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広告運用に始まり、SEO、ブランディングなど、マーケティング業界の仕事は多岐にわたるもの。時代の変化の影響を大きく受ける職種だからこそ、マーケターとしてのキャリアの選択肢も多く、求められるスキルや経験も広がっています。
「マーケターとしてキャリアを歩んでいきたい」と思いチャレンジしつつも、スピード感を持って目の前の業務に取り組むことも求められるもの。「このままの実力の磨き方でいいのだろうか」「もっと目指したいマーケター像があるかもしれない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インタビュアーの中津さん視点のもと、クライアント企業の最適なソーシャルメディアマーケティングの実現に取り組むソーシャルメディアマーケティング事業部長の重枝さんのインタビューを紹介します。
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今回インタビューしたのは、ソーシャルメディアマーケティング事業部長の重枝さん。
Gaiaxは、「人と人をつなげる」という理念のもと、社会課題を解決するために様々な事業に取り組んでいます。
そのなかのひとつ「ソーシャルメディアマーケティング事業部(以下SOC)」には約30名のメンバーが所属し、クライアント企業の最適なソーシャルメディアマーケティングの実現に取り組んでいます。
今回は、SOCで事業部長として活躍している重枝さんにインタビューをしました。
重枝義樹
デジタルマーケター。2014年Gaiax入社。自らも企業のソーシャルメディアマーケティングの戦略コンサルを行いながら、部署のコンサルタント、運用支援チームを統括する。休みの日はNetflixとHuluとAmazon primeをはしご。
目次
・インターネットによって人と人がつながる一方、分断が起きている
・ソーシャルメディアマーケティング事業の役目は、社会に良いつながりを増やすこと
・人間にとって一番面白いコンテンツは、コミュニケーション
・能力を開花させる人を再現性高く輩出し、究極のチームをつくりたい
インターネットによって人と人がつながる一方、分断が起きている
中津:インターネットが普及した現在の社会の状況について、重枝さんの考えを聞かせてください。
重枝:Windows95年以降インターネットに期待されていたことは、世界をつなげることです。僕は、それは一定達成されたと思っています。例えば、ニッチな欲望を持った世界に点在する人々が、実際に暮らす地域では仲間がいなくとも、インターネットを通じてつながり、コミュニティ化することができます。
しかし一方で、これまでつながっていた人たちの分断も起きています。偏った意見でも声が大きい人が目立ち、極端な意見を言う人の周りに人の集まりができています。多様な意見や中立な立場の人たちの意見の行き場がなくなり、共生できるはずの人たちが分断されています。
このように、インターネットによって人々が分断されている弊害は大きいものですが、インターネットを今更なくすこともできません。
中津:インターネットによる人と人の分断は、私たちの身近にもある現象なのでしょうか。
重枝:例えば、中津さんはSNSを利用していますよね。Twitterでよく見る「炎上」は、ソーシャルメディアがもたらした分断のひとつの現れです。これは、2000年代からフィルターバブル、つまり、見たい情報だけ見るというコンフォートゾーンにこもる現象から起こり始めました。
Googleで情報を検索して、打ち込んだ情報しか見なくなると、欲しい情報の周辺情報や関係のない情報は目に移りづらくなりました。こうしたフィルターバブルがSNSによって加速しています。
例えば、ある投稿に「いいね!」をすると、それと似たような投稿が流れてきやすくなるアルゴリズムがある。そうやって、流れてきた投稿は自分の好みである可能性が高いので、またいいね!をします。そうやって繰り返すうちに、SNSが自分の好みを強化学習して、いつの間にか好みの情報しか目にしないようになる。このように、SNSを使えば使うほど、開かれた社会の視点を失っていくのが現状です。
中津:なるほど、情報の過多と、テクノロジーが情報の収集を容易にしたことが、インターネットが人と人を分断を加速している背景にあるんですね。
ソーシャルメディアマーケティング事業の役目は、社会に良いつながりを増やすこと
中津:GaiaxのSOCは、インターネットによって人と人の分断が進む社会の中で、どのような役割を担っているのでしょうか?
重枝:僕らは、マーケティングを通じて人々が新しい情報に出会い、認識を変化させることに挑戦しています。
顧客のマーケティングを成功させることが私たちの仕事ですが、企業が顧客を広げるためには、あるいは新しくリーチしたい層につながるためには、人々に新しい視点を持ってもらうことを仕掛けていく必要があります。それをマーケティングを用いてどのように仕掛けていくか、日々考えています。
中津:「新しい視点を持ってもらうことを仕掛けていく」とはどういうことでしょうか。
重枝:新しい視点とは、その人が知らないことを知ってもらうことや、その人が知るべきだけれど知らないことを知ってもらうことです。
僕の思うSOCのミッションは「顧客が持っている価値を引き出して、適切なところに届けていく」こと。つまり、僕らが行うのは良い繋がりを社会にいっぱいつくっていくことです。
この世界には知るべきことがたくさんあるけれど、普段のSNSや属しているコミュニティの中ではなかなか知ることができず、知らない間に分断されている。そして、社会は多様になると同時に、多様な人がいることをそれぞれの集団が忘れていっています。
マーケティングというのは、人々の認識や行動を変えること。これまで意識を向けていなかったものに、ちょっとした情報を与えることで意識が代わり、行動が変わります。つまり僕らが行なっているのは、マーケティングやブランディングによって、人々がより良い人生をつくっていくために必要な新しい視点を与え、人々の認知を変え、行動を促していくことです。
中津:人々の認知や行動を変えると聞くと、なんだか難しそうですが、どういった手順で行なっているのですか?
重枝:マーケティングの進む流れは、企業の課題を確認し、ゴールを達成するまでの道筋を描き(僕らの場合はソーシャルメディアを使って解決の道筋を考え)、ソーシャルメディア上でターゲットがどういう形で存在していてコミュニケーションしているのかを調査しにいきます。
まずは、課題を徹底的に理解し、誰にどうなって欲しいのかを明確にします。次にその誰、つまり対象となる人たちをSNS上で特定し、次に対象となる人たちのマインドを分析します。その人たちには、どのようなメッセージングやコミュニケーションが有効かを仮説立て、そのあとは検証。トライ&エラーを繰り返し、実際に認識を書き換えていくということを行っているのです。
中津:何度もトライして、人々の認知や行動を変えるコミュニケーションを設計していくんですね。重枝さんがマーケティングによって実現したい社会はどのようなものですか。
重枝:僕は、世の中には知らないことが多いということを常に意識する人たちを世の中に増やし、知らないことを謙虚に受け入れられる人がひとりでも増える世の中を実現したいと思っています。人の認識や行動は、放っておくと固定していきがちです。コンフォートゾーン=慣れ親しんだものの中にいる状態から抜け出すことが普段から当たり前になる状態をつくっていきたいと思っています。
中津:なぜコンフォートゾーンを抜けることが重要なのでしょうか。
重枝:コンフォートゾーンに留まると、認知が固定化し新しいものを経験するチャンスを失います。世界がどんどん変わっているのに、変わる世界の中で取り残されているその感覚すら失われていきます。
コンフォートゾーンを抜けることは、究極的には個人の自由につながります。というのは、コンフォートゾーンにいるということは、選択肢を失うことなっているからです。今のコンフォートゾーンは、学校、家族、企業や政治家など、大抵は他の誰かが作ったものです。そのことに気づき、自ら選択肢を増やすことが個人の自由に繋がっていくと考えています。
人間にとって一番面白いコンテンツは、コミュニケーション
中津:重枝さんは現在Gaiaxでソーシャルメディアマーケティングに携わって5年目ですが、人と人の関係性やコミュニケーションの設計にはいつから関心があるんでしょうか。
重枝:大学は芸術学部で、脚本や小説を書いていました。その傍ら、口コミマーケティングの会社でアルバイトしながらWebマーケティングを行なっていました。インターネットと、文章を書いたり、物語を作ったりすることが学生時代から好きでした。コンテンツ作りが好きなのは今の仕事と地続きですね。人々の認知を書き換えると言っても、メディアにおいてはそれはコンテンツを通じて行われるのです。コンテンツを作る人には、「自分の表現したいものを徹底的に表現する人」と「人々が欲しいものをつくる人」と2通りいますが、僕は人々が欲しいものをつくりたいと思っていました。
中津:重枝さんにとって一番のコンテンツはなんですか?
重枝:僕は「ベストコンテンツイズコミュニケーション」だと思っています。コンテンツを作るとは言いましたが、実は最良のコンテンツは一から十まで自分ひとりで作りこめるものではありません。高城剛さんが、「女子高生にとって一番のキラーコンテンツは彼氏からの一通のメールである。」と言っていました。本当に面白いコンテンツは受け手も参加できるコンテンツです。サッカー観戦やボヘミアンラプソディーの応援上映もそうですね。それを突き詰めていくと、人間関係や人と人の相互のコミュニケーションそのものが、人間にとって一番面白いコンテンツだと言えるのです。
能力を開花させる人を再現性高く輩出し、究極のチームをつくりたい
中津:重枝さんがGaiaxでこれらの活動に取り組むのはなぜですか?
重枝:Gaiaxは、自分たちで仲間を集め、チームをつくり、自分たちのルールをつくり、自分に合った働き方を設計できるので、一番パフォーマンスを発揮できるからです。
Gaiaxで初めてリモートワークを導入して全社に拡大するなど、昔からパフォーマンスの最大化のために様々な取り組みをしているSOCですが、去年はSOCのメンバーそれぞれが「自分が組織にとってどういう存在であるか」を考え、自分の役割を自然に導き出せるようにする期間を取りました。結果、お互いの助け合いが増えてチームワークがよくなり、自分たちの能力を向上させようという意識も向上したのでパフォーマンスの質もよくなりました。具体的には、案件の単価が上がり、粗利も過去最高になりました。
中津:常にパフォーマンスを最大化するコミュニケーションの設計を自分たちでつくっているんですね。
重枝:はい。組織にはその人しかできない仕事を作ってはいけないという原則があります。しかし、メンバーが自由意志に従う働き方にしていくと、各個人のリミッターが外れ、能力を開花していくがゆえにその人にしかできない仕事が増えます。今後ルーチンワークや形式化できる仕事、再現性の高い仕事はAIやロボットに置き換わっていくと言われています。そうなると、ますます人にはクリエイティビティが求められるでしょう。全員が、その人に抜けられたら他に代わる人がいないので困るというクリエイティブでユニークな人材になるということが、これからの究極のチーム作りなのではないかなと妄想しています。
中津:重枝さん、インタビューありがとうございました!
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※当ブログに記載の内容は、Gaiaxスタートアップスタジオ事業部の記事の転載となっております。(https://www.gaiax.co.jp/blog/get-out-of-the-comfort-zone/)