「レストランの接客」と言われて最もイメージしやすいのがこの「ウェイター」のお仕事ではないでしょうか。
居酒屋でもカフェでも「ウェイター」「ホールサービス」というポジションは存在しますが、飲食店の中でも「レストランの」ウェイターのお仕事というのは一味違います。実はなかなか理解されていない「レストランのウェイター」のお仕事について、JOE'S SHANGHAI のウェイターを例に説明していきます。
・レストランのウェイター≠配膳スタッフ
飲食店のホールスタッフのお仕事と言えば「配膳」「料理の提供」を一番に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もしくは結婚式場でベストやスーツを着た、お皿を3枚、4枚運んでいるスタッフをイメージする方もいると思います。
この方たちはサービス業界で「配膳さん」と呼ばれる外注や派遣のスタッフで、指示通り料理を運ぶことを専門にした方々です。もちろんレストランのウェイターもお皿、料理を運びますがこれはレストランのウェイターとしてのお仕事の中で、ごくごく一部の基本動作にすぎません。
では、レストランのウェイターの一番のお仕事って何なのでしょうか?
ウェイターの一番大事なお仕事≒オーダーテイク
ウェイターのお仕事の中で、我々が最も重要だと考えているのがゲストから注文を受ける「オーダーテイク」です。このオーダーテイクの中にウェイターとしてのお仕事がギッチリと詰まっています。
①サジェスト
サジェストとはお料理、ワイン等を「おすすめ」すること。我々のレストランではゲストが案内されてくると、必ず最初に担当ウェイターからメニューの説明と人気メニューのサジェストをします。何をオーダーすれば「JOE'S SHANGHAI 」を楽しんで頂けるか、マニュアルもありますがウェイター各自でも考えながらサジェストをし、オーダーテイクをしていきます。ボトルワイン(JOE'S SHANGHAI では5,000円から50,000円までのワインをストックしています)など、高価格な商品をゲストの要望に合わせてスマートにセールスできるかも腕の見せ所。
②料理の量、味のチェック
テーブルの人数に対してお料理の量が多すぎないか、少なすぎないか確認しながらオーダーテイクをしていきます。また、同じ味付けの料理が無いか、点心などピース単位で注文する商品の場合、人数と合っているか、等の確認も必要です。またお年寄りやお子様に対して辛いメニューが無いか、アレルギーのゲストやベジタリアン等の方への対応も必要になってきます。
③料理の提供スピード、提供順のチェック
レストランのウェイターと居酒屋やカフェのスタッフと最も大きく異なる点がこの点だと言えます。
ゲストの意向に沿いながら料理の提供順、料理を作り始めるタイミングもウェイターが指示を出していきます。
フレンチ、イタリアンなどと同様に
冷たい前菜→温かいメインディッシュ
前菜→点心→野菜→海鮮→肉→麺、ご飯もの
といった基本の提供順は存在しますが、ゲストの意向が最優先となります。
例えば小学生のお子様が居るテーブルであれば先にお子様用にチャーハンを持ってきてほしいかもしれませんし、ワイン好きな方であればワインと料理のタイミングを合わせて欲しいかもしれません。
居酒屋、カフェであれば(もしかするとオーナーシェフの個人店なども)「お店としての基本」や「シェフが食べさせたい順番」「シェフが提供しやすい順番」が優先されるのに対し、我々のチームでは「ゲストの意向」、言い換えれば最もゲストとコミュニケーションを取っているポジションである「ウェイターの指示」を最優先します。
そういった意味で非常に「ウェイターの裁量、権限が大きい」のが我々のチームを始めとする「アメリカンスタイルのレストランのウェイター」の特徴だと言えます。また、上記①②③の最低限をスムーズに対応するだけでも
・どの料理に何が入っているか
・どの料理が何分ぐらいで提供できるか
・ワインと料理の相性
等を把握する必要があり、マニュアルを少し読んだ程度では対応できません。
ウェイターはプロのお仕事
特に日本では、飲食店の接客スタッフは
誰でも出来るアルバイト
料理人のお手伝い
といったイメージを持たれることも少なくありません。
ですが、少なくとも我々のスタイルのレストランでは「プロの技術職」「専門職」
という事が出来ます。
もちろん、日本語でのコミュニケーションさえ取れれば「始める」事は難しいお仕事ではありません。