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受託制作も自社サービスも、どちらも経験したからこそわかる受託制作のやりがいと可能性。【テクニカルディレクター:小野】

INIには、いろんなキャリアを歩んできたディレクターが在籍しています。今回はインテグレーションチームのディレクター/チーフである小野さんにお話を伺いました。

▼小野 勇輔
テクニカルディレクター/チーフ
2017年8月中途入社。"クライアントやユーザーと近い距離感でクリエイティブを追求したい!"との想いから制作の上流工程に携われるディレクターへのキャリアアップを志す。INI参画後は、大規模案件を中心にテクニカルディレクター、現在はチーフとしてメンバー育成やチームマネジメントにも携わっている。(2022年5月時点の取材に基づいた情報です)

大手Web制作会社でのフロントエンドエンジニアの強みを活かし、ディレクターを目指す

──これまでどのようなお仕事をされてきたんですか?

小野:大学在学中にダブルスクールで通っていたデジタルハリウッドを2004年度6月生として卒業後、紙やWeb媒体のグラフィックデザイナー兼コーダーとして就職をしました。その後、大手Web制作会社にフロントエンドエンジニアとして転職。合わせて約9年間、Webの受託制作会社で、クライアント企業のWebサイトを実装する仕事をしてきました。

1社目で開発力を磨いていく中でフロントエンドエンジニアとしてのキャリアに漠然とした不安を覚え、目指したい将来の方向性について考えるようになったんです。そのような経緯もあって、大手Web制作会社に転職をしました。その会社は特にデザインやフロントエンド技術に有名な会社だったのですが、デザインエンジニアリングという言葉も使われており、その会社はデザイナーであれ、エンジニアであれ、全員がクライアントのフロントに立つという文化を持っていました。

正直、当初は打ち合わせに出席しても何も話すことができないシーンも多かったのですが、「クライアントが何を考えているのか?」といった生の声を直接伺うことで、ディレクターを通じてだと理解できなかった要望の背景を想像することができ、実装する時にもただ単に作業指示を受けたことだけをプログラムするのではなく、「クライアントがこう言ってたから、こうした方が良いのでは?」と踏み込んだ提案ができたのを覚えていますね。

二極化するWebエンジニアのキャリア

──直接クライアントの声を聞くことができると、一つの要望でも捉え方が変わりますもんね。

小野:そうですね。どうしても最終の実装フェーズになると、クライアントの声が届きにくくなります。そうなると、仕事に想いが乗らないので、どうしても単調な作業になってしまいがちです。分業体制は効率的ではありますが、仕事が面白くないという話はよく聞きますね。

私の場合は、直接クライアントと接していたこともあり、もっとクライアントと近い距離感で、実装をするだけではなくデザインや企画といった制作の上流工程から要望をカタチにしていきたいという欲求が高くなっていきました。

クラウドソーシングなどがWeb制作業の中でも増えてきた中で、Webエンジニアのキャリアも二極化するように思います。マークアップ技術で突き抜けて実装のプロとして専門職として活躍するのか、それとも、上流工程からクライアントの事業や潜在的な課題などから、Webという武器を使ってビジネスをカタチにしていくができるディレクションができるのか。この2つのキャリアの方向性を考えた時に、私が進みたい方向軸は後者のディレクターでした。

そのような想いもあったので、「プロダクトやサービスを持っている会社だったら、もっと上流工程から深く入り込んで、サービス改善などにも携われるのではないか?」と考え、今度はWebを使った自社プロダクトを持っているメガベンチャーにジョインすることにしたんです。


メガベンチャーに入るも、目の前のクライアントに最適解を提案できないジレンマ

──自社プロダクトの会社に転職をされて感じたことは?

小野:私自身はエンジニアでしたが、デザイン寄りの仕事もやりたかったこともあって、WebサービスのデザインやUI/UXなどの表現部分を技術面から支援する仕事をしていました。「自分たちの作ったものが、ユーザーにどのように受け入れられて、どんな反応をされているのか?」までのユーザーインサイトを知りたくて、受託制作から自社プロダクトを持つ会社に転職をしたわけですが、実際、入社して数年経ってみると、少し考え方が変わりましたね。「何か違うかも・・・」って。

──どんな違和感だったんですか?

小野:そのサービスは大手クラウドソーシングの会社で、当時ものすごい勢いでサービスが成長していました。ユーザーの声を直接聞き、その声をもとに、どんどんプロダクトを強化していく。ライバルもいましたし、その当時でいちばん重視されていたのは「システム開発のスピード」でした。

システム開発のスピードが重視されることは正しいステージだったのですが、どうしても、UI/UXやデザイン、フロントエンド周りの課題の優先度はどうしても下げざるを得ない状況でした。ユーザーからフロントエンドに関する様々な声が上がってきたとしても、その声をプロダクトに反映するのは難しいことも多く、どうしても機能開発の優先順位の高いものを取捨選択するしかないことに個人的にはジレンマを感じていました。

目の前にいる一人の声に耳を傾けたい

──当初、思い描いていたイメージとは違ったということですか?

小野:そうですね。「クライアントやユーザーと近い距離感でフロントエンドの技術、UI/UXのスキルを活かしたい!」と思って、受託制作会社から自社プロダクトを持つメガベンチャーに移り、ある意味、憧れのようなものがあったわけですが、自社サービスの範囲内でしか自分のバリューを発揮できる余地がないこと。また、どうしてもシステム機能を中心とした改善が中心で、受託制作のように新しいプロジェクトに携わる機会は意外と少ないんだと感じました。

もちろんユーザーの声をリアルに受け止め、スピーディーにプロダクトに機能反映していくという点では、やりがいはありました。ですが、私が当時やりたいと思っていた「自分が携わるフロントエンドの領域でも、良いものを作りたい」という想いを実現するのは難しいように思ったんです。

デザイン、UI/UX、フロントエンドの思いを発揮できるのは、実は受託制作の方が機会が多く、実現しやすいと感じました。そのような背景から、また受託制作に戻ろうと思って、新たに企業を探し始めました。

INIへのジョイン。ワンチームで、共通の目的に向き合う

──そんな中で、出会ったのがINIだったんですね。

小野:はい。当時はINIのことは知らなかったのですが、Wantedlyで募集しているのを見つけました。受託制作会社に行くことは決めていましたが、分業化されて、一部の制作工程だけしかタッチしないような制作体制の会社の場合は、これまでと同じようなギャップを感じてしまう気がしたので、クライアントに直接点が持つことができ、上流工程から最終の実装まで一貫して案件に携われる体制を大切にしている会社を軸に選択していきました。

──INIはどんな会社だと感じましたか?

小野:ディレクター、デザイナー、エンジニアが"ワンチーム"となって取り組んでいて、クライアントに真摯に向き合っているな、と思いました。

また、INIの創業は2000年6月とインターネット黎明期からWeb受託制作を行ってきて、20年以上の歴史があることは業界の中では珍しいと感じました。今でこそWebは世の中に当たり前に普及し、Webサービスもたくさんありますが、インターネットやWebが世の中一般的ではなかった時代では、世界標準の技術を海外から自分たちで集めたり、専門的な技術書を紐解いて制作していくしか方法が無かったはずです。INIはそんな時代から積み上げてきた会社ですので、技術の土台やナレッジの積み上げに強みを持っていそうだと感じましたね。

INIは、デジタルマーケティングの戦略立案やWebプロデュース/ディレクションといった最上流に特化した強みを持っている会社なので、上流のコンサルティング時に必要となる要件定義や設計の仕様書などのドキュメント類のナレッジは「ここまでやるのか!」と驚いたくらいです。こういったドキュメント類は、制作において必須ではありませんし、サボろうと思ったらサボれる部分です。ですので、逆に手間だと感じる人もいるとは思うのですが、クライアントに向き合う真摯な姿勢に感心しました。

社外/社内は関係ない。目的に向き合うチームワークが価値を生み出す

──実際にINIに入社していかがですか?

小野:事前に感じていた印象とのギャップはありませんでした。誰もが名前を聞いたことがあるナショナルクライアントの大・中規模のビジネス課題解決に伴うWebリニューアルやグロースの直接取引の案件がメインで、B2B、B2C問わず様々な業界の案件を担当してきましたが、特に、長いお付き合いのクライアントとは信頼の土台ができていることは、とても大きいですね。

クライアントとの信頼関係が深く長いお付き合いになれば、ビジネスに対する理解、クライアントが期待する微妙なニュアンスなども阿吽の呼吸でイメージが共有できるようになります。Web開発の外部ベンダーというよりもビジネスパートナーとしてINIのことを見てくれているクライアントが多い気がしています。実際に契約形態も受託制作ではなく、準委任として最上流のコンサルティング領域から入らせていただくケースも増えてきています。

INIでは、デザインやコーディングはパートナー企業さんとチームを組むことも多いのですが、その場合でも、良くある「外注」とか「下請け」という考えは持っていません。クライアントとINIのパートナー関係と同じく、Webを手段としてクライアントの事業成果に向き合うパートナーとして目的を共有して取り組んでいます。そのような企業としての組織文化も、INIの特長だと感じますね。

受託制作ってホントにブラックなの!?

──受託制作ってブラックだ!というイメージも根強いと思いますけど、小野さんの実体験も含めてメッセージをいただけますか?

小野:残念ながら、そんなイメージは根強いですよね。。実際に私も「受託制作会社ってブラックじゃないの?」と聞かれることも良くあります。主に業界に根付いた働き方のイメージが大きいと思いますが、INIも会社としてフレックス制度やリモートワークの導入などを通じて働き方のアップデートは進んでいます。長いお付き合いのクライアントが多いことから効率も良く、残業も少ないと感じています。女性も多く活躍していて、産休・育休を取られている方もいます。

INIではプロジェクトのほとんどが直接取引ということも大きく、クライアントと直接会話ができ、QCDのバランスをクライアントと会話することで無理な構造になってはいません。人は理由もなく無茶を要求されるような理不尽でブラックだと感じてしまうんだと思います。

マークアップを知っているからこそできる、強みを活かしたディレクション

また、私自身のことだと、これまでのフロントエンドエンジニアとしての経験から後工程の開発現場がわかっているからこそ、上流工程から関わることで、実装フェーズにもしわ寄せが来ないスケジュール管理もできるんじゃないかと思うんです。

どんなに素晴らしいマーケティング施策があったとしても、Webの世界において最終的に表現されるのはプログラムのアウトプットでしかありません。そういった意味で、マークアップという最終工程のアウトプットができる知見を持っている私が、逆に最上流の立つことで完成形のイメージを持ってクライアントとイメージ共有ができたり、「技術的にもっとこうできます!」と逆提案ができることは、私自身の強みにもなっているんじゃないかと思いますね。

ですので、私のケースと同じように、INIでは現場経験のあるディレクターを目指していくルートがメインのキャリアパスになっています。現場がわかるからこそ、全体を俯瞰して見ることもできますし、INIとしてクライアントとの直接取引にこだわっているからこそ、受託制作であっても無理のない働き方を続けることができると思っています。もちろん自社だけではなく、協力いただいている社外のパートナーさんにも無理なしわ寄せがこないようにしなければ!と意識しています。

直接取引で長いお付き合い。INIの受託制作だからこそのやりがい

──現場を知っているからこその強みはありますよね。

小野:そうですね。ずっと自社プロダクトを持つ会社でエンジニアをしている私の知り合いが、「受託制作のほうがいろいろな業界のいろいろな案件ができるから、経験値もたまって成長できそうだよね。羨ましいな。」と言っていました。

たしかに、ある時はレストランのWebサイト、またある時にはブライダル業界のWebサイト。プロジェクトが変わるたびに「フードサービス業界は?ブライダル業界は?」という新しい知見が貯まっていくんですよ。新しいことや変化が好きな人にとっては、受託制作の方がいろんなビジネスに携わることができて、個人的には面白いと思いますよ。

──たしかに。いろんな業界のブランディング案件などに携わると、世の中のいろんな業界への視野も広がりそうですね。

小野:はい。受託制作だからと言って思い込みで一括りにして遠ざけてしまうと選択肢が狭くなると思います。一つひとつよく見れば、きっと受託制作の良さもあるはずです。私自身も、これまでは自分にとってやりがいのある環境は自社プロダクトを持つ会社だと思い込んでいたのですが、実際には、ジレンマを感じて辞めてしまったわけです。

INIも大きな括りの中では受託制作会社の一社ですが、受託制作の中でも企業が大切にしている価値観やクライアントとのお付き合いの深さが変われば、向き合い方も変わります。INIのように、受託制作であってもクライアントのパートナーとしての信頼を得られれば、クライアントの先にいるユーザーの反応を知ることもできるし、やりがいや貢献している実感を持てるのではないでしょうか。

大切にしているINIのバリュー

●期待値をすりあわせ、ちょっとした驚きを
●UXを信じ切る

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