「そのヘルシーって、どういう意味で言ってる?」
・・・これは先日、社内のとあるプロジェクトの打ち合わせ中に実際に交わされた会話です。
「お客さんから、『ヘルシーなもの』を要望されています。だから、カロリーが低くてビーガン対応のものを提案しようとしています。」
このとき、「カロリーが低い」「ビーガンに対応」
・・・これらが「ヘルシーである」ことと同じ意味で議論が進み始めたので「あれ?」と急に違和感を覚え、「ちょっと待って!それはお客さんが言っていることなのか、うちが勝手にそう解釈してるのか、まず確認しよう」となりました。
「カロリーが低い」「ビーガンに対応」
これらは一見ヘルシーそうな感じで通してしまいそうが、よく考えると、全人類にとっての「ヘルシー (健康的) である」とは限らないばかりか、逆に不健康である意味にもなりえます。
「カロリーが低い」はヘルシーでしょうか。
カロリーとは、人が生きるために必要なエネルギーのこと。呼吸したり筋肉や内臓や脳を動かしたりするのにもエネルギーが必要です。カロリーの正体は、からだに必要な栄養です。太っている人は、摂取カロリーを減らして体脂肪量(≠BMI)を減らせば生活習慣病を予防できて健康に近づきます。
カロリーが「過剰摂取になりがちな」日本人や先進諸国の人々にとってはたまたま、「カロリーを抑える」→なんやかんやあって→「ヘルシーである」という文脈でも成り立っていますが、極論すると今この瞬間も地球のどこかで2秒に1人が生命維持のために必要な栄養が摂取できずに亡くなっています。
僕ら日本人は、栄養の摂りすぎで逆に悩んじゃっているという、なんとも贅沢な話です。
(ちなみに僕はPFCバランスで見ているので、カロリーがもっと多くほしいな、と思う時もあります。そういう人はいます。)
同じく「ビーガン」についても。
食生活がビーガンに変化すると、動物性の油を摂らなくなり野菜の摂取量が増えるので癌や糖尿病のリスクは減り、ダイエットにも向いていると言えます。
反面、ビタミンD、ビタミンB12などの動物性食品に主に含まれる栄養素は摂りづらくなります。「カロリーが低い」「ビーガンに対応」は一見ヘルシーそうだけども、必ずしもそうじゃないし、結びついてない。
なので冒頭の事例の場合、間違いが起こらないように、
お相手によってそれが本当に正しい提案かどうかをよく見極めて対応する必要がありそうです。
(お相手が言っている「ヘルシー」はもっと別の意味かもしれませんから)
最近日本で流行ってる「低糖質」「グルテンフリー」などはどうでしょうか。
やはり同じくで、それがその人に合っているかどうかは本人にしかわかりません。食べ物選びは人それぞれで、絶対解のない世界。食の価値観は実に多様です。
消費者側がビーガンでいることと、販売者側がビーガン対応食品を売ることは意味が全く違っていて、「摂り入れるかどうかの決定権」は消費者側が持っています。
とかく二極論で語りがちな日本人は「これがいい」という噂を聞くと「それが絶対いい」という盲信に走る傾向があるように思います。
販売者側としては健康訴求として言えるワードが多い方がいいのですが、結局は消費者側が判断して決めなきゃいけないことです。
「いや、一般的にヘルシーって言ったら『低カロリー』のことでしょ、そんくらい説明させんなよ、空気読めよ」という意見もまだまだ多そうな日本の実態ですが、、、
ここの一般的な視点への目線合わせはマーケティング的には必要だと感じながらも、誰にとっても正しく食選びができるリテラシーの高い社会の到来を予見しつつ、いやそれ自体をF&Pが創っていくんだぜという気概で今日も仕事に励みます。
(この記事は、2022年2月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)