はじめに
こんにちは、ヒトカラメディア・プランニング事業部の杉浦です。私達は普段オフィス空間を作ることがメインですが、企業・チームの特徴や方針にそった「器」であることが必要だと考えています。そのため、一般的なデザイン設計やPMとは異なり、私達はワークショップを通して「クライアントのメンバー同士が相互理解を深め、働くチームを作ることからスタートする」ことがしばしばあります。
こうした仕事の影響もあって、私達の事業部では、四半期に1度のペースでオフサイトMTGにてワークショップを行っています。今回は、2019年4月15日にゴブリン目黒にて実際に行った様子をご紹介します。
なぜオフサイトMTGをやるか
オフサイトMTGを選んだ理由は、「『2021年までの中長期計画』で掲げた内容を理解し、実現できそうだと感じてもらう」のに適していると考えたからです。
通常の業務は、数週間〜数ヶ月の単位で動くため、数年単位の計画に頭を切り替えるのはなかなか難しい。だから、オフィスの外へと場所を変え、PCにふれる時間を制限し、集中する状態を作ります。
ちなみに、2021年までの中長期計画は以下の通り。
【プランニング事業部の中長期計画 概要】
・事業領域は『2021年までに、「都市・働く」領域はより深く、「地方・暮らす」領域にもアプローチ』する。
・個々人の「やりたい」で広がる事業領域を徹底的にサポート。
・2021年度末には、現在の約2倍の「プランナー25名&運営チーム4名の約30名」
【上記の中長期計画を実現するスタンス】
・良いアイデアを試し、『新しいことへチャレンジ』する。
・どんどん『価値創造』にトライし、成長しよう。
・問題に『寄り添い』、課題を発見する新しいクリエイティブの形を見つけよう。
・クライアント、パートナーと寄り添い、共に『共創』しよう。
中長期計画を実現する方法
中長期計画を実現する方法は大きく分けて二つ。
①個々人がパワーアップする
②チームの力をうまく活用する
今回のオフサイトMTGは、ワークショップを通して「②チームの力をうまく活用する(チームビルディング)」を実現して、「2021年にみんなで実現したいゴールとそこに至るまでのプロセスのイメージを共有する」ことを目的と設定しました。
オフサイトMTG(1日)のスケジュール
自分が貢献できる価値の源となる働きを探すワークショップ『beの肩書き』(著: 兼松 佳宏)をベースに、下記のようなタイムスケジュールで行います。進行役1人、サブ進行役1人、グラフィックレコード担当1人+参加メンバー15人の合計18人です。お昼休憩も含めて、9:00〜17:30までの間に4つのワークショップを行います。
<オフサイトMTG(1日)のスケジュール> 9:00-17:00(お昼休憩含む)
0.はじめに(10分)
1.みんなの目指す”いい状況”って?(5分)
2.beの肩書き(5分)
2.-1 【ワーク】ユーダイモニア・インタビュー(50分)
2.-2 【ワーク】あなたの『beの肩書き』は?(75分)
3.【ワーク】肩書き✕肩書き=??(120分)
4.【ワーク】チャレンジ宣言(75分)
5.まとめ(15分)
6.お知らせ(5分)
オフサイトMTG 当日の様子
0.はじめに
本日の会場の使い方、トイレの場所、スケジュール、今日の目的の確認をします。アイスブレイクとして、各グループに分かれて「しっくりきたニックネーム」「しっくりこなかったニックネーム」を理由を含めて紹介しあう時間を設けます。「beの肩書き」のワークの前振りも兼ねています。
(アイスブレイクの元ネタは、2019/4/6「肩書きには「do」と「be」の2種類あった! ~『beの肩書き』出版記念トーク&ミニワーク~」@BOOK LAB TOKYO )
1.みんなの目指す”いい状況”って?
改めて、プランニング事業部の中長期計画と今日の目的を説明します。『THE TEAM 5つの法則』(著:麻野耕司)で紹介されていた「オーシャンズ11」「ゴットファーザー」の比較も交えて、自分と相手を知り活かし合うチームなら、メンバーの「やりたい」を実現できると説きます。
2.beの肩書き
『beの肩書き』とは、自分が貢献できる価値の源となる働きを言います。一方で、普段名刺に書いてある肩書きは『do(〜をする人)の肩書き』。beから湧き上がったdoこそ、「やりがいのある、自分と一致している、生かされている仕事になる」と説明。
(例)beの肩書き:みんなのお世話係 / doの肩書き:法務
2.-1【ワーク】ユーダイモニア・インタビュー
アリストテレス曰く「幸せには2種類ある。『ユーダイモニア』と『ヘドニア』だ」と。『STAR WARS』の監督ジョージ・ルーカスも「幸せは2種類ある。『joy』と『pleasure』だ」と言っています。古代においても現代においても、幸せは2種類あると考えるのが面白いですね。「ユーダイモニア」は、自己実現や生きがいのような「個人的充足感」のある幸せ。ヘドニアは、受動的で短期的に気持ちのいい快楽的な幸せを指します。
ユーダイモニア( ≒ joy)とヘドニア(≒ pleasure)の説明を聞いたら、自分の「ユーダイモニア」を知るべく3人1チームになってワークショップ開始。話し手・聞き手・メモ役を順番に回します。ポイントは聞き手は聞くに徹し、メモ役はメモに徹すること。
インタビューでは「2人以上にすごいねと言われること」のような本人の強みや価値観の根底を聞くような質問が6つあり、順番に聞いていきます。(※質問項目について詳しくは「beの肩書き 探求ガイド」をご覧ください)
話し手にフィードバックする際に、メモ役のするどい観察&考察で「そんなことやってたっけ?」「自分は全然意識しなかった〜」といった声もあがります。
2.-2 【ワーク】あなたの『beの肩書き』は?
ユーダイモニア・インタビューをもとに、3人のグループ内で1人の「beの肩書き」を考えて贈り合います。『beの肩書き』を説明する「ステートメント」の部分がポイント。自分+他メンバーからの合計3つの「beの肩書き」を紹介し、最後に自分が選んだ「beの肩書き」を紹介。
メンバーの説明文(ステートメント)と『beの肩書き』の一部をご紹介すると、
・集めて分解して検証する『おもちゃ博士』
・うちなる炎・幸せを言語化し、分かりやすいスケールで表す『出版者』
・しびれる向上心と感受性。自由を求める『船上のジャック・スパロウ』
など。発表の度に、「まさにそれ!」「ええやん!!」と歓声があがります。ワークショップの内容の濃さは、参加メンバーのリアクションによって大きく左右されます。安心して意見や質問を出せる雰囲気を、参加メンバーも作ってくれるので、運営側もやりやすい。
3.【ワーク】肩書き✕肩書き=??
今度は2人1組のペアになって、2時間の長丁場のワーク!それぞれの興味関心・強みから妄想プロジェクトを広げます。
お題「この2人でなにかやるとしたら、何やる? どんなプロジェクトを実現させたい?」
ルール1 「都市」「地方」×「働く」「暮らす」の4象限から1つテーマを選んでください。
ルール2 スライド3枚作成 (形式自由)
※先ほどの「beの肩書き」「ユーダイモニアインタビュー」の各ワークを参考に、お互いの関心や大切にしたいことを振り返りながら考えてみてください。
妄想プロジェクト一部をご紹介すると、、、
・開拓者 ✕ アレンジャー 「地方✕暮らす」 Re-born
アレンジャーの審美眼により、人々の眠っていたモノ・コトを再発見・再評価。開拓者の力で地域の良さを開拓し、人々の暮らしをよりよくする。
・ジャック・スパロウ ✕ ケーブルテレビの敏腕ディレクター 「地方✕暮らす」 世界のお宝が集まるアンテナショップ
世界を旅する中で集めた財宝や知見を、地方へ届ける。
「都市✕地方✕働く✕暮らす」の4象限でやれること・やってみたいことが多いと改めて実感するとともに、普段とは逆方向に頭を働かせる「それぞれの興味関心や強みからプロジェクトを考える」ワークにも関わらず、アイデアがどんどん出ているペアが多かったのが印象的。
実際、近日中に着手できるようなプロジェクトもあり、これは思わぬ収穫!
4.【ワーク】宣言
いままでのワークショップで出たことを「あ〜〜面白かったねえ」で終わらせず、明日からの本人の行動やチーム内での関わり方を変えるためのワークです。参加者が今日1日ワークで感じた・考えた内容をぎゅっと凝縮して行動を変えるきっかけにするのが狙いです。
宣言:「明日から、『 』を活かして、『 』をします」
書き終わったら、壁に貼り付けます。壁に貼られた宣言シートを見ながら、応援コメント(黄色のふせん)を書いて貼り付けます。今回コメントで「飲みに行きましょう!」「ランチしに行きましょう!」はNGとしました。うっかりすると飲食の誘いで埋まってしまうので(笑)。
早速、「ポートフォリオ作りに参加したい」とか、「PJの打ち合わせに同行したい」など、コメントが寄せられました。その場でプロジェクトメンバーとしてアサインしている様子を見ると、運営事務局冥利に尽きます。
オフサイトMTG アンケート結果
アンケートは、定量的に「NPS(ネットプロモータースコア)」で計測し、定性的にはフリーコメントでフィードバックを受けます。
NPSは、「あなたはこのあなたはこの機会を他の親しい人にどの程度すすめたいと思いますか?0~10点で点数を付けてください。」と質問し、評価の「推奨者(9~10点)」から「批判者(1~6点)」の割合を引いた数値のことです。
今回のNPSは、【推奨者40%】-【批判者10%】=【NPS30】となります。
アンケートのフリーコメントの一部をご紹介すると、
・自分の執着ポイントを周りの人に知ってもらう。周りの人の執着ポイントを知るところ、今後、話題にできそうな気がしてよかったです。
・それぞれ全く違う肩書きを持ちながらも、突き詰めると新たなコラボが生まれるなどして面白かったです。
・個性を知れるのはもちろん良いが、更にそれを知った上で何をするか、出来るかってことをワークショップしたことが良かった。
と、今回は「メンバーの特徴を知った上で、チームを組んでPJを具体的に進めるイメージを持つ」と一歩前に進んだところが評価されています。
また、新メンバー・現メンバーとも興味関心と強みを知ることで、お互いの力を借りたり貸したり掛け合わせたりすることができます。メンバーの約1/3にあたる6人が2019年1月以降に入社していることを踏まえると、導入研修としての効果もあったようです。
オフサイトMTG直後の方がむしろ大事
実施しただけでは終わらせるのはモッタイナイ!熱が冷めないうちにまとめを行います。振り返りで次に活かせる部分を発見し、オフサイトMTGのアウトプットを日常に浸透させるのが最も大事なことです。
①企画運営としての振り返りMTG
企画・運営メンバーを集めて、良かったこと・改善した方がいいことを共有。アンケートの結果も踏まえて話し合います。振り返りの対象は、企画発案から当日まで。どんなプロセスを経て当日を迎えたか、当日の振る舞いや準備で気が付いたことを話し、記録します。
②成果物の整理と目に触れる工夫
・成果物をすべて個人ごとに分けてスキャン。原本を配布。
・業務の負荷感や課題、今後の予定を共有する一覧表に、各個人の「beの肩書き」「宣言」を記載。個人の予定を確認する度に目に触れるので、毎週思い出す機会があります。地味だけど、大事な作業です。
おわりに
以上、「『beの肩書き』をオフサイトMTGでやってみた」レポートでした。最後まで読んでいただきありがとうございました!次回は、企画の裏側やハックもまとめた記事も予定しているので、お楽しみに!