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建築技術教材担当 田邉さんへインタビュー

初回のインタビューとして、訓練校の建築技術教材作成を担当している田邉さんに登場いただきました!!

8月某日、ラトネッシュさん、田邉さん、そしてVivekさん三名が酷暑のなか参加された「利根沼田テクノアカデミー」板金技能訓練コースでの体験談やその目的、成果などについてお伺いします。初来日のVivekさん、日本の暑さだけでなく、日本文化においても”インド人もビックリ”な体験になったようです。(昭和ネタなのでご存じない方はスルーしてください・・)

目次

  • 参加の目的は?
  • 大事なのは”精神論”!?目指すは the 日本式!
  • 日本の建築業界の魅力とは?
  • 社内公用語日本語計画!?
  • iTips訓練校の皆さんに期待すること

参加の目的は?

小西:
インド現地の社員さんが日本で研修を受けるのは、今回が始めてだったと聞いています。本日はリアルなお話を色々とお聞かせ下さい。宜しくお願いします。

田邉さん:
こちらこそ宜しくお願いします。
先に一言だけすみません。今回、利根沼田テクノアカデミー様に多大なるサポートを頂いたおかげで、貴重な研修が実現しました。改めてこの場でお礼をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。

小西:
なんでも、ラトネッシュさんが3年以上前から利根沼田テクノアカデミー様にアプローチしていたとか。

田邉さん:
そうなんです、群馬県沼田市で職業訓練校を運営する同校をネットで発見して、インドから何度も通って、ずっとラブコールを送り続けていたようですよ。本人は「ストーカーと思われても仕方なかった」って笑ってましたが・・・

小西:
そうだったんですか・・・

田邉さん:
そのおかげ(?)かはわかりませんが、同校にご協力頂き、本来であれば3か月間で指導する建築板金コースの内容を、特別に5日間に短縮して頂き、各項目についてご指導を頂きました。

小西:
それはスゴイ!とても貴重な機会だったんですね。
早速お伺いしますが、今回、利根沼田テクノアカデミー様の特別研修には、どのような目的で参加されましたか?

田邉さん:
我々の目的は、9月からインドの訓練校で始める「建築板金コース」のために、作成を進めている訓練校技術者向け教材を、より現場に即した実践的なものに仕上げるのが目的でした。
また、指導者がどのように学習者に指導するのかも観察させて頂きました。

小西:
お三方とも実際に手を動かして板金訓練されたのですか?

田邉さん:
ラトネッシュさんとVivekさんは訓練、私は二人の訓練している様子を外から見て、どこが難しいのか、つまずきポイントをどのようにテキストに落とし込むべきかそのような視点で参加していました。

(キャプション)横葺き屋根施工訓練の様子

(キャプション)屋根材運搬器具の説明を受けている様子

大事なのは”精神論”!?目指すは the 日本式!

小西:
実際体験されてどうでしたか?どのような部分を教材に反映しようと思いましたか?

田邉さん:
今回改めて認識したのは、大事なのは精神論!
精神論というと、古臭いのですがとくに日本人じゃない外国の方に伝えるには「シンプルなことを反復することの大切さ」「当たり前を毎日コツコツ繰り返す」この精神論みたいなものって特に人命に関わる建築業ではとっても大事なんです。

小西:
確かに、考えてみれば建築業の作業は危険と隣り合わせ。
日本人にとっては、そういう精神論って小さい頃から刷り込まれてますよね、小学校の朝礼とか給食の後の掃除とか、疑問も持たず当たり前な学校生活の一部でした。
今思うと小学校の生活って日本人のエッセンスが凝縮されている。

田邉さん:
そう!そのような日本人にとっての当たり前が、インドの方には通用しない。
インドの方が怠惰といっているのではなくて、それが文化・国民性の違い。
日本人って小さいころから人の話を最後まで聞く事を繰り返し学びますよね?それって日本式なんです。
だから技術的なこともそうですが「日本式」を教えることの大切さを改めて認識しました。
業務をルーティン化して、忍耐強く、真面目にコツコツ作業することの大切さ、それを重要視して教材をブラッシュアップしました。
そのうえで指導者の教え方がそれぞれちがうとダメ、一環して同じことを教えてないとダメなんです。

小西:
確かに、勤勉な日本人が作った建築物だからこそ、ビル崩壊のニュースはまず日本では聞かない。ありがたいことです。

田邉さん:
建築作業は、同じ知識で、足並み揃えて進めていくことが大事なんです。
例えば一人の作業者が気を利かせて早めに作業を進めてしまったら、その途端、足並みそろわず他の工程にズレが生じ、それがほころびとなり事故につながる。
頭の回転の速さや独りよがりがアダとなる。だから、当たり前のシンプルな作業をいかに協調して作業をするかがとても大事なんです。
日本の建築業では、「1に安全、2に工期、3に利益」と言われています。

(キャプション)危険な足場での歩行訓練も訓練の一つ

小西:
たしかに、安全が保たれず事故が起きれば、工期が伸び、結局利益につながらない。安全第一ですね。
ただ、作業者としては、個性が出しにくくてちょっと飽きちゃいそうですが・・

田邉さん:
そこを飽きないよう工夫して、楽しみながら反復訓練。そうやって日本式技術者が育っていくんです。

(キャプション)ビス打ちテスト。皆さん、OKとNGの違いが分かりますか?

日本の建築業界の魅力とは?

小西:
そんな「日本式」が求めらえる日本の建築業界で働く魅力ってどんなところだと思いますか?
インドの方にとって、日本以上に待遇のいい諸外国が沢山あるように思うので日本を就業先として選んでくれるかちょっと心配です。

田邉さん:
確かに待遇面だけで考えれば、欧米、中東のほうがお給料は高い。でも日本の技術って素晴らしいんです。建築物に完璧な機能性と美しさを備えているのは日本だけだと私は思います。
さらに、仕事はあるし平和だし医療施設も充実している、生活面ではどこの国にも負けていない。そこは日本がアピールするべきところなんです。

小西:
そこは日本の「売り」ですね。

田邉さん:
「日本式」の大切さ、その上に成り立つ日本の技術を訓練校の皆さんには伝えたい。そしたらいざ、日本に来て働く時に、現場でぜったい重宝されていい仕事、充実した生活が送れると思うんです。

社内公用語日本語計画!?

小西:
少し話がずれちゃいますが、日本式といえば、インド子会社の「社内公用語日本語計画」について、以前ラトネッシュさんが口にされていましたね。

田邉さん:
日本式を刷り込むには、「公用語日本語」は私も賛成なんです。特にインドは様々な言葉が使われ語学力も様々。その点「日本語」はみんなゼロからスタート。だからイーブンなんです。

小西:
例えば、「いただきます」「ごちそうさま」「お先に失礼します」ってきっと日本人特有の相手を気遣い感謝する心から生まれた言葉だと思います。
そういう相手を気遣う言葉を使うのは、お互い気持ちいいですし、日本に来て働くとき絶対に使えるし、現場では「いい子だ!」と歓迎されそうです。

田邉さん:
そういった意味では、今回Vivekさんが初めて日本文化にふれたけど、習慣・文化の壁は結構大きいと感じましたね。
まずは食事に苦労してました・・牛はもちろん、豚もダメで。あと味付けも・・
お風呂が共同浴場だったのですが、彼は恥ずかしかったのかパンツをはいてお風呂に入っていました!

小西:
それはびっくり!日本人の当たり前がインドでは当たり前ではない。文化の違いも予備知識としてあるかないかで、日本に来てからの生活も各段に違いますね。

田邉さん:
そこが知れたのは、今回の研修の収穫でもありました!

(キャプション)みなさん達成感に満ち溢れた笑顔!!さらにスリムになりましたね

iTips訓練校の皆さんに期待すること

小西:
さて、実習生として日本で活躍する訓練校の皆さんには、将来どんなふうに日本で活躍してほしいですか?

田邉さん:
日本で習得した技術を持ち帰ってインドの発展に役立てるのは一つですが、ぜひ日本の建築業に定着し、管理者として新たに日本に来る実習生をマネジメントする役割を担ってほしいです。

小西:
建築業界において、外国人実習生のポジションが上がっていくといいですね。田邉さんが作られた教材を元に、「日本式」を刷り込まれた訓練校の皆さんが日本で活躍されることを期待しますし、その方々にインタビューできる日を私も楽しみにしています。

本日はありがとうございました。

さて、9月からはいよいよ、インドで建築板金の訓練コースが始まります!インド現地に田邉さんも合流します。今後のレポートにもご期待ください!

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