「いざマネジメント職に任命されたものの、どのようにリーダーシップを発揮していいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
マネジメントとなると、メンバー1人ひとりの業務の進捗状況を把握するはもちろん、適切なアドバイスや環境づくりも必要となります。
今回はマネージャーのNさんに、チーム作りの秘訣をきいていきます。
❓ Nさんの仕事紹介をお願いいたします。
私は現在、新規クラウドアプリケーションのプロジェクトリーダーをしています。
具体的な業務内容は、進捗管理やタスク管理、製品の仕様検討や画面イメージの作成等、プロジェクト全体に関するものです。
また、プロジェクト運営だけでなく、自身でもプログラミングをすることもあります。全体の管理も大事なのですが、「プログラマとして携わりたい!」という気持ちが抑えきれないため、プロジェクトの進捗に影響がでない範囲でプログラミングのタスクをこなしています。
プロジェクトとは別に、半期ごとに設定されるチームメンバーの目標管理も行っています。チームメンバーが、自分の技術力を高めるために何をすればよいかを考え、目標を設定しています。その目標達成までのロードマップや評価基準を決めるため、障害を取り除いたり、アドバイスをしたりしています。
メンバーの技術力が上がると、チーム全体の技術力が向上するので、よりスピーディーに高品質な製品を開発できるようになりますね。
❓ プロジェクトのメンバー数やそれぞれの役割について教えてください。
私の所属するプロジェクトは、7名体制です。
社員5名に加えて、外部の協力会社様から2名参加いただいています。
それぞれ、「バックエンドエンジニア」「フロントエンドエンジニア」に分かれ、分業しながら製品開発をしています。
もちろん、バックエンドとフロントエンドがつながる部分の実装は、仕様のすり合わせが重要になるため、細やかなコミュニケーションを大事にして進めていくことになります。
バックエンドエンジニアは、主にサーバーサイドを扱うエンジニアです。
データベースの設計からクラウド上にあるデータを取得したり、更新したりする仕組みのWebAPIの設計・実装まで、データの入出力を担います。
フロントエンドエンジニアは、主にユーザーから直接見える画面周りを扱うエンジニアです。UI/UX 設計を元に、WebAPIを利用してデータを画面に表示し、ユーザーの操作によりデータの保存処理を行います。
役割ごとで利用する技術も異なるため、メンバーはそれぞれの専門分野を特化させていくことになりますね。
❓ UXとUIとは何ですか?
UXは、ユーザーエクスペリエンスのことです。ユーザーがサービスを通して得られた「体験」のことです。
UIは、ユーザーインターフェイスのことです。ユーザーとの間に現れるサービスの「外観」のことです
❓ リーダーに必要なスキルや心構えは何ですか? また、日ごろから行っていることはありますか?
日ごろから心がけている事は、「心理的安全性」が高いチーム作りです。
簡単に表現すると、チームメンバーが安心して発言や行動ができる、風通しの良い環境の構築でしょうか。
業務を進めるにあたり、打合せや会議等、様々なシーンで話し合う機会があります。
この中で発言しようとした時に、「これを言ったら怒られるかも」「無知だと思われるかも」と萎縮してしまうと、せっかくの意見が日の目を見ないまま埋もれてしまいます。
その対策として、例えば毎日の朝会開始前に雑談の時間をとっています。
話題は何でも良く、身の回りに起こった良かったことや驚いたこと等、会話が生まれるような空気感を作ることを心がけていますね。
何を発言しても受け入れてくれる環境であれば、メンバーが思い思いの意見を交わし、そこから様々なアイデアが生まれます。どんなに小さな事でも、業務改善できるものがあれば取り入れていきますし、そこから新たな気づきが得られることもあります。
さらに、メンバー内での会話が増えることで、情報交換が活発になり、チーム全体の知識量が増えます。
「そんなの聞いていません!」なんて不幸な事故が起こることもありませんしね。
❓ Nさん自身、マネージャーとして相手の発言や行動に賛同できないときは、指摘をしたり反論したりするかと思います。そういった場面でも「心理的安全性」を確保するために気を付けていることはありますか?
まず、頭ごなしに否定することは決してありません。
相手との対話の中で、「なぜそう考えたのか?」という前提を共有することから始めます。その結果議論が深まり、私自身も気づかなかった視点や考え方に出会えることがあります。
それでも相手との意見が合わない場合は、私自身が「なぜそう考えたのか?」を共有します。ただの思いつきや感情で発言しているのではないことを理解してもらい、あくまで論理的に納得しあえるまで議論します。
❓ Nさんのチーム作りの原動力を教えてください。
人と人とが関わる集団では、必ず「話しかけやすい人」「話しかけにくい人」が存在すると思います。クラスメイト、部活やサークルの仲間、職場の先輩・後輩・同僚等、いろいろなグループがありますよね。
当たり前のことですが、「話しかけやすい人」には自然と情報が集まります。この”情報が集まる”という状況がとても大事で、情報量が多ければ多いほど、より良い選択ができます。
私自身、自分で収集できる情報には限りがありますし、もちろん完璧な人間ではないのでミスもします。そこで、メンバーから雑談も交えながら情報を共有してもらうことで、視野が広がり、未来のリスクを減らすことができます。例えば、見落としていたタスク、仕様漏れ、想定していなかったパターンの入力、新しい画面イメージのアイデア等々、枚挙に暇がありません。
今まで、数えきれないほどチームメンバーに助けられました。
発言を絶対に否定されない状況があれば、リスクを減らせるだけでなく、より良い製品開発へとつながります。
❓ マネジメント側からみえてきた「KENTEMや開発のこれからの課題」はありますか?
KENTEMでは今まで、デキスパートシリーズを軸にしたお客様のPCにインストールして利用する形態の製品、いわゆるオンプレ製品をメインに開発してきました。しかし、ここ数年で状況はガラリと変わり、ほとんどの新規開発がクラウド製品に移行しています。
その中で、クラウド系エンジニアの育成が大きな課題です。
また、社内でのエンジニア育成はもちろん、新卒・キャリア共に採用活動も活発に行われています。
これからは、様々な考えを持つエンジニアを育成・採用していくことになるでしょう。
多様な人材の能力が活かされる「ダイバーシティ&インクルージョン」に対応できる文化を育むことが、これからの課題ではないかと思います。
❓ Nさんがこれから挑戦したいことは何ですか?
今まで、オンプレ製品、クラウド製品に関わってきましたが、まだモバイル製品に関わったことがないんですよね。なので、まったくの新天地となるモバイル技術を習得して、エンジニアとしての立ち位置で製品開発をしてみたいですね。
※所属部署、役職、業務内容は取材時点の内容となります。