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HiO ICE CREAMをスタートして半年。クラフトのアプローチを行って考えたこと。

はじめまして。
東京、自由が丘のはずれでクラフトアイスクリーム工房『HiO ICE CREAM』を営んでいます西尾 修平と申します。

可能な限り生産者さんのもとへ足を運び自分で選んだ素材を使い、その素材本来の良さを引き出し、少量ずつ手間を惜しまず作りあげる、クラフトのアプローチを大切にしたモノづくりをしていきたいと思い、2019年4月にHiO ICE CREAMをスタートしました。

沢山のお客様に自由が丘の工房へお越し頂き、とてもありがたい毎日を過ごさせて頂いています。その中で、「どういう想いではじめたのか、クラフトアイスクリームが作られる裏側をぜひ教えてほしい」、というお声を頂く機会が何度かありました。

そこで、HiO ICE CREAMのモノづくりに対する考え、生産者さんのところへお伺いした際に学んだことなどを、不定期かつ少しずつになりますが自分の言葉で表現してみようと思い、noteに書いてみることにしました。
興味をお持ち頂ける方が一人でもいてくださるのであれば、嬉しい限りです。

創業の経緯については、今年の8月に『僕がクラフトアイスクリーム工房をはじめた理由』に一度書いたのですが、ローンチからちょうど半年が経過したちょうど良いタイミングなので、追記という形でまとめなおしたものをnote初回の投稿にしたいと思います。


目次

  1. ■なぜアイスクリーム工房をスタートしたのか??
  2. ■クラフトアイスクリームについて
  3. ■産地へ足を運ぶ意味
  4. ■なぜ自由が丘のはずれに工房につくったのか
  5. ■クラフトのアプローチを半年行って

なぜアイスクリーム工房をスタートしたのか??

ひとことで言うと 「アイスクリームが小さなころから大好きだったから」 です。 幼いころ、僕の父は忙しい人で会話できる時間が限られていました。そんな父と毎週末にアイスクリームを買いに行き、ワイワイしながら家族みんなで取り分けてたべる時間が、とても楽しみでした。

※写真:西尾1歳9か月の時、この頃から毎週末に父親とアイスクリームを買いに出かけるのが一番の楽しみでした。

アイスクリーム自体も美味しかったと思うのですが、それ以上に家族みんなで食べる時間が何より楽しかったのを今でもよく覚えています。

僕にとってアイスクリームはお菓子の中でもとても特別なもので、より美味しいアイスクリーム作りを追求してみたいと思う最中、クラフトのアプローチに出会い、クラフトアイスクリームのひとつの形をつくってみたいと考えました。


■クラフトアイスクリームについて

まずはクラフトのアプローチについて。

コーヒー、ビール、チョコレートなどに代表される“クラフト”の流れは、素材・生産者・作り方など生産過程のすべてをゼロから見直し、おいしさの追求を最優先に、ひとつひとつの作業工程毎に最適化した機械・テクノロジーを活用して小ロット(スモールバッチ)ずつ、丁寧に製造する『モノづくりに関わる多くの産業に通ずる大きな流れのひとつ』と考えています。丁寧に製造する『モノづくりに関わる多くの産業に通ずる大きな流れのひとつ』と考えています。

この数年、僕自身クラフトのアプローチで作ったチョコレートやコーヒーに共感することが多く、自分が大好きなお菓子をクラフトアプローチで再構築してみたいなと思い、昔から大好きだったアイスクリームに焦点を当てて考え始めたのが、2018年夏のことです。

『有名シェフが作る、濃厚で繊細な高級アイスクリーム』とも『コストパフォーマンスの高い低価格なアイスクリーム』とも異なる『味はもとより、素材の良さやモノづくりへの想いも一緒に楽しんで頂くクラフトアイスクリーム』を作ろうと考え、HiO ICE CREAMを立ち上げました。

・素材本来の良さを引き出すことにこだわる(着色料や人工添加物には頼らない)
・手間を惜しまず丁寧に作る
・作り手(素材の生産者、アイスクリームの製造者である僕たち)の顔が見えるモノづくりを追求する

この3点をとにかく磨くこと、そして複数の素材や調理法を駆使したフランス料理的なアプロ―チというよりは日本料理でいうところの『お出汁』をとるようなストイックさ・上質さで、日本ならではのクラフトアイスクリームという新しいカタチを創っていきたいと考えています。


■産地へ足を運ぶ意味

この一年、日本各地の生産者さん60箇所以上を歩き回り、生産量はわずかで大量生産のニーズには満たせないけれども魅力的な果物や乳製品が沢山あることを知りました。そして、その生産物を作られる酪農家・農家といった生産者さんのそれぞれの想いがあることも。

60を超える生産者さんと対話させて頂く中で、見えてきたことがありました。

多くの生産者さんは、1年2年のスパンでの急拡大はできないけれども、じっくりと時間をかけながら少しずつでも自分達のこだわりが詰め込まれた生産物を、より多くの方に届いてもらいたいと願っていることです。

写真:24時間牛の好きなタイミングで搾乳できるロボット搾乳機を導入した、北海道美瑛町の浦さん

傷みやすいリスクを背負いながら可能な限りの減農薬にチャレンジする農家さん。仔牛のための牛乳を分けてもらうならば少しでも牛のストレスを減らしてあげたいと、決まった時間に搾乳するスタイルをやめ、24時間牛の気分で搾乳してあげることができるロボット型の搾乳機を導入した酪農家さん。

写真:6月から2か月間販売した『河内晩柑』の農家、赤松農園さんの採りたての河内晩柑

子供たちの世代、そして、その子供たちの世代に向けて一生懸命カタチにしようとされている生産者さんとの対話を通じ、僕は何ができるのだろうかと問い続ける一年でした。これからも、僕自身が各地の生産者さんのもとへ歩き回り自分の目で見て、舌で感じ、選んだ素材を使い、生産者の皆さんの想いも背負ってアイスクリームを作っていきたいと考えています。


■なぜ自由が丘のはずれに工房につくったのか

僕には数年前からお気に入りの小さな洋服屋があります。値段は別のお店よりも高いですし、ネット通販で買えば家の前まで届けてもらうこともできるのに、なぜかそのお店へついつい寄ってしまいます。そのお店で買う必要はないのになぜかそこで買いたくなる。よく考えてみると、商品を買いに行くこと以上にそのお店のスタッフの方との対話をしたくて足を運ぶんだと思いました。(もちろん、好みの服を置いてあるのが前提ですが・・・)

そして、僕たちHiOLIがクラフトアプローチで作る商品も、美味しいかどうかだけでなくて、どのように作られているのか、何が大変か、どのような価値観を大切に作っているか、などを伝えていきたいと思ったのと、そのコミュニケーションを楽しんでくださるお客様が集まる場としての工房を目指すことにしました。

1人ひとりのお客様とゆっくり対話しようとしたときに、駅前の賑わいの中で接客するよりも少し離れた場所で、もっといえば公園や緑道前の緑がある場所でゆっくりと対話を楽しめる場所に作りたかったので、今の工房の場所とは運命的な出会いができました。

工房はガラス張りにしていて、外からでも職人が作っている姿を見て頂けます。

僕たちHiO ICE CREAMの職人達も生産者さんと同じく作り手の一人ですから、どうやって作っているのか、どんな雰囲気で作業しているのかぜひ皆さんに見て頂き、楽しんで頂きながら食べてもらえると嬉しいです。


■クラフトのアプローチを半年行って

今年の4月にオープンして以来、あっという間に半年が経ちました。
1バッチあたり30~70食程度ずつマイクロバッチで製造していくので、一度に沢山作れず効率は良くありませんが、この手間を惜しまないことで得られる滑らかな食感は、HiO ICE CREAM の強い特徴として育ちつつあると実感しています。

クラフトのアプローチでアイスクリームを作り始め、少しずつですがそれぞれのフレーバーの発売とともに、生産者の方のこだわりや想いを伝えてきました。

特に、春~秋の間に毎月新しいフレーバーを、産地や素材、作り方を交えながら、一足早く召し上がっていただくテイスティングイベント『Discover HiO ICE CREAM』。

フレーバーのストーリーに興味をもって、何度も足を運んでくださる方がいらっしゃったり、クラフトのアプローチを楽しんでもらう、というところも実現できてきたと思います。

まだまだ作れる量に限りはありますが、少しずつでもみなさまのまわりに笑顔の輪が広がるように。生産者の方の想いを繋ぎ、 これからも素材本来の良さを引き出すクラフトアイスクリームを作っていきたいです。

これからも産地を訪れた際の話や、クラフトのアプローチについて考えていることをnoteに書いていこうと思います。noteをアップデートした際は、Twitterでもリアルタイムに発信しますので、ぜひフォローして頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

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