私たちVRCは現在7期目を迎えていますが、創業時から変わらず代表のシェーは、「3Dアバターを一つの情報としてエンドユーザーが自分の意志で利活用するプラットフォーム事業を推進していくんだ」と言い続けてきました。
今回は、なぜ3Dアバターなのか?どういう活用や世界観を描いているのか、そして現在提唱している「Ubiquitous Avatar Platform(以下、UAPと略称)」構想についてご説明したいと思います。
※UAP構想とは
VRCでは3Dアバターを一つの情報として捉え、エンドユーザーがその3Dアバター及び付随する情報を生活の様々な場面(アパレル・ヘルスケア・コミュニケーションなど)で利活用するために、業界やサービスの垣根を越えた安全に自由に3D情報を利活用できるバックエンド環境を実現することをUAP構想として位置付けています。
■VRCの取り組むミッション
私たちは、3Dの画像情報や正確な人体情報をバーチャル世界のサービスだけで完結させるのではなく、それらを活用し、バーチャル世界を通してリアルの生活をより良くするということを重要視しています。
具体的には、一人ひとりが3Dアバターを持ちそれを一つの情報として、試着をしたり、ヘルスケアに活用したりと、暮らしのあらゆる場面で3Dアバターを自分の情報の一つとして利活用する未来を描いています。
その先に、人々が笑顔になり幸せになること。それを目指して事業に取り組んでいます。
■なぜ3Dアバターなのか?
代表のシェーはもともと画像処理の研究者であり、情報技術の発展に注目していました。当時、音声情報、2D画像情報の技術が進歩、進化してきました。シェーは、その先に、3Dに特化した画像や情報が必要となる未来を確信し、3Dデータ、特に人体に特化した3Dアバター事業を2016年に始めます。そして、3Dアバターを全世界の人たちが一人一人持ち、それを活用する基盤となるプラットフォームを構築したいと思い、現在も研究開発、検証、実証(サービス提供)を続けています。
私たちは3Dアバターを一つの情報として捉え、活用することで、たくさんのメリットがあると考えています。
・リアルな見た目情報が取得できる
自分がそのまま忠実に再現されるため、3D空間内におけるコミュニケーションはもちろんのこと、通販サイトでの購入時に活用するバーチャル試着や、健康管理に活用する体験変化のチェックなど様々な生活シーンにおける視覚情報として利活用ができる。
・業界最高精度の寸法情報が取れる
体の正確なサイズ情報を必要とするオーダーメイド業界やインナーウェア業界だけに限らず、サイズや体型などより体に近い情報をフィットネス業界やヘルスケア業界でも利活用できる。
・姿勢に関連する情報が取れる
撮影後に即時に関節情報が入ることにより、3D空間内で自由に動かすことができます。また、関節情報を自動で取得することで、健康分野などで姿勢情報や骨格診断サービスを提供することができます。
・既存の様々な生活情報と組み合わせ、より価値が高い情報を取得する
現在、様々な生活情報(購買情報や健康情報や行動情報など)を活用したサービスが提供されていますが、VRCで取得した体に近い情報を組み合わせることで生活者に更に付加価値が高いサービスを提供できます。
現在、バーチャルコミュニケーションなどで使われているアバターにおける利活用も今後期待が高い一方で、VRCではあくまでもリアルの生活の課題解決に軸足をおいた取り組みに集中しており、リアルな情報を取得することでアバターとしての利用だけでなく、生活者にとってメリットの高い情報として利活用して頂くことを想定して取り組みを進めています。
■3Dアバターの活用例
【3Dアバター×アパレル】
3Dアバターを使ったバーチャル試着について取り組みを進めています。もしもEC上で服を買う際に自分自身のアバターを使ってバーチャルな服の試着ができたら、店舗へ出かける時間や試着する手間も削減できるし、ミスマッチなども減り返品率や廃棄率の低下にもなるのではないかと思います。
アパレル業界では、サスティナブルファッションがキーワードになっており、大量生産・大量廃棄が問題視されています。服の3D化も行うことで生産工程のDX化も実現でき、布の廃棄も減ります。
さらに、服の情報をデータ化することが将来的にでき、3Dアバターの身体データと合わせることができれば、着なくなった服を1.5次流通、2次流通に流す際により正確に必要な人に届くのではないでしょうか。そういったことが、服の循環、再利用促進につながっていくと確信しています。
【3Dアバター×ヘルスケア・フィットネス】
スキャナでは自動採寸も可能であり、各部位のサイズを記録することもできます。これを活用すると、例えばジムで自身の体型変化の記録をつけることも可能です。時系列でみると太った・痩せたなどが視覚的にわかり、それが日々の健康管理意識の向上につながると考えています。
寸法サイズだけではなく、体重やBMI値などのほかの指標と合わせて身体変化をシミュレーションすることもでき、生活の変化により未来はこうなるという予測を視覚的に見ることができます。
自分の体を視覚的にみることで、体調管理や生活の改善などに意識が向くようになり、それが健康的な生活につながっていくでしょう。
現在は特定健診や健康診断などで活用できるようなレベルのものを目指して開発を進めています。
【3Dアバター×コミュニケーション】
昨今、急速に発展したオンライン上でのコミュニケーションやウェブ会議、バーチャル空間上でのイベント、メタバースという言葉も話題になっています。
そんな中でアバターを使ったコミュニケーションも増えていると感じています。リアルな3Dアバターはビジネスや教育のシーンなどでの活用には向いていると思います。
メタバース空間上で、リアルなアバターでのコミュニケーションをとると、そこに本人がいるかのような感覚になりコミュニケーションはより盛り上がり円滑化すると思います。
VRCの3Dアバターはいろいろなデータ形式にできるので、様々なメタバース空間に入ることができます。今後リアルなアバターでのユースケースが広がってほしいなと思っています!
■VRCの提唱する「Ubiquitous Avatar Platform(UAP)」について
創業時から3Dアバタープラットフォームを構築すると話していた私たちですが、その思いがようやく形になり始めています。最初はエンターテイメント領域で、撮影した3Dアバターをバーチャル空間に入れることで新しい体験を提供してきましたが、その後、バーチャル試着のソリューション、ヘルスケア領域などへ展開してきました。
シェーが改めて提唱する「Ubiquitous Avatar Platform(UAP)」とは、普遍存在のアバタープラットフォームを指します。
私たちが今まで取り組んできた、エンタメ、アパレル、ヘルスケア、メタバースなどの領域に対し、その土台としてUAPは存在します。
エンドユーザーは1度アバターデータを取得すると、例えばA社のバーチャル試着のコンテンツが使えます。しかし、それだけではなくB社の提供する有名なIPと自分のアバターが一緒に並んでいるスタンプを作成することもできますし、C社のフィットネスアプリと連携して自分の体型管理をすることもできるのです。
それは、撮影したアバターデータがUAPの中に保存され、そこから連携するコンテンツに自由に行き来できるため、このように複数のさまざまなコンテンツを体験することが可能になります。
そのために、今はプラットフォーム機能の開発・構築を急ピッチで進め、提携するコンテンツやビジネスパートナーを増やしている最中です。今年の年末から来年にかけてPoCなどを進め、順次発表していきたいと思っています。
これからも3Dアバターを活用する世界が日常になるよう、技術的に支えるプラットフォーム「UAP」の構築と、世の中を良くしていくためのサービス開発をスピード感を持って進めていきたいと思います。
今後のVRCの成長にご期待ください!