今回は2020年7月に事業開発担当として1人目で入社し、現在はデジタルイベントグループのマネージャーをつとめる掛貝さんと代表の新井さんにインタビューしました。
掛貝さんが入社後取り組まれたきたことはもちろん、Afterコロナにおける事業の成長性や、今後の事業展開の方針、直近2年間の組織急拡大を経て今後取り組んでいくべき組織課題についてなど、対談形式でお話いただきました。
※写真は掛貝さんです。インタビューの写真撮影の時のみマスクをはずしています。
プロフィール:
新井さん :エムスリーデジタルコミュニケーションズ代表取締役。
掛貝さん: M3DC入社前は、大手人材支援企業の法人営業・サプライチェーンマネジメント業務、飲食サービスの経営企画と、幅広い業務を経験。2020年7月に事業開発担当として1人目で入社。営業チームで現場・顧客・サービスを知ることからはじまり、事業開発グループでは既存事業の再設計・組織最適化への取組みを行う。現在はデジタルイベントグループのマネージャー。
より中核の部分で事業を動かしたい
法人営業・サプライチェーンマネジメント・サービス業の経営企画の経験を経てM3DCへ
ーー掛貝さん、前職でのご経験について教えてください。
掛貝:M3DCの前は2社経験しています。あっという間に社会人になってから15年たってしまいました(笑)新卒で大手人材支援企業に入社し採用支援や研修サービスを提供している部署で最初の3年くらい法人営業をやっていました。営業先は幅広く、一部上場企業から50人くらいの中小企業の経営者まで様々でした。
その後デリバリー部門でサプライチェーンマネジメント業務全般に5年間くらい従事していました。バリューチェーンの中で、売ることと納品すること両方を経験していくことでで、段々と視野が広がっていって。コスト感覚も踏まえて、誰にどのように依頼してデリバリーしていくのか、サービスのデリバリーフローを考える経験ができ、「事業の動かし方」により興味が出てきました。
ーーより中核の部分で事業を動かしつくっていきたいという気持ちになっていった、ということですね。
掛貝:はい、そのタイミングで友人が経営している飲食サービスに参画することを決めて転職しました。経営や事業運営について幅広く経験できるだろうと思い、案の定色々なことをやりましたね(笑)ホームページを作って広報活動したり、採用/給与労務関連のこともやりましたし、採用目的で調理師学校に行って非常勤で講師やったり、結構泥臭いことをやっていました。
結果的に事業運営のためのあらゆることを全部やるみたいな感じで、「経営企画室」を勝手に一人で立ち上げていました。
ーーそこからM3DCに転職したきっかけは何だったのですか。
掛貝:直接的な要因はコロナですね。コロナ禍で前職での飲食サービスの売上が大幅に下がってしまって、自分の給与分含め固定費を切り詰めることがその時の最善の事業継続の方法だと思いました。社長とも相談して、自分が転職することにしました。
入社の決め手は「第二創業期」と5つのバリューへの共感
ーー転職先選択ではどのような点を重視されていたのですか。
掛貝:せっかく転職できる機会なのでビジネスマンとしてもっとハードな環境で自身を成長させたいという思いがありました。あと、正しく思考して合理性のある意思決定ができるところでビジネスを成長させていく経験を積みたいと考えていました。
ーー面接で印象的だったことはありますか?
掛貝:そうですね、HPに「第二創業期」と書いてあり興味を持ちましたし、5つのバリューから論理性と人間性両方を大切にしている企業なのだという印象を受けて共感しました。面接で新井さんにお会いしたとき、5つのバリューが垣間見えたような気がしましたし、すごくフラットにお話できたのが記憶に残っています。
「すべての機能を横断的に支え、統合することで、M3DCの顧客への継続的な新たな価値提供を実現する」
営業の延長線上にある事業開発をあえてグループ化 事業開発グループ 2020年当時の設立の背景
ーー新井さん、掛貝さんは事業開発担当として1人目の入社でしたが、そもそも事業開発グループを設立した背景はどういったものだったのでしょうか。
新井:本来的には、事業開発はどの役割や職種であっても付加価値の創造という意味で意識し実践するべきものと考えています。とはいえそのようなアップサイド的な積み重ねとは違うアプローチ、例えば時間軸を優先したもの、またステージが異なるもの(10⇒100ではなく、0⇒1など)という意味においての事業開発が必要なことは自明でしたので、役割を特化させた専門チームを作るに至りました。
現状把握と分析 まずは現場を知ることから
ーー掛貝さんに入社後まず取り組んでもらったことを教えていただけますか?
新井:えっと一番最初はどうだろう、まず我々の事業を知ってもらうっていうところだったかなと思いますね。第一に現場をみていただいてしっかりと一次情報を当人に得てもらい、as is / to be の整理・分析をしっかりしていただいた、というところでした。
掛貝:私が入社した2020年7月は人もまだ不足しており、営業としてそもそもサービスの知識とか、誰にどんな価値を提供していて、クライアントは当社のことをどういうふうに思われているのかを学びつつ、営業の1メンバーとして人手不足のところをカバーしていくようなことをしていました。入社3カ月くらいは現状をフラットに事実ベースと肌感覚で捉えよう、ということを必死にやっていた記憶があります。
ーー現状分析って具体的にはどんなことされていたのですか?
掛貝:売上とか数字で見ることはできる部分はもちろんですが、サービスのデリバリーのフローと、今の組織のあり方がどうなっているのかを整理していました。どこの部分にもっと強化できる点があるのか、とか優先順位を決めるための現状把握にまず時間をかけました。
新井さんとも週1で壁打ちMTGしていただいていたので、会話の中で現状の認識を適宜修正しながら回を重ねて正しいものにしていく、みたいなことをやっていましたね。
ミッションは組織最適化・品質担保の仕組みづくり
ーー2020年秋頃には事業開発のメンバーも2人増えて、2021年はグループとして始動されていましたね。事業開発グループのミッションはどういったことでしょうか。
掛貝:すべての機能を横断的に支え、統合することで、M3DCの顧客への継続的な新たな価値提供を実現するというミッションを掲げています。
我々の事業の主軸であるWeb講演会※ サービスはミスが許されないもので、サービスの品質担保が非常に重要です。サービスのニーズも会社規模も急拡大・急成長する中、どんなときも品質を担保できる仕組みづくりを考え、組織を最適化していく、これがミッションのひとつとして挙げられます。逆にいえば、組織最適化が完了すれば事業開発はチームとしては存在しなくてよくなると考えています。
先程新井さんから、営業の延長線上に事業開発があるというお話もありましたが、そのサービスを作っていったり、事業を開発・成長させたりするためのカメレオン組織としても動いています。必要に応じて、時に後方支援のサポート役、時にブースト機能を担う場合もあって・・・ハブになる組織のイメージでしょうか。
※ 医療従事者向けWeb講演会とは https://www.m3dc.co.jp/service/webinar/
Web講演会事業はAfterコロナにおいても成長の余白
差別化のポイントはWeb講演会前後のサービスの拡充
ーーWeb講演会事業(または製薬業界のマーケティング)の現在のマーケットの大きさとシェア拡大の可能性・拡大のために必要なことについて教えてください。
新井:製薬企業や医療機器企業の業界全体の営業コストはおおよそ2兆円ほどです。コロナ後はもともと叫ばれていた営業生産性の改善がこれまでにない速度で進み、コスト自体のトップラインは適切に減少し、内訳の変動がすでに起きています。端的に申しますとよりデジタルへの投資が割合として高くなってきています。デジタル部分だけでもコロナ前の4、5倍と推計しています。
Web講演会はあくまで最初に製造した商品のひとつに過ぎません。その商品を提供できるマーケットだけを我々は見ているわけではありません。あくまでそこを軸にしてその先のTAM全体を見据えています。
ただ、オンラインイベント関連はコロナ前においてはいい意味で日陰の産業だったのに対し、今は業界に関係なく日向産業になりつつある。ゆえに誰の目にも見えることで参入企業が増えて競争も激しくなっていくことは明らかです。需要と供給のバランス上、まだ付加価値がなくても需要に答えるだけで連続的な事業拡大は可能かもしれませんが、いずれ息詰まるでしょう。
シェア拡大はあくまで結果ですし、可能性を論じてもそこに根拠はないと考えています。我々は常に市場や顧客と向き合い、ニーズや課題をインサイトし、付加価値を創造していくのみです。その意味でそのような観点や姿勢をもった人材の採用はめちゃめちゃ重要と言えると思います。
掛貝:そうですね、今まではリアルな講演会について手法をデジタルに変えていくことで価値訴求できていた部分がありますが、コロナの影響で意図せず手段のデジタル化は急速に進み、サービスの差別化がより重要になってきました。
ただ、Web講演会の進化できる部分ってたくさんあると思います。
単純なデジタル化だけだったら差別化は難しいですが、Web講演会の企画や効果検証など、配信だけでなく前後のサービスを充実させていくことでサービスに付加価値を生み出すことはまだまだできる。
クライアントが本当に解決したい課題や、クライアントもまだ気付いていないけれど潜在的なニーズがある部分について、きちんと向き合って周辺サービスも含め拡充させていくことでソリューションを提供できるようにしていけたら、差別化につながると思います。
今後はそこをいかにクイックにやっていくかが重要だと考えています。
Web講演会事業にとらわれない 今後の事業の成長性
鍵はマルチチャネルの最適化
ーー今後の事業の広がり・成長についてどのようにとらえていらっしゃいますか。
掛貝:製薬企業の医薬品マーケティングにおける、Web講演会の占めるマーケットについては医薬品マーケティングの効果最大化・生産性向上・効率化、というニーズが今後もまだまだ広がると推測できるので、成長していくと思います。
また、医療業界向けサービスを幅広く捉えた時に、他の課題やマーケットに向けて新規事業を立ち上げていくことも、今既にしていますし今後もまだまだできるので、我々のターゲットはWeb講演会の占めるマーケットだけではないです。
新井:そうですね、我々のクライアントが一番課題に感じられていることは、マルチチャネルの最適化だと考えています。
デジタルもアナログも全部含んで、どの顧客に、どういった経路で、どのようなコンテンツを、いつ情報提供すれば一番効果があるのか。
その意味で我々はm3.comを使って最大化することも、場合によっては他の経路や手段も柔軟に取り入れ、最適化していくことも可能なのでその立ち位置の強みを生かせたらと思います。
手の内明かすのあまり好きじゃないので、気になる方はぜひエントリーして頂ければと思います。
掛貝:情報提供をデジタル化して効率化していこう、マーケティング支援をしていこう、という点では製薬企業やメディカル領域のみならずニーズがあるので、この点でも伸びしろはあるといえますね。
複数プロジェクトを同時推進
事業開発は新規サービスを開発することだけではない、既存事業の基盤強化と付加価値創造・組織の最適化のために動く
ーー事業開発で進んでいるプロジェクトについて差支えない範囲・粒度で内容をお教えいただけますでしょうか。
掛貝:内容面ではあまり細かいことを公表できないのですが・・(笑)取り組みは大きく4つに分けられると思っています。
①既存サービスの品質担保の仕組みづくり強化
②既存サービスへ付加価値の創出
③新規サービスの事業化
④新規プロダクト・新規事業のシーズ模索
①~④それぞれ4~5個のプロジェクトが動いていますが、これを2倍3倍に増やしていくような規模感で進めていきたいです。
ーー③④については、Web講演会を主軸としたサービスに関するものなのでしょうか。
新井:そういうわけでもなく、③④に関しては、ライブストリーミングや動画制作など今の事業の軸になったものとは毛色がだいぶ異なるものも含まれています。もし気になる方がいらっしゃいましたら面接にぜひ遊びにきていただきたいですね。
ーー事業開発においては既存事業の基盤強化、付加価値の創造も大きなミッションで事業を洗練させていくためさまざまな取り組みをされていると思います。具体的な内容を教えていただけますでしょうか。
掛貝:基本価値基盤強化みたいなところでお話すると、まずは2021年4月に組織体制が大きく変わったので、その支援をやってきたかなという風に思っています。具体的には営業の組織とCS組織について、顧客深耕をしていくためにどういうアクションが必要かというところをマネージャーと一緒に考えて計画設計から実行支援をやっていました。
デリバリーの部分に関しては、品質管理・アラート防止のためには部門横断で何をしていくべきなのか考え施策実行の支援もしていました。
ーー部署と部署をつなぐ役割、重要ですよね。
掛貝:大前提として、それぞれの部署が最適化される目的で動いているので、重要度と実現可能性が高い課題から順に優先順位をつけて対応していました。
M3DCに来て思うのは、新規サービスを開発するっていうものだけが事業開発ではないということですね。例えばオペレーションをシャープで筋肉質にすることも、営業支援もすべて事業開発として捉えています。
あるべきものは思考しつつ協同していく組織・部署の実態を踏まえてコミュニケーションとっていく姿勢を大切に
ーー既存事業の付加価値創造の取り組みには組織横断的に動く必要があり、正直大変な部分も大きいかと思いますがどのようにして目的意識や動機を維持して動かれていますか。
掛貝:事業開発は事業成長のためのあらゆるすべてのものにコミットします。様々な部署と関わりながら施策を実行していくのですが、最終的には事業全体の売上とか付加価値向上にコミットしているし、組織横断的にメンバーを巻き込んでいくのは不可欠なので、目的意識の維持の点ではそんなに大変さを感じていないです。
確かに、プロジェクトの中で各部署の間にある隙間を埋めていかなければならない場面もあるので、その点は難しさを感じることもあります。
とはいえ、今までの会社で、部署間をつなげることでプロジェクトを成功させることができた経験も、逆にそれができなくて失敗した経験もあったので、「つなぐ役割」には存在価値があるという風に思って、動いています。そこが自分の得意なことだし、活かせているなと。
あるべきものは思考しつつ、あるべき論だけではなく協働していく組織・部署の実態を踏まえてコミュニケーションをとっていく、そういう姿勢を大切にしています。
ーー常にクライアントとか組織とか事業のために本質的に必要なことに優先順位をつけて取り組むことが非常に大事なんだということを実感しますね・・・自分は~をやりたい、という気持ちも大事ではあるもののまずは必要とされていることを必要なタイミングで正しく実践していく、これが大事なんですね・・・!
現在のフェーズを乗り越えるために必要なのはコミュニケーションの活性化・目標管理/マネジメント体制の強化・バリューの体現
ーー新井さん、組織・環境づくりの部分でもまだまだ成長の余地があると思います、未整備な部分も多いですが、現在感じられている課題感などありますか。
新井:はい、余地はあらゆるところにありますね。普遍的な部分は不変で、変わったところで言うと外的環境によるものと人数(社員数)です。この変化したもの変化するものをありのままに見て、正しく打ち手を打ちたいと思っています。
たとえば直近ですと①リモートワーク前提のコミュニケーション設計、②目標管理や報酬制度の再設計、③価値観や行動指針など原理原則的規律の設計と伝播 などを課題ととらえて対応しています。②や③はかなり長期戦といいますか本質的な課題ですね。
ーーどれも重要ですね。オープンコミュニケーションの仕組みづくりや、マネジメント体制の強化、企業文化を再定義してつくっていくフェーズにある、というのは確かに楽なフェーズではないですが(笑)面白いフェーズともいえると思います。
新井:そうですね、苦悩と歓喜はセットですからね。楽しよう、なんてあり得ないです。笑 また成長している会社だから、成長している業界だから入る、ではなくて自分がそこに介在して価値を出すことを意識されるとよろしいかと思います。
新井さん・掛貝さん インタビューありがとうございました!
※製薬業界のマーケティングについてはこちらの記事も合わせてご一読ください!