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【渡航記】Zendesk最先端に触れたアメリカでの一週間を振り返る

2024年4月15日から21日までの約1週間、アメリカに渡った。この渡航の目的は、ラスベガスで開催されたZendeskの大規模イベント「Relate2024」への参加と、サンフランシスコ本社への表敬訪問だ。

めったにない機会だったので、この刺激的な一週間を振り返りながら、渡航記録として残しておく。

日本からはユーザー企業を中心に約20名が参加

1万人以上が来場する大規模イベントだが、開催地が海外ということもあり日本からの参加は少数だった。参加者の大半はZendeskを業務で利用しているユーザー企業であり、パートナーは当社を含め2社だった。

ユーザー企業が集まるコミュニティに我々のようなパートナーが入ると、はじめは警戒されてしまうものだ。これは私たちSaaSのパートナービジネスをしている企業にとっては避けられないサガである。(「SaaSパートナーがいかにして自社の付加価値を理解してもらえるか」というテーマについては、また後日まとめたい。)

そうした不安もありつつ、Japanグループの一員として迎え入れていただき、フラットな関係で親睦を深めることができたのは大変嬉しい。みなさん付き合っていて気持ちがよい人だったので、どこかのタイミングでお仕事も一緒にできれば、いいな。

WelcomeディナーではZendesk CEOと同じテーブルで

イベント前夜にWelcomeディナーが開催された。通されたテーブル席につくと、私の隣にはなんとZendesk CEO(最高経営責任者)のトム・エグマイアーが!またとないチャンスだったのだが、私の英語力が未熟なばかりに日常会話程度でとどまり撃沈した。2時間程度のディナータイムが体感4時間くらいに思えた。英語力を身につけようと心に誓った。

Zendesk幹部による基調講演は"AI一色"

オープニングの基調講演はCEOのトムがCX(顧客体験)の未来について語った。立ち見席が出るほどの盛況だった。

キーワードは徹底的に"AI"だ。Zendeskは既にOpenAI社と技術的な提携を発表しており、製品にも実装しているが、ここに業界トップクラスのサービス自動化ソリューションプロバイダーであるUltimateを実装し「Zendesk AI」を加速度的に進化させていく。

元ファーストレディ、ミシェル・オバマのライブセッション

カスタマーサポートとどういった関係があるかはわからないが、元ファーストレディ、ミシェル・オバマがライブセッションに登場した。ファーストレディとして力強く生きた彼女から発せられる言葉は会場の多くの人を勇気づけたと思う。決して傲り高ぶらない謙虚さと、夫いじりの彼女にしかできないユーモアがひかる魅力的な人だった。「一番好きな年齢は?」という質問に対して「今(60歳)」と即答していたのが最高で、印象に残っている。私も、今(32歳)が最高。

手元のメモには彼女の金言が記録されている。

  • 人は惰性で過ごしてしまう生き物。まずは変化することは良いことだと認めることから。
  • バランスを取っている「つもり」の自分の仮面をとって、もっとオープンになりましょう。バランスは忍耐づよく育むもの。
  • 私がこれまで会ってきた上流階級の人も、(実際には権力があるわけだけれども)できないことがあったり、馬鹿げたことを言って笑ったりする、私たちと同じ一人の人間なのよ。
  • 人は何にでもなれる。自分を信じてあげること。

Zendesk CTOが語るAIの可能性

ラスベガスでのイベントを終えて、我々はZendesk本社のあるサンフランシスコに移動した。広大な自然と歴史を感じる建造物の中に活気あふれるIT企業が立ち並ぶ、多様な特色が交差する街だ。

そこではCTOのエイドリアンが我々を迎えてくれた。彼は、過去40年を遡りカスタマーサポートに大きな影響を与えてきた存在として「電話」「インターネット」「Web2.0」を挙げ、それに次ぐものが他でもない「AI」だと断言し、AIの可能性が示すCXの未来と今後の戦略を語ってくれた。

昨今のカスタマーサポートは、WebチャットやLINEといったメッセージングチャネルの出現によって問い合わせのしやすさとスピーディーなサポートが実現できており、品質は向上している。一方で、問い合わせのしやすさから絶対量が増えることによるサポート人件費の増大が問題視されている。ある調査によると、サポートシステムに対しての投下は$50B(約7.5兆円)ほどに留まるが、サポート人件費に対して$600B(約750兆円)もの費用が投下されているようだ。

AIの出現により、この膨大なサポート人件費がシステムコストに置き換わっていく未来が予想されている。労働人口の減少が確実に見込まれている日本の事情を踏まえれば、このシナリオは受け入れやすいだろう。

※計算便宜上150 USD/JPYで算出

現時点で全体業務の約20%程度とされているAIによる自動化は、段階的に進みながら最終的には90%に達すると予測しているようだ。そして、重要なリスクやプライバシーに関する情報の取り扱いを自動化する最終段階を「ラストワンマイル」と表現した。

興味深いことに、これだけ自動化の流れを説いておきながらも、100%の自動化は推奨していない。不可能ではなく、すべきでないという主張だ。業界や業種によって自動化率は異なっていて然るべきで、それぞれの企業が自社のブランド特性・ユーザー特性をふまえて、どこまでをAIで自動化し、どの部分を人的にサポートするか計画することが重要だと強調した。

モノが溢れる現代においては、非機能的な要素が消費者の購買行動に大きく影響する。カスタマーサービスの「ラストワンマイル」には企業の接客観とこだわりが表現され、きっと市場で選ばれるうえでの重要な鍵となるはずだ。我々ZeQも、顧客の「ラストワンマイル」を真剣に考える存在でありたい。

あとがき

今回の渡航では、2年前に新卒入社した稲葉が同行した。サンフランシスコ・カストロの坂道を二人で息を切らして歩きながら、互いの生い立ちやターニングポイントについて話をした。まだ見ぬ未来の話もわくわくするが、その人が確かに生きてきた過去の話もまた心に染み入るものがある。

初めての海外とは思えないほど、たくましく立ち居振る舞う彼女を目の当たりにして、グローバルで活躍する「かっこいい女性」を想像した。彼女自身も将来の可能性が拓けたような手応えを感じてくれていたら嬉しい。

環境をつくり巻き込んでいくことが、この組織・役割の中で私ができることだ。これからも変わらず、仕事を通して社員の人生に関わっていく。

最後に、スケジュール構成や通訳の手配、食事の提供など、海外渡航に不慣れな私たちにも不自由なく対応してくれたZendesk Japanチームと、努力と愛情をもって家庭の日常を支えてくれていた妻、妻をサポートしてくれた方々に心から感謝したい。

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