他に自分を受け入れてくれる場所があるはず。私はEmpathに来て、これまで勉強したことを活かせました。世界のどこかに自分を活かせるところがあるんだと、自信をつけることができました。」