【社員インタビュー】RPO歴10年以上のプロとして、本物のRPOサービスを日本にもっと広げたい
モジュール型の採用業務代行から、タレントアクイジション体制の支援に至るまで、RPOのディレクターやコンサルタントとして多岐にわたる活動をしている木津和 弘祐さん。リクルートでは、RPO事業の立ち上げ期より参画し、さまざまな業界・企業の採用活動を戦略設計からフルカスタマイズして支援してこられました。8年以上にもわたり、RPOサービスを核とするプロジェクトマネジメントを手がけ、多くの知見や人脈をお持ちです。
そのような木津和さんがどのようにしてキャリアを築き、今何を大切にして取り組んでいるのか。タレントアクイジションのプロフェッショナルがこれからの目指すべき社会について伺いました。
InterRace株式会社VPoS(Vice President of Solutions)
木津和 弘祐
2007年リクルート入社。新卒・中途向けメディア、人材斡旋、RPO事業、事業開発に従事し、マネジメント(課長・部長)、プロフェッショナル職を経験。RPO事業を立ち上げ期より参画し、HR領域の戦略フェーズから母集団形成、選考オペレーションまでのプロジェクトマネジメント、プロジェクトリーダー、コンサルティングを経験。世の中に存在するHRサービスに広い知見と人脈を持つ。2022年にInterRace株式会社に参画。株式会社KITSUWAの代表取締役としても活動。
――大学を卒業後、新卒で入社したのは教育系スクール。営業として1年目には最優秀新人賞を受賞し、2年目には最年少マネージャーに昇進するなど、順調にキャリアを重ねていたとのこと。しかし、次第に現状に物足りなさを感じ、より成長できる機会を求めて、転職を決意。そして2007年7月にリクルートへ入社。25歳で、HR事業の新卒領域にて営業担当になるが、リクルートに入社を決めた理由はどんなところにあったのでしょうか。
「業界を創ってきた会社で、自分の実力を試してみたい」と、25歳でリクルートへ転職
当時、エージェントを利用して、転職活動を行っていました。その際エージェントにオーダーしたのは、今にして思えば生意気ではあるのですが「業界を創ってきた企業や業界をリードする企業で、自分の実力を試してみたい」ということでした。
入社して最初に驚いたのは、先輩達の会話でした。前職では競合についての話や今期の契約をどう増やすかという短期的な事業の話がほとんどだったのですが、リクルートでは、「カスタマーや企業にとってより良いサービスにするためには、どうするべきか」や「社会を変えていくサービスとはどうあるべきだ」という社会や事業の中長期的なことを、まっすぐにそして熱く話をする人ばかりでした。
私自身は、先輩たちのそういった考え方や強い思いに刺激を受け、共感し、必死に学ぶことで、気づけばリクルートで配属された採用領域の仕事にのめり込んでいくことになりました。
――2012年、自ら志願して、RPOチームの立ち上げメンバーに加入。イチからのスタートだったが、その後RPOのディレクターとして、採用計画の立案から実行をフルカスタマイズで支援し、マネージャー、そして部長へ。その過程において、どのような案件に携わってきたのでしょうか。
採用ブランディングから関わった「大手商社、初の中途採用」
有難いことに、数多くの業界、業種のプロジェクトに携わらせていただきました。その中でも特に印象的だったのは、2つのプロジェクトがあります。1つ目は、大手商社の中途採用案件です。これまで新卒採用が中心だった大手商社・A社は事業領域の拡大フェーズに差し掛かっており、本格的に中途採用を行うタイミングで、受注したプロジェクトでした。
採用ブランディングの企画からチャネル選定、選考プロセス〜面接、内定承諾まで、トータルで関わらせていただき、採用活動をカスタマイズしていきました。
このプロジェクトでは、A社が初めて大々的な中途採用に取り組むことを訴求していくことも、採用ブランディングの一環としてあったため、通常とは異なるメディアや企画を展開して、世の中にメッセージしていきました。
例えば、某経済紙の一面を使って、採用広告を展開したり、リファラルパーティーなど話題性のあるイベントを企画・実行もしました。多くの人がSNSやニュースで取り上げていただいた結果、世の中の注目が集まる契機となり、非常に高い採用効果を上げることができました。
結果、最終面接の目標人数の約1.5倍を集められ、非常に優秀な人材を獲得することができました。また、新たな採用手法の成功事例として、リクルート社内でも、このプロジェクトが表彰を受け、私自身の実績にもつながりました。
「公共系サービス、年間2000名の営業採用」
もう1つは、公共サービス系企業B社の年間2000名採用を行う、大規模プロジェクトです。
ここで掲げている目標の採用人数は、リクルートのメディアだけでは達成できないため、他社の求人メディアも積極的に活用しました。全国各地での採用というプロジェクトでもあったので、 他社の各メディアや各エリアの方々にプロジェクトメンバーとして入っていただき、私がクライアントと各メディアをつなげる総指揮を担当させていただきました。
採用コンセプト、求人広告の企画・表現、選考プロセスなどの基本的な設計をした上で、細かな面接などの対応は、クライアントと相談しながら決めていきました。他社の各メディアや各エリアの方々を合わせると、総勢50名ほどの体制となりましたが、最後まで伴走し、成果につなげることができました。
――約15年のキャリアを築いてきたリクルートを離れ、ジョインしたのがInterRace。現在は、RPOのソリューション責任者やディレクター、タレントアクイジション体制の推進支援などを担当しておられます。HRのプロ人材として大切にしていること、RPOのプロとしての自身の強みをどのように捉えていらっしゃいますか?
真の意味でのRPOサービスを、日本にもっと広げたい
少子化で生産年齢人口が減り続け、年を追うごとに、超売り手市場となる中で、次々と新たな採用チャネルが生まれており、人事業務は複雑化・高度化しています。
そのような状況に反して、リクルートに在籍していた頃から感じていたのは、国内におけるRPOサービスの認知度の低さです。
企業の成長を考えると、「採用」は非常に重要な経営ファクターにも関わらず、自前の採用部門だけでは、自社の根幹を支えるコア人材の採用ができないケースも多い。
そう考えると、われわれのような外部プロによる、RPOサポートやタレントアクイジション体制構築の支援が欠かせないものになってきているのではないかとますます強く感じています。
そのため、今まで以上に実績を増やしていき、RPOサービスやタレントアクイジション支援の価値をもっと広めていきたいと思っています。
RPOサービスの普及は一人ではできない、仲間が必要
しかしRPOサービスの普及は、自分一人では到底できません。このサービスが当たり前にある世界を創出していくためには 同じような志や目標を持った仲間が必要になってきます。
InterRaceという箱の中でRPOサービスに携わっているのは、こうした理由からです。InterRaceには、私たちのようなプロのHR人材が数多く在籍しており、連携しながら、より最適な座組で、各企業のニーズや課題に合わせて、最適な手法や施策を提案することができるんです。
チームの力を引き出して、総力戦で価値を返すことが大切
仲間が必要だからこそ、RPOサービスではプロジェクトマネジメント、リーディングがとても大切です。
私の場合、まずはプロジェクトの目的やゴールをチームで共有するために、最初にプロジェクトのキックオフを必ず行うようにしています。各人のやりたいことが、チームの求めることと一致せずに、二律背反になることも少なくありません。
例えば、スカウトソーサーが良かれと思って、新たにやろうとしたことが、選考オペレーションの担当者に過度な負荷をかけてしまうこともあります。常に全体共有の場でしっかりと意見をすり合わせて、チームのゴールと各人のゴールをきちんと捉えて、繋ぎ合わせることを意識しています。
目まぐるしく変わる採用手法、最新情報は常に把握する
また個人としても、指示・指揮を執る上で、現場感、最新の情報などアンテナを常に張り、自分の刀をいつでも出せるように、日々磨くことは怠らずに取り組んでいます。
採用業務が多岐にわたる上に、常にさまざまなチャネルや職種などが誕生しています。それこそ、私がRPOサービスに関わった8年前には、スカウトソーサーという職種はなかったくらいです。
HRのプロの人たちと定期的に話をする機会を意識してつくり、情報共有はもちろん、新しいスカウトサービスや新しいエージェントなどもこまめに収集して、見つかれば個別にコンタクトをとるようにしています。
私たちがプロジェクトに入ることで、HRサービス各社の本気を引き出すこともできる
また、外部パートナーとのつながりも、価値を出すために非常に大切にしているポイントです。
今も含めて、これまでRPOサービスに長年携わり、業界・業種、会社規模にこだわらず、クライアントの採用戦略、母集団形成、選考オペレーションなどの策定から実行までを一気通貫で行ってきましたが、そのなかで総合型エージェント・特化型エージェント、さらには求人メディアの営業など、約300社以上の人材ビジネス業界の人たちとパートナーを組んできました。
リクルートに在籍しながらも、RPOサービスを通じて、競合他社とも強固なネットワークを持つことができたのは、私にとってのかけがえのない財産であり、強みになっています。
そのような背景もあり、ありがたいことに、エージェントや求人広告の営業の人たちにとっては、プロジェクトにRPOのディレクターとして私たちが入ることが、採用の本気度を測るバロメーターになっているケースも多くあります。
実際、エージェントからは「紹介者が決まりやすい」、メディアにとっては「よりたくさん使ってもらえる」ということにつながるため、「専属でエースをつけたので、RPOの案件は今後もぜひお声がけください」というやりとりが自然と生まれてきます。私たちが橋渡し役となって、エージェントやメディア、そして企業とのWin-Winな関係性が築けるようになるわけです。
――InterRaceにジョイン後もデジタルマーケティング、商社、メーカー、医薬品など多種多様な企業の採用支援を行ってきました。採用目的も女性活用、採用DXの推進、新会社の工場立ち上げなどさまざまです。そしてこの先、RPOのプロ、タレントアクイジションマネージャーとして、どのような世界を目指すのでしょうか?
個人で活躍するHRプロ人材が集まる場を作りたい
HR領域は、個人でエージェントやリクルーターをやっている人が相当数います。
取引先であるクライアントから新たなチャネルへの取り組みを依頼されたが、一人で担当しているので、相談する相手もおらず、悩みながら対応しているという声をよく聞きます。
そのような背景もあり、InterRaceでは、オフィスでのランチミーティングや、夜の気軽な飲み会など、HRのプロ人材を招く場を意識して持つようにしていますが、やはりそこでも色々な悩みが噴出します。
ぜひ、そういった悩みを持つプロ人材たちとも一緒に仕事をしたいですし、同業のプロが持っているノウハウやスキルを吸収し合って切磋琢磨していってほしいと思います。
副業や業務委託など、働き方のバリエーションが多様になってきましたが、まだまだ採用について任せられる人は非常に少ない、足りないと私自身は思っています。そのため、横連携でお互いに成長することが大切だと思うのです。
日本にRPO、タレントアクイジションを広げる。そのためにInterRaceがある。
私の思いは、RPOやタレントアクイジションの認知度を上げること。日本に広げること。そのために、InterRaceがHRのプロ人材をつなぐプラットフォームとなり、HR領域を任せられるプロフェッショナルな人材が当たり前にいる状態を創ることが大切だなと思っています。
クライアントの採用現場は、大手企業を中心にいまだにジョブローテションで定期的に異動があり、社内に採用ノウハウが定着しない状況です。
では外部パートナーを頼るかとなると、大手の人材サービス企業は自分たちのサービスやチャネルを武器にその領域だけで勝負しますし、個人のHR人材は、ほとんどが自分一人で食える領域だけで完結しようとなりやすい。
こうした背景から、採用領域はプロのRPOディレクターやリクルーターがまだまだ求められているはずですし、そういう人材が活躍できる白地マーケットも広大にあると感じています。
これから時間をかけて、プロのHR人材と連携しながら、クライアント(企業)の成長にコミットする実績を積んでいきたい。そしてその先に、タレントアクイジション体制の構築支援やRPOサービスを、必要十分に提供できるチームをたくさん創っていきたい。
それが、私個人が目指すRPOの普及にもつながると信じています。