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鎌倉へ移住してリモートワーク。日常の延長線上にない出会いを求めて。

キッチハイク「ふるさと食体験の準備室」メンバーインタビュー、第2回目は執行役員 / CCO(Chief Creative Officer)の大野久美子(@kumiko_kitchhike)さんです。

コロナ禍がきっかけで2021年5月に東京から鎌倉へ移住した大野さん。暮らしはじめて4ヶ月たった今の大野さんから見える鎌倉の魅力とリモートワークの様子、キッチハイクで描きたい未来についてお話を伺いしました。

駅から徒歩30分、虫と共に過ごす鎌倉暮らし

ー 大野さんは、今年の春、鎌倉へ移住したんですよね?

そうなんです。きっかけはコロナ禍。2020年、初めての緊急事態宣言が出たときから、会社の方針がフルリモートに切り替わりました。家から一歩も出ない日が日常となり、「このままだと人間力が劣化する」という危機感から自然が身近にある暮らしを求めて移住しました。実際に暮らしてみると、憧れの鎌倉ライフ!みたいなイメージとは全然違くて...。

ー えっ。理想と現実はギャップがありました?

駅から徒歩30分の家に引っ越しを決めたのもあり、自転車で息切れしながら坂を登っている様子は、優雅で落ち着いた鎌倉ライフとはかけ離れてました(笑)。家では虫と共に暮らす毎日に、大雨となれば土砂崩れの心配もあります。東京の神楽坂生まれで30年以上都内から出たことがない自分にとっては、身の回りで起こった事がない体験ばかりでした。

日頃から農家さんの野菜を取り寄せたり、地域を応援する仕事をしているのに、今考えると自然が身近にある偉大さや恐怖に関する想像力が全く追いついていなかったんですよね。

今日なに食べる?は、庭で決める

ー かなり自然に近いところで暮らしているんですね。

鎌倉に引越ししたばかりの時は「ホーホケキョ」とウグイスの鳴き声で目が覚めていました。春が深まるにつれてウグイスは山に帰ったようで、今ではセミの大合唱に起こされる日々。

今年の夏は、梅雨が戻ってきたのかと思うくらい雨が多い8月でしたね。都内にいる時には雨だと「外出したくないなぁ」としか思わなかったのが、今では“恵みの雨”という感覚にアップデートしました。雨が降った後、庭の草木を見ると生き生きとしてとても綺麗で。昨日は見かけなかったキノコが突然生えていたり(笑)。

山に隣接している庭では、トマト、ナス、バジルなどを育てています。手入れは夫、料理は私の担当。トマトが色づくと、お昼はトマトパスタにしようかなぁ...、なんて考えながら仕事しています。朝、庭を歩きながら、その日のごはんを決めることも多いですね。

ー 食いしん坊にとって、理想的な環境じゃないですか(笑)。

ただ、思い通りに行かないこともありますね。この前は真っ赤なトマトをカラスが咥えている瞬間に遭遇し、ホウキ片手に裸足で追いかけそうになったり。雑草とも日々格闘する毎日で(主に夫が)、農家さんはこんな苦労しておいしい野菜を安く届けてくれているんだと思うと本当に頭が下がります。

東京にいた時には、溢れかえる情報の収集に疲れるし、巣ごもりで心を満たすのも限界でした。
鎌倉に移り、自然が身近な暮らしになって気づいたことは、良い悪いに限らず想定外の何かが起きること。今では、何が起こるかわからない!が楽しいです。ここでは自然そのものが癒しであり好奇心を刺激してくれる存在です。

ひとと自然の距離が近いまち

ー 引っ越して半年近く経って、鎌倉暮らしで気に入っているのはどんなところですか?

家から一番近い海岸、鎌倉市を代表する滑川(なめりがわ)河口左側にある材木座エリアによく行きます。ふとした時に「明日、海に行こうかな」と考えられるロケーションも、今の暮らしので気に入っているところの一つ。

海岸にはいろんな人がいて、鎌倉に住む人々の暮らしの一部が見えるのが面白いです。犬の散歩をしている人やクラゲ捕りをする親子、ヨガレッスンにウインドサーフィンしている人。海の楽しみ方も人それぞれ。私も最近サーフィンを始めて、朝一で自転車にむかって海に入り、波に揺られる時間が一番好きです。

海に行ったあとは、鎌倉駅近くの鎌倉市農協連即売所(通称レンバイ)で鎌倉野菜を買うのがいつもの流れ。ここなら農家さんから直接買えるし「この前のトマトすごくおいしかったです!」と直接言えます。
鎌倉は個人経営のお店も多く、こうしてお店の人との距離が近いのが自然。食べる側ができる“与える行為”は、おいしく食べ切ることと、作り手に「おいしい」と「ありがとう」を伝えることだと思っていて。それが当たり前にできる距離感が心地よいですね。

また、知らない食材にたくさん出会えます。レンバイに初めて行った時、生にんにくを買って素揚げして食べたら、ほくほく食感とフレッシュな甘みが衝撃的なおいしさで!普段使っている乾燥にんにくと全く別物で驚きました。

それからは食べたことがない野菜を毎回、ひとつは買って試すのがマイルール。実際、食べたことがない野菜って意外と多いですよね。スイスチャードにコールラビ、コリンキーとか。馴染みのあるじゃがいもでも、「デストロイヤー」なんて強めの名前の紫じゃがいもがあったりします(笑)。

ー 日常の中で、知らないことに出合えるって豊かな感じがします。

そうなんです。食べたことがないのに、ネットで見て知った気になっていることが多いなあと、行くたびに思います。
また、こういう日々を送っていると自然から与えられるものの大きさを実感します。“サステナブルな暮らし”が流行っているという情報が理由になるのではなく、自分ごととして環境問題とも向き合いたいという気持ちになってきました。

特に鎌倉はゴミの分別が厳しいことも有名で。鎌倉市がゴミの減量化を進めているので分別に対する市民の意識も高いんです。ボランティアで海岸や街中の掃除してる人もすごく多い。市民が自分ごと化して“愛する鎌倉”を守る意識が高いのが、鎌倉で暮らし始めて実感したまちの魅力の一つですし、見習っているところです。

リモートワークになって、食事の準備は夫と分担

ー 鎌倉野菜など食材の出合いに恵まれた環境だと、台所に立つ時間も増えそうですね。

夫婦共働きなので、リモートワークになって食事の準備は夫と作業を分担しながら準備するようになりました。鎌倉に移ってからは、休日に食材や調味料を仕込み、平日は仕上げするだけで手軽に過ごすようにしています。
なるべく出来立てを食べたいから「常備菜」作りは向いていなくて。その時の気分や身体の声に合わせてピンと来るものを組み立てられるように、おいしい食材やお気に入りの調味料を揃えるスタイルになりました。

うちの食卓には、仕事で出合った地域の食材や調味料があちこちに潜んでいます。特に日光の「上澤梅太郎商店」の味噌に出合ってからは、夫が率先して味噌汁を作ってくれるようになって。「夫婦仲が良くなる秘訣はおいしい味噌を冷蔵庫に入れておくこと!」なんて言って知り合いに商品を宣伝しています。

-名言が生まれましたね(笑)。でも実際に、二人でいっしょに同じものを食べ、同じことを体験するって大切な気がします。

ですよね。それこそコロナ前は会社のメンバーと「同じ釜の飯を食う」時間の方が多かったのですが、今では家族で同じものを食べて同じ体験をする機会が増えて、一緒に人生を歩んでいる感覚が強まったかも。

最近は、キッチハイク「ふるさと食体験」のオンラインイベントに夫婦で参加することもあって。南伊豆と鎌倉のひじきと比べてみようとか、秋になったら南魚沼の青木さんの新米が食べたいとか、、、そんな会話が増えました。今では「この地域に行きたいんだけど、イベントないの?」と聞かれるくらい。

日常の延長線上にない、出会い

ー 先ほど、大野さんの食卓には仕事で出合った食材も登場するとのことでしたが、やっぱり、「ふるさと食体験」の影響が大きいんですか?

「ふるさと食体験」は、日常の延長線上にない地域や食材、生産者との出会いがコア体験の一つだと思っています。私がレンバイで鎌倉野菜を買う体験のように、日常の中で知らない食や地域と出会える機会は、都内に住んでいる時にはあまり感じていませんでした。

こうした偶然のようなうれしい出会いの縁を紡いでいくことで、豊かな暮らしの土台がつくられていく感覚があります。
ある日のお昼ごはんは、土鍋で炊いた南魚沼のコシヒカリに、日光味噌の味噌汁、らっきょうたまり漬け、鎌倉野菜のおかず。贅沢な食材や手の込んだ料理でなくても、作り手の顔や地域のことを頭に浮かべられる食材に囲まれる食卓のほうが、楽しくっておいしい。

最近は、日々のごはんで地域の味を楽しんで、生産者を応援できたり誰かのよろこびにつながるのが嬉しいですね。気軽に旅に行ける世の中になったら「ふるさと食体験」で出会った地域や事業者さんをめぐるのも直近の楽しみです。

移住を決めたのは、
「人生を謳歌しよう」の一言と、南魚沼の人との出会い

ー そもそも、鎌倉移住のきっかけは、代表の山本さんからのある言葉だと聞きました。
コロナ禍でフルリモートになったキッチハイクでも、新メンバーとの顔合わせで東京の上野にあるオフィスに集まる時があります。浅草の焼き鳥ワインバーで行った歓迎会の最後、締めに共同代表の山本から「こんな時代だからこそ、人生を謳歌しよう。キッチハイクメンバーは、ワクワクした人生のお手本になっていこう」と言葉を受け取りました。

この時、正直グサッときていました。
自分自身に、問いかけました。

「今の自分は、人生を謳歌できているか?」

その日の帰り道。電車にゆられながら、数ヶ月前に「ふるさと食体験」で出会った「雪ふるまち」新潟県南魚沼市の人々のことを思い出しました。

オンラインイベントの最後にあるフリートークタイム。Zoom越しに何気ない気持ちで「大雪だと大変ですね。雪が降ると家で晩酌ですか?」と聞いたんです。その時に返ってきた反応が、想定よりだいぶ斜め上で。

ー え、普通、そう思いますよね。ということは、「大変」以外の言葉が出てきたんですか?

びっくりしたんですけど、「雪の日こそ、キャンプでしょ!」「うちでは雪でビールを冷やすよ」と、気づいたら現地の人同士で雪あそび発表大会で盛り上がって。その姿は、よく見るニュースで演出された「大雪で大変そうにしている人々」とは全く違いました。その土地の特徴を生かして遊び、生き生きと暮らす姿に「なんて、カッコいい大人なんだろう。こんな人になりたい!」と思ったんです。

そこで、改めて自分に「自分は、南魚沼の人たちのように暮らせているか?」と問いかけました。答えはNO。今の生活に不満はないこと自体が不満で、圧倒的にわくわくが足りない!
家に着く頃には移住することを心に決め、寝る前に夫と家族会議をし、翌日には鎌倉の物件の内見を決めていました。

ー すごい行動力ですね!

自分が豊かだと思う暮らしを送ることが、良い社会につながる。だからこそ全力でメンバーの人生を応援してくれる。キッチハイクはそういうチームです。
会社やチームのおかげで今の暮らしがあるので、この環境で働けることへの感謝は尽きません。私もジョインして5年経ちますが、長く働けている原動力は、同じ志をともにして、いつでも愉快に楽しむマインドで接してくれるチームの存在が大きいです。

キッチハイクは、“食”で世界を変えるサービス

ー 大野さんにとって、暮らしと社会と、キッチハイクが一本でつながってるんですね。

自分にとっての心地よい“食と暮らし”を追い求めていたら、そこにあるのがキッチハイクでした。

コロナ前には、都内中心にリアルで集まってみんなで食卓を囲むというCtoCサービスを提供していたキッチハイクですが、私はユーザーとしてキッチハイクを知り、「食で世界を変える」という強い信念を持つ共同代表の山本と藤崎と出会い、好奇心を抑えきれず2016年に社員としてジョインしました。

その時にも、私は仕事の合間にユーザーであるCOOK(ホスト)としてHIKER(ゲスト)に料理を振る舞い、「おいしい」と「ありがとう」の声を受け取った時の感動と、日常の延長線上にない人との出会いの面白さにハマっていました。
HIKER(ゲスト)としては200回以上、だれかの食卓やお店にお邪魔して、おいしい時間を過ごしてきました。こうして同じものを食べて同じ体験することで、心の距離が一気に縮まるような特別な感覚を何度も体験してきて、食でつながる暮らしは豊かだ、という揺るぎない信念を持つようになりました。

そして、2020年には「ふるさと食体験」として全国各地の自治体や農家や地域の人と一緒に、食と文化と交流を通して関係人口と地域価値を創造する事業にサービスが進化しました。社会情勢に合わせてサービスも移り変わってきましたが、私がジョインした当初の会社のミッションである「食でつながる暮らしをつくる」という軸は今も変わっていません。

ー 確かに、「食でつながる暮らしをつくる」軸は変わっていないですよね。今後、描いていきたいキッチハイクの未来を教えてください。

私の役目は、ユーザー代表としてキッチハイクの提供サービスを自ら実践し、キッチハイクをアップデートし続けること。キッチハイクがあることで、わくわくする出会いにあふれた食と暮らしを誰でも実践できて、食べることで良い社会づくりに貢献できる。これからも、そんなサービスでありつづけたいです。

私自身がキッチハイクのサービスを通して人生が変わり始めたように、キッチハイクは“食”で世界を変える力があると思っています。
食の力で、自分や誰かの暮らしを豊かにしたい。世界を変えたい。そう思った人は「ふるさと食体験の準備室」のドアを叩いてください。一緒に、誰かの人生を変える食体験を作っていきましょう。

大野 久美子(おおの くみこ)
2016年10月入社
東京理科大学理工学部物理学科を卒業。
現在、執行役員 / CCO(Chief Creative Officer)。

野村総合研究所でSIerとして3年間勤務し、飲食店を経営する父と調理師の母から学んだ食を通した豊かさを世に届けたいと考え2016年にキッチハイクにジョイン。CCOとしてデザイン戦略、コンテンツ企画制作、プロダクトUI/UX、CRMなど幅広く統括。

<趣味>
「おいしく食べる」を考えること、想像を形にすること

<好きな食べ物>
手料理

<暮らしの変遷>
東京・神楽坂でらーめん屋の娘として生まれる。表参道、上野、池袋と拠点を移し、現在は鎌倉で夫と二人暮らし。

キッチハイク「ふるさと食体験」を一緒に作りませんか?

キッチハイクは、全国各地から食と文化と交流に興味がある仲間を探すべく、「ふるさと食体験ができるまで」をコンセプトに、ふるさと食体験を一緒につくっていく準備室メンバーを募集します。

社員候補の新メンバーだけでなく、業務委託や副業、まるっとチームでの参加もOKです。
個人・法人、年齢・性別、問いません。また、居住地も問いません。全国地域からフルリモートで参加できます。ご応募、お待ちしています!

▼ソリューション営業 (自治体・企業向けセールス)

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株式会社キッチハイクは「地域の価値を拡充し、地球の未来へつなぐ」をミッションに、 関係人口経済圏を創出・拡大する地域創生事業を展開しています。1-2週間家族で地域に滞在する、こども主役の暮らし体験「保育園留学」は人気育児雑誌が選ぶ2023年の日本の子育てトレンド「第16回 ペアレンティングアワード」、内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」優良3事例、内閣府「2023年度地方創生テレワークアワード・地域課題解決プロジェクト参画部門」、国土交通賞「令和5年度地域づくり表彰」国土交通大臣賞(最高賞)など多数受賞。 <事業一覧> ◎1-2週間家族で地域に滞在する、こども主役の暮らし体験「保育園留学」https://hoikuen-ryugaku.com/ ◎地域・自治体のパートナーとして、こどもと地域の未来を創造する事業スタジオ「こどもと地域の未来総研」 https://kitchhike.jp/studio
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