プロフィール
ソフトウェアエンジニア
宮崎 瑞貴(みやざき みずき)
新卒で医療機器のエンジニアとして就職。その後ソフトウェアエンジニアとして転職し、アプリ開発に携わる。2024年4月にスリーエス株式会社に入社し、自社開発している定期巡回に特化したプロダクト「PORTALL」の新規開発業務に従事。
──宮崎さんのこれまでの経歴を教えてください
高専を卒業後、X線医療機器のエンジニアとして約3年間、医療機器の保守・設置に従事しました。しかし、担当していたハードウェアの保守という仕事ではお客様の要望に十分に応えられないことが多く、よりお客様に寄り添った仕事がしたいと思い、ソフトウェアエンジニアとして転職しました。そこでは金融や通信教育のアプリ開発業務に8年間携わりました。現在は本業としてスリーエスに勤めながら、個人の活動としてゴルフ場や保育園の検索サイトの開発も行っています。
──なぜ転職しようと思ったのですか?
出産を機に、利益を追求するよりも社会に貢献する仕事をしたいという思いが強くなったからです。前職で教育事業に携わっていたため、もともと福祉には関心がありましたが、子育てを通じて保育や福祉などエッセンシャルワーカーの方々と接する機会が増えたことも、その理由のひとつです。
そういった方々は社会に欠かせない存在であるにもかかわらず、現行の社会制度では待遇や労働環境に課題があることに疑問を抱き、何か自分にできることはないかと考え、転職を決意しました。
──宮崎さんがスリーエスに出会ったきっかけは?
転職サイトでCTOの川崎さんからスカウトをいただいたことがきっかけです。福祉業界にもこんなに有望なビジネスモデルがあるのかと驚きました。働く人にきちんと利益が還元される仕組みを作り、業界構造を変えていくという想いに共感し、面談を受けることにしました。
──スリーエスに入社を決めた理由は?
人の役に立ちたい、社会に貢献したいという思いが強かったので、定期巡回という社会的意義のある事業に強く惹かれました。
現在の上司にあたる川崎さんと面談をしたのですが、優しく柔らかい雰囲気でとても話しやすく、この人と一緒に働きたいと思いました。また、近い時期に2人目の子どもが欲しいと思っていたので、入社してもすぐに抜ける可能性があることを正直にお伝えしましたが、それでも快く承諾してくださったことも大きかったです。
──宮崎さんの仕事内容を教えてください
現在のメイン業務は、自社開発しているPORTALL(ポータル)というソフトウェア内で、汎用的な帳票を簡単に効率よく作成できる新機能の開発です。具体的にいうと、入力したデータを元に、研修報告書・介護アセスメントシート・褥瘡(じょくそう)計画書などの書類を、事業所ごとの独自フォーマットで出力できる仕組みを開発しています。その他、ケアマネジャーの方たちのポータル利用状況を把握しやすくする機能の開発など、ニーズに応じて細かな改修・改善をしています。
──実際に入社してみていかがでしたか?
スリーエスに入社して一番良かったと感じているのは、アプリの向こう側にいる人たちとの距離が近いことです。私は現場を一番に考えることを大切にしているのですが、社内では介護職の方がユーザーですし、社外ではPORTALLを導入してくださっている企業の方たちがユーザーです。エンジニアではありますが、介護ケアの現場に同行したり、新規事業所の立ち上げに関わったりなど、現場の介護職の方と直接お話しする機会がたくさんあります。そういうリアルな場を実際に感じながら仕事ができるのが、スリーエスの大きな魅力です。
また、導入企業様への技術サポートとして、小豆島にも行きました。定期巡回をしている介護職の方やコンサルの方とお会いして、仕事に対する熱意にすごく刺激を受けましたし、「こんなに良い仕組みは他にはないよ」とお褒めの声をいただいて、私ももっと頑張ろうと思いました。直接フィードバックをいただけると、業務を進める上でとても大きな励みになります。
──まさにユーザーファーストを実現しているのですね。ユーザーからの感想でうれしかったことはありますか?
アウケアホームの職員から、「家族とケアマネジャーのPORTALLへのログイン履歴を確認しやすくしてほしい」という要望があり対応しました。その後すぐに、「ログイン頻度が低い方に対するフォローがしやすくなった」「システムを頻繁に閲覧してくださっていることがわかり、ご家族との距離も縮まった」といった感想をいただきました。
要望から実装まで迅速に行えたことで、良い結果が早く表れたことをとても嬉しく思っています。これは、現場と開発者の距離が近いからこその体験だと思いました。
社内では、介護職の方から使い方の相談や不具合の問い合わせを、Slackの相談チャンネルで受けることが多いので、何に困っているのかを直接聞くことができ、すぐに対応できるのもうれしいです。
また以前、コーポレート部門から追加機能の要望をもらった時に、1ヶ月という短い期間でリリースできたことを喜んでもらいました。スリーエスではリリースまでの流れがきちんと整っているので仕事が進めやすいんです。大きな会社になると、エンジニアは職種ごとに分業されてしまうので、ユーザーの声を直接聞く機会が少なくなり、要望の真の意図がわからない状態で開発業務を進めることも多いです。でも今はユーザーとの距離が近いので、仕事の背景や意図が分かりやすく、納得感を持って改善を進められるのがありがたいです。
──入社してから現在までの仕事はどのような内容でしたか?
一番初めは副業として携わったので、小さな機能改善などの軽いタスクを受け持ちました。例えば、それまで訪問キャンセル理由は介護職の方しか閲覧できなかったのですが、ご家族の方も閲覧できるように改修したり、あとは利用者一覧の検索機能の改善などの業務を任されました。上司の川崎さんにペアプログラミングしてもらい、不明点は都度確認しながら仕事を進めました。正式に入社した後は、介護現場への同行やクライアントへの訪問など現場に近い業務になりました。
──実際に働いてみて、エンジニアチームの雰囲気はどうですか?
優しくて穏やか、明るい人が多いチームだと思います。私だけが地方に住んでいてリモートなのですが、それでもみなさん飲みに誘ってくれたり、Slackで積極的に声をかけてくれるなど雑談の場もこまめに設けてくれるので、とても温かくて働きやすいです。
──宮崎さんが仕事で大切にしていることはなんですか?
自分の意見をはっきり伝えることです。でも実は以前の職場では、自信がなく間違えたら恥ずかしいという思いから、違う意見を持っていても意見を言わないようにしていました。ですがスリーエスのエンジニアチームは、みんながお互いの意見を尊重し受け入れてくれるので、安心感を持って意見を素直に言えるようになりました。
──スリーエスでエンジニアとして働くにはどんな方が向いていますか?
会社がスタートアップのフェーズなので、興味の幅が広く、自分でなんでもやりたいという人に向いていると思います。ユーザーヒアリング、要件設定、UI設計、コーディングなど、色々な仕事があるので、フルサイクルエンジニアを目指す方に向いている職場です。
──スリーエスに入社して変わったことはありますか?
入社してから、はじめて介護保険について学びました。やはり介護業界の会社なので、社会の仕組みに敏感になりますね。その影響もあって政治にも関心を持つようになりました。日常生活の中でも、世の中の仕組みや社会の動きに対するアンテナが自然と張れるようになったのは、今の会社だからこそ感じられる変化だと思います。
また以前までは、自分の生活を優先して自立した人生を送ることができればそれでよい、と思っていたのですが、この業界に入り介護の現場をみてからは、地域のことを意識するようになりました。人間はひとりでは生きていけないし、家族がいても孤独を感じることがありますよね。自分もいずれ老いていくことを考えると、誰もが安心して老後を迎えられる社会を作っていきたいと思うようになりました。
──そのために宮崎さんが実現したいことはありますか?
仕事ではエンジニアという立場で、全国に定期巡回の良さを広めていきたいです。プライベートでは、地域の人たちが交流できるイベントを開きたいとも思っています。例えば、プログラミングやスマホ教室などを企画して、子どもとお年寄りが交流できる場所を作りたいです。年代関係なく地域の交流が深まれば、介護も子育てももっと安心してできる世の中になると思います。自分の家で望む形で最期を迎えられるように『子育てや介護を地域でしていく』という考えが広まるとよいなと思っています。仕事と個人の両方の活動を通じて、そういう考えを少しずつ広めていきたいです。
──宮崎さんにとってすごい変化ですね
スリーエスに入って、人生の視座が上がりましたし、都会に住んでいた時とは価値観が変わりました。ちなみに最近は、ご近所付き合いを頑張っています(笑)。近所の方に畑を借りて、みなさんとお話しながら作物を育てたり、草刈りをしています。地域の方に子育てを助けてもらったり、日々の交流を通じて、身近な人たちや社会の変化を敏感に感じたいと思っています。
──最後にこの記事を読んでいる人に伝えたいことはありますか?
弊社にはスタートアップによくあるおしゃれなオフィスや豪華な福利厚生はありませんが、その代わりに今の介護業界を変えたいという熱意のある人がたくさん集まっています。これから先、定期巡回は確実に世の中をより良い社会に変えていく仕組みです。
福祉業界はIT化が遅れているレガシーな業界だからこそ、自分たちで新しい仕組みを作れるチャンスがあると思います。ここを一緒に変えていける仲間が増えることを楽しみにしています。人は誰でも老いてゆきます。自分の親や自分が老いた時に、こうあってほしいという理想の世界を、一緒に実現したいという仲間がいたら、気軽にお声かけいただきたいです。