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【CTOインタビュー②】組織上の“トイル”撲滅を目指して

こんにちは、エンジニア採用担当の松本です!

LegalOn Technologiesでは去る2023年4月、CTOとして深川真一郎が就任しました。
そこで就任インタビューを実施。これまでのキャリアとこれからについて掘り下げました。
第2回目の今回は、深川自身の哲学とそれに基づくCTOとしての職務、LegalOn開発組織の展望などについてお届けします。(第1回目のインタビューはこちら)

深川 真一郎(ふかがわ・しんいちろう) CTO
大学時代に経営学を学んだあと、独立系SIerに入社。受託開発や自社IaaSの開発・保守・運用、プリセールス、サービス企画、社内研修制度の企画・講師などさまざまな業務に携わる。 2017年にスマホゲームメガベンチャーに転職し、インフラ担当としてグローバルタイトルの設計・開発・運用・保守業務経験を積んだ後、2019年より現職。SREとしてサービスレベルの向上や開発プロセスの改善を行った後、2020年より『LegalForce』プロダクト開発責任者となる。エンジニア推進部部長を経て2023年4月CTOに就任。

「不条理・非合理・非効率」の撲滅が根源的なモチベーション

― 前回、「経営にエンジニアの視点とエンジニアリングの哲学を届ける役割としてCTOを引き受けた」とお聞きしましたが、このあたりをあらためて。

それについては僕個人の価値観が関わりますので、まずそれをお話しさせてください。
僕は「不条理・非合理・非効率」を撲滅することを仕事のモチベーションとしています。
非効率なプロセスがあればできるだけ改善したいですし、合理的でない説明や意思決定であれば理由を問いただしたいです。
そして、不条理、つまり道理に反した行いは少なくとも自分の目の及ぶ範囲ではなくしたいと思っています。

今回CTOを引き受けたのは、この信念を全社規模で実現したいと考えたのが、根本的な理由です。
そしてこの価値観は、経営に届けるべきエンジニアの視点、エンジニアリングの哲学と重なるのではないかと考えています。

― 具体的にはどういうことでしょうか?

僕はインフラエンジニア、正確にはSRE(サイト信頼性エンジニア)としてキャリアを積んできました。
SREはシステムの開発と運用にまたがって、主にサービスの信頼性の向上やシステム運用の負荷軽減、効率化を担うのですが、SREの原則の中に「トイルの撲滅」という言葉があります。
トイルというのは直訳すると「労苦」で、IT業界では「手作業で繰り返し実行される価値の低い作業」といった意味合いです。

自動化によるトイルの撲滅はSREの役割の一つとされていますが、「無駄をなくす」という観点は全てのエンジニアに求められる資質であるとも思います。

「どうすれば無駄を無くせるか」を考えて実行していく事は僕の得意分野ですし、今も変わらずに持ち続けているSRE的マインドです。
CTOになってトイル撲滅の対象がシステムだけでなく人や組織に広がっただけだと、僕は捉えています。

― なるほど、より広い範囲でトイル撲滅に取り組もうというわけですね。
それを踏まえ、CTOとして具体的にはどのような役割を担っていかれるのでしょうか。

まず、一般論と同じですが、
- 開発組織に責任を負うこと
- 技術に責任を負うこと
- プロダクトに責任を負うこと
の3点は大きな方向性としてCTOの責務ですね。

加えて、個人的に特に重要だと考えているのは、エンジニアリングの観点から経営に責任を負うことです。
具体的には、経営的意思決定にファクトとロジックと透明性を保って、従業員のみなさんにとって不条理に感じられるバッドサプライズを減らしていくことが大事だと思っています。
また、それを会社全体に広げ、従業員が合理的な意思決定と効率的な仕事の進め方を自然に模索し、選択できる会社にしていきたいなと考えています。

従業員の方向性をそろえる。そのための仕組みをつくる

― CTOとして今後実現していきたいことを教えてください。

抽象的な表現になってしまうのですが、「会社としてやることとやらないことを明確にして、みんなの向いている方向をそろえる」ということですね。

― 現状はその部分に課題がある、ということでしょうか?

そうですね。
歴史的にLegalOnはボトムアップの文化です。
特に開発に対しては自主性を尊重する部分が強くあって。
専門分野なので、専門家に任せたほうがいいよね、と。

それによって、各メンバーが自分で考え、やるべきと思ったことをできる組織風土ではあるので良いことなのですが、会社の規模が大きくなるにつれ、みんながそれぞれどこを目指しているのか、ベクトルがそろっていないなと感じる場面も増えてきました。
実はこの課題感はチームリーダーになる以前からもっていて。
だからずっと開発組織内の課題解決に取り組んできたのです。

開発に限らず、会社全体で見ても自主性に任せることの良い部分とそうでない部分が出てきているので、CTOとなった今は、全社的の方向性を整えることもミッションにしていこうと考えています。

―そうした課題感も、今回のCTO就任につながるわけですね。

理念を浸透させ、称賛し合う文化を育てる評価制度へ

― 方向性をそろえるために、どんなことができるのでしょうか。

組織とカルチャーに継続的な投資をすることだと思います。
具体的には、パーパスやバリューを明文化して浸透のためにコストをかけることです。

僕は組織の問題はほとんどが人間関係の問題だと考えています。
価値観や前提条件がそれぞれ異なるから衝突するだけであって、どちらかがおかしなことを言っているわけではない。
方向性がそろっていないせいで人間関係に摩擦が起き、組織が停滞するというわけです。
会社の理念が浸透し、みんなの見ている方向がそろえば、そうした問題は改善していくのではないかと思っています。

― 解決にはどんなことが必要だと思いますか?

いちばん効果的なのは、評価に組み込むことですね。
もちろん日常の業務の中で、理念に適う行動を称賛するような空気をつくり上げていくことも大切ですが、やはり明確なインセンティブに紐づけることが必要だと考えています。

― 2023年度の組織改編で人事評価も変わったようですが、すでにその評価にもそういった観点は組み込まれているのでしょうか?

はい、そうです。特に開発組織の評価制度では、行動特性を評価する指標に僕の思いがふんだんに盛り込まれています(笑)。
これまでの評価制度は、いくつかの評価項目が曖昧だったり、目に見えない能力の評価だったりして、カルチャーの理解、バリューとの紐付けといった評価軸はありませんでした。

会社の重視する理念を評価に組み込んだうえで、目に見えない能力ではなく目に見える実績や振る舞いで評価するような制度に変更しています。

― 評価の軸がより明確になることは、評価される側にとっても望ましいかたちかもしれないですね。

LegalOnはビジョナリーで言語優位な組織

― 最後に、深川さんから見たLegalOnの魅力を教えてください。

非常にビジョナリーな組織である、というところでしょうか。
これにはCEOの角田さんの人間性が強く表れていると思います。
とにかくビジョナリーな人で、それに引き寄せられて人が集まっている面もありますね。

それに、弁護士が立ち上げた会社だけあって、言語優位な組織だとも思います。
ロジックを大切にする文化があるというか。

― たしかに、エンジニアの方々の価値観にも合っている印象があります。

そうですね。実際、言語優位のカルチャーを気に入って、入社してくれる方も多い印象です。
それに加えて、LegalOnはすごく可能性を感じることができる会社です。
ここまでもすごい勢いで成長をしてきていますし、米国進出してプロダクトの正式リリースも果たしました。
日本のSaaSが米国のマーケットを席巻できるかもしれないというのは、かなりレアケースで、リーガルテック以外のマーケットを見てもほとんどないはずです。
これはすごい刺激的なことですし、そのために僕自身が貢献できることがあれば、なんでもやっていきたいなと考えています。

― 国内の事業もさらに拡大していくはずなので、深川さんは重責を担うことになると思いますが、ますますのご活躍を期待しています。
本日はありがとうございました!

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