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地方創生型カーボンニュートラル新産業の創造をつうじて、希望のさざ波を創りだす【創業ストーリー#2/3】

【創業ストーリー#2/3】

【創業ストーリー#1/3】からの続き

<木質バイオマス発電業界のパイオニアとして、他の追随を許さないコンセプトで業界をリードする>
 当社の2メガワット発電事業は非常にニッチなポジションではあるものの、既存の発電所や近隣の林業・素材生産事業者を下支えするユニークかつ必要な不可欠な事業として全国的にも注目され、当社と同規模の発電所が10数箇所、稼働する状況となっている。上述したとおり、地域の中小企業が主体となり、小規模分散で発電を行う意義を伴うため、「ニッチされどもリッチ」な事業であり、規模が小さくともきらりと光るものがあると私たちは自負しており、木質バイオマス発電業界のパイオニア・イノベーターとして、業界内外関係者から一目置かれる存在となってきた。
 また、当社バイオマス発電所の誕生により、年間10万トンの木質燃料の集材は難しいが、3万トンならば手が届くという地域の現実論としても新しい選択肢が生まれたという点でも大きな意義がある。前述した太陽光の優れた点である可変性にも共通するが、これまでの5メガ、10メガ、20メガといったラインナップの中に、新たに2メガクラスが加わることで、「規模の可変性」が生まれ、地域の実情にあわせて、未利用森林資源活用の隙間を埋めていくための新しい手段・武器が増えたと言える。
 されども、2メガ未満の発電であれば、間伐材等由来燃料利用にてFITで最も高いプレミアム単価(40円/kWh)がつくものの、実際問題として採算性は厳しいという点は敢えて指摘しておきたいところである。例えば、太陽光の次にバイオマスに参入しようとする事業者が、なんのノウハウもなく始めようとしても容易に立ち上げられるものではない。企業努力とノウハウ、何よりも地域社会における信頼関係を高めながら、いかに事業性を高めていくかということが大前提となってくる。未利用材を新規集材し発電事業を組成するというのではなく、「既存発電所や近隣の林業・素材生産事業者を下支えする小規模発電」というコンセプトがあくまでも重要である。今や全国100カ所を超える、大小のバイオマス発電事業計画があり、順次稼働していってはいるものの、地域においては、まだまだ潜在的なマーケットがあると私たちは見ており、地域木質資源のカスケード利用を進める我が国の林業政策はもちろんのこと、カーボンニュートラル(脱炭素社会への移行)、サーキュラーエコノミー(循環経済への移行)、ネイチャーポジティブ(自然資本の再興)など我が国のみならずグローバルレベルでの重要政策とも完全に合致すると考えている。
 私たちは、未利用木材(間伐材等由来)、一般木材、リサイクル材の3区分の燃料を扱う認可を経済産業省から取得している。繰り返しになるが、近隣の発電所が焼却方式の相違により不得手とする燃料や、地元の素材生産業者が処分に苦労する林地残材や樹皮(バーク)、他社ボイラーの定期修理期間中に搬出先のないリサイクルチップ、台風・地震などの大規模災害発生時の廃材や流倒木などを幅広く利用しているという点が重要である。必ずしも40円/kWhの未利用材だけを取り扱うプラントではなく、各区分の燃料を気象状況や燃料状態に応じて最適にブレンドしながら活用している点こそが最大のポイントであり、当社の強み・競争力の源泉となっている。このように、地域で発生する、さまざまな燃料を受け入れる2メガクラスの発電施設には、緩慢燃焼のストーカ炉が適していると言え、この点でも、緩慢燃焼ストーカ炉をいち早く採用したのは当社の慧眼でもあると考えている。実際のオペレーション面においても、商業運転開始から6年が経過した状況下、含水率の高いバークや林地残材などの低品質材を使うため、搬送系や燃焼のトラブルはつきものではあるが、現場スタッフの運転スキル、トラブルシューティング能力によって、発送電出力量は対計画値をコンスタントに上回っており、全国的にもハイレベルな安定稼働を実現している。
 当社の事業は、バイオマス発電の全貌を掴むのに運転面、財務面、燃料面で程よいコンパクトなサイズ感であるとも言え、今後は、社外向けのオペレーション&メンテナンス支援や運転員教育、トラブル対応といった人材育成・トレーニングセンターとしての機能も高めていきたいと考えている。加えて、地域の処理困難材を長年取り扱うなかで、さまざまな障害と戦ってきた当社だからこそ蓄積可能なトラブルシューティングのノウハウや各種運用データ、そして対応する運転員スタッフの存在こそが当社の誇るべき無形資産・付加価値競争力の源泉であり、これらをもとに生成AI・大規模言語モデルを活用したバイオマス発電所スマート保安支援システム構築も手掛けており、木質バイオマス発電業界のパイオニア・イノベーターとして、他の追随を許さない、更なる高みへとアップデートしていく所存である。

⇒⇒【創業ストーリー#3/3】に続く

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