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「人とAIの共進化」を目指す株式会社エキュメノポリスで会話AIエージェントプラットフォームのスケールアップや海外事業展開を支えるインフラエンジニアを募集

会話AIエージェントとの英会話を通してスピーキング能力を診断する「LANGX Speaking(ラングエックス・スピーキング)」をリリースした株式会社エキュメノポリスは、サービス拡大や海外展開、他領域へのスライドを見据えてインフラエンジニアを募集中です。CEOの松山洋一(写真左)CSO・CFOの宮村圭太(右)に、エキュメノポリスが掲げるビジョンや求める人材像について聞きました。

技術ドリブンで世界を変える。アカデミア主導で創業した経緯

―― お二人の経歴をお聞きしたいです。

松山:早稲田大学やアメリカのカーネギー・メロン大学にて、AIやロボットと人間社会との関係性も含めた会話AI技術の研究に取り組んできました。複数の米国ビックテック企業等との共同研究でプロジェクトをリードした後、2019年に帰国して、早稲田大学知覚情報システム研究所の特任准教授として着任しました。この時点で大学発スタートアップの創業を前提としており、大型の研究開発ファンドを獲得しつつシーズ技術の研究開発を進め、計画通りに事業をローンチしました。宮村を誘ったのもその頃です。

宮村:私は大学卒業後、IBMに入社してエンジニアになりました。それから海外のMBAに通い、ベイン・アンド・カンパニーでコンサルタントとして働いた後、Salesforce Japanに入社。2021年頃に松山に声をかけられ、兼業を経て2023年6月に100%コミットする形でジョインしました。

―― アカデミアやIT系大企業で活躍していたなかで、創業を決意した背景には何がありましたか?

松山:人生で何をやるか考えたときに、GAFAなどのビッグテックの一部でいるより、小さくても組織を自分で率いる方が面白いと思いました。仙台でコーヒー会社を経営していた祖父にも、幼い頃から「鶏口となるも牛後となるなかれ」と聞かされてきた影響もあってか、もともと起業家マインドが強かったんだと思います。だから自然と「自分で何かやろう」と思いましたね。

―― アメリカで創業する選択肢もあったと思いますが、日本で創業した理由は?

松山:アメリカでの創業はビザの問題も含め、マイナスからゼロにするまでが大変でコストもかかります。また、アメリカ滞在中に感じた「日本の存在感のなさ」が悔しくて、日本で勝ち筋の仕事を作ろうと考えました。

―― 宮村さんがエキュメノポリスにジョインした理由もお聞きしたいです。

宮村:松山のカリスマ性に惹かれたのが大きいですね。金銭的な成功だけでなく、松山が掲げるビジョンやミッションに共感しました。松山との出会いは2008年で、当時から高い視点で物事を見ており、大きくて綺麗な風呂敷を広げる人でした。今回も広げた風呂敷がすごく良かったのですが、風呂敷をたためる人も必要です。そこが自分の役割だと思っています。

―― アカデミア側の研究者が中心となって起業するパターンは珍しいですよね。

松山:そうかもしれませんね。私自身がそうであったように、研究者にルーツを置きながら起業家に転身する人がもっと増えたらいいなと思います。技術ドリブンで世の中を変えるには、技術へのこだわりやセンスを持ちながら同時にマーケットを知ることも大事です。ビジネスは一人で成功させられるものではないので宮村を呼びました。研究者のロジックに偏ってしまうときもバランスを保てますし、COOの渡邊も含め三人で会社を始めたことは正解だと思っています。

語学学習事業を選んだ理由とは?キーワードは「共進化」

―― 会話AIの研究をしてきて、事業ドメインとして英会話を選んだ理由を教えてください。

松山:私の専門は人と関係性を構築できるような会話AIエージェントの開発であり、それのようなエージェントの知能を発達させてゆく環境として、人とAIが会話をしながら言語を学び合っていくような言語学習ドメインは理にかなっていると思いました。また、英語学習のマーケットは日本やアジアその他世界中にあるので、日本で創業することがディスアドバンテージにはならないだろうと考えました。

―― 言語教育事業に勝ち筋を見出したということですね。

松山:はい、我々が事業ドメインを選択するクライテリアとしては大きく3つあると考えています。1つ目は、十分なデータが見込めること。2つ目は、対象とするドメインの評価指標、つまり「AIをどう最適化すれば人が喜んでくれるか」が明確であること。3つ目は、社会的インパクトがあること、つまり売り手と買い手と社会の「三方よし」の状況をつくれるのかです。私たちがビジネスを成長させながら本質的な研究開発を継続するためには、最低限この3つを満たす必要があると考えています。これらの視点で、アメリカでやるか日本でやるかも含めて100以上のアイデアを検証したところ、最後まで生き残ったのが「言語学習事業」でした。

―― 宮村さんは当時、英会話事業での創業についてどう思われましたか?

宮村:合理的な判断だったと思っています。松山の技術をうまくアプライでき、競争力のある製品ができるという確信はありました。

―― 当時の仮説を振り返ってみて、勝ち筋通りに進んできたと感じていますか?

松山:はい、仮説は間違っていなかったと思います。ビジネスを成立させながら本質的にAIを発達させ、結果社会がよりよく変わっていくような戦略を今後も立てていきたいと思っています。社員はもちろん、AIを利用してくださる方々も含め、みんなで理想の世界を作る。それを我々は「エキュメノポリス※」と呼ぶことにしました。

「Equmenopolis」という社名は、1960年代に夢想された概念「Ecumenopolis」(あらゆる都市がネットワーク化され、ローカル性とグローバル性が両立する理想的な世界都市)に由来します。当社名の冒頭2文字「Eq」には、 今後人間の共同活動者としてのAIが備えるべき「心の知能(EQ)」が表現されており、Equmenopolisは「共存する電脳世界都市」を意味します。

―― AI開発が進むことでビジネスが発展し、研究もさらに進んだ結果、AIが人とコミュニケーションを取りながら価値を提供していくような社会を作りたいということですね。

松山:はい。しかも、その途中経過でも十分みなさんに喜んでいただけるものを届けていけるだろうと考えています。例えば自動運転レベル(運転の主体や自動運転の技術到達度・走行可能エリアなどによって「レベル0」から「レベル5」の6段階に分類)のように、我々の共進化型AIの自律化レベルの開発ロードマップを引いています。そのフェーズ1として、AIに物事の良し悪しの価値基準を与える機構として能力判定システムを開発しました。次はその価値基準の元で人と一緒に学んでいけるパートナーAIを作り、その先はもっと自律化レベルが進んでいきます。我々は言語学習という事業ドメインを借りてこれを作っているとも言えます。AIによって人も進化するし、そのインタラクションの中でAIも進化する。これが、我々が掲げる「共進化世界」というビジョンです。

英会話能力判定テスト「LANGX Speaking」をリリース。次は「学習パートナーAI」の開発

―― これまでに歩んできた事業フェーズとKPIについてお聞きしたいです。

松山:フェーズ1では、人間の言語能力を判定・診断するAIとして「LANGX Speaking」をリリースし、PMF(プロダクトマーケットフィット)の達成を感じています。KPIは当然、能力判定精度です。日本人の英語学習者の習熟度判定に関して、ゴールドスタンダードに対して人間の専門家の一致率(カッパ係数)は約0.9であるところ、LANGX Speakingは0.97以上と高い精度を誇り、なぜそう判定できるか説明もできます。

―― 今はどのようなフェーズですか? 

松山:今はフェーズ2で、学習者を成長させながらAI自身も成長できる「学習パートナー」の開発を進めています。ここでのKPIは学習効果や学習の継続率、あるいはパートナー間の親密度です。私の研究の本領でもあり、好ましいと感じる相手と一緒に何かを学ぶこと、会話自体の楽しさを徹底的に追求したいと思っています。また、機を見て言語学習以外の領域にも進出したいと考えています。ヘルスケアやセールスイネーブルメントなど、特定の能力を測って人を成長させるあらゆるパターンに当てはまります。コミュニケーション能力の向上により職業的な価値が上がる領域には、我々の事業がフィットするはずです。

―― さらにその先のフェーズでは何を実現したいですか? 

松山:社会の中で自己進化していくCo-Worker型のAIです。ロボットなどの身体性を持って社会に出ていくかもしれないし、今開発中のバーチャルエージェントとして仕事したり、VRと組み合わせたりする可能性もあります。リリースするデバイスは市場に合わせて、その都度柔軟に選ぶつもりです。そこでのKPIは社会全体の生産性の向上や安全性・信頼性などで評価されるべきだと考えています。

―― AIが人の仕事を奪うのではないかという議論もあります。英会話事業においても、トップクラスの先生以外がAIに置き換わってしまう懸念はありませんか?

松山:ミクロ・短期的に見ればAIが人をキックアウトさせてしまう可能性は常にありますが、大事なのはやはり社会全体が幸せになったかどうかです。我々は「Designing the Next Society(次の社会をデザインする)」をパーパスに掲げており、人口や年齢の動態、産業の変化など、社会全体の動きをマクロに見ています。AIをリスキリングのために活用したり、AIとパートナーリングして人が何かを提供したりするようになれば、産業構造自体が変わるだろうと思います。AIの力を借りて、一人ひとりの創造性や生産性を上げる。人手不足を補い経済性を上げる。マクロに見れば使い道はたくさんあると思います。

宮村:我々のミッションは「人間とAIが共進化する」ことです。AIと人間が相乗効果をもって進化していく。リスキリングはまさにそうで、次の社会をデザインし、良くしていくためにあります。

松山:社会が良くなったかどうかが問われるべきなので、当座はミクロなマーケットで困っている人たちを支援できるようなことをしつつ、長期的には包摂的な社会になるように戦略を作らなければならない。一時的にでも、AIが導入されることによる副作用が出てきてしまうことは、ある意味で我々のビジネスが進んでいる証拠なので、覚悟してその矢面に立って責任を引き受けようと思っています。

ネクストソサエティ実現のために求める人材像

―― 今回募集するインフラエンジニアには、どういったスキルやマインドを求めますか?

松山:おかげさまで小中高や大学、自治体、英会話学校など様々なセクターからご要望をいただいています。リリースから約半年で1万数千人の方々にご利用いただき、来年以降は数十万人、何百万人と増える想定で、かなり早い段階でそれを賄うインフラが必要です。我々が作ったAI体験を、品質を落とさずそのままスケールしていくためのインフラを一緒に作っていただける方を求めています。

―― 具体的な要件としては?

松山:低遅延、高解像度、大規模同時接続、そして高セキュリティーな処理が必要です。もちろん情報漏洩があってはいけませんし、かなりセキュアかつスケーラビリティのあるAIインフラが必要です。現在はBtoB販売のモデルなのである程度はコントロールできますが、すでに完全に需要過多の状況なので、早急にインフラを整備しなければなりません。

―― フェーズ2では、パートナーAIとリアルタイムな会話も求められるので、低遅延・高解像度も重要ですよね。

松山:はい、我々は会話体験としてはコンマ数秒のラグもないことにこだわっています。人同士の会話だと、場合によっては相手の話を全部聞き終わる前に話し始めます。そのテンポに楽しさがあるので。

宮村:LLM(大規模言語モデル)でいうと、回答の生成に数秒のラグがあるChatGPTを補完するような技術を我々は持っています。そこをスケールするためにもインフラエンジニアが必要です。

―― となると、どんなところで活躍されてきた、どういうマインドの方が最適でしょうか。

宮村:大規模ECモールや音楽系サービス、ソーシャルゲームなどのインフラ経験がある方ですね。

松山:ユーザー体験にこだわれて、かつ実現するために何でもやるぞというマインドの方に是非来ていただきたいですね。エンドユーザーが本当に喜んだかどうか、それを技術で解決しようという心意気の人と一緒に仕事がしたいと思っています。

宮村:オープンなカルチャーなので、私自身も社長の松山に意見しますし、入社される方にも「これは違うのでは?」とどんどん言ってもらいたいですね。

松山:批判・ツッコミ大歓迎です。

―― ただただインフラを触ることが好きな、ちょっとギークな人でもいいのでしょうか。

松山:少なくとも我々のビジョンを仕様に翻訳し、技術として問題を解ける人がいいですね。いつまでにこれぐらいの容量のトラフィックを捌くという要望は提示できるので、それを職人的にやっていただける方であれば問題ありません。

―― クラウドだけでなく、オンプレを触ることはあり得ますか?

松山:あり得ます。原則はGoogle Cloudですが、例えば、研究フェーズではオンプレサーバーで機械学習モデルを学習することは常ですし、オンプレとクラウドでハイブリッドでシステムを稼働させることもあります。ただ、スケーラビリティを考えると基本的にはやはりクラウドですね。

―― 現時点の社員数を教えてください。

宮村:社員と業務委託を合わせて約30人、うち20名ほどがエンジニアです。

松山:現在社内メンバーの多くは複数の役割を兼務している状態なので、インフラを専業としているメンバーが少ないのが現状です。今は30名中、社員が14名なので、2024年は倍の30人、その次はさらにその倍を目指したいです。

宮村:ダイバーシティを推進しているので外国籍の方も多いですよ。ポーランド、スペイン、イギリス、アメリカ、中国、韓国などの出身のメンバーがいます。

松山:社内での会話は英語と日本語です。エンジニアチームは英語で会話することも多いですが、英語が話せなくても問題ありません。

日本での拡大と海外進出を支えるためにもインフラ整備が急務

―― 2〜3年後の目標として、どれくらいの規模のサービスを目指していますか? 

松山:今は月あたり数千人程度のアクセス数ですが、今後は数百万人が同時に使う可能性もあります。海外展開が計画されているので、能力判定テストだけでもそれなりの規模で、その先のサービスも含めるとデータストリームは増えるばかりです。

―― 海外展開の話題も出ましたが、今のドメインで拡大するのと、パートナーAIという技術を他のドメインにスライドしていくのはどちらが先でしょうか?

松山:日本から世界にインパクトを与えることが目的のひとつでもあります。日本のスタートアップとして世界で稼ぐためにも、まず現在の事業をアジア圏や欧米に展開することを計画しています。もちろん海外展開と並行して、次の事業も遅かれ早かれ進めます。でもインフラという観点からは、ドメインが変わっても会話エージェントが無数に会話をするのは変わらないので、基本的には同じインフラで大量のトラフィックを捌くことになります。

―― 最後に、このフェーズにいるスタートアップに飛び込む良さをアピールするとしたら何がありますか?

宮村:責任度や自由度が非常に大きいことですね。我々としてもどんどん任せていきたいと思っています。

松山:我々は世界で戦う意志を強く持っています。創業者も含めて海外経験が長い人が多く、海外の投資家やカスタマーとのつながりもあります。日本発のグローバルベンチャーを作る経験が、エキュメノポリスならできると思います。

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