モビリティについて考える、Startup Weekend 浜松MOBILITY
2020年2月21日(金)にThe Garage for Startupsで開催されたStartup Weekend浜松MOBILITY第一回プレイベントにインターンの村松が参加してまいりましたので、その模様をお伝えいたします。
Startup Weekendとは
2020年5月15日(金)から17日(日)にかけて、The Garage for Startupsにて第9回Startup Weekend 浜松MOBILITYが開催されます。Startup Weekend 浜松(スタートアップウィークエンド浜松、以下SWH)とは、週末を利用して誰でも参加できるスタートアップ体験イベントStartup Weekend(以下:SW)の浜松地域コミュニティです。今回初めてテーマを設定した上での開催にチャレンジするSWHが選んだテーマは「モビリティ」。輸送関連機器業界が地域経済を支えてきた浜松市にとって重要かつ意義深いテーマです。また、「モビリティ」をテーマに扱うSWは今回が日本初とのことです。
Startup Weekendのプレイベントとは
Startup Weekend 浜松MOBILITYの開催に当たり、プレイベントが開催されました。刻々と変化しているCASE*1やモビリティ、MaaS*2の最先端について、本イベントのスポンサーであるスズキ株式会社様よりお話ししていただきました。参加者全員でモビリティというテーマに対する広い視点からの共通認識を考えることで、より実りある、質の高い本イベントが期待されます。
*1 Connected、Autonomous(自動運転)、Sharing、Electric(電動化)の略称
*2 Mobility as a Serviceの略称
プレイベントの模様
プレイベントの会場に行くと、そこは大きな車庫のような建物。会場内はテントやソファーが置いてある自由な空間が広がっていました。今回は新型ウイルス感染が広まっていることもあり、アルコール消毒など衛生対策が徹底された中での開催になりました。
学生から社会人まで様々な年代の約30名がこのイベントに参加しており、浜松にはモビリティについて関心がある人が多くいることがうかがえました。
生活者の視点で柔軟な発想をすべし
まず初めにお話をしていただいたのは、スズキの藤谷旬生さん。
藤谷さんからは、モビリティを考える上で重要な2つのポイントをお話しいただきました。
1つ目は、移動の主体や対象は「人・モノ・サービス」であり、人に限らないということです。その事例として「移動スーパーとくし丸」が挙げられました。これは、スーパーが近くになく、ネットスーパーや宅配を利用することが難しい「買い物弱者」と呼ばれる人向けに考えられたものです。軽トラで食料品や衣料品を移動販売することで、人がスーパーに行くのではなく、スーパーが人のもとへやって来るという新たな移動体験を実現しています。
2つ目は、1つの移動手段が複数の目的を実現するマルチタスク化です。「福祉施設の送迎車によるお出かけ支援」がその事例として紹介されました。福祉施設の送迎車両を、利用していない時間帯に高齢者の外出のための交通手段として活用する、群馬県で行われているサービスです。高齢者の見守り機能や、乗り合い時の高齢者の会話の機会といった様々なメリットがあるだけでなく、CASEでいうSharingが実現している事例とも言えます。
どちらの事例も、生活者の視点に立ち、身近な課題を既存の移動手段を柔軟に活用することで解決したサービスです。
このような例を挙げていく中で藤谷さんは、「『生活者の視点で柔軟な発想』はモビリティについて考える際の必要条件である」とおっしゃっていました。同じような問題を抱えている人に多く利用されていることから、利用者が必要としているものを目的として、それを軸に手段としての移動について柔軟に考えていくことが、真に社会をより良くすることにつながるのだと学びました。
さらに、藤谷さんは「自分は現在浜松市在住で東京に通勤しているが、そこで見えてくるのは浜松市の課題である。どこに勤務していても自分の住んでいる町のモビリティについて考えてしまう。市の規模が大きく、過疎/山間部、郊外、都市/観光の3つの面を持つ市である浜松ではモビリティをどのように考えていくかが課題となってくる。」とおっしゃっていました。
天竜区などの山村地域から浜松駅周辺のような都市部まで、違った環境で生活を送っている浜松市民にどのようなサービスや移動手段が必要になってくるのか、今回のSWHで私もプレーヤーとして考えていきたいと思いました。
これからの自動車業界はIT業界とつながるべし
続いてスズキの倉知伸成さんにお話しをいただきました。まず初めに、今までの自動車業界は技術先行で開発を進めていたが、現代の自動車業界は利用者の必要としているものを起点とする開発に変化しているということを教えてくださいました。
スズキの実例として、インドでの「SUZUKI connect」サービスをご紹介いただきました。インドはSNSのユーザー数が世界一多いデジタル大国であるにもかかわらず、交通面は渋滞・盗難・交通事故の多発など改善点が多く残っています。こういった状況を解決するために、レッカーを検出したり、車にGPSを搭載したりするなど、まさに利用者の必要としていることを起点に開発がなされているとのことでした。それにより、売る側、買う側がwin-winな関係になれることを理想とした車づくりをされているということを学びました。
さらに、「浜松やらまいかプロジェクト」についてもお話をしてくださいました。これは、浜松市の交通課題を解決し地域産業に貢献することを目的とし、官民一体となって(浜松市、スズキ株式会社、遠州鉄道株式会社、SBドライブ株式会社)自動運転サービス実用化に向けた討論をするプロジェクトです。自動車がCASE化している現代ではセキュリティの重要性が高まり、自動車業界だけではなくIT業界との密接な関係が不可欠であるとの考えから、「自動車メーカーのみならず様々な視点から考えなくては良いものができない」ということをおっしゃっていました。その姿勢がこの「浜松やらまいかプロジェクト」からもうかがえました。
お二人のお話の後には質問会や、参加者による立食会が行われました。和気あいあいとした雰囲気の中、参加者たちは時間を忘れて話に夢中になっていました。普段同年代としか話す機会がない学生にとっても、社会人の方たちと話す機会はとても貴重な経験でした!
最後に
このプレイベントに参加するまでは、「モビリティ」は難しいものであると考えていました。しかし、身近な困りごとを改善することもモビリティについて考える第一歩となることが分かり、モビリティというテーマは意外と身近なものであることを実感しました。お二人のお話から、自分とは違った環境で生活している人たちも、どのような商品やサービスがあったらより移動しやすくなるのかを考え、自動車業界だけでなく、IT的観点など様々な視点からモビリティについて考えていければと思いました。今回お二人の貴重なお話から得た知識やマインドを念頭においてSWHの本番に挑みたいと思います!
今回プレイベント参加されなかった方も、モビリティについて興味をもっている、起業やアクションのきっかけがほしい、様々な年代や立場の人と話したいと考えている、そういった方々はぜひSWHに参加してみてはいかがでしょうか?
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(取材・執筆:EXPACT株式会社 村松姫奈)