「スタートアップスタジオ」を自負しているGaiax。「起業家輩出企業」と言っているけど、実際のところどうなの?Gaiaxの卒業生たちはどんな事業をやっているの?知りたい!知りたい!というわけで、Gaiaxを卒業していったユニークな起業家の皆さんをインタビュー形式でご紹介していきます。
Vol.2のゲストは 株式会社シェアウィング 代表取締シェア社長の佐藤真衣さん
必要とされていないからそこに行く
ー 真衣さんとは、お寺ステイの朝イベントでご一緒させて頂いていましたね。真衣さんがガイアックスの卒業生だということ、今日まで全然知りませんでした!
佐藤 2002年くらいなので、もう17年も前なんですが、Gaiaxの短期インターンプログラムに参加していたんです。2週間くらいなので、Gaiaxにいた期間は本当に短いんです。
ー それはどういうプログラムだったんですか?
佐藤 当時、Gaiaxにはホームページを無料で作成できるサービスがありました。それを使って「ホームページを立ち上げて2週間で数値目標を達成する」という課題を与えられて、最終的に「Gaiaxから内定をもらえるかどうか」というプログラムでした。
ー ということは、もしかして内定は…?
佐藤 いや、実は、Gaiaxから内定は頂いたんです。でも、お断りしたんです。
ー それはまたどうしてですか?
佐藤 Gaiaxは私にぴったりの会社だ!と思いました。でも、私に合いすぎていて、まだなんの社会経験もない私がそんな風に思っていいのか、私の強いところは伸びそうだけど、基礎もないのに、苦手なことをすっ飛ばしてしまっていいのか、と。だから、一生やらないであろう苦手なことをやってみよう、と思ってGaiaxの内定はお断りしました。
ー あえて、苦手な方に!そして、ベンチャーキャピタルでインターンを。いかがでしたか?
佐藤 Gaiaxとは真逆でした(笑)怒られてばっかり。プロフェッショナルで能力の高い人たちばかりで、「真衣ちゃん、早く内定もらって他に就職したら?」という感じ。自分は必要とされていないなと感じていました。でも、働いている人は本当に素敵で、一番最初にこういう会社に行かないと出会うことがないなと。そして、「必要とされていないならここにいよう」と半ば居座るような形で2年間在席しました。自分が必要とされてないところにいた方が強くなれる!と思って。
ー わぁ、常に楽じゃない方を選んで進んでいるんですね。そして、担当していた投資先のアロマ空間演出メーカーに転職されます。その経緯をお聞かせ頂けますか。
佐藤 ベンチャーキャピタルの仕事は、投資先を発掘していくというものなのですが、その仕事を通して自分の働く場所も探していました。3社くらい担当して、そのうち2社からは「是非来て欲しい」と言われて、1社だけ「来られても困る…」という反応だったアロマ空間演出メーカーに入ることにしました。普通は、ベンチャーキャピタルからは「お目付役」という形でその会社さんに入るものなのですが、そういう意味で私の場合はちょっと違いましたね。
ご縁を持って恩を返しながら仕事をする
ー 常に望まれていない方を選んでいく、なんかカッコイイです!アロマメーカーではどんなお仕事を?
佐藤 遠方に営業にいくためまずは免許を取るところから始めました。アロマ機械の初期設定やメンテナンスを売っていく営業です。営業相手は、企業のトップが多く、そういう意味ではベンチャーキャピタルの仕事と少し似ていました。
そんな中、営業先の方から岩盤浴の施工工事会社の社長をやらないか?と誘われて、事業を受け継ぐ形で0から会社を立ち上げました。
ー 突然の起業ですね。
佐藤 それがそういう感じでもなくて。アロマメーカーの飛び込み営業で岩盤浴の会社に顔を出している時に、その会社さんが困っていることを知っていて。一方、岩盤浴とアロマは相性がとても良くて、私が岩盤浴の会社をやることで、元のアロマの会社にも恩返しできるな、と思って引き受けたという感じなんです。
佐藤 実は、ベンチャーキャピタルからアロマメーカーに入った時も、この会社に私が行くことで、ご縁を持ちながら恩返しができると思ったからなんですね。ご縁を持つこと、恩返しをすること、これは私が仕事をする上でのモットーです。
佐藤 そういう意味ではGaiaxにも思い入れがあって。内定をお断りしたのに、当時のGaiaxの社員さん達がずっと仲良くしてくれて。個人的に色々声をかけてくれたり、イベントに参加してくれたり…。いつか何かできればと思っていました。
ー なるほど。Gaiaxの名前が出てきましたが、その後、お寺ステイ(株式会社シェアウィング)を立ち上げ、Gaiaxも出資をさせて頂きました。
佐藤 はい。2016年6月6日に出資をして頂いて今年で3年目になります!前述のようにGaiaxといつか何かできればと思っていたところに応援を受けて起業できたことは、本当に嬉しかったです。社員になるより嬉しいかもしれないです(笑)。
ー (笑)起業の経緯をお聞かせ頂けますか。
佐藤 2016年、岩盤浴の事業は順調で、爆発はしないかもしれないけど、安定的に回せるようになっていました。ふと周りを見回してみると、身近な人のちょっとしたチャレンジが大きくなっている様子や、活躍してる様子が目に入りました。それを見て「小さく収まりたくないな」と。そんな時Gaiaxでシェアリングエコノミーに取り組んでいる話を聞いて、何かできることはないか?と考えるようになりました。
ー お寺に興味を持ったのはどうしてですか?
佐藤 友人の実家がお寺で。聞いてみたら広大な空間が余っていた。もったいないな、シェアできたらいいんじゃないかと。Gaiax社員でシェアリングエコノミー協会理事の佐別当さんも一緒にアイディア出しをしてくれて、まずはやってみようと。
ー それで、お寺に泊まる体験を提供する「お寺ステイ」が生まれたんですね。今、高山の善光寺でお寺ステイの体験ができるようなっていますが、ここが前述のお友達のお寺なんですか?
佐藤 これがまた全然違っていて。お寺ステイの可能性を探しているときに、 「一度、高山に来てみたら?お寺と言えば飛騨高山にはとてもいいお寺がたくさんあるよ!」というお誘いを高山出身のお世話になっている方からもらい、たまたま旅行と観光のような形で訪問しました。 高山の善光寺はその際に立ち寄りました。運営上の問題を抱えており、宿坊とお寺を閉じるとお聞きし、とても素晴らしいお寺なのに非常にもったいない、私たちで再建できないか、と申し出ました。
ー 先日のピッチを拝見したのですが、廃寺寸前だった高山 善光寺の売上は4倍になったそうですね。
佐藤 そうですね。廃寺の再生は一つの成功モデルになりました。ようやく要望に出会えてお寺ステイとしての形も見えてきました。今後、田町、桐生など近郊のお寺の強化を進めていこうと思っています。
目の前の仕事を120%頑張ることで見つかる小さな火種
ー まさに、ここからどんどん可能性が広がっていきそうですね。ここまでお話を聞いていて、「起業して一旗あげてやるぞ!」という感じではないという印象を受けました。それよりもご縁や流れで、気がつけばあるべき場所にいるように思ったのですが、ご自身ではどうですか?
佐藤 そうですね(笑)。もちろん、起業に興味はありました。30歳くらいでいずれは…くらいの。岩盤浴の会社を立ち上げたときが26歳だったので、ちょっと早まったなとは思いましたけど。
それよりも、目の前の仕事を120%頑張っていると、小さな火種が見つかるんですよね。そして、その小さな火種を燃やしていくことが、チャンスになっていった、そんな風に思っています。
ー 真衣さん、素敵なメッセージありがとうございました。
佐藤 真衣(さとう まい)
岩盤浴やホットヨガなどを施工工事する会社を12年経営。100か所以上の納品実績。営業開拓と新規事業開拓を得意とする。2016年株式会社シェアウィング共同創業。お寺に新たな価値を創造し、心と体を整える空間と機会を創出する「お寺ステイ」を全国で展開中。
<Gaiax卒業生佐藤真衣さんからのメッセージ>
目の前の仕事を120%頑張ることで見つかる小さな火種。
それを燃やしていくことがチャンスになっていく。
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