私たちSQUIZは、EDやAGAなどの“相談しにくかった悩み”や“子宮や卵巣から起こる様々な悩み”に対し、オンライン診療サービス「Oops(ウープス)」を通して医薬品やその他のソリューションを提供するスタートアップです。
多くの方が抱える悩みであっても、医療機関を受診することにハードルを感じる方も少なくありません。私たちは医療をより身近な存在に感じてもらい、悩みにポジティブに向き合えるようなブランドづくりにこだわっています。
「Oops LOVE」「Oops HAIR」「Oops WOMB」の3ブランドを柱とし、今年はさらに診療科目を拡充しました。
今回、SQUIZをご支援いただいているベンチャーキャピタル、W株式会社 代表パートナーの東明宏氏をお招きし、SQUIZ経営陣と対談を実施しました。多くの人の悩みに寄り添うことを大切にしながら躍進を続けるOopsのこれまでとこれから、そして「Oopsらしさ」を探ります。
右から:W株式会社 代表パートナー/投資家 東 明宏氏・SQUIZ代表取締役 平野 巴章・SQUIZ取締役 安宅 亮
可能性のあるマーケット、競争力、緻密さ…3つが揃い、すぐに出資を決めた
―東さんとSQUIZの出会いについて教えてください。
東:会社のホームページに平野さんから問い合わせをいただいたのが、お付き合いのはじまりです。連絡をいただく1週間ほど前にOopsのリリースを見ていたので、SQUIZが男性向けヘルスケア領域を扱っていることはすでに知っていました。また、気になる企業があれば、代表を調べてXをフォローする習慣があるので、そのタイミングで平野さんもフォローしていました。
ヘルスケア領域は僕自身も非常に関心のある分野ですし、Oopsのクリエイティブへのこだわりも伝わってきて、ぜひ一緒に伸ばしたいと思い、お会いすることにしました。
平野:あらためて、リリースって、大事ですね(笑)
東:僕の性格的には、出資を決めるまでに熟慮するタイプなんですが、SQUIZに関してはすぐに出資を決めた記憶があります。そうしないと競争になってしまいそうだなと。
その理由は3つあります。
まず1つ目は、マーケットに非常に可能性があると感じたこと。2つ目は、クリエイティブという競争力があること。3つ目は、戦略を緻密に考えていたことです。
とは言え、代表の平野さんだけではなく、SQUIZがどのようなチームなのかも確認したくて。出資前に安宅さんも交えて3人でお会いしました。2人とも新卒から同じ会社で一緒に働いていたので、チームワークがしっかりしているなと感じました。
平野:東さんが熟慮されるタイプだとは知らなかったです(笑)。それぐらいすぐに出資を決めていただけたと記憶しています。
私も起業してベンチャーキャピタルのことを調べている中で、東さんは目立つ存在でした。良い企業に出資されている印象を持っており、「東さんに出資いただきたい! 」と思い、問い合わせたことを覚えています。
ただ、それだけではなく、出資の話を進める中で、起業家の友人に「東さんってどんな方ですか?」と聞いたこともあります。もちろん評判が良かったので、間違いないパートナーだと確信しました。
東:出資させていただく企業には「僕のリファレンスをしてください」とお伝えしています。長いお付き合いになるので、企業としても嫌な人が入ってくるのは避けたいですよね。それを無事に通過できたようで安心しました。
大胆なクリエイティブの裏での緻密な計算が、成長の要因
平野: 2021年4月に「OopsLOVE」を、2021年8月に「Oops HAIR」を、2023年に「Oops WOMB」をローンチしましたが、東さんから見て、SQUIZの歩みについてどう感じますか?
東:とても順調に成長しているなという印象があります。実は当初、「Oops HAIR」をローンチするのをもう少し待った方がいいのではないかと思っていました。創業間もない状態で事業を広げるのは大変なので。でも、平野さんは強い意思でローンチを決め、それがきちんと伸びたので、僕の方がセンスなかったなと(笑)。
平野さんと安宅さんがしっかり考えているので、僕が口出しするタイミングがたくさんある会社ではないんですよね。
平野:確かに、2つ目のブランドローンチのタイミングは、東さんとも結構議論しましたよね。1つのプロダクトに集中した方が結果が出せるのではと僕たちも思う部分はありましたが、最終的には自分たちを信じて突き進むことに決めました。
東:ベンチャー企業の創業期って、やることがありすぎて忙しいんですよ。どこかにフォーカスしないと、無駄打ちが多くなって、頑張りが徒労に終わってしまうことも結構あります。
でも、SQUIZは無駄打ちがあまりないですよね。今の自分たちにとって何が大切なのかを徹底的に考えてフォーカスしています。だから、必要なことには思い切りリソースを割いていますし、経営の濃淡の付け方が上手いなと思います。
平野:細かい失敗も山ほどありますが、大きく見るとそこまで外していない。概ね戦略通りに進んでいるなとは感じています。
東:そう考えると、当初は平野さんに対して誤解していた部分もありました。平野さんが広告代理店出身でクリエイティブやマーケティングの仕事をしていたこともあり、クリエイティブで感覚重視の人だと勝手に思っていました。
でも、お仕事をしていく中で、実際にはすごく丹念にリサーチを行い、プランニングをするタイプの経営者だということがわかりました。SQUIZのこれまでの躍進の要因は、極めて緻密に計算されている点にあると思います。
Oopsには「心地よい記憶」が散りばめられている
平野:東さんからご評価いただいたように、ブランドを作る時には市場戦略を緻密に考えます。一方で、ローンチ後にブランドを伸ばす時は、走りながら都度修正していくスタイルです。緻密に計算しても予想外のことだらけなので、その都度計算し直すイメージです。
安宅:やることの大筋は決めますが、それを正解にするために手数をものすごく割く。その泥臭い部分もあらかじめ見越した意思決定を心がけています。
東:どおりで、PDCAサイクルが速いんですね。
安宅:そうかもしれないです。プラン通りにはいかないことを見越して柔軟に対応します。派手なことはあまりなくて、選んだ道を正解にするために、日々細かいことをチューニングしています。
東:クリエイティブが強いから派手に見えがち、というのはありますよね。実際は、クリエイティブと泥臭さの両輪で回している感覚でしょうか。
平野:そうですね。ブランディングは「心地よい記憶の集積」だと思っています。緻密なことを考えるにしても、それが「心地よい記憶」につながるかを大切にしています。細かいことでも積み重なれば大きな差になると信じています。
逆にA・Bどちらを選んでもあまり変わらないことには力を抜く。そんな力の入れ方を意識しています。
安宅:ここ最近の細かな例としては、リーフレットの紙質があげられます。僕は「厚めの紙にすると発送可能サイズに収まらなくなり、さらに印刷費用も上がるためもう少し薄いものでも体験があまり変わらないのでは」と意見しましたが、平野は上質な紙にすることにこだわりました。
平野:「リーフレットひとつでも、上質さを出したりこだわりを感じてもらうことが、差になっていく」というのが僕の意見。リーフレットには、普通のオンライン診療サービスのリーフレットだったら不要なビジュアルだけのページもあります。こういう無駄と思われることから心地よい記憶が生まれると信じています。
東:薬のUIも差別化できていて素晴らしいですよね。曜日が書いてあるので、飲み忘れると気持ち悪い感覚になる。日々飲もうという感覚に自然となります。SQUIZのプロダクトやオペレーションにはこういう「いい記憶」が各所に散りばめられていると感じます。
同じ方向を向きながら得意不得意を補完し合う経営スタイル
ー東さんから見て、お2人の経営者としての印象は?
東:平野さんをはじめとしたSQUIZのチームって、ロジカルとクリエイティブのバランスがとても良いですよね。特に消費者向けのサービスではそのバランスが重要です。
お仕事する中で、「よく考えているな」と感じることが日増しに増えています。例えば、僕が何か意見を言っても平野さんから「もう3周くらいそれは考えてます!」と返されるみたいな(笑)。だから僕から見て平野さんは、とても安心できる経営者です。僕は、考えに考え抜いた末にどうしようか迷っている時、背中を押すような役回りをしています。
この経営スタイルができるのは、お2人のバランスの良さも働いているなと感じます。
安宅:僕たちは、マインドは同じ方向を向いているけど、得意不得意を補いながら経営をしています。先日、社内で有料の性格診断をした時、平野と僕はびっくりするくらい真反対の性格でした。でも、チャレンジ精神を指す「開放性」という要素は2人ともすごく高くて。まさに経営スタイルが現れたなと。
会話をしていると主張が違うことが結構多いのですが、ゴールが一緒なので、最終的に意見が割れることもありません。そして決めたことは2人で徹底的にやるようにしています。
平野:お互い感覚で意見を主張しているのではなく、ロジックがある。だから意見がすれ違ってもロジックの部分ですり合わせられるんですよ。
僕自身、クリエイター出身といっても商業クリエイターなので、けっこうロジカルに考えるんです。どうしたらこの課題が解決できるのか、そのためにはどういうプロセスを踏むべきか、どういうアウトプットで人の気持ちをどう動かすか…ということをこれまで徹底的に訓練されてきたタイプです。
東:商業クリエイター出身の人がドメインを決めて経営者として事業を行うことって極めて珍しいパターンですよね。
平野:たしかに珍しいですね。前職を辞める時も先輩から「広告クリエイターのロールモデルになってほしい」と言われたくらいです。
東:「クリエイティブが大好きです!」って人は結構いますが、ロジカルとの両輪を回せる方は希少だと感じます。
あと、基本的に経営チームが補完関係にあると、良い企業であることが多くて。経営メンバーの得意技が同じだと船を進めたくても上手く進まない。SQUIZのお2人のように得意不得意が噛み合っているのは、良い企業の典型例です。
平野:僕たちの相性だけでは無くて、社内がそのような雰囲気です。僕が指示を出さなくても、メンバーの得意技が働いて勝手に課題が解消されている状況がとても多いです。
診療科目を増やしたことで、SQUIZのメッセージがより伝わった
ー今年、3つのブランドに加え、診療科目を大幅に増やしました。その理由は?
平野:すでにOopsをご利用いただいている方から「他の診療科目も受診できるようにしてほしい」という声も多々あり、診療科目を増やすことに需要を感じていたからです。
安宅:Oopsが困った時に寄り添える存在だとしたら、3つの科目だけでは解決できない部分もあります。将来的にクリニックのプロデュースも考えているので、困っている人がたくさんいる内科や睡眠のお悩みなどもカバーできるようにしました。
平野:診療科目を増やしたことで採用力もかなり上がったと感じています。3ブランドだけの時は、Oopsがコンプレックスにフォーカスしたニッチなサービスに見えてしまった側面もありましたが、診療科目を増やしたことで、本気でオンライン診療やヘルスケアを変えていく宣言と見てもらえたかなと。今後もっと事業が広がっていきそうだとも感じてもらえたかと思います。
東:この数年でSQUIZとして自力がかなりついてきているので、今のタイミングで一気に事業を加速させるのは良いと思いました。結果的に企業のメッセージとして伝わっているのなら成功だなと。
今後はブランドを広げ、深める戦略をとる
平野:先ほど話したクリニックのプロデュースを今は進めています。また、4つ目のブランドにもかなり力を入れて準備しています。さらに今後は、既存3ブランドの深みをもっと出していく予定です。
例えば「Oops HAIR」は「ENJOY YOUR STYLE FOREVER」をブランドタグラインに掲げています。だとすると、私たちがすべきことはAGA診療だけでなくヘアケア用品やスタイリング剤の販売、もしかしたら美容室を作ることかもしれません。「Oops WOMB」だったら妊活サポートや子育て領域かもしれません。ブランドとして、ユーザーの悩みにそこまで伴走していきたいです。
ブランドを増やして広げることと、そして各ブランドの深さを突き詰めていく戦略を考えています。
東:やはりコロナを通じて、世の中の流れが「病気などのネガティブなことは解消したいし、より良く生きたい」という方向に動いています。だからこそ、ヘルスケアやウェルビーイングは成長市場だと感じますね。しかも、何かとネガティブになりがちなヘルスケア領域ですが、SQUIZにはワクワク感もある。今後がすごく楽しみです。
―最後に、SQUIZに合いそうな人物像を教えて下さい!
安宅:大前提として、熱い想いがあること。人数もまだ少ないので自分で手を動かさなければならない場面ばかりです。最後までやりきれる責任感がある人が向いていると思います。
平野:さらに言うと、人の気持ちを動かすセンスがある人。ユーザーの心を動かすことも、企業さんに「SQUIZと仕事がしたい」と思ってもらうことも大切です。例えば愛嬌だってそのスキルの一つですよね。あとは、人の気持ちに敏感になれる想像力がある繊細な人もSQUIZに向いているなと思います。「こう言ったら相手がどう思うか」「こういうコミュニケーションしたら世の中どう反応するか」は、繊細な人だからこそわかると思います。
東:業績も右肩上がりな一方で、やりたいことがまだまだある状態。そういう意味ではOopsのプラットフォームを上手く使って世の中に仕掛けて行けるチャレンジ精神がある人が良いですよね。
平野:ひと言でまとめると、大胆なことを、繊細に実行できる人ですね。
大胆に考えて「よし行くぞ!」と思っても、一つずつ立ち止まって「これって人の気持ち動かせるのかな?」「課題解決できているのかな?」「新しいかな?」熟慮する。そしてまたダイナミックに動き出す。そういった反復横跳びができる、大胆さと繊細さのバランスが取れた人が理想です。ぜひ、気になった方はご連絡ください!!