私たちの事務所である旧馬場目小学校は、町の中心部から離れた里山にある。田んぼが下流に広がり、山に挟まれた谷地にある。2000年に新しくなったばかりの校舎で、広々とした校庭が見える事務所にいる。
東京のIT企業に勤めていたころは、四六時中働いていた。食事は近くのコンビニや立ち食いそばで済ませ、暗くなったことネットワーキングに居酒屋やカフェにいくような生活だった。都市での暮らしを体現するように、働いて得られたお金を町で消費していた。
秋田にきて、ドチャベンジャーズが立ち上がったとき、大切にしたかったのは「暮らし」。ベンチャーなので、新しいことにチャレンジはしていく。でも、東京の企業に勤めていたときのような働き方を秋田ではしない。畑で野菜をとったり、釣りや罠で魚をとって、ごはんをしっかり作る。この土地に丁寧に暮らすからこそ、生まれるチャレンジをしていきたい。それがドチャベンジャーズが土着であることの意味だと思う。
春は田植えに行き、夏は川遊びをして、秋には収穫し、冬には雪かきをする。季節を真正面から受け止め、田舎に流れる時間軸に身を任せつつ、世界で一番こどもが育つ町に向け、次の世代に残せる地域を作る。1人1人の暮らしが、生活が、家族が満たされていること。それを広めるためにドチャベンジャーズはあり方を通して事業を作っていきたい。