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【代表インタビュー】“農業を通じて人を幸せにしたい” 家族から受け継いだ信念が、挑戦へと変わる<前編>

はじめまして。有限会社信州ファーム荻原の採用広報担当です。この記事は、農業の働きがいや、信州ファーム荻原がどのような思いでお米作りをしているかをお伝えするために作成しています。

今回から2回に分けて、代表の荻原昌真さんが持つ、お米作りへの熱い思いを紹介します。
具体的には、このような内容を語ってもらいました。

・荻原さんがお米作りに懸ける思い
・実家の農家を継ぐと決断するまでの迷い
・失われた父の左手をきっかけに法人化した経緯

荻原さんの価値観や、お米作りに対する熱い思いを覗ける記事となっています。ぜひご覧ください。

プロフィール

荻原昌真's Wantedly Profile
有限会社信州ファーム荻原, 代表取締役
https://www.wantedly.com/id/masachika_ogihara

「人に喜ばれる農業がしたい」祖父の代から続く信念を胸に

魂を込めて育てたお米を通じて、一人でも多くの人を幸せにしたい
これは、私がお米を作るうえで最も大切にしている想いです。

一般的に、時間をかけて丁寧に育てたお米は、どうしても高い値段で販売されます。そのため、本当に良いお米を口にする人は自然と限られてしまう。ご家族が多い家庭は特に、こだわり抜かれたお米や、無農薬のお米を購入する機会は少なくなるでしょう。

しかし私は、全身全霊をささげたお米を、どうか一人でも多くの子どもたちに食べてほしい。血のにじむ努力で育てたお米を、笑顔で思いっきりほおばってほしい。その一心で、無農薬のお米を少しでも安く提供する方法を研究しています。

実際に、管理コストを抑えたり、無農薬栽培を大規模展開したりという企業努力の末、多くの方にお届けしやすい価格での販売が可能になりました。

そんな気持ちで取り組んでいる農業ですが、実は荻原家の農家は祖父の世代から続いています。祖父や父は、「自分たちが儲かればいいのではなく、人に喜ばれる農業がしたい」という姿勢で日々働いていました。そんな姿が、幼き私の目にしっかり焼き付いていたのです

「人のために働くこと」を決して口にする人たちではありませんでしたが、彼らの背中がそれを物語っていました。そして、今では2人の想いが自然と私の信念と重なっています。

今でこそ誇りに思い、多くのことに挑戦している農業ですが、はじめから全てが上手くいっていたわけではありません。ここに来るまでには、たくさんの迷いや苦労がありました。

熱中していた業界への憧れを、そっと胸の奥にしまった卒業時

私が通っていた高校は、農業とは全く関係のない工業系の学校。電子機械科で、制御技術を勉強していました。制御技術とは、機械や情報、技術などを掛け合わせ、人の力ではできないことや、正確な作業を補助する技術のことです。

単純に機械が好きだったわけではなく「機械を使って、人の幸せに貢献ものを開発する」点に興味を持っていました

高校卒業後は、制御技術をより専門的に学べる短期大学に入学し、ソーラーカーのレースに出場したり、自律型のロボットコンテストに出てみたり、とにかく制御技術に熱中していましたね。友達との時間や部活動よりも、専門的な勉強が本当に楽しかったんです。

短大卒業後は、工業系の会社に就職するか、すぐに実家の農家を継ぐか、少しの迷いがありました。一旦憧れの企業に勤めてから、その後農家を継ぐこともできる。一度でいいから、大好きな技術を活かした仕事をしてみたい……。しかし、それでは一度入社した会社にも失礼ですし、何よりも中途半端になってしまう……。そうして自分の気持ちに踏ん切りをつけ、私は卒業後すぐ農業に専念する道を選択しました。

就農してからの3〜4年、年齢でいえば23歳くらいのときは、農業に対してそれほどの熱量はありませんでした。目の前の仕事には一生懸命取り組んでいましたが、自ら営業に出向いたり、新しい商品を開発したりということはしていなかったんです。

ただ、周りの友達を見渡すと、当時憧れていた開発エンジニアとして活躍する人、より多くの給料を稼ぐ人がたくさんいました。そんな友達を見て、「自分の手で夢を掴み取った友達」と「なんとなく流されて家業を継いだ自分」という構図になっている気がしたんです

私のことを本気でそんな風に思っていた人はいなかったと思いますが、「自分の人生を自分で切り拓く人」を目の当たりにし、かなり刺激を受けたんです。それからやっと「自分が本当にやりたいことはなんだろう」と考えるようになりました。

学生時代に憧れていた開発エンジニアと、家業である農業が“リンク”した瞬間

ただひたすらお米を作るのではなく、「こんな商品を作りたい」「こんなお米が喜ばれるのではないか」とお米を作る目的意識を持ち、徹底的に研究を重ね、栽培するようになりました。

イメージ通りのお米を作り上げるため、実際に土を作り、種を蒔き、人を集め、機材を揃える。そして、自分自身が作りたかったものを一つひとつ形にしていったんです。もちろん、はじめから100点満点のお米ができることはありません。しかし、私はこの経験を通して、開発エンジニアに憧れを持っていた頃の自分とリンクしたんです。

つまり、自分でイメージした商品を計画し、設計書を書き、実際に作ってみる。そして、その先には商品を購入して喜んでくれる人がいる。私は、機械を作りたかったのではなく、誰かが幸せになるものを作りたかった。それが今、形になっている。そしてこのとき、学生時代から抱いていた「ものづくりに対する想い」を最大限活かせていると気付いたんです。

そんな経験を経た私は、長野県でのお米作りに留まらず、ECサイト運営やスマート農業、無農薬の大規模化、インドネシアや沖縄県石垣島での農場など、様々なことに挑戦するようになりました。ただ、私がこの挑戦意識を持てるようになったのは、ある出来事があったからなんです。

両親の大きな背中を見て、どんなことも乗り越える価値観が身についた

私が小学5年生のとき、荻原家に思いがけない不幸が起こります。

当時、荻原家は専業農家でした。ですので、いわゆる労働力は父や母などの家族だけ。そんな状況の中、農作業をしていた父が、突然左腕を失いました。

誤って機械に腕を巻き込まれたのが原因です。父は作業場から玄関に駆け込み「救急車、救急車!」と叫んでいたのを今でも鮮明に覚えています。なんとか病院に運ばれ一命をとりとめましたが、父の左腕は今もないままです。

左腕を失った親父と、それを支えていたおふくろ。2人は、今後農家をどうするのか、荻原家として正しい選択は何か……と頭を悩ませていたと思います。しかし私の目に映った親父とおふくろは、あたかも迷いなどないかのように、農業を続けることを決断しました。

そんな荻原家が農家として生計を立てるためには、人を雇用し、設備投資を増やし、販路を増やさなければいけない。それを叶えるためには、法人化する必要がある。当時は農家が法人化するのは珍しく、拭いきれない不安がたくさんあったでしょう。しかし、両親は決して臆することなく、これらを全て叶えるために農業法人を設立したのです。

私は小学5年生にして、両親の大きな背中を深く心に刻みました。左腕を失ったからといって祖父の代から続く農業を諦めるのではなく、“新しい挑戦”に立ち向かう。家族の強くてあたたかい決断を目の当たりにし、私の中に「どんな困難でも乗り越えられる」という価値観が芽生えたのです

ですから、今でも私は「新しいことにどんどんチャレンジする姿勢」を大切にしています。何かを始めるにはリスクが付き物ですが、やってみなければ失敗するか成功するかなんて分かりません。事前に「失敗しそうだ」と判断できるほどの経験もセンスも、私にはありませんから。

だからこそ「やりたいことには全力で取り組み、どうするかはその後考える」という気持ちで何事にも挑戦しています。現在、私にはやりたいことが山ほどあり、今後はそれを形あるものにしていくのが楽しみで仕方ないのです。

まとめ

荻原さんがお米作りに懸ける信念や、新しいことに挑戦する姿勢が垣間見えたのではないでしょうか。荻原さんへのインタビュー記事は、後半にも突入します。後半の内容は、以下のとおり。

・より多くの人に美味しいお米を届けるための新しい取り組み
・信州ファーム荻原で一緒に働きたい人
・無農薬のお米を食卓に届けることのやりがい

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