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モデリング・DDD#5 「モデリングの勉強方法:その2」


Modeling Forum

11/28、Modeling Forum 2018が開催されました。

前回のModeling Forumについては、この連載内の記事でも触れましたが、今やモデリングをテーマにした知識が得られる貴重な場です。行けなかったけれど興味がある、という方は、ほとんどのセッションは資料が公開されていますので、こちらをご覧ください。私もワークショップを担当しましたが、まあそれは置いておきます(いいのか?!という声がどこからか聞こえそうだが、気にしないことにしよう)。

本当は資料が公開されない、経産省の和泉さんの「ご挨拶」が最も刺激的だったのですが、それは当日あの場にいた人だけの財産です。気になる!という方は、こちらをどうぞ。この資料のエッセンスをより「過激」に、他の統計情報も使いながらの講演で、これを聴けただけでも、今回来た甲斐があったなと思いました。

登壇者の一人として、最後の「Retrospective」にも参加しました。そこで、司会の羽生田さんからの最後の投げかけが、「モデリングの勉強の仕方」でした。あら、この連載で取り上げたことあるな、と思いつつ、その場で私が答えたのは「言葉を大切に」と「目的を忘れない」の2つ。後者はあちこちでさんざん言っているので、今回は前者をとり上げましょう。

言葉はモデル

モデリングは難しい、という人がいます。確かに昔(UMLが出始めた頃)より、モデリングと呼ばれるものの範囲は広がっていると思います。一つの製品/システムだけを見てモデリングすることはできない。その製品に関わる周囲のモノやコンテキスト、こういうものを見ないといけない。さらに対象システムだけにフォーカスしても、分析設計レベルだけを考えればいいわけではなく、ビジネスも見て、かつ実装も考慮しなければならない。そういう意味でモデリングという手法の幅も高さも昔より大きくなっていると感じます。

しかし、別の観点で、「モデリングには抽象化の考え方が必須で、それが苦手な人がいるから、みんながモデリングできるわけではない」という意見には、賛成しません。少なくとも、今これを読んでいる方なら、モデリングは習得できます。なぜそう言い切れるのか。今ここで私が書いている(あなたが読んでいる)「言葉」が、まさしくモデルそのものだからです。なんのこっちゃ、という方は、こちらをご覧ください。


これ、何ですか?

と、聞かれたら、何と答えますか? 今、「しっぽがあってワンとほえる4本足の動物」を思い浮かべませんでしたか。でもこれって物理的には、「ホワイトボードに黒いペンで何本かの線を書いたもの」にすぎません。しかし、今これを読んでいるほぼ全員が、学名:Canis lupus familiaris(Thanks to Wikipedia)の動物を思い浮かべたはずです。

これがモデルです。

UMLは、単なる箱と線です。という話は、前述の連載4回目の記事でも触れました。単なる箱と線で、ではなぜ会話ができるのかというと、その箱と線を見た時に、会話している両者が同じものを想起しているからです。自然言語も同じ。書き言葉でも話し言葉でも、ある概念を表す線の組み合わせや音の連なりで、私たちは考えや想いをやりとりしています。つまり、言葉が使えている人であれば、全員が日常的に「抽象化」と頭の中での「具体化」をしているはずです。

言葉が使える人は全員「モデラ―」です。後は、どれだけ意図的にこれをしているかと、どれだけ練習するかです。相手に何を伝えるか、どういう言葉を使えば一番伝わるか。これを日々考えて実践することが、モデリングの鍛錬だと考えています。

おまけ

「言葉」がない世界がどんなものかを想像する上で、チャイナ・ミエヴィルの「言語都市」という本、おもしろいです。SF好きな方にはおすすめ。

※転載元の情報は上記執筆時点の情報です。
 上記執筆後に転載元の情報が修正されることがあります。


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