Assured|note
株式会社アシュアードが運営する事業「Assured(アシュアード)」の公式アカウントです。 まだカタチのない未踏のフィールドで、事業づくりに挑戦する過程や仲間たちをご紹介します。
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※このストーリーは、2024年9月11日に Assured note で公開した記事を転載したものです。
スタートアップの事業づくりにおいては、プロダクトとビジネスの関わり方が非常に大切です。ビジネスだけが強ければ、プロダクト組織は社内受託のようになってしまい、逆の場合はビジネスの継続性や顧客への価値提供が失われたモノづくりが進みやすくなります。
Assuredでは、社長であり創業者の大森と、1人目の社員として参画したエンジニアの鈴木が、二人三脚で事業づくりを進めてきました。
そんなAssuredにおける、プロダクトとビジネスの関係性について、大森と鈴木が創業からこれまでを振り返りながら、それぞれの想いを語りました。
鈴木:僕から見て大森さんは、ビジネス一辺倒でもない、プロダクトに対する理解もある人だなと思っていて。こういったプロダクトに対する理解や価値観を深めていった大森さんの原体験って何かあるんでしょうか?
大森:逆に、けちょるさん(鈴木)的には僕のどういうところを見てそう感じてもらえてますか?
鈴木:プロダクトに対する期待値がちょうど良いというか。普段IT企業で高品質なウェブサービスに触れている我々からすると、やっぱりリリースしたてのサービスってしょぼかったりするじゃないですか。機能も少ないし、テストもあまりしていないから不具合も簡単に見つかったりして。ビジネスのスピードを求める中で、プロダクト開発ってもどかしいことの方が多いと思うんですが、振り返ってみると、大森さんは小さな改善のリリースも一緒に喜んでくれる人だったし、プロダクトに何かトラブルが起こっても一緒に乗り越えようとしてくれていたなと。
大森:おそらくそれは、新卒で入社したビズリーチでの原体験からだと思います。ビズリーチ社自体がプロダクトとビジネスが両立する組織で、様々な変遷を辿って理想の関係性を追い求めてきたのを見聞きするなかで、それぞれで志向性は違うものなんだなという感覚が身に付きました。そのうえで、自分自身が実際に新規事業の立ち上げに携わり、0からものをつくっていく経験をしていくことで、モノづくりの難しさを身にしみて感じたというのが大きかったんだと思います。
例えば、Assuredを立ち上げる前、ある新規事業に異動した直後に、事業継続に影響を与えかねない大きなインシデントが発生して、夜な夜なエンジニアの皆さんが復旧作業に奔走されるといったことがありました。その状況を一緒に体験した結果、モノづくりをしているならばトラブルは起こるということもそうですし、自分たちが創っている製品に責任を持ち、対処にあたるエンジニアの方を尊敬すると共に、自分ができないことができる人がいるから事業は成り立つのだと実感しました。
エンジニアに限らず、例えばデザイナーやバックオフィスの方々など、それぞれが持つバックボーンによって考え方が異なるということは、特に規模の小さい時期のビズリーチや新規事業で様々な職能の方と関わってきたことで学んできました。重ねてですが、自分ではできないことをできる人が集まってくれるから事業ができると思っていて、新しい価値を生み届けるうえでは、「自分と違う存在をどれだけ尊重できるか」という考え方が根本にあります。
鈴木:プロダクトに限らず、事業に巻き込まれてくださる様々な人・役割へのリスペクトが大前提にあるからこそ、小さな前進でも一緒に喜べるということですね。
大森:そうです。一方で、「尊重」は、ただ自由にしてもらって口を出さないということでもないと考えています。まだビズリーチが1フロアに全社員集まれる規模だった頃、毎週朝会で職種を超えてビジネスやプロダクトの話をしてたんです。例えば、売上が未達だったときには、プロダクト側から「なんで未達だったんですか」と事業数値に対して鋭い指摘が入ったり、逆にリリースが遅れたときは、ビジネス側から「遅れた要因を教えてほしい」と質問があったり。お互いにリスペクトしつつも、興味をもち、刺激し合っているからこそ、新しい価値が生まれるのだと学びを得ました。
あとは、「codebreak;」や「ニクリーチ」などクローズ済みのサービスも含め、ビズリーチから新たに生まれる事業は、プロダクトアウトなサービスが多くて。皆で知恵を出し合いながら理想のモノづくりをしていく感覚は、ビズリーチで身に付けてきたなと思います。
鈴木:Assuredでも隔週のリリースのお披露目(スプリントレビュー)はビジネスメンバーも含めた事業部全員でやっていますよね。逆に毎週の夕会ではプロダクトも含めた全員がいる場で営業数字を報告したり。お互いが興味を持ち合う文化は確実に引き継がれていますね。
鈴木:Assured立ち上げ時、大森さんの一番最初のミッションはエンジニア採用だったそうですね。これはどういう経緯だったんでしょうか?
大森:ビズリーチ創業時、創業者の南さん(Visional CEO)が外注でプロダクトをつくろうとして上手くいかず、ギリギリのところで竹内真さん(Visional CTO)が来てくれて、プロダクトやビジネスが立ち上がったという話があって。僕のようにビジネスの経験しかない人が事業を立ち上げるなら、試行錯誤も含めた事業づくりを一緒にやっていけるようなプロダクトのメンバーを見つけることが、中長期においてどれだけ重要なのかという話は、南さんから事あるごとに言われていました。正直、僕も当時は半信半疑でしたけど、まずはやってみようと思い、最初にエンジニア採用を始めたというのが経緯です。
鈴木:そもそも一人目の社員ということも含めて、大森さんとして一番大事にしてたことはなんですか?
大森:技術的な面についてももちろんですが、やはり一番は、人間性や価値観が大きかったと思います。僕自身が未熟で足りないところもたくさんあるなかで、同じ方向に向かって一緒に成長しながらチャレンジしていけるかどうかを大事にしていました。
鈴木:新規事業の立ち上げは何があるかが分からないからこそ、スキルとしての技術力よりは、困難があっても一緒にやっていけるかというスタンスのほうが重要だったということですよね。結果的に今まで大きな事業の方針転換(=ピボット)はなかったですが、確かに僕の立場からすると、当時はまだどんな事業を立ち上げるのかさえわからない状態でしたし、「なんとかなるでしょ」とポジティブな考え方ができないと、まだ事業の影も形もない中で1人目として入ることはなかなか難しかったと思います。僕自身も前職でスタートアップと関わることが多かった中で、ピボットは当たり前のことだという刷り込みがなければ、飛びこめていなかったかもしれませんね。
大森:最近も南さんと、「(創業時から)事業は変わる可能性はあるけど、人は変わらない」(※)という話をしていました。その上で、誰とやるかを間違ってしまうと、何度ピボットしたとしても良い方向にはならないし、それは売上どうこうではなく、お互いの人生が不幸になってしまうなと。だからこそ、創業期にあたるいまこの時期の採用にはこだわりたいなとも常々思っています。
※参考記事
鈴木:実際に僕がAssuredに入り、続けてエンジニアの岩松さん、オリバーさん、デザイナーの戸谷さんも入って、事業づくりが始まりましたね。当時から、大森さんがお客様にサービスを提案して、僕含めたプロダクトチームがプロダクトをつくる、というのを上手く役割分担できていたなと感じています。大森さん的にはどう振り返りますか?
大森:他社のスタートアップの方と話すと、モノづくりがこんなにスムーズにいくことってなかなかないんだなと改めて気付かされるんです。よく起きる事象として、つくりたいものがつくれないとか。「やりたいことを形にする」は、簡単なことではないですよね。社長にエンジニアリングの経験がない場合は特に、ビジネスの要求をプロダクト要件に落としこんでいくことや、逆にプロダクトアウト的な価値提案を模索していくことが難しい。
創業期は不確実性が高く、沢山の試行錯誤をする必要があるからこそ、想いを形にするための伝導率をどれくらい高められるか。その意味で、信頼できるチームの存在は非常に重要だと考えています。
Assuredの場合、けちょるさんをはじめ、創業時から頼れるプロダクトチームがいてくれたことで、ビジネスの僕はそういう苦労をせず、とても楽をさせてもらい、顧客に向き合うことができたなというのが正直なところです。
鈴木:大森さんは「売上はお客様からのご期待の総和だ」という話をよくされますよね。僕はエンジニア出身なので、ひたすらお客様への価値提供ができていればそれでいいと考えてしまいがちでしたが、大森さんは、頑張ったらきちんと売上があがる構造を作ることを意識されているのを様々な議論を通してよく感じています。ビジネスチーム全体で、プロダクトやサービスの価値を伝えることにものすごく真摯に取り組んでくださっているのを見ていると、チームが胸を張って届けられる良いプロダクトを作らないとと、背筋が伸びる思いです。
鈴木:振り返って、プロダクトとビジネスが信頼関係を構築するためにやって良かったことはありますか?
大森:事業づくりの過程で、それぞれの職能ではできないことを、助け合ってきたことが大きかったと思います。ときには、プロダクトでもビジネスでもできない問題にぶち当たって頭を抱えたり。そういう経験も含めて一緒にやってきたからこそ、自然とリスペクトしあえるなと。
例えば、Assuredのコアでもある、セキュリティ評価用のフォーマット(セキュリティチェックシート)をつくるとか。
鈴木:最初のセキュリティチェックシートを作ったのはプロダクトとしてシステムを作り始める前の時期の話ですね。セキュリティの知識があるメンバーが1人もいないけど、事業には絶対に必要なものだから、自分たちで手探りしつつ、まずつくってみようとなったんですよね。
大森:今振り返ると無謀な取り組みですが(笑)。お互いに分からないなかで、同じ学習をしたことは大事だったかもしれないですね。
鈴木:プロダクトだからとかビジネスだからじゃなくて、やったことがないことに一緒に取り組むことでお互いへの信頼は生まれるし、同じ目線で意見を出し合いながら試行錯誤を重ねる中で、それぞれの強みや価値観もわかってくるということですよね。
セキュリティチェックシートについてはその後、当時お手伝いいただいていた専門家の方の助けがあってやっと初版が完成しましたが、それはそれで必要なプロセスだったのかもしれませんね。
大森:セキュリティチェックシートは、一つの例に過ぎませんが、お客様に価値を届けるうえで職能を横断して問題解決をしていくという文化醸成ができたことはすごく良かったと思います。
今でも何か新しいプロジェクトを始めるときは、誰かがじっくり要件を考えるよりも、かなり早い段階から各職種のメンバーを巻き込んで同じMTGに出たり同じお客様のところにに皆で訪問したりしながら進めることが多いですよね。
もちろん、最後は代表として私が意志を持って決めますが、最初は不確実性が高く、前提となる業務知識・理解度も異なるからこそ、言葉で伝えると伝言ゲームになってしまうし、お客様の発言に対する解釈も、職種や性質により異なるので、同じ空間を共有し認識を揃えておくことの重要性は感じます。
鈴木:同じ情報を見ているから、全員で納得度高く物事を進められるというのはありますよね。
鈴木:例えば開発言語を変えることだったり、プロダクトにAIを取り入れることだったり、特にエンジニアリングに関する意思決定について、僕からは大森さんに対して費用対効果やビジネス上の意味を細かく説明したりはしていないと思います。任されていると言えばそうですが、実際にはどう思われていますか?
大森:例えばAIに関しては、もちろん事業戦略上なぜやるのかという視点は必要ですが、結局、プロダクトアウトの側面もあることを踏まえると、自分が想像できないことに口を出すことの意味は薄いと思っています。一方で、不確実な探索を行ううえでの大前提としては、任せる相手を信じられるかを大事にしています。もし信じられなかったら、分からないなかでも口を出すと思いますし、そうしないのはやはり信頼関係あってこそだと思います。そういった関係性は一朝一夕で積み上がるものでもなく、これまで述べてきたような二人三脚を、けちょるさんとも、プロダクトチームのみんなともしてきたというのが大きいと感じています。
鈴木:そうですね。細かく説明せずとも、エンジニアリングに対する投資は事業を推進することが目的であるべきだと考えています。エンジニアリングにおいては「この技術を使いたいから使う」というように手段が目的化しやすい側面もありますが、そうではなく、新しい価値を素早く届け、事業をスケールさせるために最適な技術を選ぶ、というスタンスを大事にしたいと思います。
技術をうまく使うことで、事業成長のために解決できる課題は山ほどあると思っています。それをプロダクトからビジネスに対して発想できない組織はもったいないと思いますし、エンジニアの創造力を100%出し切れていないということだと思うんです。そういった機能開発も意識的にやっていきたいですし、それによってビジネスに貢献してこそ、プロダクトとビジネスで肩を組んで事業づくりをする意味が生まれると思っています。
大森:連続的な成長はあっても、非連続的に新たな価値を生み出し続けることってそう簡単なことではないですよね。日々成長のために業務をこなしていると視野が狭くなりがちですが、そうやってプロダクトとビジネスが化学反応を起こすことで非連続な成長にも繋がると考えていますし、ヒト・モノ・カネのリソース配分や各々の事業への取り組み方も含めて、そのための余白をつくれるようにはしていきたいですね。
大森:僕らの事業領域は、課題自体が新しく、まだ決まった「正解」がないからこそ、我々がお客様にどういう世界観を提示していくのかや、お客様に対してどのような体験をつくっていくのか、プロダクトに対する創造力が求められると考えています。けちょるさんはどんなことを考えながらプロダクトをつくっていますか?
鈴木:特に世界観に関しては、少し遡ると去年(2023年)の6月頃に最初のMission/Vision/Valueの議論を経て、セキュリティ評価の枠組みをクラウドサービスだけでなく一歩広げて考えるようになったなという感覚があります。実際に、その議論をきっかけに新規のプロダクトをつくろうという動きにも繋がりましたし、あのタイミングで今のプロダクトの先にどういう価値を提供していくのか、どのように事業を展開していくのかという未来を描いたことで、逆算して採用や組織づくりを行えたのではないでしょうか。
議論を経て、普段お客様からの要望に応えながらプロダクトについて考えているだけだと、狭い枠組みの中で無駄にプロダクトを複雑化させたり、やらなくてよい小さな課題解決に目が向いてしまいがちだったなと反省しました。それよりは、広くお客様の課題を探り、荒削りでも大きな課題の解決を図っていくことを意識しないといけないなと。
大森さんとしては、事業の未来をどのように考えていますか。去年からアップデートされた部分はありますか?
大森:Assuredをはじめたときから、漠然と「こういう未来を創りたい」と描いているもの(ビジョン)がありました。事業の成長と共に、これらの解像度が増すとともに「あれ、こんなことも出来るんじゃないか?」と、当時考えていなかったような広がりも見え始めていて、挑戦するほどに未来が広がるという、事業づくりの醍醐味を味わっています。
また、組織としてもまだまだ道半ばではありつつも、これまでの挑戦を通じて「描いた未来は、本気で叶えば実現するのだ」という根拠のない自信のようなものが芽生え始め、これから更に世の中にお届け出来る価値づくりが加速していく予兆を感じ始めています。
鈴木:応援してくださるお客様や一緒に事業をつくってくれる仲間が増えてきたことが自信につながっているのは本当にその通りですね。社会へのインパクトという意味ではまだまだなので、引き続き楽しんでいきましょう。
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