先日、映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観にいったという幸田さん。アメリカの分断から引き起こされる内戦を描いた衝撃作としてヒット中の作品です。
兵隊が民間人に対して「What kind of American are you?(お前はどういう種類のアメリカ人だ?)」と詰問するセリフは、本作を象徴するようなものだったと振り返ります。
さらに、11月17日に投開票が行われ、その結果が注目される兵庫県知事選挙の例を挙げて、こういった一国の分断は日本でも起きていると指摘します(※編集注)。
※編集注 朝礼自体は11月11日に行われています。11月18日未明、失職していた斎藤元彦 前兵庫県知事が再選を果たしたことが報道されました。
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こんにちは、プレスラボの池田園子(@sonokoikeda)です。昨年より、月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。
前回(2024年10月)の朝礼noteはこちらから。
それでは朝礼レポートをお届けします。
リスペクトと品格を持って、タブーなき組織をつくる
朝礼が行われた11月11日時点、幸田さんは斎藤元彦 前知事の勝利を予想していました。「既存の社会の仕組みや構造に異議を唱えたい人が斎藤さんに投票するのではないか」という見方をしていたからです。
SNSでの投稿がムーブメントに発展することも多い昨今、現状に「おかしい」と声を上げる層は確かに増えているように感じます。
「斎藤さんの支持者は貧困層ではなく、支持者の中で大きな貧富の格差はないと想像しています。分断が起きるのは、“社会の矛盾を見過ごす”余裕のない人たちが増えているからではないか」と幸田さんは話します。
皆さんも常々感じているかもしれませんが、現代社会にはさまざまな矛盾が存在します。わかりやすい例のひとつがジェンダーについての議論。
たとえば「性別は自分で決めていい」といった意見があるとして、欧米では多様な視点から議論が進むのに対し、日本では「それを言われるとタブー。これ以上触れない方がいい」という空気になりやすい。
日本では特定の意見を口にすると、対岸にいる人々から批判や攻撃を受けやすく、本質的な議論が深まらないことがあります。「大事なのは互いへのリスペクトと品格の有無」だと幸田さんは朝礼でも度々皆に伝えてきました。
さらに、こうも言います。「コウダプロは『こんなのおかしい』とタブーなき本音が言える世界をつくっていく。タブーといった瞬間、何も深まっていきません」
「心理的安全性の高い組織」を目指して
互いへのリスペクトと品格がなければ、「正真正銘の本音」を相手に伝えることはできない。筆者はそう考えます。
一般的には「これを言うと同僚が傷つくだろうし」とか「これはさすがに踏み込みすぎるから言えない」といった考え方で、身近な他人に対しても気になることを飲み込む人が多いと思います。
しかし、コウダプロではnoteでも朝礼でも、その人の仕事との向き合い方や在り方について、他社では突っ込まないだろうといった本音トークが展開されます。
コウダプロでは、結構なレベルで人の内面に踏み込みます。
幸田さんはよく「ピッチングフォームの修正」と言っているのですが、誰かに「そのクセは解消したほうがさらなる成長につながる」と思うポイントがあった場合、相手にリスペクトを持った上でストレートにそれを伝えます。
相手にとって耳の痛い意見でも忖度ナシ、年齢関係ナシでありのままをぶつけます。
【引用】「コウダプロ」でググると「コウダプロ やばい」と出る件について自ら調査してみた。|福岡でコツコツまじめにやってる会社の平凡な日常
ただ、その姿勢は「同僚は大切な仲間である」との意識があり、大事だからこそ常に仲間のことをよく見て、考えていて、「人としてより良くなっていける可能性」「人としての器を広げていける可能性」を誠意を持って伝えようとする在り方だと感じます。
【引用】3月末でコウダプロを旅立つ28歳女性が会社にラブレターを描いた話(ガチ退職エントリ)
仲間への愛がなければできることではありません。時間や気持ち、言葉……たくさんのリソースを使うわけですから、どうでもいい相手にはしようとも思わないでしょう。
タブーなき本音での話し合いができるコウダプロ。組織として最終的に目指す「心理的安全性の高い組織」の完成形に、確実に近づいていっていると思います。
▼コウダプロにとって「心理的安全性の高い組織とは」が言語化されています。
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トランプ大統領、国民民主党、れいわ新選組の勝利に共通すること
さて、冒頭の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の話を皮切りに、この日は国内外の政治経済の話が多く展開されました。
そこには先の「分断が起きるのは、“社会の矛盾を見過ごす”余裕のない人たちが増えているからでは」といった幸田さんの見立てが関わっています。
たとえば、米大統領選挙で「トランプ現象」はなぜ起きたのか。なぜトランプ氏が勝利したのか。
直接の勝因は経済的な困窮や格差ではないと幸田さんはいいます。貧しくなることは、あくまで人々の余裕を奪うきっかけ、引き金でしかない、と。
社会の矛盾はいろいろあり、例を挙げると、映画『アメリカン・ヒストリーX』で描かれていた「黒人採用枠」、現代日本での理系分野における「女子学生枠」などに端を発する分断があります。「それ、白人差別でしょ?」「男性差別でしょ?」と意見が出るのも無理はない事例です。
たくさんの矛盾を抱え込んだ社会に対してフラストレーションを抱え、NOを突きつけたい人々がトランプ氏に投票したのではないかと、兵庫県知事選挙の動きに近いものを幸田さんは感じ取っていたようでした。
社会の「これはおかしい」が分断を引き起こす
今日食べるものに困る人、今日を生き抜くのに必死な人は、「LGBTQ+の権利拡大はどうすれば実現できるのか」といったような主義・思想・人権などに関する議論をする余裕など、残っていないものです。
米大統領選は、何もしないけどいい人 VS だいぶ変わっているけれど大鉈を振るってくれそうな人 といった様相を見せていました。
結果的に後者(トランプ氏)が支持されたのは、本音で「こんな社会はおかしい」と言って、行動に移してくれそうだと期待されたからではないかと、幸田さんは考えています。兵庫県知事選挙での斎藤さん勝利も同じではないでしょうか。
先月注目を集めた「第50回衆議院議員総選挙」の構造も同じです。もし、経済が直接的な理由だったら、バラマキ政策を掲げる政党が選挙で勝つはずだと幸田さん。しかし、躍進したのは国民民主党とれいわ新選組でした。
人々の動き、社会の動きを観察しながら、考えながら、個人として会社としてのアクションにいかにつなげていくかが大切だと感じさせられます。
(編集後記)
幸田さんのお話を通じて、タブーなき組織をつくっていくために欠かせない、リスペクトと品格の重要性がとくに心に響きました。コウダプロはそのふたつの要素を持って、仲間と向き合っていると知っているからなおさらです。
国全体を変えるのは難しくても、コウダプロという会社単位でハッピーな環境をつくり、それを維持して、周囲に良い影響を与えていこうとする——その積み重ねが、会社という組織を通してまずは社員を幸せに、その先で社会に働きかけていく未来につながると思います。
Text/池田園子