株式会社GROOVE 代表取締役社長 田中謙伍
アマゾンのトップセールスから年商30億円のECコンサルティング会社へ
株式会社GROOVEは、アマゾンへ出店するメーカー・小売り系の企業を中心に、EC事業のコンサルティング全般を行っています。具体的には、市場調査やデータ分析にもとづいた戦略立案をはじめ、広告の制作や運用、さらには商品企画・開発から製造、在庫管理から物流まで、バリューチェーンのすべてを最適化する支援をしています。2015年に設立し、4期連続で増収増益中。年商は30億円を達成しました。
単にECコンサルティング会社、というと色々な会社様があるのですが、GROOVEにはクライアント様に選んでもらっているユニークな強みが3つあります。
1つ目はアマゾン理解度の深さ。私はアマゾンジャパンに新卒一期生として入社し、2年間に渡りトップセールスを経験しました。私以外にも、弊社にはアマゾンジャパン出身者が何名もおり、セラーサービスだけではなく、リテール事業や広告事業の経験があるメンバーもいるため、アマゾンを網羅的に攻略することができています。またオフィスもアマゾンジャパン本社に近い目黒にあり、中にいる方々とも定期的に絡む機会があります。
2つ目は、商品を「作って」「売って」「改善する」すべての工程においてコンサルティングが可能なこと。GROOVEはもともと、私がアマゾンジャパンにいたときに副業で商品を作って売ることから始めたビジネスでした。2年目で年商3億を達成したとき、アマゾンに出店している優秀な販売事業者を表彰する、“アマゾンマケプレアワード2016”にも選出されました。アメリカで開催された、数千社もの販売事業者が集うサミットにも招待され 、さまざまなディスカッションを行うなかで、「自分たちのやり方は間違っていない、むしろほかよりもレベルが高い」と確信。実績が知られるようになると、ほかの企業からコンサルティングの依頼を受けるようになったのです。元々自分たちがメーカー小売り、いわゆるD2C事業者だったので、当然上流から下流まで、ワンストップでサポート、運用できる知見と仕組みを持っています。
3つ目は、変化の激しいEC市場の中で常に情報や戦術をアップデートする仕組みがあることです。これは常時50社以上のクライアント様を見させていただいている中で得られるものもありますが、実は私直下の研究機関を持っていることも大きな理由です。これも自分たちでもともと商品を販売していたことに起因するのですが、常に自分たちでECの新しいツールや戦術についてアップデートすることに投資をする必要がありました。
例えば、アマゾンのキーワードのアルゴリズムが変更になったとき、全カテゴリのキーワード入力ロジックをすべて手作業で確認し、その当時アマゾン内部で働いていたメンバーよりも詳しいロジックを解明することができました。直近ではアマゾンのみならずSNSやアフィリエイトとも連携した、トータルWebマーケティング手法が重要となってきており、日々新しい知見をため込んでおります
アマゾンジャパンの売上は、2023年に5兆円に到達する見込みです。私たちは強みや知見を生かして、アマゾンのシェア1%を獲得し、2023年に流通総額500億円を目指していきます。
全てを失い見つけたビジョン「日本のモノづくりをアップデート」
私は大阪・泉州で、5代続いてきた繊維メーカーの後継ぎとして生まれました。大学3年のとき、癌に倒れた祖父の看病をしながら交わした会話が、次期経営者としての使命感を強くさせました。
「戦後、日本のメーカーの躍進と共に、会社がどのように発展を遂げたか」
「紡績市場が中国や東南アジアの企業に奪われていくなかで、どのような厳しい経営判断があったか」
「未来に向けてどのような不安があるか」
祖父の話を聞きながら、これから会社が生き残るために必要なことを学生なりに考えた結果、市場に合わせた商品の開発や、ECや海外展開による新市場の開拓など、新しい挑戦が足りていないと気づきました。安くて良いものを作れば売れる、という時代は、もう終わっていると感じたのです。
最新のビジネスを学ぶべく、アマゾンジャパンに就職した2週間後。当時、家業の代表だった親戚に呼び出され、大幅な事業転換と経営陣買収(MBO)により、私の後継ぎの権利が消失すると説明を受けました。その瞬間、私の人生設計は崩れ去ったのです。
目標を失った私は、一心不乱に目の前の仕事に没頭しました。私の配属先は、楽天市場やYahoo!ショッピングに出店している販売事業者を、アマゾンマーケットプレイスに誘い、コンサルティングをして売上げアップの支援をする事業部。皮肉にも、私が家業のために考えていた改善案を、クライアントに提案する役割でした。
なくした目標をクライアントに重ね、生きた提案を心掛けた結果、何社かは爆発的に売り上げを伸ばし、私はチームのトップセールスになれたのです。数字としての成果だけでなく、クライアントからの信頼や感謝、パートナーとして事業に貢献できたことに、大きな喜びを感じました。このときに、私は「日本の良いものを売る」にこだわり続けたい、と思ったのです。自分たちが新しく商品開発をしてもいい、そういった商品を作れるメーカーのサポートをしてもいい、と。アマゾンを離れた現在も、この思いは変わっていません。
オフラインでの商取引の流通量は、年々下がっています。一方でEC市場は拡大を続け、日本国内で約12兆円、世界では約400兆円にまで拡大しています。ECプラットフォームは、単なる販売チャネルではありません。消費者の声をダイレクトに拾うことができ、広告を通じて多くの人に商品を見てもらえます。ECの価値をフル活用できれば、チャンスや可能性は計り知れません。そんななか、成長を続けている筆頭がアマゾンです。アマゾンを活用することは、海外市場も狙えるため、国内メーカーにとってポテンシャルが非常に大きいのです。
一方で、EC販売の競争も激化しています。特に、中国をはじめとする海外企業は、日本のEC市場にかなり力を入れています。対抗できている国内メーカーはわずかで、販売シェアを奪われ続けていることに、私は危機感を覚えています。
カリフォルニアロールは、日本から広まった寿司が、海外でローカライズされ定着したメニューです。このように、そのマーケットにはそのマーケットに適したカルチャー、購買行動、お客様のニーズがあります。[植田6] これからは日本が、海外市場に向けた商品開発や、販路の変化などに対応し、自ら仕掛けていく必要があります。その支援を行い、「日本のモノづくりをアップデート」することが、私たちのビジョンです。
社会や産業を、アマゾンとともに変えていく
最後に、GROOVEで働く魅力についてお話します。まずは、モノづくりに携われること。アマゾンには実に多くの商品カテゴリーがあり、それぞれの消費者に思いがあります。こんなものがほしい、あんな困りごとを解決したい……といったニーズを、アマゾンというプラットフォームに、私たちの知見や工夫を掛け合わせていかに満たすか。そこにはまさに、モノづくりの面白さがあるのです。
不確実性に対応し続けていくことで、自分自身も成長させられます。変化し続けるEC業界では、成功のための法則がありません。求められるのは、アナロジー思考です。例えばプロジェクトAで、戦術Xを用いて成功したとします。しかし、プロジェクトBでも戦術Xを使い、うまくいったとしても、喜ばしくありません。なぜならひとつの成功体験に依存し、プロジェクトCでも戦術Xを用いて、失敗する可能性があるからです。プロジェクトAで得た知見を、Bでも生かせないか仮説・検証し、新たな戦術Yを実行していく、というような、不確実性に対応するスキルが必要です。
実際にGROOVEでは、他業種・他業界からの転職者が多く活躍しています。EC業界は未経験でも、持っている知見を自分の業務に当てはめ、アプローチ手法をアップデートして、成果につなげている社員が多くいます。知的好奇心が高く、周囲からのフィードバックを素直に吸収できる人は、やりがいも大きく、成長スピードも早いでしょう。
自由な働き方も弊社の特徴です。コロナ以前から、約20名の社員がリモートで働いています。地方でシェアハウスを経営しつつ、弊社で活躍している社員もいるんです。
これから第4次産業革命が訪れ、人々の生活や消費者の行動は大きく変容していくでしょう。その中心地にあるのが、アマゾンです。同社はECプラットフォームだけでなく、家や自動車、物流などにも投資し、まさにテクノロジーで社会を変えようとしています。私たちも、日本のモノづくりの力や可能性を信じ、アマゾンの発展と共に自分たちを成長させていきます。社会や産業の変化をただ眺めているだけでなく、当事者としてともに変えていきたい、という思いのあるあなたを、私たちは心より歓迎します。