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「食でつながる幸せな暮らし」を実現するスタートアップ、KitchHikeの起源とは?【社内勉強会レポート】

こんにちは、今年の8月からKitchHikeでインターンをしているMasatoです。

毎月1回社内で開催される勉強会「Session × Session (セッション × セッション)」で、先日、共同代表の山本が講師を担当した会に参加しました。今回は、その様子をお伝えしたいと思います。

勉強会のテーマは「KitchHikeとは、なにか?」。まだ入社して2週間という間もない自分にとって、KitchHikeの全貌が知れる願ってもない機会でした。

前半: これまでのKitchHike

いつもみんなで食卓を囲んでいるテーブルにメンバーが集まり、勉強会がスタート。

前半は「これまでのKitchHike」ということで、"KitchHikeの起源"、そしてKitchHikeを世に出した"山本雅也が何を考えているのか"についての話です。

① KitchHikeの起源

KitchHikeは、2013年5月にローンチした「料理をつくる人と食べる人をつなげ、みんなでごはんを食べる、マッチングプラットフォーム」ですが、概念としては、すでに2万年前からあったらしいです。

縄張りに入ってきた部外者と友好を深めるためには、 一緒に食事をするのが一番だ。 地球上のすべての民族が根源的にこの慣習を持っている。 縄張りに入ってきた部外者と友好を深めるためには、 一緒に食事をするのが一番だ。 地球上のすべての民族が根源的にこの慣習を持っている。

*出典: キッチハイク!突撃!世界の晩ごはん

KitchHikeというサービス立ち上げのきっかけは、山本が読んだ、とある文化人類学の本だったそう。そこには「地球上のどの民族も見知らぬ人がテリトリーに入ったら、争いを避けるために、食卓を一緒に囲んで絆を深める」という面白い一節が。今やコンビニ弁当を買ったり、牛丼屋にひとりで入ったりと手軽に食事ができる時代ではあるものの、見知らぬ人とごはんで繋がるというのは、実は新しく見えて昔は普通だったんだと思ったとのこと。そして、自身が体現してみようと思い、450日かけて世界47カ国を食べ歩き、食をきっかけに人は繋がれるのかという壮大な実験を行ったのです。それが、KitchHikeの原体験となったのです。

BOOK
共同代表の山本雅也が、450日をかけて、世界各国の家のごはんを食べ歩き、現地の人とのおいしい交流を綴った本です。
https://kitchhike.jp/book/

*2017年4月 集英社より出版: 『キッチハイク!突撃!世界の晩ごはん』

② 山本雅也は何を考えているか?

もう一人の共同代表である藤崎がお寺生まれという変わった出自である一方、東京の平穏なニュータウンで生まれたという山本。

伝統も文化も歴史も遊び場も何もない、遊び道具が何もなかったという幼少期、「遊びは自分で作るものだった」と、いつも自分がいる環境をどうにかして変えられないか考えていたと振り返ります。

そんな山本は自然と「どうすれば世界はもっと楽しくなるんだろう?」

という問いを抱くようになったと言います。

学生時代は映画監督マイケル・ムーアに憧れ、自分なりの社会派ドキュメンタリーを撮影し問題提起していたそう。(巣鴨のおじいちゃん達をクローズアップしたニッチな作品もあったとか!)大学卒業後は、広告代理店からキャリアをスタートさせ、メディアを通じて世の中に何かを訴えることを継続。さらには、プライベートで雑誌「POPEYE」「BRUTUS」などで企画や記事を連載し、自分の考えや想いを表現していたと言います。

学生時代から一貫して世の中に「メッセージ」する姿勢をとり続けてきた山本でしたが、ある日、人は表現やメッセージで心は動いても身体は動かない、メッセージはブームで終わってしまうと気づきました。人の身体を動かすのは、圧倒的に実際のアクションを引き出す「仕組み」だと感じた山本。そして、今後の人生を「メッセージ」を発信することから「仕組み」を作ることに方向転換することを決めたと言います。

この話を、真横の席で耳を傾けていた私はビビビ!と反応し、すかさずノートにペンを走らせました。

というのも、私は大学でダンスを通じた舞台表現やデザインを通じて「人にメッセージを伝える」魅力に感動し、「何かを発信して伝える活動・仕事ってカッコいい!」と、考えていたからです。しかし、山本の経験に裏打ちされた「メッセージで世界は変わらない」という鋭くリアルな意見は、とても考えさせられるものでした。

後半: これからのKitchHike

①ブリコラージュ思考

次に、スタートアップのKitchHikeとして重要な考え方のレクチャーがありました。皆さんは、Bricolage(ブリコラージュ)という言葉をご存知でしょうか。

主に「寄せ集めて自分で作る」ことの意ですが、今回は「ブリコラージュ”思考”」として、「何かを始めようとした時に、必要なものが足りないことの方が多い。そういった時こそ足元を見直して、自分に既にあるものを組み合わせてみる。そうすると、一歩前に進める。」

という形で紹介がありました。

かのスティーブ・ジョブスも非常に近いことを述べているそうです。それがこちらの言葉。

“You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards,(前(未来)を向いたまま点と点を結ぶことはできない。後ろ(過去)向きでこそ繋がるのだ。)”

これは、過去を振り返ってこそ点と点をつなぐことができるというスピーチを残しているそうです。

ブリコラージュ思考とはつまり、自分の過去をたぐり、できることの組み合わせをボトムアップ的に発想する思考法である、ということでした。

私自身、何かを始めるときは「あれが足りない・これが無い」と、実行を踏みとどまってしまう人間でした。そんな自分にとって、この考え方にはとてつもない勇気をもらいました。

できる事をできる方法でやってみる。ありあわせで良い。まさにスタートアップが限られたリソースでMVP(minimum viable product)を作り出す時の方法に近いものを感じました。大きく考えを巡らせた上で、大きく踏み出すのではなく、最小限の組み立てを行うことが大切。必要なものがなくて、踏み出せないとき、煮詰まってしまったときにぴったりの思考法だ!と思いました。

しかし、ここでふと私の中で疑問が。

"あり合わせで良いとしても、ブリコラージュする素材の良し悪しが実はありそう……山本はいったいどう考えて組み合わせるのだろうか?"

その疑問を早速ぶつけたところ、

「むむ、なかなか深い質問ですね~。”未来のプロトタイプ”とのバランスですね。」と山本。

そこで、「今の改善よりも未来のプロトタイプ」という言葉が紹介されました。

地道に今ある物を良くするのではなく、未来から逆算した現在やるべきことをやるトップダウン的な考え方。こちらは「未来を想像した時、今本当にすべきことはなんだろうか?」と目指すべきゴールを設定し、逆算してベストな方針を決める考え方でした。

先ほどの質問「ブリコラージュする素材をどう決めるか?」という点に戻ると、「未来のプロトタイプ」で、未来から逆算した「今やるべきこと」を定める。その上で「今できること」のベストな素材を判断し、ブリコラージュする、ということ。つまり、きちんと目標を見据えつつ足元の素材を選びを発想しよう、ということでした。

ですが、あまりに未来に執着しすぎても発想が固まってしまうのでよくないのだとか。

うーん、難しい (笑)。

この話題は、山本やその他のメンバーも「バランスはなかなか難しい」と議論に。


「ブリコラージュ思考」と「未来のプロトタイプ」の絶妙な”さじ加減”が重要であり、そのバランスを探り続けることが大事なのだと感じた議論でした。

②未来のヒント3選

勉強会終盤は、「2020年、KitchHikeはなぜ広まるか?」という大きな問いのもと、未来へのヒントが秘められた事例を見ていきました。

1.隆盛するスペイン美食の街、サン・セバスティアンから学ぶ「共有文化」

2.米国発祥アートフェス「Burning Man」から学ぶ「セッション文化」

3.「KitchHikeチーム」

いずれも未来への萌芽が沢山つまった事例でした。中でも印象的であったのが、未来のヒントとして自ら「KitchHikeチーム」を挙げていたところ。

かなり挑戦的かもしれませんが、これは、未来を体現するチームとしてのれっきとした事例紹介。……と、ここで時間がきてしまい、この話題は駆け足になってしまいました。(大事なところなのに!(笑))

ただ、まだ短いインターン生活を振り返りながらもKitchHikeチームはこれから確かに世の中でとてつもなく輝くチームとして注目されるんだろうと強く頷くことができました。この話題の補足として、少し個人的な話ですがその理由を書きたいと思います。

KitchHikeチームの特徴の一つに、「昼食をほぼ毎日自分たちで作り、食卓を皆で囲む」という非常に珍しい文化があります。

どうでしょう。昼食を自分たちで作るとどのくらい時間がかかると思いますか?10数人分の料理を作るために、献立を考え、買い物へ行き、野菜を切り、ご飯を炊いたりすれば、それなりの人数と時間がかかります。それでも、毎日続けているのです。なぜなら、それが「食でつながる幸せな暮らし」というKitchHikeのミッションであり、また自分たちの理想のライフスタイルでもあるのです。

この一貫性はとても素直で、客観的に見てもとても「強い組織」だなと私は思いました。

理念が独り歩きしがちな組織も多い中、とても一貫性がある。もちろんかなりの手間がかかっていますが、それを現代の労働環境で自然にやってのけるところがかなりスゴイと思っています。

言わずもがな、毎日の食事作りと食事はチームの強いつながりを作っているようでした。毎日の食卓ではいつも笑顔が絶えません。

新鮮な驚きとして今でも忘れもしない私のインターン初日でも、もちろんお昼ごはん作りに参加しました。そして、これがアイスブレイクとなり、お陰さまで、みんなで囲む食卓では初めてとは思えないような居心地の良さを感じました。

自分たちのチームに自分たちが掲げる「食でつながる幸せな暮らし」を適用し続けている。

これまで、いくつかの会社でインターンを経験しただけの自分ですが、KitchHikeの理念の一貫性、実行し続けているエネルギーの高さは、なかなか類を見ないものなのではないかと思っています。

「こんなチーム、ありますか?」

という山本の投げかけは、私にとってKitchHikeチームの将来性を改めて考察し、その特異性にワクワクさせられたものでした。

勉強会を終えて

勉強会が終わるころには皆ほくほくとした笑顔でいっぱいに。メンバー全員にとってとても味わい深い会となったのかもしれません。

ジョインして日が浅い私にとって、このタイミングで共同代表の山本から直接レクチャーを受けることができたのは大変貴重な経験でした。「メッセージ」と「仕組み化」の関係性を捉えなおし、考えを深める機会となったばかりか、未来を歩むための考え方を学ぶ機会となりました。そして、「私はこのKitchHikeチームでぐんと成長したい。」そう強く感じた勉強会でした。

本当に沢山の学びを得た勉強会。

山本共同代表、どうもごちそうさまでした!


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