『50歳という年齢には魔物が棲んでいる。』
6月29日にプレジテント社から発売される『50歳からの人生戦略は「図」で考える』の”はじめに”で、著者の久恒啓一さんに引用いただいた言葉に凝縮される僕のキャリア。
タイトルは『50歳から〜』とあるので、おじさん向きかと思われがちですが、これから就職を迎える学生から、20代、30代、40代とそれぞれのライフステージで参考になる内容。
いまは都農町で小・中学生のキャリア教育に携わらせてもらってますが、子どもたちと話す以前に、まずは自分自身のキャリアデザインをしっかり考えることが先決だと思ってます。
ちなみに、掲載いただくきっかけを下さったジャーナリストの勝見明さん。今から10年近く前に、僕が東京で高校生のキャリア教育をやっていたとき、高校生に講演をお願いして以来のお付き合いです。
高校生から50代へ、年代を超えてキャリア教育でつながったのは嬉しいことです。
1. いつも「いまから」と考える
冒頭の「50歳という年齢には魔物が棲んでいる」の意味
50歳までにそこそこ仕事してると、その先65歳ぐらいまでの間、実績、人脈、信用の貯金でなんとかしのげそう、となりがち。
僕自身が53歳で20年近く経営していた会社を離れて何をしようか考えた時に、真っ先に思ったのは、そういう余力でこなす仕事はやだな、でした。
なにより70代、80代のしりすぼみ感が想像されて。。
50代で、ゼロリセット。
100歳目指して貪欲にチャレンジしてくと、70代、80代、ひょっとしたら90代もチャレンジし続けられる=楽しそう、と思いました。
でも、いろいろなお声がけ(実際にはたいしてありませんでしたがw)や家族、健康のこと考えると、まぁ「昔の名前で出ています」と名誉職や、顧問や先生的存在になったほうが、えらそうな感じや楽そうでいいよってささやく「魔物」と表現しました。
いくつになっても「さ、いまからどうしよう?」と考えていたいものです。
2. 人生は公人+私人+個人
ZOOMの時代は個の時代。
画面に表示される顔の大きさはみんな同じでフラット、席順もない
いままで以上に「個」が問われる時代
主体的な自己として、「自分は何者であるのか」「なんのために生きるのか」「どうありたいか」が問われる。
これからの人生は公人+私人に加えて個人が重要
・公:会社や社会に関すること、仕事をする自分
・私:夫・父、妻・母として 、家庭の中の自分
・個:趣味やライフワークなど、自己としての自分
ZOOMでの打合せをしている限り、あまり役職や序列を気にせず、合理的にものごとを進めやすくなりましたよね。
そうなると、なおさらのこと、機械的なZOOMだけに、ただタスクをクリアーするだけではなく印象に残すとなると、かなりのコミュニケーション力が問われるな、と毎日のZOOMミーティングを振り返って共感。
仕事で最も重要なコミュニケーション能力を高めるための3要素は、明日から社員研修でも使えるな、と思えました。早速、実践。
コミュニケーション能力の3要素
①理解力:収集した情報の本質を理解
②企画力:収集した情報をもとに、自分の頭で新しい考え・アイデアを生み出し、付加価値のある情報を創造
③伝達力:情報を相手に的確に伝える力
コミュニケーションというと、どうしても③の伝達力によりがち。
これはプレゼンにしてもWEBなどのライティング においても同様。
話し方、書き方を学び、極めることも重要だけど、それ以前に、相手が言ったことの理解力や、何を発信するかのコンテンツ、情報をつくる企画力がないとはじまらない。。
キャリアデザインにおいて、いままで以上に「個」が問われる時代、自分のことをしっかりコミュニケーションしていくための能力開発には時間を惜しまず取り組みたいものです。
3. 豊かさとは自由の拡大
この本の取材で、いろんなことを聞かれましたが、おそらく僕が一番多く発した言葉は「自由」だったと思います。
キャリアを考えるときにも、僕自身の最優先順位は、いかに「自由」にできるか、でした。
豊かさは、言葉を変えれば「自由の拡大」。
豊かさ(自由)を4つにわけて考えます。
①精神的豊かさ(精神的自由)
②時間的豊かさ(時間的自由)
③経済的豊かさ(経済的自由)
④肉体的豊かさ(肉体的自由)
取材の時、4つの豊かさ(自由)について、東京で経営していたときと、都農町でまちづくりのお手伝いをしている現在を比較して豊かさ(自由)はどうなったか?と聞かれました。
答えは③の経済的豊かさ(経済的自由)以外はすべて圧倒的に増えた
経済的豊かさは、そもそも4つの中では一番、優先順位が低かったのですが、表面的(収入)に減ってても、支出も減ってるのでトントンかなと。
キャリアを考える時、4つのうち、どの豊かさ・自由を一番、大事にするか?という視点はものすごく大事。
4. 人生戦略の第一歩「5W2H」
具体的に、人生戦略を図解で考えるために、まずはキャリアの定義
キャリアとは、仕事歴を中心とした学習歴、経験歴の総体
具体的な仕事を考える上で、本で紹介されている視点が「5W2H」です。
これは新卒で就職を考える学生から、30代、40代で転職や起業を考える人にもおすすめです。
WHO(自分像)性格・関心・能力、エニアグラム
WHY(価値観)なぜ、その仕事を選ぶのか
WHEN(時代)これからどんな時代になるのか
WHAT(職種)ヒト・モノ・カネ・情報
WHERE(業種・業界)
HOW(仕事の内容)
HOW MUCH(給料)
ちなみに、9つの性格タイプで構成されるエニアグラム。
実際に質問表にもとづいてやってみたところ、僕自身はタイプ7(熱中する人)がほぼ満点で一位でした。
あまりに、タイプによって得点差が激しい結果を見て、自らのバランスの悪さを自覚。。自覚は大事ですね。
キャリアデザインはありのままの自覚からはじまる、と思います。
5.起承転転の生き方
これまでのキャリアでは、60-65歳定年、余命が20年ぐらいだったので、学生までが「起」、就職して社会人になるあたりが「承」、20代で仕事の基本を習得して、30-40代が「転」、そして50代になると定年が視野に入り「結」に向けた人生を送る。これが「起承転結」の人生です。
この50代で「結」に向けた仕上げに入るのか、さらに違う「転」に転じて、その後も転じ続けていくのか。
これが、冒頭の「50歳という年齢には魔物が棲んでいる」につながる意味合いになります。どう考えても、50歳まできたら、あとは「結」に向かって仕上げに入った方が楽だと思います。
ただし、「ワーク・シフト」や「ライフ・シフト」でも話題になったとおり、人生100年時代、80代でも働かなければならない時代を前提に考えると、50代は後半の始まりでもなく、現役真っ盛りにしていかないと、僕の中では計算が合いませんでした。
「起承転結」ではなく「起承転転」
これからの大人のキャリアデザインを考えるキーワードだと思いました。
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以下、著者の久恒啓一さんのブログ「今日も生涯の一日なり」から転載
東京駅の丸の内側の書店「丸善」。大きな扱いに驚きました。
『50歳からの人生戦略は「図」で考える』の大きなポスター(B1判)と、「新刊・話題の本」のコーナーの棚の一列全部を使った「面陳」となっていました。
丸善からプレジデント社にポスターの作成依頼があり急き制作したものだそうです。大型書店でのこういう扱いは初体験です。
「新刊・話題の本」コーナーの一列の面陳(メンチン)は、ありがたいことです。