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「見えないリスク」のその先に。データ活用を推進するDX事業部長の熱い想いとは

― 林さん、本日はよろしくお願いします!早速ですが、自己紹介をお願いします!

僕は執行役員兼、DX事業部長をしています。

Liberawareでは「誰もが安全な社会を作る」というミッションを掲げています。例えば、土砂崩れで急に誰かが亡くなってしまう事故も、元々リスクが見えていれば未然に防げますし、そもそもリスクが起きないような世界だったら、誰も悲しむことはない。今はその第1ステップとして、「見えないリスクを可視化する」ということを足元のビジョンとして掲げているのですが、その先にある見えないリスクを可視化した後の、見えないリスクを「改善する」ということも目指した事業を行っています!



― DX事業部ではどんなお仕事をされているのでしょうか?

ドローンで撮影した映像の「データ化」と「データ活用」をしています。具体的には、主に3つの事業をしています。

まず1つ目は、Liberawareの強みの1つでもある「IBIS」という、小型ドローンの事業です。IBISは、誰も撮ったことないような映像データや温度情報などを取って来ることができるのですが、今はそのデータをどう使うか、ということに取り組んでいます。具体的には、そのデータを用いて、「建物を直さなければいけない」とか、「全部改修工事するべきだ」などの意思決定をするのですが、そのためにデータ解析を行い、関係者で共有できるようなサービスを提供しています。

そして2つ目は、映像をアップロードすると、自動的に3次元データ化できるクラウドサービスを、JR東日本グループの合弁会社「CalTa」と共に立ち上げました。これはIBISのデータだけではなく、iPhoneやGoPro、屋外ドローンなど、基本的に映像が撮れるものであれば撮影する機器は問いません。それらをアップしていくと、いろいろなものが3次元化できるんです。今までは小型ドローンのIBISからのデータだけだったのですが、他のデータも含めて、データを活用するという技術を使ってどのように価値を出していくか、というところに進み、事業化しています。

最後に3つ目は、そのデータの取り方をもっといろいろな方法に広げていくための技術開発です。データを取れるものとして、Liberawareが開発しているものは小型ドローンの「IBIS」ですが、実はレーザースキャナーの技術開発を行っている企業と一緒に、設備点検のDXを実現するための新しいデータの取得方法や活用方法を共同で開発しています。


― IBISの3次元データ化は、どういった面で具体的に活用されていくのでしょうか。

今まで誰も入ったことがなく、未だデータを取れていないような天井裏に入ってデータを取ってくるというのがこのIBISのすごいところです。DXがどこから始まったかというと、この人が入れないような空間の映像データを3次元化するという技術からスタートしています。例えば天井裏を工事しなくてはいけないというときに、建物が古すぎて図面がないとか、図面が古くて正しくなくて、工事ができないなどの問題が起こることがあります。なので、中にIBISを入れて、3次元化して、そこから工事をする、という使い方をしてもらったりしています。


― 図面がない場合なんてあるんですね・・・。

実は、あるあるなんですよ。何十年も前の紙しかなかったりするんです。これは商談で言っても、皆さんにとても共感してもらえるポイントですね(笑)


― 現状や設備の状態を撮影するだけではなくて、3次元データ化してほしいというニーズがあるということですね!

そうなんです。映像だけでは位置情報も寸法情報もわからないし、そこから全体像を想像するのはやっぱり難しいんですよね。なので、みんなが同じ3次元データを見れるということにはやっぱり大きな価値がある。そこから図面を正しく読み込むとか、設計図を書くとかいろんなニーズはあるんですけど、様々な活用方法があって、現場の意思決定を行う上で重要なデータになる、と思っています。さらにその3次元データを使った解析方法として、2つのデータ、例えば1年前の3次元データと今の3次元データを重ねると、変化したのはどこなのかがわかりやすいという活用もできるんですよ。熱を使うような工場とかだと、工場の見えないところが変化していき、そこが異常に繋がる、ということがあるんですよね。目視ではわからなくても、重ねると一目瞭然だったりする。

あとは、体積を量ることもできます。地下に汚泥がたくさん溜まっていくと掃除を定期的にしなければならないのですが、その量を全部量ることができます。あるいは、ゴミ焼却炉の壁って火を燃やすので、その設備も燃えないように壁に加工されているのですが、使っていくとどんどん剥がれていくんですよ。その剥がれた状況が3次元データを使って数値でわかるので、どこが一番剥がれてしまってるのかや全体像がわかるようにすることが可能です。さらに、3次元データに温度情報を載せて立体的な温度分布図を作ったり、というところまでいろいろ広げています。


― クラウドサービスが始まった経緯も気になります!

元々は、JR東日本さんと一緒に取り組みをしていこうという話がある中で、JR東日本さんが抱えている課題を解決したい、という想いが強くなりました。開発したクラウドサービスにはいろいろな機能があるのですが、一番の要素としてはクラウドで3次元データを使えるということが挙げられます。3次元データって、それまでもたくさん業務で使われていたのですが、データがすごく重たいので、専用のパソコンと専用のソフトウェアが揃っているところでしか使えないんです。実際にJR東日本さんの事務所にもそれが1つあったのですが、そこにいる人だけは見ることができるけれど、誰も共有できなかったんです。でも、本来は遠くにいる人たちと工事進捗や課題などの情報をシェアしながら仕事をすることによって効率が上がります。それができない環境下では、工事進捗がある度に、なんと社員さんたちが本社から遠方の現場まで毎回出張されていたんです。現地に行っても、やることはレ点チェックをしたりとか、写真を撮ったり、報告書を作ったりすることなのですが。それが、この3次元データ化ができると、その場ですぐWEB会議などで、状況を共有することができる。細かいところを確認したい場合は写真を見たり、寸法を測ってみたり、というのを遠隔で簡単に誰でもできるようになるんです!


― 革新的な技術ですね!ちなみに、DX事業部は立ち上がってどのくらいなのですか?

実は、まだ1年も経っていないんです。2022年の9月に立ち上げたので、ちょうど9月で1年になります。

― 林さんはDX事業部の立ち上げを最初からやっていらっしゃると思うのですが、1年弱くらいやってきた中で、うまく進んでいる部分や大変な点はどのようなところですか?

まず、うまく進んでいる点は、PDCAが回りやすくなったところですね。元々、部署を立ち上げた背景として、お客様にとって一番大事な部分である「データをどう使うか」が、事業自体も伸びてくるポイントなので、将来的にも絶対伸ばしていくべきだ、という話はあったんです。でも部署としては独立していなかったので、みんなが何となくデータを使えるよね、という状況だったのが、部署を作ることによって、目標と課題を含め、本当に会社の事業の軸とすることが明確になりました。小型ドローンの「IBIS」以外のデータの技術開発と事業化が実際に進んできていて、少しずつ組織化の成果が出てきたと感じています。

一方で大変だった点は、社内での連携です。DX事業部として独立してからは独自に頑張りながらも、他部署と今までのように連携をしながら進める必要がありましたが、最初は少し難しかったです。今は課題を迅速に見つけて、具体的に課題解決のアクションができているので、DX事業部としてうまく動くことができていると思います。


― チームのお話がありましたが、DX事業部ではどのようなメンバーが働いているのでしょうか?

個性が強いメンバーが多いですね!それぞれが持っている強みが違うメンバーなんです。例を挙げると、3次元化するっていう技術はいろいろな要素があるにも関わらず、本当にそこに詳しくて社内のメンバーからもすごく頼られているメンバーがいたりとか、どんな無茶ぶりが来てもうまく立ち回りながら、社内外のリソースを上手く使って形に仕上げるメンバーがいたりとか。あとは元々IBISに付属させるアプリケーションを作っていたので、そのシステムをよく理解していて、何か変更があったときにも柔軟に対応ができるメンバーとか。すごくいろいろなメンバーが揃っていると思っています。ちょっとぶつかり合うときもありながらも、ニュートラルに事業を良くするためにはどうしたらいいのかという視点でメンバー全員で話ができていることが強みだと思います。


― とても素敵なメンバーですね!DX事業部としての、そして今後の展望を教えてください!

データの量って、物理的なドローンの提供数と違って、指数関数的に増やしていけるものだと僕は考えています。獲得する数も増やしていけるし、新しく加工したものも増やしていけるし…というように「価値の増やし方」って実は無限に成長させることができると思うんです。なので野望としては、DX事業がLiberawareを引っ張っていく、そういう世界にいかに早くできるか(もうできるとは思っているのですが!)を目指していきたいです。


― 最後に、林さん個人としての今後のビジョンも聞かせてください!

Liberawareは、元々小型ドローンを作っていたところから今はデータ活用が出てきて、先ほど言った野望を持つくらい、かなり大きなインパクトを持つようになってきたと思っています。現在、いろいろな設備の中に潜んでいる「見えないリスク」のデータを取得するものと、それを可視化する技術が形にできた段階です。これから考えていかなくてはならないのは、そのリスクが「見えた後、どうするのか」というところ。それをLiberawareとして考えられるような状態にしたいですし、それがもしかしたら次なる事業の柱になるかもしれないなと思っています!



― データを活用することで、安全な社会を作りたい。そんな熱い想いがとても伝わってきました!貴重なお話をありがとうございました!

次回の記事もぜひお楽しみにお待ちください!


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