こんにちは。フルカイテン広報の南です。弊社をはじめ多くのスタートアップ企業は、ベンチャーキャピタル(VC)からの投資によって経営することができ、事業を成長させることでVCに報います。
では、ベンチャーキャピタリストたちはどんな想いでリスクマネーを投下し、投資先企業とともに歩んでいるのでしょうか。弊社はこのたび、計1億7000万円を調達(プレスリリース参照)。これに合わせ、VC3社がインタビューに応じてくれました。
弊社が開発・提供するクラウドサービス『FULL KAITEN』の社会的意義への共感と、弊社にとって2020年が今後数年間を左右する正念場の一年だという期待感がひしひしと伝わってきました。
ECで倒産危機の実体験がプロダクトを磨いている
「突き詰めると、やる気のある有能な人材を惹き付けられる経営者と事業内容であるかどうかの一点に尽きます。そうでないと、プロダクト・サービスが世の中に広く受け入れられないし、人手不足でスケールできなくなりますから」
投資判断のポイントについて、大和企業投資の後藤聴武・国内投資運用第一部長は語る。同社はフルカイテンが2017年5月に最初の資金調達をしたときからのリードインベスター。フルカイテン代表の瀬川が、FULL KAITENバージョン1を引っさげて出資要請に飛び込んできたのがきっかけだった。
瀬川は並行して経営していたベビー服のEC事業で3度も倒産危機を経験。いずれも在庫問題に端を発していた。「何とかしなければという問題意識と実体験を基に、統計学の素養も持った人が一から開発したのがFULL KAITEN。だから説得力があったし、スケールすることに期待したんです」(後藤氏)
↑大和企業投資株式会社国内投資運用第一部長 後藤聴武氏
後藤氏は過去に小売業の投資案件を担当したことがあり、適正な仕入れ・在庫および利益率の維持という問題の根深さを嫌というほど痛感していたという。その半面、この問題を解決する有効な手立ては長らく確立されてこなかった。「商品廃棄の問題もありますし、FULL KAITENは全ての小売事業者が待ち望んでいるツールだと確信しましたね」
フルカイテンの従業員数は2020年1月現在、大阪と東京合わせて16人。この半年で2倍超に増えた。弊社は今後、さらに採用活動と開発体制を強化する。
瀬川がECで倒産危機を3度乗り越えたというエピソードは、京銀リース・キャピタルの西岡浩志・投資部部長代理も注目している。
「プロダクト・サービスにどれくらい社会的意義があるか。市場ニーズはあるか。開発した経営者様の経験やストーリーはどういったものか。投資判断においてはこれらを重視しています」と西岡氏。特に瀬川のケースは、ちゃんとした理由があってFULL KAITENを開発、提供していると納得でき、「腹落ちした」という。
「FULL KAITENは瀬川さんの実体験に基づいて、実務者の痒い所に手が届くUIになっていると思います。お客様は、そこが気に入って契約されたのでしょう」。同社は2018年6月のシリーズAラウンドに続いて2回目の出資。西岡氏は「追加出資のタイミングがあれば、サポートしていきたいと考えていました。2020年はFULL KAITENがますます普及すると期待しています」と語る。
↓京銀リース・キャピタル株式会社投資部部長代理 西岡浩志氏
VCの醍醐味は同じベクトル志向であること
そんなベンチャーキャピタリストたちの仕事の醍醐味ややりがいは何だろうか。
みずほキャピタルの藤井智史・投資第4部インベストメントマネジャーは「投資先企業と我々が同じベクトルを持って仕事ができるところ」と話す。株式が未公開のスタートアップ企業において、株主は経営リソースの一部を提供する仲間だといえる。
↑みずほキャピタル株式会社投資第4部インベストメントマネジャー 藤井智史氏
「我々の出資によって事業が成長することで、投資先企業と投資家のどちらにもプラスになるため、とても合理的だと思っています。また、常に最新のプロダクト・サービスに触れることができるのもVCの仕事の魅力ですし、取り組む事業で世の中をより善くしていける、という期待感を強く持っています。フルカイテンの場合、事業を通して『世の中の無駄な在庫が減っていく社会をつくる』というビジョンにはとても共感しています」
大和企業投資の後藤氏も「起業家の中には、世の中を良くしようと考えてリスクをとる人が多いですよね。そういう方々を応援できるのが醍醐味」。フルカイテンについては「世の中にどんどん広まるべきサービスなので、社会に根ざした事業になるためにも、上場した方が良いと思っています」と語った。
投資したベンチャーがIPOを果たせたら、ベンチャーキャピタリストとしてこれ以上の醍醐味はないに違いない。
投資先を見守るなかで不安はないの?
とは言っても、経済環境の変化は非常に速く、投資先の事業がうまく成長するとは限らない。投資に対して十分なリターンが得られないリスクは、リスクマネーを扱うVCの宿命といえる。不安や焦りを感じることはないのだろうか。
京銀リース・キャピタルの西岡氏は「もちろん、あります」と言い切る。ただ、当初描いた計画どおりに事業が進捗するベンチャーはほとんどないのだという。問題は壁にぶち当たった時にどう乗り越えるか。「だから出資を判断する際、経営者さんにその資質があるかどうかを見極めるんです」と強調する。
大和企業投資の後藤氏も西岡氏と同様の意見だが、ことフルカイテンに関して言うと、不安はあまり無いのだという。「他に例がないプロダクト・サービスであれば、例えば開発に苦労するというようなことは、よく起こります。でも瀬川さんはすごく実直で我々VCに対して嘘をつかないので、何とかなるだろうという気がしています」。
弊社フルカイテンにとってはありがたい言葉であり、プレッシャーでもある。
一方、みずほキャピタルの藤井氏は「経営者との信頼関係が構築できており、しっかりとコミュニケーションが取れていれば、不安はあまりない」と語る。フルカイテンについては「瀬川さんからはちょっとした相談でも、気軽にしてもらえている印象があります。それにより大きな課題になってしまう前に、解消できる可能性がとても高くなると思います。投資先から相談してもらえる相手になれるように、ということは常に心掛けています」。
筆者としても、ひたむきにVCとともに事業を発展させる気構えの大切さを再認識させられた。
今後のFULL KAITENに期待することは
2019年にFULL KAITENバージョン2をリリースし、有名ブランドや大企業を含め多くのお客さまから契約を獲得したフルカイテン。弊社に今後期待することと注文したいことを最後に聴いた。
大和企業投資の後藤氏は「2020年は、フルカイテンの飛躍に向けた最初の年になるのではないかと思います。お客さんをもっと増やしてFULL KAITENがもたらす価値を共有してもらい、フルカイテンのミッション・ビジョン・バリューに共感する仲間を増やす一年にしてほしいですね」と述べる。
また、弊社がミッションとして「必要な商品が必要な量だけ流通する社会」の実現を掲げている点に触れ、「適正な在庫、適正な仕入れは適量の生産を導きます。こんな仕事をしていて何ですが(笑)、従来の大量生産を志向する資本主義は転換点に来ているのではないかと思います」と内なる思いを語ってくれた。
また、京銀リース・キャピタルの親会社は関西を中心に広域で営業する京都銀行。西岡氏は同行時代、法人営業の現場で在庫問題に悩む取引先を多く目の当たりにしてきたという。それだけに、規模が比較的小さい企業や、より広い業種でFULL KAITENが使えるように改善が重ねられることを期待している。西岡氏は「次のステップとして、特にエンジニアやCFOを採用し体制を強化してほしいですね」と力を込める。
「お客さまや従業員に魅力を感じてもらえる会社であり続ける。フルカイテンにはそんな会社になってもらいたいですね」と話すのは、みずほキャピタルの藤井氏。「お客さまがFULL KAITENに寄せる期待を超える体験価値を提供してほしい」と説く。
そして「高い目標、視座を持ち続けてほしい。目線を下げてしまうと、そこが成長の限界になってしまうと思っています」とエールを送った。
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