小酒夏穂(こさけ・なつほ)は念願だったスウェーデンへの留学を経て、スウェーデンの人たちの「多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい」人生観を知り、大きな影響を受けました。コミュニティでの子育てやパートナーとの家事シェアなどが根付いているスウェーデン。経験を通じ、待機児童問題やワンオペ育児が社会問題化する日本をもっと子育てのしやすい国にしたい、という思いを持つようになりました。日本の子育て中のお母さんたちにも、何か新しい選択肢を提案できないか。そんな思いを胸に、カジーへのジョインを選びました。新卒社員紹介企画第3段です。
「一目惚れだった」。スウェーデン語との運命的な出会い
高校2年生のときにたまたま訪れたオープンキャンパスで、偶然スウェーデン語の授業を目にしました。挨拶や簡単な日常会話の授業だったのですが、歌うようなスウェーデン語の響きがとても美しく聞こえました。先生が学生たちにスウェーデン語で言葉かけをしていたのですが、私に「Du är vacker.」と声をかけてくれた。後で知ったのですが、「You are beautiful.」という意味だったのです。
高校時代の私は、自分に全く自信がありませんでした。まず、容姿が嫌い。そして進学校にいたからか、勉強ができる同級生と自分を比べる癖がついていました。私は数学が不得意で、そのために「バカにされているんじゃないか?」とネガティブな思いに囚われることも。
そんなときにポジティブな言葉をかけてもらったからでしょうか。それから私はすっかりスウェーデン語に魅せられてしまいました。
「スウェーデンに行ってスウェーデン語を勉強したい」という一心で、留学プログラムがある大学への合格を目指して受験勉強に励む日々。ですが、やはり数学が足を引っ張っていました。数学の点数を上げなければ・・・ということで頭がいっぱいになり、結果的に他の教科も伸びず、第一志望校に合格することは叶いませんでした。
固執していたのは自分だけだったことに気付いたら、世界が180度変わった
今思うと、「数学ができないのなら、別の教科で挽回をすればいい」ということに思い至らず、一つの考えに固執してしまったのです。もっと楽に考えられる道もあったのに、乗り越え方がわからなかった。
もう一つ、こんな経験もあります。
私は顔に2つのほくろがあり、小さな頃からそれが大嫌いでした。ほくろが気になるあまり人の目を見て喋ることもできないほど。
大学生になって一大決心をし、レーザーで除去をしました。ですが、なんと周囲の友達はほくろが消えたことに気づかなかったのです。固執していたのは自分だけだった。それに気づいてとても楽になり、私は人の目を見て喋れるようになりました。
これらの経験を通じて、見えていた世界が180度変わりました。すべては、自分の捉え方の問題だったということに気付きました。
“多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい”。スウェーデンの自由な人生観
第一志望ではなかったものの、留学プログラムのある大学へ入学することができ、ついにそのときが訪れました。念願のスウェーデンへの留学です。
スウェーデンでの暮らしは、日本でのそれとは全く別のものでした。時間はゆっくりと流れ、自分の考えに向き合う機会を「生まれて初めて」と言ってもいいくらい、たくさん持つことができました。
スウェーデンでの一コマ。
スウェーデンの人に根付いている考え方の一つに、「LAGOM(ラーゴム)」という価値観があります。これは、「多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい」という意味。赴くまま、自分の「LAGOM」で生きていい。そんなスウェーデンの人の人生観に触れ、私は大きな影響を受けました。他の人からどう見られるかは関係ないから、自分だけの1回きりの人生を楽しもう。そんな風に考えられるようになっていきました。
日本にいた時は常に焦っていたように思います。他人の物差しや、目の前のことだけに囚われ、自分の頭で考えられていないことも多かった。
スウェーデンで、初めて「違う選択肢もあるんだ。こんな方法もいいのかもしれない」と気付かされました。自分の価値観を変えるために、スウェーデンに呼ばれたのかもしれませんね。
スウェーデンでの暮らしを経て日本愛も深まり、一時は「舞妓さんになりたい」という思いを持っていたこともあるそう。
「子育てのしやすい」日本へ。お母さんたちには自分の“時間”を持ってほしい
実は、私には「赤ちゃんを育てるお母さんたちをサポートしたい」という思いがありました。物心ついた時から、妊娠や出産がとても神秘的なことに思えて興味を持っていたのです。
日本では、妊婦さんや産後のお母さんに対するインターネットでの辛辣な書き込みを目にして、心が痛んだこともありました。
就活が始まり、私の軸は「ママたちがもっと子育てをしやすい日本にしたい」という思いでした。いくつかの会社を見る中で、自分がアプローチしたかったのは、子育てを取り巻く社会通念なのではないか?と気付きました。
日本のママたちに、もっと自分の時間を持ってほしいと思ったのです。時間ができれば、自分自身のことに向き合い、自分の意思で納得した道を進むことができます。
日本ではお母さんに求められることもすごく多いし、子供を産んだあとそれまでのように働くことが難しい職種も多い。家事負担も、諸外国に比べてとても多いのです。
スウェーデンのお母さんたちは、自分で必ずしもやらなくてもいいことには、あえて時間を使わないのが一般的です。家電などに積極的に頼り、コミュニティで子育てを支え、自分が大切にしたい時間を優先します。この価値観の違いも、大きなカルチャーショックの一つでした。
カジーと出会って、「大切なことを、大切にできる時間を創る。」というミッションと、自分のやりたかったことがリンクしていると感じました。また、就活生の私とも人として深く向き合ってくれる社員や経営陣にも魅力を感じ、「頑張るならこの環境だ」と思えました。内定をもらって、その場で入社を即決しました。
内定者懇親会で同期と。
目の前の業務が、会社のミッションにつながっている
入社してすぐ行った業務は、キャストさんへのフォロー業務の「型」を作ること。キャストさんに前向きな気持ちになっていただき、さらにレベルアップしていただくためにはどうすればいいか、様々な研究なども参照しながら考えていきました。
自分の頭の中にあることを、図や言葉に落とし込むのは大変でしたが、上長にヒントをもらったり、周囲に助けていただきながらなんとかアウトプットすることができました。
やってみて、「型化」は単なる業務効率化だけでなく、業務に携わるスタッフやキャストさんを守る側面もあるということに気付きました。自分のやっている細分化された業務は、「関わる人を守る」という会社としての大きな目的に繋がっている。そういうことに気付けるのも、所帯がコンパクトなベンチャーならではのよさだと感じました。現場と接続する部署で、「カジーのサービスはキャストさんがいてこそ」ということを実感できたのも、大きな収穫でした。
入社して以来、カジーが目指す方向性への信頼は強くなっています。そして少数精鋭のこの環境なら、必ず鍛えられるからついていこうと思えています。
カジーは新しい会社。整えていくことで進化できる部分はまだまだあると思います。まずは自分でもわかる「こうした方がいいんじゃないかな?」を拾って、少しずつ改善していきたい。関わる人たちが“カジーでの時間に使命を抱ける”ように、自分にできることから始めていきたいです。