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「Fintech」という言葉がまだない時代に創業し、今ではその「Fintech」を当たり前の社会インフラにしようとしているインフキュリオン。今回は代表の丸山から、当社の歴史や業界における立ち位置、BaaSプラットフォームによって"世界をどう変えようとしているのか"など、インフキュリオンの「今」と「これから」について熱くお伝えします。
Fintechを当たり前の社会インフラにしていく
ー 今のFintech業界をどのように捉えていますか?
私はFintechを特別なものとは考えていません。例えば、皆さんあまり意識していないと思いますが、携帯電話の通信会社はどこもすでに〇〇払いや〇〇Payに対応しておりFintech企業化していますよね。モノやサービスの提供には必ず決済(支払い)が存在します。その決済のあり方をテクノロジーベースで変えていく、こういった活動がFintechです。
今後は金融業界のFintech化は当然のことながら、金融に関係ないと思われていた業界も含め、ありとあらゆる企業がFintech企業化していくと考えています。Fintechは、業界と言うより”ムーブメント”に近いものだと捉えています。
ー Fintech領域におけるインフキュリオンの立ち位置について教えて下さい。
Fintechのなかでも特に「決済」領域における実績と知見は国内最高レベルだと思っています。まだ「Fintech」という言葉がなかった時代から、今に繋がる活動をしてきました。
私自身がFintechに興味を持ったのは、日本にインターネットが普及し始めたばかりの1990年代に遡ります。当時はまだスマホもなく、Webサイトで買い物などできない時代でした。そんな時代から、「ネットで買い物がしたい」「携帯電話と財布を両方持ち歩くのは非効率だな」などと考えていました。その後、インターネットが一般に普及するとともに「次にインターネットに載るインフラはお金だ」と確信するようになりました。
この体験から「デジタル決済」に興味を持ち、新卒で入社したJCBでの決済データ分析や新規事業立ち上げを経て、2006年にインフキュリオンを設立しました。そのほか、Fintech領域の業界団体であるFintech協会は2021年に6年目を迎えましたが、最初の5年間は私自身が代表理事を務めていました。それはFintech領域全般における幅広い知見と関係者とのネットワークを当時から当社が持っていたから出来たことです。
BaaSプラットフォームが実現するのは、”新しいユーザー体験”
ー それが今のBaaSプラットフォームの提供に繋がっているんですね。
最初から〇〇カードや〇〇払い、〇〇Payなどの新サービスの提供は考えませんでした。銀行や各サービス企業様とお取引があったこともありますが、〇〇カードや〇〇Payなどにとどまらない柔軟な決済サービスを作りたいと考えていました。
また、根本には「社会全体を便利にしたい」という想いがあったので、業界全体に新しいアイデアや技術を提供して、業界全体の発展を目指したいと思って今の形にしました。
(図1)インフキュリオンが提供するBaaSプラットフォームイメージ ※銀行が提供する各種サービスをAPIで各企業のアプリなどに連携し、アプリ上で銀行サービスを利用できるようにするもの
今提供しているのは、銀行が提供する決済や後払いなどの各種サービスをあらゆる企業が自社サービスの中に組み込むことができるBaaS(Banking as a Service)プラットフォームです。そしてこのプラットフォームが実現するのは、単なる「決済のデジタル化」ではなく店舗における”新しいユーザー体験”です。
多くの人がお気に入りのコーヒーショップや近所のコンビニなど、よく行くお店のポイントアプリをたくさん持っていると思います。企業が当社のBaaSを活用することで、そのアプリに決済機能を付けることができます。そうするとどうなるか?例えば、アプリで商品を予約してお店に行けば、後は商品を受け取るだけで支払いもポイント付与もすべて自動で終わっている、という状況が作ることができます。
我々が提供しようとしているのは、このように決済を含む”お店の中での新しいユーザー体験”です。モノを買いたいと思ってからモノを手にして帰るまでの流れをすべて自動化するなど、これまでにはないユーザー体験をどんどん増やしていきたいと考えています。
また、実はこうしたサービスの提供は一部ですでに始まっています。当社のBaaSは、金融機関やサービス事業会社など多岐にわたるご企業様に利用いただいており、新たに生まれたばかりの領域ではありますが、日本一の規模を誇っていると考えています。
目指す未来は、「お金の心配がいらない」世界
ー BaaS、Embedded Finance分野の今後についてはどう考えていますか?
まず、プラットフォーム経由で銀行機能を各社のサービスに組み込む「BaaS」と自社サービスに金融機能がEmbedded(埋め込まれて)されている状態を表す「Embedded Finance」は、銀行側から見るか、サービス事業者側から見るかの違いだけで基本的に同じことです。
ですので、ここではBaaSについてお話しますが、今後はまずグローバル化への対応が必須になると考えています、現在、日本の〇〇Payなどが使えるのは日本や一部のアジア地域のみです。しかし、日本と比べてFintech領域で先行している欧米では、基本的にVISAやマスターカードなどグローバル決済機能がついています。
同じアプリを使って世界中で決済できる方が便利なのは間違いありません。この流れを受け、当社でも昨年、株式会社kyashよりVISAを発行するための仕組みの譲渡をお受け、「Xard(エクサード)」というサービスを立ち上げました。
また、当社のBaaSプラットフォームの今後で言えば、各種金融領域のトップ企業との連携を視野に入れています。当社は決済領域に大きな強みがあるとお話しましたが、今後、決済以外の領域のプロと組むことで、さらに幅広い機能、ユーザー体験を提供したいと考えています。
代表的な金融サービスには保険や証券があります。例えば、弊社と保険分野のプラットフォームを運営する企業が組めば、家電を買うときにポイントアプリで支払いをしたり、保険に加入することもできます。保険や証券のサービスを扱うには、法律の対応などテクノロジー以外の知見が必要です。何でも自前で対応するのではなく、戦略的にパートナーを見つけていくことが重要だと考えています。
また、当社が保有する決済に関わる重要技術の一つに「認証」があります。誰が、どのくらいの量、どのお金を使えるのか、そもそもアクセスしてきたユーザーが本人なのかなどを管理するために必要な技術です。
この「認証」と「決済」や「保険」「証券」機能を一つのプラットフォーム上で提供できれば、1回の認証ステップで広範囲の金融サービスにスムーズにアクセスできるようになります。セキュリティが重要な分、サービスの利用に多くの手間がかかる金融サービスですが、これが実現すれば現状とはまったく違うユーザー体験が提供できると考えています。
ー お話を聞いていると、当社のビジネスが社会に与える影響の大きさを感じます。
我々は、すべての産業、すべての会社、すべてのサービスがFintech化していき世界を作ることを目指しているので、社会に及ぼす影響は大きいと思います。もはやインターネットを使わない会社がないように、デジタル決済が社会インフラになる道筋を着々と自分たちの手で作っている状態です。
さまざまな店舗、病院、美容院など、あらゆるサービスの中に必ず決済というステップがあります。それこそ個人が立ち上げた小さなお店でも、我々のBaaS基盤を使うことでサービスを簡単にアップデートできる世界にしていきたいと思っています。
ー 政府が「デジタル給与」に言及するなどFintech領域は今後も活発に変化しそうですね。
最近では、政府が「給与のデジタル払い」を解禁する動きを見せたり、自治体が経済活性化のための給付金をデジタルウォレットに支給する例も見られ始めてきました。実際、当社や先ほどもお話した協会の活動を通じて政府へ多くの提言を行っていますが、今後も決済に関してユーザー体験が向上していく所は必ず当社が支援できるようにしていきたいと思っています。
また、お金の未来に関しては、今すでに構想し始めていることがあります。「お金の自動運転」についてです。
我々のBaaS機能を使った個人消費向けアプリ(デジタルWallet)が発展した形では、個人の入出金の流れを管理することができます。本業・副業で稼いだお金、投資したのかなど、すべて一元管理することができます。
当社では、お金の使いみちはお金の種類によって異なると考えています。本業で稼いだお金は生活費に、フリマアプリで儲けたお金はモノを買うために、生活費以外の余剰のお金は将来的に家を買うために貯蓄する。余剰のなかでも当分使う予定がないお金は投資に回すといった具合です。これらをすべて自動で管理し、最適化できるようにしたいと考えているのです。
当社が提供している自動貯金サービスの「finbee(フィンビー)」では、実際にそうした機能を一部提供しはじめています。今後は、お金が入ってくる部分から消費によって出る部分(決済)、または消費以外の出口(貯蓄や投資など)まで、すべて当社のサービス範囲にしていくつもりです。
当社が実現したい「金融が便利になる世界」とは、つまり、お金の管理に頭を悩ませる必要がない「お金の心配がいらない世界」です。当社のBaaSプラットフォームと、この基盤を活用するさまざまな企業のアプリやサービスを通じてこの世界観を実現していきたいと考えています。
自分の強みを活かしながら、仲間と共に未知のチャレンジを楽しもう
ー ありがとうございます。最後に採用で注力していることについて教えてください。
現在、さまざまな職種で仲間を求めていますが、特に当社が注力しているのがエンジニアの方の採用です。我々はサービスを企画する会社ではなく、社会のインフラを提供する会社です。このインフラは仕組みであり、システムそのものです。その意味では、エンジニアは我々にとって重要な資産であり財産です。
その前提に立った上で、特に当社が求めているのは「未知の挑戦を楽しめる」タイプのエンジニアです。我々が実現したい世界を作るには、どんなプロダクトを作るべきかゼロから考える必要があり、そこにはエンジニアの視点が不可欠です。
昔は、「一度システムを作ったら10年間は使います」という時代もありました。しかし、今は常に改善しながらシステムを育てる必要があります。今後の会社の成長を見据えながら、どんなサービスにするのか、どんな市場にするのか、そういったところにもエンジニアの視点が必要です。
実は、先程紹介した「finbee」も最初に私が提案したビジネスアイデアをもとに、エンジニアたちがUXの観点などからどんどんブラッシュアップしてくれて今の形に落ち着きました。意見を求めるだけでなく、フラットに意見を受け入れる素地もあります。こうした環境を楽しめる方にぜひ来ていただきたいと思っています。
ー インフキュリオンで活躍できるのはどんな人だと考えていますか?
エンジニアにかかわらず、何か一つでいいので自分なりの強みを持っていて、その強みを武器としながら、みんなで切磋琢磨しながら新しいものづくりをしたいと思う方です。
当社では、(下の図の通り)3つのバリューを掲げています。当社のビジネスを成立させるには、ビジネスアイデアやデザイン、マーケティング戦略、財務、政府との対話など、さまざまな要素が必須です。いろんな立場のプロが集まってはじめてできるビジネスなので、このバリューを大切にしています。
(図2)インフキュリオンのバリュー
今後の「好奇心を持ち続けて、見たことのないモノを作りたい」と考えるメンバーだからこそ、生み出せるモノ作りをし続けたいと思っています。まだ見ぬ世界を自分たちの手で作っていく仕事に興味のある方は、ぜひこの壮大なチャレンジに参加していただきたいと思います。