「サラダボウルで、持続可能な未来をつくる。」を掲げ、急成長を遂げる株式会社WithGreen。今回は、兄弟で共同創業し、人材戦略の要となる武文謙太さんに、食への情熱から始まった起業の経緯、独自の人材育成方法、そして飲食業界に新風を吹き込む経営哲学について語っていただきました。
食への情熱が導いた挑戦|兄弟で挑む日本食の世界展開
ーー ご兄弟で共同創業された背景や経緯は何ですか。
私は大学時代から、食べ物以外を仕事にしないと決めていました。単純に、他のことにあまり興味が湧かなかったんです。でも、自分で何かを始めるというよりは、まずはさまざまなことを学べそうな食品メーカーに就職しようと考えました。
前職には本当に満足していて、今でも素晴らしい会社だと思っています。ところがある日、兄が私に声をかけてきました。「日本食を世界に広めるか、それとも新しいサラダの概念を日本に持ち込むか。日本の食の可能性を追求していきたい」と。
その瞬間、胸が高鳴りました。食に関わり続けられることはもちろん、日本の素晴らしい食文化を世界にアピールできる。これは本当にワクワクする挑戦だと感じました。
決断は早かったですね。兄の話を聞いた翌日には、会社に辞める意思を伝えました。食への情熱と、新しい可能性への期待が、私をこの大胆な一歩へと導きました。
今、兄弟で力を合わせて、日本の食の魅力を世界に発信する仕事ができることに、大きなやりがいを感じています。
人生の選択肢を増やす仕事づくり|社員の成長が会社の未来を創る
ーー 採用数を伸ばしている要因として、武文さんとのコミュニケーションで多くの方が魅力を感じているそうですが、求職者の方とのコミュニケーションで意識していることは何でしょうか。
私が求職者の方々に伝えたいのは、どんな人材に成長してほしいかという思いです。人生の節目で誰もがいろいろなことで悩むものですが、その時にしっかりとした選択肢を持てる人になってほしいと思っています。では、どうやれば選択肢を増やすことが出来るのか。それは「良い成功」と「良い失敗」を繰り返すことだと思います。だから、私たちは早い段階で店舗の責任者、つまりストアマネージャーを任せています。責任あるポジションで自ら決断を下し、たくさんの経験を積んでもらう。そうすることで、将来の選択肢を増やすことができます。この考え方は、単なる仕事のスキルアップだけでなく、人生全体を豊かにする方法だと信じています。私たちは、社員一人ひとりが自分の人生の主人公になれるよう、サポートしていきたいです。
真摯さが光る人材を求めて|WithGreenが描く理想の仲間像
ーー 武文さんは面談や面接の際、求職者のどんな点を注視しているのでしょうか?
私たちの採用の判断基準は一つだけです。
真摯に仕事に取り組めるかどうか。これが最も大切なことだと思っています。逆に言うと、それ以外の厳格な判断基準は設けていません。でも、好印象を持つポイントはいくつかありますね。
例えば、どれだけ会社のことを調べてきてくれたか。WithGreenを受けてみようと思ったら、実際に私たちのサラダを食べてみるなど、体験してくれている方には「いいな」と感じます。逆に、履歴書の不備など、最低限クリアすべきところができていない場合は、少し気になってしまいます。そういったことを、短い面接時間の中で少しでも知れるよう、面接の際は会話を沢山することを心がけています。
ーー 求める人物像について教えてください。
求める人物像としては、真摯であること、自分で考えて動けること、そして明るく笑顔であること。この3つが重要です。「自分たちだからこそできるサービスをしたい」「目の前のお客様を笑顔にしたい」といった思いを持った方々に、どんどん入社してほしいですね。私たちは、個性豊かな仲間と一緒に、WithGreenならではのサービスを作り上げていきたいと考えています。自分の個性を存分に発揮して、お客様と私たちの笑顔を一緒に作っていける方を心待ちにしています。
店舗運営は会社経営の縮図|WithGreenが提供する成長の舞台
ーー 貴社で得られるスキル、成長はなんだと思いますか?
私たちの会社では、早い段階で店舗責任者、つまりストアマネージャーを任せています。これは、どんな仕事にも通用する普遍的なスキルを身につける絶好の機会だと考えています。正直に言うと、以前の私も「店長」という役職はすごく難しいものではないと思ってしまっていました。でも、実際にやってみて分かりました。全然思い通りに行かないですし、さまざまな力が必要です。なぜならば、店舗運営ってまさに会社経営の縮図だからです。考えてみてください。会社経営に必要な「人・物・金・マーケティング」、この4つの要素が全て1つの店舗に詰まっています。つまり、1店舗を運営するということは、会社を経営するのと同じくらい高度なスキルが求められるんですよね。だからこそ、きちんと取り組めば、それだけ大きな成長が得られる。そして、選択肢のある豊かな人生を送ることができる、そう確信しています。
専門性と戦略思考で差をつける|単なる美味しさを超えた飲食ビジネス
ーー 武文さんの目線から見たWithGreenさんの強みはなんでしょうか?
私たちの強みは、何と言っても専門性に特化していることです。日本には美味しいものがあふれていますよね。でも、私たちは「美味しい」だけでなく、「健康的」「国産」といった軸も大切にしています。これによって、飲食業界の中でもしっかりと差別化ができていると思っています。ただ、飲食店の成功って、美味しいものを作るだけでは足りません。もちろん、美味しさは大前提。でも、これだけ美味しい飲食店、素晴らしい料理人の方々がいらっしゃる中で、それ以外のものも必要です。例えば、サービス力や厳密な原価計算。そして資金調達やブランド戦略。こういった部分の重要性を知れたことも、私たちの強みだと思います。
もう一つ大切だと思うことは、「多くの人に愛される味って何だろう」「この事業を広めるために今何をすべきか」といった客観的・俯瞰的な視点を持つことだと思います。代表はもちろん、私や営業部長も含めて、飲食店としてではなく、一つの会社としてこの事業を成長させるという視点を持っている。これが私たちの強みの源泉だと考えています。美味しさと経営戦略、両方の視点を持ち合わせているからこそ、新しい形の飲食ビジネスを展開できています。
人の力で勝負する|技術革新時代に挑む"あえての"人間本位戦略
ーー 最後に今後の成長戦略について教えてください。
私たちが店舗を増やしていく上で、大きく三つの課題があります。出店候補地の選定、それに関わる費用、そして人材です。その中でも最大の課題は間違いなく「人材」です。
ただし、これは単に「人が集まるか集まらないか」という話ではありません。例えば、私たちの場合、たった1店舗で食中毒を起こしてしまえば、全店舗の評判に響いてしまう。これは、チェーン店としての信頼性が問われるためです。一方で、個々のお客様の視点に立つと、私たちが100店舗持っていようが1店舗だけだろうが、それは関係ありません。お客様にとって重要なのは、自分が利用した1店舗での経験だけなのです。1店舗1店舗で良いサービスが受けられるかどうか、それが全てなんです。つまり、どの店舗でも同じように高品質な料理と素晴らしいサービスを提供することが、私たちにとって最も重要な課題となります。今、飲食業界でも技術革新が進んでいます。無人店舗やタッチパネルでの注文など、人手を減らす動きが盛んです。でも、私たちはあえてそれをしない選択をしています。なぜかというとそれは、「人にしかできないサービス」があると信じているからです。
飲食業は、結局のところサービス業。人にしかできない部分をどれだけ極められるか、それが成功の鍵だと私は考えています。だからこそ、人材の採用と育成が何よりも大切です。技術に頼るのではなく、人の力で勝負する。これが私たちの戦略であり、課題でもあります。今回の記事を読んでいただき、少しでも私たちの思いに共感いただけたら幸いです。