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これからのアイエスエイプランを考える④「どうして人と組織は変わらないのか」

株式会社アイエスエイプラン 執行役員 HR & Strategy
坂爪 昭

近くにこんな人いませんか?こんな人になっていませんか?

毎日忙しい!会議や事務タスクの量が多すぎて人手が足りない!
チームにはメンバーが何人かいるが、他者に説明する時間がもったいない!
そこに時間を使うのであれば、自分自身で実施する方がそもそも速い!

こんな感じでタスクを実行してバリバリ働いている働いているひとはスゴイですね。
自分自身でどんどんタスクをこなしていくために、多忙であり残業も多くなります。

けれども、周囲のチームメンバーの労働時間を見てみると、意外にみなさんは定時に帰宅していて、忙しく残業ばかりしているのは、このバリバリの本人だけだったりします…。

ここには何が起きているのでしょうか?

「技術的問題」と「適応課題」

「何かが上手くいかない!」というときには、その要素を「技術的問題」と「適応課題」に分類することができるとロナルド・ハイフェッツという方が提唱し(※1)、世の中に広まっていきました。(※2)

「技術的問題」とは、「メソッドやテクニックによって今ある問題を解決すること」と定義され、解決策が既に分かっており、知識やスキルを身につければ解決できる問題とされています。つまり、問題は自分の外にあるものということです。

ダイエットや語学の習得のために便利なメソッドやツールが流行しますが、これは技術的問題を解決しようとするものであり、「ヨーグルトだけを食べれば痩せる!」とか「英語を流し聞くだけで英語が理解できるようになる!」というものが想起されることが多いと思います。これらは、初めは利用されるが実施が面倒になり、一時的には効果がでるが、すぐに実施されなくなることが多い傾向にあります。

技術的問題の解消にて解決しようとすること限界がある場合は失敗しやすいと言われています。

それに対して、「適応課題」は、「自分自身のものの見方や、周囲との関係性が変わらないと解決できない問題のこと」を表しており、自分自身も当事者であり、問題の一部であるということです。例えると、「痩せられないには痩せたくない理由があるでしょう!」という考え方です。

自分が上手くできない理由には、本当は自分自身が実施させたくない「裏の目標」という協力な固定観念があり、この固定観念が実施をさせないことをドライブさせていると言われています。

(※1) ハイフェッツのプロセスについては以下で気軽に詳しく読めます。
ロナルド・A・ハイフェッツ(2017)『最難関のリーダーシップ――変革をやり遂げる意志とスキル』(英治出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862762239/
(※2) Sharon Daloz Parks(2005)『Leadership Can Be Taught: A Bold Approach for a Complex World』(Harvard Business Review Press)

「他者に仕事を振れない」を例にしてみると

「他者に仕事を振れないほど忙しい!」を例にとって考えてみると、どのようになるでしょうか。

「技術的問題」を軸にして考えてみると、時間管理やプロジェクトマネジメントのスキルがないということが挙げられます。これを解消すべきタスクとして考えてみると、改善はあまり難しくなさそうです。

しかし、「適応課題」を軸にして考えてみると闇は深そうです…。仕事を他者に振れない理由として存在する「裏の目標」には、以下のようなものあったります。

・仕事は自分だけのものにしたい!
・たくさん仕事をこなして、もっと評価されたい!
・自分の存在意義がもっと欲しい!
・簡単な仕事を実施していることが他者に分かってしまい、無能さがバレるのが怖い…。
・残業して疲れている姿がカッコいい!
・会社に対しての忠誠心をもっと示したい!
・家に居てもすることがないので残業している方がカッコいいから昼間は仕事をしない…。

このように「裏の目標」を満たすために敢えて仕事を抱え込んでいることが多いようです。

強力な固定観念に踏み込む

それでは、この強力な固定観念に踏み込むためにはどのようにしたらよいでしょうか?

ロバート・キーガンという方が著書『なぜ人と組織は変われないのか』(※3)の中で自身らが開発した「免疫マップ(Immunity to Change)」というものを紹介しています。自身の強力な固定観念に踏み込むためには、先ず自分自身の固定観念は何なのかを見つけていく必要があり、この行為を「メタ認知」と言います。

これにより、自分自身がどのように考え、どのように動いているのかを俯瞰的に見ることができるようになり、この<気づき>が自分自身を変える第一歩になるということです。

「免疫マップ」を利用することによって、自分自身の強力な固定観点を認知し、変化のためには、先ずは自分自身を知ることから始めよう!というためのツールとして利用できるようです。

図:免疫マップの例

(※3) ロバート・キーガン(2013)『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践』(英治出版)

これらを踏まえて自分自身の成長と組織の成長

今回の「技術的問題」と「適応課題」の観点から自身の成長へのボトルネックを発見できたでしょうか。一人ひとりが成長することが組織としての大きな成長を結果的に発生させることになると思いますので、自分自身の成長を滞らせる「技術的問題」と「適応課題」をもう一度考え直してみることも重要だと思います。

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