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NewLocal設立から10ヶ月を振り返って ~未来像で地域とつながる~ (2/3)

この記事はまちづくりベンチャー NewLocalについての3つのポストの2番目です。是非他のポストもご覧ください。

NewLocal設立から10ヶ月。出会いとサポートに恵まれ、たくさんの手応えがあった。まだまだなにも成し遂げていないが「新しい地元民」として地域に関わることで希望をつくっていけるという仮説は確信に変わりつつある。

この10ヶ月で野沢温泉、男鹿、御代田で事業を開始した。
野沢温泉:2022年8月「野沢温泉企画」設立。2023年1月 Music Bar GURUGURU オープン。年内に宿泊施設1軒、2024年にもう1軒オープン予定。
男鹿:2023年3月 稲とアガベとともに「男鹿まち企画」設立。年内に蒸留所、来年宿泊施設をオープン予定。
御代田:今後公開

これらを通じて見えてきたことを紹介したい。

未来像で地域とつながれるという確信

NewLocalを始めるときに一番心配していたのは、「よそ者の自分が地域にいきなり入っていって受け入れてもらえるのか?」ということだった。まだ始まったばかりだが、少なくとも現段階においては予想以上にうまくいっている。
その秘訣は、地域のキーパーソンと出会って信頼関係を築き、目指す未来を共有し、自分たちが貢献できることをやっていくこと。これに尽きる。
キーパーソンを通じて僕たちは、地域の魅力と課題、歴史を的確に理解し、必要な方々 にお会いすることができる。その代わりに、地域外の知見・アイディア・人脈・お金を持っていく。そして、とにかく自分たちが動く。
よそ者の我々と地域をつなぐのは未来像である。「この地域をこんな風にしたい。そのためにこういうことをやっていきたい」と僕たち自身が語る言葉が地域の想いとシンクロしたとき、地域と僕たちはひとつのチームになれる。

ある時、野沢温泉で「ミスター野沢温泉」と言われる70代の方とお話をする機会があった。僕は恐る恐る野沢温泉の目指すべき姿とその実現のために僕たちがやっていきたいことを彼に話した。じっと聞いていた彼は

「あなたが言っていることは、自分が70年間言い続けてやってきたことと一緒だ。私はそれをほとんど一人でやってきた。あなたたちはそれをもっと多くの力でやろうとしている。」

と言ってくれた。NewLocalのアプローチへの確信を強めた瞬間だった。


天職との出会い、広がる世界

この仕事は自分の天職だ」
と10ヶ月経って強く思う。地域を訪れ、人の想いにふれ、お節介にもあれこれアイディアを考え実行すること。自分はそれが好きでたまらないし、きっと死ぬまで変わらない。今それが仕事になった。
これ以上幸せなことはない。

地域をきっかけに自分の世界がどんどん広がっていく。
新しい地域を知るのはもちろんだが、地域をきっかけにテーマと出会うのだ。例えば、野沢温泉と出会って僕は20年ぶりにスキーを再開し、オリンピアンの友達が増えた。男鹿と出会って酒と食の勉強をはじめ、醸造家や料理家の友達が増えた。
そして広がったテーマを軸にまた新しい地域と出会っていく。きっと今後、農業、漁業、林業、教育、芸術、医療などを軸にした地域づくりに関わり、それぞれの領域の第一人者と共に仕事をしていくだろう。そして、日本だけでなく世界の色々な地域にパートナーが増えていくだろう。
それを想うとワクワクが止まらない。

同時にNewLocalの話を聞いて興味を持ってくれたり、サポートしてくれる人の多さに嬉しい驚きを持っている。中には「NewLocalの話をしたら興味をもってくれてたよ」と勝手に営業をしてくれる人もいる笑 これからどんどんコミュニティーが広がっていくだろう。


地方>都市へのティッピング・ポイント

地域で仕事をしていて、日本は都市 > 地方 から地方>都市 へのティッピング・ポイントをもう超えた、という感覚がある。(都市/地方という二分法には本来あまり意味がないが、ここでは話を単純化するためにこの図式を使っている)  どういうことか。地方の方が面白いことが起こり、面白い人が集まっている。野沢温泉のバー、男鹿の公民館、安比のゲレンデ、富山のサウナ、庄内のホテル、神山の高専…この1年間で地方で何度も心踊る出会いと未来を拓く企みが生まれる場に立ち会ってきた。きっと数年前はこういった企みは西麻布のラウンジや丸の内のレストラン、六本木の会議室で起こっていたと思う。もちろん今でも起こっているが、面白いもの・人と出会う可能性は明らかに地方の方が高くなっていると思う。(もちろん僕にはとてもバイアスがかかっていると思いつつ) 。

そして、地方での活動に興味を持っている層も明らかに増えている。地方移住・二拠点居住に留まらずいかに地方でプレイヤーとして活動するか、に興味が移ってきていると思う。

いくつか印象的なエピソードがある。
野沢温泉では、バースタッフを募集している時に東京在住で外資系ITや外資系コンサルで働いている若手の女性たち(なぜか女性が多い)が「本業はリモートで働けるので野沢に住みつつ週2-3くらい入れます」と言ってくれた。男鹿では、三菱地所・三菱地所設計の方がまちづくりのカンファレンスを予算を取って企画し、役員含め10名がわざわざ週末返上で二度も駆けつけた。
これから東京の人が地方の仕事をするのは、スタートアップで働くのと同じくらい普通のことになるだろう。願わくばそのNewLocalがその中心にいたい。

やっていることは、1.まちづくり 2.場づくり 3.地域開拓 4.会社づくり

「色んなところに行って楽しそうだけど、具体的になにしてるの?」とよく聞かれる。(ちゃんと仕事してるの?という意味かもしれない。)
大きく分けると1.まちづくり 2.場づくり 3.地域開拓 4. 会社づくり の4つのことをしている。

1.まちづくり

地域のキーパーソンと出会い、地域の魅力と課題を理解する。自分の足で歩き回り、話を聞き、行政の資料などを読み込む。歴史を学ぶ。そうすると徐々に地域のことがわかってくる。NewLocalがやっているのは不動産を軸にしたまちづくりなので、具体的にターゲットとなりうる場所や物件を見る。
まちづくりの仮説、僕たちががその中でどんなことをするのか、どう事業をまわすのか、どんな座組で進めるのか、そういったものを紙に落として色々な人と話に行く。キーパーソン、役場の方、商工会の方、物件のオーナー、銀行。反応を受けて資料をブラッシュアップしていく。
ある程度話が進んだら、キーパーソンと一緒に会社をつくってしまう。そうすると色々なものごとが回りだす。良いニュース悪いニュース、色々なインプットが入り、計画はどんどん変わっていく。とにかくどんどん仕掛けることでモメンタムが生まれていく。モメンタムがあるところに人もお金もアイディアも集まる。


2.場づくり

まちづくりと並行して、具体的な物件の施設計画を進める。まちのどこに点をうつと未来の希望につながりやすいのか。どんな機能がまちに変化をもたらすのか。どんな人が集う場にしたいのか。どうやってお金を集め、回すのか。そんなことを考えながら施設の企画、建築計画、事業計画を進める。オーナー、建築家、工務店、金融機関、自治体など関係者が増え話が具体的になっていく。場ができたら今度は運営である。スタッフを採用し、日々のオペレーションを回していく。

例えば、野沢温泉のMusic Bar GURUGURUは物件内覧を8月に実施、賃貸借契約が12月、工事をして施設オープンが1月だった。相当詰めたスケジュールだったが無事施設オープンしてスタッフも決まり大盛況で営業中である。
まちづくりの計画は多くの場合抽象的なものでなかなか具体的にはわからない。一方で場は無視できない存在感を持ち、目に見える変化をもたらす。GURUGURUができたことで野沢温泉企画という存在が村にも認知され、長年物置のようになっていた施設が変わることで目に見える変化が起こりつつある。

3.地域開拓

NewLocalは5年で10箇所の地域でまちづくりを行う。現在事業を行っているのが野沢温泉、男鹿、御代田の3箇所。他にも候補となる地域がいくつかある。この候補地域を探すことと僕自身の知見を深めるために毎週のように新しい地域に足を運んでいる。
キーパーソンに出会い、地域のことを知り、そこでNewLocalに何ができるかを提案する。そんな大喜利のようなことをひたすらに行っていく。話が動くこともあれば、動かないこともある。動いた場合は場づくりのプロセスがスタートする。
まちづくりは縁とタイミングだ。地域側が動こうとしていないのにこちらが頑張っても物事は進まないし、外のプレイヤーを求めていないのに強引に割り込んでもうまくいかない。ただ、そんな縁とタイミングはこちらが動かない限り転がってこない。だから今日も僕は新しい地域に足を運び、お節介にも提案を繰り返す。

4.会社づくり

ここまで書いたことにはたくさんの管理業務が発生する。子会社の法人登記、人事労務、会計、法務、各種許可申請、助成金申請、融資手続きなどなど。さらに今後はどんどん採用を進めていくので組織・人事制度設計なども必要になる。
加えてNewLocalは子会社や現地のパートナーなど「広義のNewLocalコミュニティー」が広く、今後投資家を含めたステークホルダーも増えていく。潜在的なパートナーも含めたこれらのコミュニティーの醸成をすべく、情報発信・イベントなども今後進めていきたい。( ポッドキャスト「NewLocal Radio」や「NewLocalの会」をすでに開始している)

…とまあこんな形で僕自身は半分は東京、半分は各地域にいる生活をしている。うらやましい!となる人も大変そう、、となる人もいるだろう。
僕にとっては夢のような生活だ。

もしも僕たちがやっている活動にピンときたり、僕のライフスタイルにときめきを感じたら、ぜひ仲間になってもらいたい。


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