こんにちは。
採用広報を担当している大塚です。
今回はファストドクター主要3事業のうち、地域のかかりつけ医の負担軽減を目的とした「地域医療支援事業」を立ち上げた法人事業部 部長 小山さんによる投稿です。
持続可能な地域医療体制を構築する事業内容から、部署の創設までのエピソードを綴っています。
ぜひご覧ください。
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小山 翔プロフィール
立教大学卒業後、医療系出版社の企画・編集に携わり、株式会社エス・エム・エスに転職。看護日常インフラ事業部・特命係長として新規事業の立ち上げ・推進を経験。前職株式会社メディックメディアでは、新規プロジェクトの統括責任者として、大手物流会社のシステムと連動したBtoBサービス(Edtech)をゼロから構築。
2021年ファストドクターに入社し、会社初となるBtoB事業を立ち上げて事業部化。現在は部長として事業を統括。
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ファストドクターには、大きく分けて3つの事業の柱があります。
ファストドクターの事業の3本柱
①地域住民を対象とした救急往診事業(toC)
②自治体支援事業(toG)
③在宅医療支援事業(toB)
今回は、法人事業部が管理・運営を担っている「③在宅医療支援事業」について紹介します。
救急往診事業で痛感した、医療者にも貢献したいという思い
「在宅医療支援事業」とは、「かかりつけ医(※注1)」として契約している医療機関の患者さまに対して、平日・日中は医療機関が、夜間・休日はファストドクターが、分業と連携によって医療を提供することで、24時間体制で患者さまを見守るサービスです。
ファストドクターが創業されたのは2016年ですが、当初は3本柱の①にあたる「地域住民を対象とした救急往診事業」のみに従事していました。この事業を成長させていく過程で「地域住民だけでなく、医療従事者も巻き込んだサービスにしていかないと、本当の意味で地域医療をサポートすることにならない」ということを痛感し、2021年1月に立ち上げたのが『在宅医療支援事業(toB事業)』です。2023年3月現在、約140の医療機関さま、そして、18,000人を超える患者さまのサポートをさせていただいています。
この事業に携わる法人事業部は、スタート当初から半年間は私1人だけでしたが、2年経った今では、5つのグループ(事業企画/オペレーション企画/営業/コールセンター/医師会連携)、約70名が所属する大きな組織になっています。
前職で0→1を経験、1人で始めた法人事業部
ここで自己紹介をさせてください。私がこれまでにどんな仕事を経験し、事業や組織運営でどんなことを心がけているかをお話しして、少しでも仕事に興味をもっていただけたらと思います。
前職は、医療系の国家資格が取得できる大学・専門学校を対象としたBtoBサービスの事業責任者を務めていました。いわゆるLMS(※注2)と呼ばれるツールをベースにして、ターゲットに求められている機能(学力測定ツール、学生一人ひとりの学力に合わせた教材設定、日々の授業に使えるミニテストの作成・配信機能など)を盛り込んだサービスで、事業責任者として企画・運営の全体管理を担うポジションでした。
このサービスは新規事業のプロジェクトリーダーとして私が立ち上げたもので、社内のメンバーを巻き込みながら事業を拡大させ、最終的には1つの事業部として独立することができました。いわゆる「0→1、1→10」という経験ができたことが今の仕事に役立っていると思います。
余談ですが、ファストドクター代表の菊池が医学生時代に、前職のサービスを使っていたということで、私が勝手にファストドクターに縁を感じて入社に気持ちが傾いた、という裏話もあります。世間って狭いですね(笑)。
そうして入社したファストドクターでしたが、医療にどっぷり入り込む仕事は初めてでしたので、まずはサービスの全容を理解することから始めました。研修の一環として、オペレーター、パッキング、医師の送迎、レセプト請求など、運用に関わる業務すべてに触れさせていただきました。車を12時間運転して腰を痛めたり、80種類以上の薬をルール通りに準備する大変さを味わったり、多くのサプライチェーンを経てサービスが成り立っていることを知り、この仕事の複雑さやおもしろさを体感できたことは大きかったです。また、だからこそ各部門に感謝をしながら仕事に取り組まないといけないと思えたことが、今の働き方の根幹になっています。
法人事業部を立ち上げてからこれまで、書ききれないくらい様々な苦労がありましたが、なかでも「既存事業からの脱却」という部分が一番大変だったと感じています。救急往診事業で培った事業基盤を生かして在宅医療支援事業を立ち上げたのですが、「地域住民のニーズ」と「医療機関さまのニーズ」は一部重なる部分はあるものの根本的には異なります。このニーズのズレをどうサービスに落とし込んでいくか、そして、異なるサービスを運営していくために社内の意識や体制をどう変えていくか、という部分を課題と捉えて事業を動かしてきました。
まだまだ発展途上のサービスではありますが、おかげさまでたくさんのご契約をいただけるようになり、「私たちのサービスが誰かの役に立っている」と日々感じられるようになってきたことが働くモチベーションになっています。それと同時に責任も重くなっているので、求められていることをやりがいに変えながら、充実した毎日を送っています。
「意思決定」と「謝罪」ができる管理職でいたい
私が理想とする管理職像は前職の上司です。「お前のやりたいようにやれよ。何かあったら俺が責任取るから」というスタンスで私と向き合って育てていただきました。この経験から、管理職に求められる役割を「意思決定」と「謝罪」だと思うようになりました。自部署の利害だけでなく全社最適となる意思決定ができること、そして、自分の判断が間違っていたり、部下が何かトラブルを起こしたり、つまりネガティブな状況の時にどれだけ真摯な対応ができるか。この2つを意識して仕事に取り組んでいます。
それから、「『言ったこと』と『やったこと』の差の少なさが信頼になる」ということを踏まえて行動することも心がけています。自分が部長として充実した日々を過ごせているのは、一生懸命に頑張っているたくさんのメンバーがいてこそ。この感謝の気持ちを忘れずに、部署一丸となって社会に愛されるサービスをつくっていきたいと考えています。
なぜ、日本に在宅医療支援事業が必要なのか
私の仕事観をお伝えしたところで、ここからは話を戻して「在宅医療支援事業」がなぜ必要なのか、社会背景を含めて説明したいと思います。
近年、国は「病院から在宅へ」というキーワードを用いて、住み慣れた場所で最期を迎えられるように在宅医療を推し進めようとしています。この流れを受けて、2035年頃までにはフルタイムの在宅医が現在の1.7倍必要だと試算されています。
一方で、在宅医療の中心を担っている在宅療養支援診療所(※注3)は漸減傾向にあるのが現状です(下図)。
世の中に必要とされながら、在宅療養支援診療所が減る傾向にあることには明確な要因があります。そのさまざまな要因のなかで、私たちは以下の2つの社会課題に着目し、課題解決を図っていきたいと考えています。
「分業と連携」によって地域医療をともに支えるパートナーに
私たちは「医療機関とともに地域医療を支えるパートナーになること」で、こうした社会課題を解決したいと考えています。日中は医療機関が、夜間・休日はファストドクターが、1人の患者さんを24時間見守る体制を構築する。つまり、「分業と連携」により「持続可能な方法」で「切れ目のない医療」を提供できる体制をつくることができると信じています。
また、これから在宅医療を始めたいと検討されている開業医の方々にもご利用いただくことによって、多くの医師が在宅医療に参入できるよう、支援していきたいと考えています。
業務プロセスのDX化など、日々ブラッシュアップを重ねる
法人事業部では、業務プロセスのDX化を中心に、サービスの品質改善を日々おこなっています。
大きなものでいうと、患者情報や診療情報の連携をオンライン上で円滑に行うためのWEBツール「クリニックポータル」を2022年5月にリリースしました。これにより、依頼案件の進捗状況をリアルタイムで確認できるようになったため、契約先の皆様への安心感の醸成が図れています。
また、患者さまの情報連携のために電子カルテメーカーと業務提携をしたり、給与計算や各種請求業務を自動処理するための仕組みを作ったり、顕在化しているニーズはもちろん、潜在ニーズも含めて生産性を高めるためのブラッシュアップに努めています。
サービス提供エリアの拡大も検討中です。現在は47の都道府県のうち12の都府県でしかサービスを提供できていないので、少しでも早く全国に広げていきたいと考えています。
「未来の医療のしくみを作った」と言われるように
ファストドクターの事業の魅力は「社会貢献度が高く、世の中に求められているサービスに最前線で携われる」ということだと思います。世界で最も高齢化が進み、「病院から在宅へ」が謳われる日本において、在宅医療のあり方を真剣に考え、その仕組みを国・医師会・地方公共団体・医療機関などと共につくる。この経験は、なかなか一般企業では味わえない稀有なものになるのではないでしょうか。
未来の医療体制の一翼を担う存在になれるよう、そして「未来の医療のしくみを作った」と言われる存在になれるよう、これからも頑張っていきます。
世の中にインパクトのある仕事をしたい方、社会貢献性の高い仕事をしたい方からのご応募をお待ちしております!
※ファストドクターの法人事業部の募集はコチラからご確認ください。
<注釈>
注1)正式名称は「在宅時医学総合管理料」。通院が困難な患者に対して、患者の同意のもとで計画的・定期的に訪問診療を行う場合に請求できる診療報酬
注2)Learning Management System の略。日本語では学習管理システムと呼ばれている
注3)夜間・休日を含めて24時間体制で医療提供を行うことを評価する施設基準。3区分あり、それぞれに算定要件が設定されている
注4)日本の健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働相の諮問機関