【創業ストーリー#3/3】
<第二創業期:疲弊する地域社会における新たな「希望のさざ波」を創りだす>
当社は『バイオマスによる林業イノベーション型地方創生エネルギー事業~資源循環型社会の創造~』を経営理念として掲げ、地産地消型のバイオマスエネルギー利活用を通じて、地域経済の健全なる発展に貢献することを目的として2015年に創業した。以来、森林を知る発電事業者として川上の燃料集材供給工程から川下のプラント運営までを一気通貫して手掛け、地元経済に根ざした資源循環型・地域裨益型ビジネスモデルを構築・展開してきたなかで、第二創業期とも言える一大転換点を迎えた当社グループは、FITバイオマス発電事業の安定的稼働を主軸としながら、バイオマス発電事業における新たな成長エンジンとして、ポストFITを見据えた、国民負担に依存しないビジネスモデルの創出を目指している。
具体的には、完全NON-FIT型木材・製造業生産副産物ハイブリッド燃料による脱炭素電源開発事業である『パワーエイド三重シン・バイオマス®︎松阪発電事業』を先駆けとして、我が国のグリーン成長戦略の一翼を積極的に担い、バイオマス活用によるグリーンレジリエンスの新時代を切り拓き全国展開するべく活動していく。
加えて、川上の林業分野も発電事業と並ぶ当社グループの成長エンジンと位置付け、2019年度からは、我が国の林業の成長産業化の一助となるべく、林業イノベーション事業部を創設。2020年度には、老舗林業会社である株式会社玉木材(1930年創業・奈良県五條市:代表取締役 北角 強)をグループに迎え、2022年度には、飯盛生産森林組合(松阪市飯高町)と森林資源利用に係る基本協定を合意・締結した。
さらには、林野庁公募「新しい林業」経営モデル実証事業(2022~2023)の採択と実施、これに続く林業系の大型新規事業であるNEDO2023年度「エネルギーの森事業」の採択と実施、グループ全体として約4000ヘクタール超に及ぶ森林管理をベースにした森林吸収・生物多様性クレジットの創出、発電所から排出される焼却灰をアップサイクルした環境配慮型高付加価値新建材の研究開発(大阪万博における採用が決定)、森林ファンドの立上げにも積極的に挑戦している。
これらは、近江商人の経営哲学である「三方よし」の考え方の現代版として、我々が構想・提案している概念でもある、現代版【シン・三方よし】の考え方にもとづくものであり、前述した、カーボンニュートラル(脱炭素社会への移行)、サーキュラーエコノミー(循環経済への移行)、ネイチャーポジティブ(自然資本の再興)の実現に向けて、相互に好循環しながら、三面鼎立している状態を目指していくという考え方である。この【シン・三方よし】という我々の考え方は、林地開発型メガソーラーや輸入材利用型大規模バイオマス発電所などの一部の事業者による行き過ぎた開発行為に対するアンチテーゼでもあり、創業以来、我々が終始一貫して築き上げてきた理念や、その根底にあるSDGsウェディングケーキに象徴される考え方であると言える。すなわち、ポスト資本主義社会を見据え、環境や社会の持続可能性を重視しながら、未来社会を切り拓いていくという新たなビジネスコンセプトであり、当社グループのパーパス(存在意義)を言語化したものである。
これらの事業展開により、バイオマス発電事業と林業事業を融合し、ソーシャルグッドでサステナブルな「地方創生型カーボンニュートラル新産業の創造」に向けて、地域における新たな「希望のさざ波」を創りだすべく鋭意活動していく所存である。
<林政ニュース「ルポ&対談」掲載記事:第732号~第734号>
◆第732号|破竹の勢いで日本の山を動かすBPTグループ・上
◆第733号|破竹の勢いで日本の山を動かすBPTグループ・中
◆第732号|破竹の勢いで日本の山を動かすBPTグループ・下
<好きな言葉~事業にかける思い~>
最後に、創業以来、私の志の原点、座右の銘として絶えず振り返り大切にしている「好きな言葉~事業にかける思い~」を紹介して、当社創業ストーリーの締めくくりとしたい。
『何事を為すにも必ず困難が伴うものだ。その困難に打ちかって大事を為すことこそ、男子の本懐というものである。男らしく正々堂々とやりたまえ』(日本陸軍大将:児玉 源太郎)
『決して弱気になってはいけない。たった一人の力ではこの地球上に蔓延する社会悪~みじめさと無知、不正と暴力~に対して何もできないという考えに決して屈してはいけない。歴史そのものを変えられるほど偉大な人間はそうはいない。だが出来事のほんの一部なら、私たち一人一人の力でも変えることができる。そしてそれらを合わせたものが、私たちの世代の歴史として記されるだろう。勇気と信念にもとづく無数の行為によって人類の歴史は作られる。人は理想のために立ちあがり、人類の幸福のために行動し、不正に対してこぶしを振りあげる。そのたびに人は小さな希望のさざ波を送りだす。そのさざ波は、エネルギーと勇気にあふれた他の無数の中心から生まれたさざ波と交差する。そのとき、これらのさざ波は一つの波となり、圧制と妨害の巨大な壁を押し流すだろう』(ロバート・F・ケネディ)
『私たちには、今日も明日も困難が待ち受けているが、それでも私には夢がある。 闇は、闇で追い払うことはできない。光だけがそれを可能にする。憎しみは憎しみで追い払うことはできない。『愛』だけが、それを可能にする。 私たちは有限の失望は受け入れなければならない。しかし、無限の希望を失ってはならない。最初の一歩を踏み出しなさい。階段全体を見る必要はない。ただ、最初の一段を上りなさい。最大の悲劇は、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である。沈黙は、暴力の陰に隠れた同罪者である。人の真価がわかるのは喜びに包まれている瞬間ではなく、試練や矛盾に立ち向かうときに示す態度である。黙って服従することは、しばしば安易な道ではあるが、決して道徳的な道ではない。それは臆病者の道なのだ。 問題になっていることに沈黙するようになったとき、我々の命は終わりに向かい始める』(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師)
これらを言葉を胸に刻み、表題にした「地方創生型カーボンニュートラル新産業の創造」をつうじて、世界的な気候変動や地政学的リスク、大規模災害などへの対応、高齢化・過疎化・経済の衰退など、なお一層の課題が山積みとなっている地域コミュニティの世代継承性・持続可能性・域内循環性の向上を目指すと共に、地域社会の生業という生態系の継続的持続的発展の為に、私たちは引き続き尽力していく。
「再生」可能エネルギーとは本質的に地域「再生」に連なるべきものであり、未来はいつも、その可能性を信じた者によって創られてきた。今後、我が国が持続的に発展できるか否かの重大な岐路にたっている今こそ、地域産学・行政・NPO・市民社会全体が互いに連携しながら、その力を発揮することが求められているのではないか。地域における豊富な森林資源や再生可能エネルギー資源を私たち自身の手で活用することによって、地域経済の発展と地域社会の活性化に結びつけ、我が国のグリーン成長戦略の一翼を担うプラットフォームになることを目指して。
~「未来は予測するものではない、選び取るものである」(ヨアン・S・ノルゴー)~
<参考:当社グループの事業紹介・ビジョン・ミッション関連動画>
BPT|企業概要紹介〜Forest Force Innovation & Renovation〜