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アジャイル方式で取り組んだ、航空会社のアプリ開発。プロジェクトを牽引したメンバー3名のクロストーク

フェンリルの共同開発事業では、さまざまな企業さまと共にプロダクトやサービスを開発しています。
ANAグループが提供するマイレージサービス「ANAマイレージクラブ」の公式アプリも、そのうちの1つ。
フェンリルがクライアントと共にサービスを共創しているプロジェクトです。

※ANAグループが提供するマイレージサービス「ANAマイレージクラブ」の公式アプリ。ANAグループの各種サービスへアクセスし、簡単にマイルを使ったり、貯めたりできます。


今回は、本プロジェクトを牽引したメンバー3名に、開発の手法や当時のエピソード、社内外の連携について話を聞きました。

(写真左から)

メニンセバスチャン ※通称セブ(開発センター所属・プロジェクトマネージャー)
2022年にプロジェクトマネージャー(以降PM)としてフェンリルに入社。入社後すぐに本プロジェクトにアサインされ、アプリとウェブの統括PMを担当。現在は北米事業部の課長とPMを兼務している。

一瀬敏子(デザインセンター所属・ディレクター)
2020年にフェンリルに入社し、アプリのUX/UIデザインディレクションを務める。本プロジェクトにはディレクターとして参画。現在はデザインセンターのマネージャーとディレクターを兼務している。

涌嶋皇心(開発センター所属・QAエンジニア)
2018年にQAエンジニアとして入社し、主に共同開発事業の品質管理を担当。本プロジェクトでは、QAテストとテスト管理、PMのサポート(PMO事務)を務めている。

アジャイル開発のメリットを生かして

⸺ このプロジェクトは、フェンリルでは珍しいアジャイル開発でしたよね?
   ※アジャイル開発・・・短いサイクルで実装・テストとリリースを繰り返して開発を進めていく手法

セブ:はい。フェンリルでは、デザインからリリースまで綿密に計画をたてた上で開発するウォーターフォール開発がほとんどです。しかし、このプロジェクトがスタートしたときは、アプリやサービスの具体的な仕様が決まっていませんでした。そのため、開発フェーズで細かい修正を重ねる必要があり、今回は柔軟に仕様変更できるアジャイル開発を採用したんです。2、3週間のスプリント(1つの機能を開発・リリースするまでの単位)でリリースするペースの早い開発だったので、全ての工程でスピードが求められました。


⸺ アジャイル開発を実践してみた感想は?

一瀬:クライアントのビジネス要件に対してスピーディーに検討し、具現化していけたことが良かったと思います。開発手法によっては、要件を固めてから見積もりを出して受注と、開発に着手するまでに時間を要してしまいがちですが、今回の案件では、ラボ型開発(専属メンバーとして一定期間・一定数の人的リソースを確保して開発すること)で、必要なメンバーを迅速に調達し、アジャイル開発のサイクルに乗ってスピーディーに開発を進めることができました。

セブ:ウォーターフォール開発の場合は、デザイナーとエンジニアが作業するタイミングが別々なので、連携が難しい場合があります。それに対して、アジャイル開発は開発初期の段階から部門をまたいで連携し、デザイナーとエンジニアが互いの意見を取り入れながら作業するので、比較的早い段階から品質の高いプロダクトにすることができる気がします。

一瀬:そうですね。私たちデザイン部門がデザインするときは、実装できる・できないよりもまず「ユーザー体験を追求した発想」を優先しています。そのため、デザイン工程の後に工数や実装難が判明して提案が没になることがあるんです。早い段階で開発メンバーとアイデアを発散したり、洗練したりして、より現実性が高いデザインができたことは、大きなメリットの一つでしたね。

涌嶋:アジャイル開発はリリースまでの期間が短いので、他の部門の動きを細かく把握する必要があります。QA部門は、今後の予定や進捗状況などをデイリーミーティングで入念に確認していました。そこで得た情報を元に、先を見越してテスト期間を算出し、その都度体制を整えていました。
ミーティングでは、エンジニアとデザイナーの専門用語が飛び交います。アジャイル開発とはいえ、QAエンジニアは設計作業に伴走しているわけではないので、時にはそうした専門用語に理解が追い付きづらいこともあります。ですから、とにかく集中して会話を聞き、分からないことがあればその都度確認していました。

⸺ リリースまでの期間が短いなかで、チームで意識していたことはありますか?

セブ:複数のスプリントが重なったり、エンハンス対応で開発とテストが複雑になったりして作業が遅れ、予定通りにリリースを迎えられないことがありました。クライアントに確認いただいている期間は身動きが取れないけど、開発に着手しないと間に合わないという事態もありました。そのときは、できることからやるようにしていましたね。

一瀬:なんとかする!という強い意志を持ったメンバーだからこそ、無事にやり遂げられたと思います。
デザインと開発に時間をかけて、QAの作業期間を圧縮したこともありましたよね、涌嶋さん。

涌嶋:そうですね。全体を通して大きなトラブルはありませんでしたが、実装が間に合わないかもという緊迫感は何度もありました。ですがそんな中、クライアントから「よくこの短いサイクルで、大きな不具合を出さずに進めていただいていますよね」と言われたときはうれしかったですね。

セブ:うれしいよね、そういうコメントをいただけると。

涌嶋:うれしかったです。テスト期間が短くなると、焦りもあって見落とすリスクが高まります。テスト実施のスピードは維持しつつも、確認の正確さを大切に取り組んだ結果だと思います。

密な連携やユニークなアイスブレイクでONE TEAMに

⸺ このプロジェクトは「クライアントから厚い信頼を獲得した案件」として、フェンリル第20期の年間表彰で「社長賞」を受賞されましたよね。これは、社内外の連携による成果でしょうか?
※年間表彰とは、フェンリルに貢献したプロジェクトやメンバーを表彰するフェンリル独自の表彰制度。

セブ:フェンリルはデザインから開発、テストまでを一貫して行っているのが強みです。そのため、どのプロジェクトにおいても社内の各部署はもちろん、クライアントや協業する社外のベンダーさんとの連携は必須ですが、このプロジェクトは「連携」という言葉に収まらないほど、そうしたステークホルダーの皆さんと深い関係を築けたと思っています。皆さんもそう感じていませんか?

涌嶋:はい。社内では部署を越えて緊密な情報連携をしていたので、仕様や進め方についての認識齟齬を減らすことができていたと思います。クライアントや他のベンダーさんといった社外のステークホルダーとも、QAエンジニアも一緒になって丁寧にコミュニケーションを取ってきたので、深い関係を築くことができたと感じています。QAエンジニアがこれほどクライアントと直接対話する機会を持ったプロジェクトは、フェンリル内でもあまり例がないように思います。

一瀬:セブさんが参画されてからは、常に「ONE TEAM」と掲げるようになりましたね。プロダクトオーナーとの関係構築をセブさんが担ってくれたことで、クライアントも含め、仲間意識が強いチームになったと思います。

セブ:ありがとう。短い時間でも、とにかく対話することを心掛けました。開発状況はこまめに報告していたので、フェンリルの動きをしっかりと理解してもらえていたと思います。とはいえ、今回のプロジェクトの成功は私の動きだけによるものではなく、フェンリルの一人一人がプロフェッショナルとして、クライアントからの信頼を勝ち得てくれたことが大きいと思っています。


⸺ チームの結束を深め、連携をスムーズにするために、どのような工夫をされたのでしょうか?

セブ:社内のデイリーミーティングとは別に、オフラインでのキックオフや振り返り会を定期的に実施しました。これは社内では3か月ごと、クライアントとは半年に1回のペースで実施しましたね。
振り返り会では、プロダクト改善に向けたディスカッションをするときもあれば、チームビルディングのためにコミュニケーションゲームを実施するときもありました。

一瀬:「ポンチョを作ろう」というアイスブレイクが面白かったです(笑)。みんなでポンチョを着て、そこにその人の第一印象を書いたり、メッセージを書いたり。

涌嶋:あれは盛り上がりましたね(笑)。オフィスでの雪合戦もおもしろかったです。2チームに分かれて今日学んだことを紙に書き、雪玉のように丸めて投げ合う。当てられた雪玉を広げて読み、投げた人の学びを共有するというゲームでした。

セブ:メンバー同士を知り、お互いが会話しやすくなるような環境作りを意識した取り組みですね。

涌嶋:私がプロジェクトに参画した当時は各自が自身の業務に集中するあまり、プロジェクトメンバー間のチームワークがやや弱い印象でしたが、セブさんが参画されてからは社内交流や情報共有を積極的にするようになりましたね。

セブ:クライアントを巻き込んだワークショップも開催したよね。そんな取り組みを通じて、社内外問わずONE TEAMになってもらいたかったんですよね。

涌嶋:私は社内コミュニケーションチームのリーダーを務めました。コミュニケーションツールでのメンションごとの情報をまとめたり、可能な限り関係者が会話する機会を持つようにしたりと、チーム間のコミュニケーションを活発にする取り組みを考え導入してきました。
オフラインコミュニケーションを大切に考えてきたからこそ、プロジェクトメンバー間で深い信頼関係を築き、開発のあらゆる場面でスムーズな連携が実現できたのだと思います。直接会話すると、それからは気軽に話し掛けられるし、仕事がしやすくなりますよね。さらに言うと、振り返り会をはじめとするオフライン・コミュニケーションの機会をフェンリルの各拠点で設けたことで、各拠点ごとのオフィス環境の利点なども知ることができました。

セブ:プロジェクトメンバーが30人もいるので、スムーズにコミュニケーションが取れるよう工夫をしました。例えば、バーチャルオフィスツールでいつでも気軽に話せるようにするとか、オンライン・コミュニケーションツールの機能を活用して、必要なメンバーと必要なタイミングで会話するように習慣づけるとか。

一瀬:デザインセンターが活用するツールと開発センターが活用するツール、両方を駆使したことにより、より一層コミュニケーションがスムーズになりましたよね。

プロジェクトとともに成長を続ける

⸺ お話を聞いていると、フェンリルにとってポジティブな変化や成長が生まれているように感じます。

一瀬:プロジェクトを通じてフェンリルのメンバーがさまざまな面で成長できたと思います。その結果としてクライアントのビジネスを大きく前進させたことはもちろんで、アジャイル開発をはじめいわゆるスーパーアプリ(ニュース、クーポン、決済、チャットなど複数のサービス・機能を1つのアプリに集約した総合アプリ)開発といった技術的にも新たな挑戦を成功させたことは大きいと感じています。フェンリルの事業領域を拡大させ、他のクライアントにもアピールできる実績を残せたことは、率直にうれしいです。

涌嶋:そうですね。それから、クライアントには追加の機能改修も継続していただいてますし、クライアントと長期的なパートナーシップを構築できたことは大きいですよね。

一瀬:実際、私自身もほかでは得られない経験をさせてもらっています。アプリの企画から制作までにとどまらず、リリース後もクライアントと共にユーザー調査を実施して開発にフィードバックするなど、サービスの成長を見届けられることに感謝しています。

涌嶋:僕自身は仕事に対する姿勢が変わったと思います。私がこれまで携わってきたプロジェクトでは、特にサービスのUX/UI設計フェーズにおいて、デザイナーが主導することが多い印象でした。QAエンジニアは、そこで決められたことが開発メンバーによってきちんと実現されているかをテストフェーズで確認していくことに終始していたように思います。しかし、このプロジェクトで実践してきたオープンなコミュニケーションを通じて、その大切さに改めて気付かされましたね。より良いサービス実現のためには、QAエンジニアもあるべき姿についてあらゆるフェーズにおいて積極的に確認・理解していくべき、という姿勢になりました。

セブ:私はアクセシビリティをはじめ、これまであまり経験のなかったネイティブアプリ開発特有のプロジェクトマネジメント手法など、色んな知識を得ることができました。学んだことは他の案件でも生かせていますが、私が得た最も大切なものはこのプロジェクトを共に成功に導いてくれた志を同じくする仲間です。それは、クライアントも巻き込んだONE TEAMの実践があったからこそだと思っています。

⸺ プロジェクトの今後の展望を聞かせてください

セブ:ONE TEAMにゴールはなく、皆さんが常に意識するものなので、新しいメンバーに志を引き継ぐ必要があると思います。私はこのプロジェクトから離れることになりましたが、今後は残った仲間たちがきっと大切に引き継いでいってくれることでしょう。

一瀬:今後も引き続き、当初クライアントと共に描いた中長期のアプリ構想の実現に向けて尽力するつもりです。ONE TEAMも引き続き全員で大切にしながら、アプリをもっと成長させ、さらなる価値をユーザーに届けていきたいです。

涌嶋:これまで培ってきたONE TEAMは一旦完成し、社長賞の受賞という形で評価されるに至りましたが、実現の難易度が高い追加開発テーマの登場やプロジェクトメンバーの入れ替わりにより、今後さらに強力なチームワークと情報共有が必要になっています。現状維持ではなく、今を超えるONE TEAMになりたいと考えています。

フェンリルに興味をお持ちの方へ

⸺ 貴重なお話ありがとうございました。最後に、それぞれのポジション(職種)を目指す方へ、メッセージをお願いします。

セブ:PMは開発プロジェクトの上流から下流に至るまで、デザインを含む設計、開発、テストといったさまざまな工程に関与できる責任とやりがいのある職種です。そして、仲間を知って、仲間から学んで、仲間と協力してきたからこそ、今の自分がいます! ALL FOR ONE & ONE FOR ALL

一瀬:フェンリルでは、UX/UIを大切にプロダクトを開発しています。調査から企画・制作まで一貫して、クライアントと共創できる環境があります。中でも、ディレクターはUX/UIのプロフェッショナルとして、開発メンバーとともにクライアントに寄り添いながら価値あるサービスを作り、育てていく貴重な経験ができる職種です。

涌嶋:QAエンジニアはシステム開発を経験されている方にとってもあまり馴染みのない職種なのかもしれません。しかし、フェンリルでは未経験で始める方もそれなりにいますし、かく言う私もそうだったりします。
フェンリルではあらゆる業界、業種のプロダクトやサービスに関与し、その品質を担保することがミッションになります。身につけるべき経験、スキルも多く、難しいこともありますが、非常に責任とやりがいのある仕事であると私は感じています。

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